硝子の聖女~スケベ猿が薄幸美少女に転生した結果~   作:三上 一輝

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幕間は次の章までの期間にあった出来事を思いついた端から、投下していく短編になります。


降臨 ♰ 大天使 ♰

 

 

「そう言えばクリス。どうしてあの日、アレンの身に危機が迫る事を知っていたんだ?」

 

 

 

「!?」

 

 

 

 ルークの問いかけに、ビクゥゥゥゥゥゥウウッッ、とクリスは体を震わせた。

 ギギギ、と壊れたロボットの如く首を動かした上に、視線を右往左往と泳がせる。

 しかし、ルークだけでは無く、アレンやエレノアも興味深げに自分を見ていて、逃げ場が無い事をクリスは察しざるを得なかった。 

 

 

 

「あの、それは……」

 

 

 

 そもそも何が問題なのか、と言えば。

 起きるかもしれないアレンの身の危険を防ぐため、理由も言わずにルークに街に残ることを頼み込んだ件である。

 ニフトの襲撃は綺麗に終わり、なんか、物語完!!と言った感じではあるが、キリが良かろうがなんだろうが、人生はそこでは終わらない。

 行った不自然な行動の説明責任は無くなりはしないのだ。

 

 

 

(そ、そうだ!ベアさん――!) 

 

 

 

 事情を知り悪知恵が働く、自分以外の人には不可視の友人に、助けを求めて視線を動かすクリス。

 

 

 

『ザッマァァァァァァァアアアアアアアアアアッッッッ――!!後先考えずに動くからこういうことになるんだヨォォォォォオオオッッ!!カーッ、美味(ウメ)ェ、美味(ウメ)ェわぁああああっっ。変態の不幸で空気が美味い!!!Foooooooo~~~~~~~♪』

 

 

 

 

 煽   り   全   一

 

 

 

 ここぞとばかりに日頃の鬱憤を晴らすデザベア。その表情は非常に清々しい。

 

 

 コイツ、アトデ、〆る。クリスはそう決意した。

 

 

 

「クリス?」

 

 

 

「………………」

 

 

 

(ど、どうしよう――!!)

 

 

 

 しかし、後の事は後の事である。

 今は、どうやってルークたちを納得させるか、それが重要だ。

 前世の事を話せない呪いの所為で、本当の事を言えない以上、なんかそれっぽい話で誤魔化すより他に無い。

 

 

 

 

 ……いや、仮に呪いが無く、本当の事が言えたとしても「ゲームの知識です、テヘ三☆」が通用したかは怪しい所だが。

 

 

 

 

(どうして知っていたかなんて、こっちが教えてほしいよ!!) 

 

 

 

 しっかりと筋の通る説明をどうすれば出来るのか、寧ろクリスの方が問い合わせたい位だった。

 しかしだからと言って投げ出すわけにも行かない。クリスは自分の脳味噌をフル回転させる。

 

 

 

 高校の通信簿における国語の評価が5段階で2だったクリスの説明力を信じろ――!!

 

 

 

「…………………………………………………………………………て、」

 

 

 

「て?」

 

 

 

「天、使、様、のお告、げ。的、な?」

 

 

 クリスゥゥゥウゥウウウウウウウウ!?

 

 

『て!ん!しっ!!天使っスか、クリスパイセン!!!!どうしちゃったスかぁ~~~??????変態キャラを止めて、電波ちゃんキャラに転向を狙ってるんスかあああああ?????????』

 

 

 

 お前、そんな口調ちゃうやろ、と思いクリスはデザベアを睨んだが、しかし暖簾に腕押しであった。 

 

 

 

「天使、とは?」

 

 

 ルークの疑問が、無慈悲にもクリスへと突き刺さる。

 一度放った言葉は取り消せない以上、クリスはたどたどしく恥ずかしい言い訳を重ねていく。

 

 

「え、と。え、と。……………………神、様の、遣い、みた、い、な?」

 

 

 

『神  降  臨  !  ! あれあれ????もしかしてあれですかぁああっっ?神の啓示受けちゃったんですかぁ~~~????これからは♰聖騎士♰クリスと呼ばなければならない様だな……!♰悔い改めて♰』

 

 

 

 

(うううううううううううううううううううう!!!!!) 

 

 

 

 世紀の煽りストと化したデザベアに、クリスは返す言葉も無い。

 なんせ、言ってるクリス本人が、余りに苦しすぎる言い訳だと思っている。

 電波だ。純度100%の電波なのだ。

 日本に居たら5年後には黒歴史になっている類の発言である。

 容姿的には電波キャラも行けなくも無いが、しかしクリスとしては遺憾だった。 

 羞恥プレイは好きだが、こう言った恥ずかしさは求めていないのだ――!! 

 

 

 

(それにこんなの絶対に納得されない――!!)

 

 

 

 自分の言い訳のアレさは、クリス本人が一番感じている。

 こんな説明で納得される、とは欠片も思えず、これだけ恥ずかしい思いをしたのに、無駄になるのか……とクリスは激しい徒労感に襲われた。

 

 

 だが、しかし――。

 

 

 

「やはり、な」

 

 

「クリス、やっぱり君は特別な――」

 

 

(あれえええ??????納得されてる??????)

 

 

 以外にも自分♰聖騎士♰説がすんなりと、納得されてしまい、目を丸くするクリス。

 

 

『ハぁ~~っっ。笑った、笑った。こんなに、愉快なのは久しぶりだぜ。俺様300歳は若返った気分だ。んで?お前は、なに鳩が豆鉄砲を食らった様な顔をしてやがんだ?納得されるに決まってんだろ?』

 

 

 そんなクリスに対して、デザベアは言う。当たり前だろう、と。

 

 

 自分には天使が憑いていて、お告げが云々かんぬん。

 普通であれば、まず信じられないだろう発言である。

 だが、発言と言うのは、何を言ったかも大事だが、誰が言ったかも同様に重要だ。

 

 例えば、普段嘘ばっかり吐く人間のトラストミーと、これまで必ず約束を果たしてきた人間のトラストミーでは、同じ言葉でも重みが天と地ほどに違う。

 今回だって同じこと。

 もしも、何の力も無い普通のスラム育ちの少女が今回の発言をしたのなら、「可哀そうに、辛い生活でそんな妄想に縋るしか無くなってしまったんだな……」と哀れまれること間違いなしだろう。

 涙ちょちょぎれ、ぎれ太郎だ。

 

 しかし、ここで今現在のクリスのスペックを列挙していってみよう。

 

 顔が良い。

 なんか、聖なる感じに発光する時がある。

 顔が良い。

 ドデカい光の隕石を墜とすことが出来る。

 顔が良い。

 死者を生き返らせることが出来る。

 顔が良い。

 とても慈愛に溢れている様に見える。

 顔が良い。

 

 後、特筆すべき点としては、顔が良いのと、顔が良いのと、顔が良いと言う所が挙げられるだろう。

 ああ、それに顔が良いと言うのも外せない。

 

 

 これは間違いなく♰啓示♰キメちゃってますね…………。

 寧ろ逆に、その位のハッタリを利かせないと信じてくれないまであるだろう。

 

 と言うかそもそも。

 目の前で人一人サラッと生き返らしといて、今更、一般人です!!なんて言われても……。その……。困る……。

 

 

 そんなこんなで、クリス、♰神の使徒♰説は簡単に受け入れられてしまったのである。

 

 

「でも、天使か。ねぇ、クリス。その天使さんって名前とかあるの?」

 

 

「……名、前」

 

 

 アレンの何気ない質問が、クリスの頭の中で核融合反応を起こした。

 これだ!!と言わんばかりの妙案がクリスの脳内で爆発する。

 

 

 

「――大、天使、デザ、ベアル、ッッッ!!!!!!!」

 

 

 

『ふぁっっ!?????????????????????????』

 

 

 

「大天使」

 

 

 

「デザ」

 

 

 

「ベアル――!?」

 

 

 

 デザベアが驚愕の声を上げていると同時に、ルークの、アレンの、そしてエレノアの声も同様に響く。

 

 

 

「そ、う。彼は、嘘、と争い、が嫌いで、人の、幸せ、を、何、より、願う、大、天使――!!」

 

 

 

「そう伝えられると、デザベアル……。確かに、こう、荘厳な名前に聞こえるわね」

 

 

 

「うん、母さん。俺もそう思う」

 

 

 

『ヤメロー。オレサマヲケガスナー!!!!!!!』

 

 

 

 

「彼は、私、以外、には、見え、ない、けれ、ど。確か、に、存在、して、いて、私に、啓示、と、加護、を、くれ、るの」

 

 

 

 

「そうか、クリス。それで君は、アレンの危機を知ったんだな」

 

 

 

 

「う、ん」

 

 

 

 

『トリケセー、イマスグ、トリケセーーーーーーーー』

 

 

 

 

 クリスは何故だか騒いでいるデザベアに、念話で語り掛けて上げた。

 

 

 

『どう、した、の?♰大天使♰デザ、ベア、ル、さん、っっ――!!』

 

 

 

『Fuck you』

 

 

 

 

『HA、HA、HA!!Please、Fuck、Me!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』

 

 

 

 

 一人で♰神の使徒♰にされて堪るか、貴様も道連れだ。

 逃がさん、逃がさんぞ、お前だけは!!と言うクリスの執念がデザベアを襲う。

 

 人を煽って良いのは、煽られる覚悟のある奴だけなのだ。

 

 

 

「それにしても啓示に、加護……。ねえ、クリス?俺たちを助けてくれたあの凄い力が、加護って奴だったの?」

 

 

 

 アレンが目撃した、明らかに人智を超えていたクリスの力。

 だが、神から授かった力だというのなら、納得が出来る、とアレンは思った。

 

 

 

「? 違、うよ?」

 

 

 

「そ、そうなんだ……」

 

 

 

 だが、そんな事実は全くないのでアッサリと否定するクリス。

 素であれ程なんだ……、と心中で驚愕するアレン。

 そんなアレンを余所にクリスは、あ!これも丁度いいかもっ!ともう1つ話をすることにした。

 

 

 

「加護、って、言う、のは、不犯(ふはん)の、加護!!」 

 

 

 

「ふはんの加護?それってどういう――?」

 

 

 

 文字で見ていればそれこそ一目瞭然だが、声で聴くだけでは予想がつかない。

 アレンは何気なく問いかけた。

 

 

 

「え、と。【自主規制】、され、そう、に、なる、と、相手の、局部、が、爆発、する、加護!」

 

 

 

「ふへぇ!?」

 

 

 

 アレンが噴き出した。

 ルークとエレノアも同時に驚愕している。

 

 

 

「な、な、な、な、な、な、な――」

 

 

 クリスの色んな意味での爆弾発言に、アレンの顔が赤くなったり、青くなったりを繰り返す。

 ついでに、玉がヒュンってなっていた。

 

 

 それを見てどう思ったのかは知らないが、クリスが微笑んだ。

 

 

 

「あ!でも、普通、に、お風呂、位、は、大丈、夫、だから!!安、心、して!!」 

 

 

 

「ほひゅっ――!?」

 

 

 

 色々と思い出がフラッシュバックしてアレン君の脳味噌がイッターーーーーーーーー。

 

 

 

 そんな様子を虚ろな目で見つめる♰大天使♰デザベアルの姿があったとさ。

 

 

 

『フザケルナ、フザケルナ……』

 

 

 

 ♰ 悔い改めて ♰

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