真剣でクリスの兄に恋しなさい!   作:トラックオジサン

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18話

「この日本のパフェというのは素晴らしいな。これが誰でも食べられるとは」

「ドイツに戻ったらたまに作ってあげるよ。材料は大体分かったし向こうでも作れそうだ」

「さすが我が息子だな」

「あんま料理にはそのセリフ関係ない気がするけど…」

 

俺は今、父さんと一緒にファミレスに来ている。

前に話した件についての報告を聞く為にわざわざ日本に訪れたみたいだ。

俺の部屋でと思ったが日本のパフェが食べたいとの事だったのでファミレスに変更した。

 

「クリスに会っていかないの?父さんが来たら喜ぶだろ」

「会いたいのは確かだが…色々と立て込んでいてね。報告を聞いたら直ぐに戻るさ」

「戻ろうか?」

「なぁに、向こうにはフィーネ達を残してきた上手くやってくれるさ」

 

直ぐに戻るぐらいなら電話でいいのでは…?

そんなことを思っていると携帯にメールが届いた。

相手は弁慶からだ。

 

【勉強めんどい( ゚Д゚)】

【だらけ部 おつまみ 頑張れ】

【(´▽`*)キャッキャッ】

 

たったこれだけのやり取りだが楽しく感じてしまう。

 

「どうしたんだ?携帯を見つめて笑って」

 

顔に出ていたようだな。

 

「まさか…ついに嫁候補が現れたのか?」

「そんなんじゃないさ」

「女性である事は否定しないのだな」

 

動揺しているみたいだな…

 

「その話はまた今度!それで頼まれていた件だけど」

「ふっ!期待して待ってるよ。報告を頼む」

 

急にピリッとした空気に包まれる。

正直この報告が重要かと言われると全然重要ではない。

 

「それじゃあクリスの近くにいる男友達の調査報告の結果を伝えます」

「頼む!」

 

真面目な空気感を出されても困るんだよ…

 

それからは風間ファミリー4人について調べた事、印象など事細かく話した。

何故クリスに惚れないんだ!と理不尽な怒りを見せていたが惚れていたらそれはそれで大変面倒くさい事になるので勘弁してほしい。

子供である俺から言うことではないが父さんの相手をすると思うと面倒くさいのだと思う。

まぁ、将来的にクリスの旦那になるなら父さん相手にできるぐらいの人じゃないと無理だしな。

 

その後も報告を続けてその結果に満足したのか父さんは帰っていった。

途中でクリスの魅力に気づかない愚か者共と言い出した時は面倒くさかったけど何とか説き伏せる事が出来た。

ついでだからこのままだらけ部に持っていくつまみの食材でも買って帰るかな…

 

 

「うぃーっす」

「やぁ、大和くん」

「ちーかま」

「何か弁慶がノア先輩の膝枕で寝てるのが定位置になってるね」

「これは私専用の枕だ」

「いや、俺の膝は枕ではないんだが…」

 

大和くんがだらけ部にやってきたがいつもより少し遅いな。

 

「今日は遅かったが何かあったのかい?」

「ちょっとお手伝いをしていまして…」

「例の人脈構成かい?」

「そんなところですね。ヒゲ先生今日はいないんだね」

「宇佐見先生も仕事があるってことさ」

「なら俺もゆっくり寝かせてもらおう」

 

最近はこんな感じのゆったりとした時間が多い。

弁慶と大和くんが眠る中静かに本を読む。

 

しばらくすると宇佐見先生がやってきた。

 

「いたいた、相変わらずだなお前達は」

「やあ、宇佐見先生」

「おう、ちょっとそこで寝てる二人を起こしてくれ。ちょっと相談があるんだわ」

「弁慶、大和くん、宇佐見先生が来たぞ」

 

こちらが声を掛けずとも二人は既に起きていた。

 

「ちょっとお前達3人に相談があってな」

 

宇佐見先生の仕事である代行業をアルバイトで手伝ってほしいという事らしい。

本来予定していた人は火喰鳥を捕まえる為に怪我したらしいが火喰鳥ってなんだろうか?

 

「俺は構わないですよ」

「俺も大丈夫だ。特に問題はない」

「そっかぁ二人共頑張ってねー」

 

大和くんと俺は大丈夫と直ぐに返事をしたが弁慶にやる気はないみたいだな。

 

「いや、今の話の流れ…というより3人にってヒゲ先生言ったじゃん」

「私はそういうのはメンドイのでパース。ノアがいればなんとかなるなりそうじゃん」

「ま、弁慶ならそう言うと思ってもう一人説得してもらう為の助っ人を呼んだ」

「弁慶、この話受けてみようじゃないか」 

「う…義経…」

 

なるほど、義経くんに説得を任せるのか。

義経くんの性格なら頼られたら断れないだろう。

宇佐見先生の判断は間違っていない。

 

その後義経くんに説得された弁慶は渋々この話を引き受けた。

 

 

宇佐見先生に頼まれた代行作業は…

 

「まさかバーで働く事になるとはな」

「これも経験って事ですよ」

「うっはー、アルコールがいっぱいだぁ!」

「働くだけだから飲めないだろ…」

 

バーの店主は魚沼さんというダンディーな人だった。

 

「用心棒として雇っていた兄弟が国に帰ってしまってね」

「なるほど腕利きが必要だったわけですか。それなら二人で良かったのでは?」

「腕利きが二人と…雑用係もいて欲しかったんだよね」

 

腕利きは俺と弁慶で雑用が大和くんか

 

バーが開店してから大和くんは掃除とホールを担当し

俺と弁慶はカウンターの中で客の相手をしている。

 

弁慶には男の客が集中し、こちらには女性客が集中している。

 

金柳街の本屋の店長しかり、馴染みの客が多いようだ。

俺の方はと言うと…

 

「良かったらお仕事の後に飲みませんか?」

「お誘いは嬉しいのですが明日は学校がありますので」

「ウソ!?学生なの!?将来有望?」

 

こんな感じで何組かの女性に誘われるがお断りする。

何故か誘われる度に弁慶に睨まれる。

一体俺が何をしたというのか…

 

更に途中ではこんな客も訪れた。

 

「失礼する…ってノア様!?」

「いらっしゃいませ」

「こ、このような場所で一体何を?」

「見ての通りバーテンダーさ。ま、お世話になっている人が困っていたようでその手伝いさ」

「は、はぁ…?」

「ふむ、部隊の人間も来ているようだね」

「あ、皆!ノア様に敬礼!」

 

俺が働いているのがよほど驚いたのかマルギッテの連れてきた部隊の人間は全員口を空け驚いていたようだ。

マルギッテの号令に慌てて全員が敬礼をしてくる。

 

「訓練していたのかな?ご苦労さま。しかし、今の俺はバーテンダーなんだ。注文をお願いできるかい?」

「はっ!それでは全員分のシュバルツビアをお願いします」

「畏まりました」

 

カウンターへ戻ると魚沼さんが既に人数分のシュバルツビアを用意していた。

出来る男は違うようだ。

 

マルギッテと部隊の人間達が帰り、働き始めて数時間…とある客席で言い争いが起こった。

話を聞いているとお菓子の派閥戦争らしい。

大和くんが言うには

 

「終わりのない戦い」

 

だそうだ。

どちらも食べた事があるのだがどちらも美味しいでは駄目なのだろうか?

 

「弁慶ちゃん、フリードリヒ君、あの二人外でやるよう言ってきて」

 

早速と言うべきなのか用心棒の仕事が舞い込んできた。

言い争いをしている二人を外へと追いやる。

 

「店内で争いは困りますので外でお願いします」

「あんだ?優男が邪魔するんじゃねぇよ!」

 

いきなり殴りかかって来られたが難なく躱す。

 

「お客さん…困りますよ」

「あぁん?てめぇもか?良く見たらいい女じゃねぇか!」

 

いい女と言いつつ弁慶に襲い掛かろうとするが弁慶相手にそれが通じる訳がない。

 

「お客さん達は泳げるかな」

「酔いも覚めるだろうしいいんじゃないか?」

「という訳でお客さん?ちょっと頭を冷やそうか…そぉい!」

 

弁慶と一人ずつ持ち上げ海へと投げ込んだ。

 

「ノア先輩!弁慶!だい…じょうぶだね」

 

大和くんが心配して駆け寄ってくるがあんな相手にやられる訳はなくまったくの無事である。

 

「さ、ここは片付いたから店に…ん?」

「どうしたの?」

 

店に戻ろうとすると白装束の不気味な軍団がワラワラと取り囲んできた。

 

「ふむ、団体様のご来店…という訳ではなさそうだね」

「そうだねー、なんせ武器を持ってるからね」

 

白装束軍団はそれぞれの手に刀、斧、チェーンなど武器を持っている。

 

「お客さん?店内に武器の持ち込みは出来ませんが?」

 

一応注意してみたが答えは返ってこない。

 

「大和、あそこの壁に立て掛けてあるモップ取ってくれる?」

 

大和くんは慌てて弁慶にモップを渡す。

 

「そんなので戦えるのか?」

 

大和くんは疑問に思っているようだが弁慶の棒術はかなりの物だ。

実際に喰らっているしな…

 

「まぁこの形の武器は使い慣れてるからね」

「やるのかい?」

「どう見たって襲ってきそうでしょ?」

「それもそうか…店に迷惑が掛かる前に終わらせるとしよう」

「じゃぁさ、競争でもしない?倒した数多い方が勝ちで」

「ほう?たまにはそういうのもいいかもしれないな。景品は?」

「負けた方が勝った方の言う事を聞く!」

「いいだろう!」

 

言い終わると弁慶と俺は白装束のみです軍団に突っ込んでいく

そこで気づいた、大和くんどうしよう…

 

「こっちは大丈夫です!」

 

彼は見事に白装束の攻撃を避けている。

回避性能は中々のようだ。

後方の心配が無くなったのでサッサと終わらせるとしよう

 

数は多いが一人一人の動きは良くないみたいだな。

白装束の攻撃は力任せに武器を振るうだけだ。

スピードもある訳ではない。

 

「はぁっ!」

 

白装束の一人に拳をめり込ませるとそのまま後方まで吹き飛ばし4人ほど一気に倒す。

弁慶の方を見るとモップを器用に操り、白装束を薙ぎ倒している。

弁慶はパワータイプのように思っていたが違うようだな。

動きが速い。

 

 

「このままでは負けそうだな…少しペースを上げるとするか」

 

弁慶のペースに負けないようにこちらもペースを上げる。

 

「ノア!」

 

弁慶から声が上がると弁慶と体を入れ替える。

 

「こっちの方が多いみたいだがいいのか?」

「少なそうだからお裾分けだよ。言い訳できないでしょ?」

「はは、言うじゃないか。負けても泣かないでくれよ?」

「誰に言ってるの…っさ!」

 

お互いに白装束達を倒していく。

一人一人の力は大した事ないので力よりもスピードを重視し片付けていく。

振るわれる武器を避けては拳を繰り出す。

一人、二人、三人と順調に片付けていき

ある程度片付いた所で大和くんの方へと向かう。

 

「すまない。待たせてしまったね」

「ノア先輩!」

 

大和くんの前に立つとそのまま白装束達を吹き飛ばした。

 

「これで終わりっと!」

 

弁慶が最後の一人を倒すとこちらに合流する。

 

「弁慶は違和感を感じたか?」

「ノアも感じた?倒した感覚が無かったんだよね…多分…」

「壁超えの達人が気で操っていた」

「それしかないよね」

 

結論付が終わると離れた位置からパチパチパチと拍手が聞こえた。

 

「いやーすまねぇな」

「あなたは…確か天神館の館長?」

「おお!天神館館長の鍋島だ。フラっとここに立ち寄ったら噂のクローンが戦ってたもんでよ。もっと見たくなっちまってな」

 

あれは戦いというより一方的に投げ飛ばしただけなんだが…

っと時間がかかり過ぎてしまっているな。

 

「弁慶、大和くん、そろそろ店に戻ろう。鍋島さん、申し訳ないが仕事中なので失礼しますよ」

「ああ、そいつはすまねぇことをしたな。お詫びと言っちゃあ何だが迷惑かけた分店で使わせてもらうぜ」

 

そう言うと鍋島さんは店へと入っていった。

 

「さ、こちらも戻ろう」

「あいよー、っとその前に主に頑張ってるよーってメールしとこっと」

 

その後は閉店までひたすら働き続けた。

閉店間際になると九鬼従者部隊が店を訪れた。

 

「まさか貴様も働いているとはな」

「なりゆき、というやつですよお客様」

 

従者達の中にはヒューム卿やクラウディオ卿の姿もあった。

 

弁慶がシェイカーを振り二人の酒を作る。

 

「はい、ヒューム爺には辛口のハンター、クラウ爺にはサイドカーね」

「一応ここでは私達の事をお客様と呼びなさい」

 

二人の話が聞こえてきたが英雄のクローンがここでバイトするのが良いとか良くないとか

そんな会話が繰り広げられている中で弁慶は携帯をチラチラと見ている。

義経からの返事待ちだろうか?

 

その後特に問題もなく宇佐見先生のご依頼の仕事を終えることが出来た。

 

「3人ともお疲れ様。フリードリヒくんは良く働いてくれたね。お客様への気配りも出来てたし問題ないよ」

「ありがとうございます」

「弁慶ちゃんは携帯見過ぎかな、お客様から見えないようにしてたけどちゃんと見てるからね?」

「すいません…」

「直江くんも掃除の仕方がイイね。洗面台の裏とかつい忘れちゃうとこをやっててくれたね」

 

こうして3人に依頼された仕事は終わった。

 

「また次も頼むよ。フリードリヒくんと弁慶ちゃんは固定のお客さんが出来てそうだからね」

 

次も頼むよと言われたがあくまで緊急で入っただけなので次もあるとは限らない。

 

「はー、終わった終わった」

「すっかり遅くなってしまったな」

「とりあえず帰りましょう」

「そうだな…弁慶を送っていくとしよう」

「おや?すぐそこなのに送ってくれるのかい?」

「いくらクローンの英雄だからといって女性を夜一人で歩かせる訳には行かないからな」

「そういうことならエスコートしてもらおうかな」

 

弁慶の住んでいる九鬼ビルはすぐ近くだったが夜遅い事もあり送ることにした。

 

「そういえばさ、ノアはどんぐらい倒した?」

「そういえば勝負していたな…すっかり忘れていたよ」

「じゃぁ私の勝ちってことでいい?」

「そこは引き分けではないのかい?」

「私はキッチリ数えてたさ」

「本当か?」

「なぁに?ノアは私が嘘付いてるっていうの?」

 

ずいっと顔をこちらに寄せてくる弁慶

弁慶のキレイな顔が間近に迫りドキッとしてしまった。

 

「判った、判ったよ。さっきの勝負は弁慶の勝ちだ」

「うんうん。それじゃ何お願いしよっかなー」

「お手柔らかに頼むよ…で何をして欲しいんだ?」

「んー…今はまだかなぁ、その時が来たらお願いするさ」

 

そのまま弁慶と横並びに歩き九鬼ビルを目指す。

 

「弁慶に先輩?忘れてません?」

 

 

「んじゃねー、二人共、おやすみ」

 

特に何事もなく弁慶をビルに送り届けた。

 

「次は大和くんかな?」

「えっと一人でも帰れますよ」

「では途中まで行こうか」

 

九鬼ビルからトンネルを抜ける。

 

「お?大和じゃねぇか!」

「げっ!板垣竜兵…」

「知り合いかい?」

「まぁ…知り合いというか…」

「どうだ?そろそろ逞しい筋肉に包み込まれたくなったか?」

「なってません!」

「まぁそう言うなって!一回だけでいいからよ!」

「その一回が無理です!」

 

ふむ…よく分からないが大和くんは嫌がっているようだな。

 

「すまないが彼が嫌がっているようなので止めてもらえるかい?」

「あんだてめぇ?んー?よく見るといい男じゃねぇか!おいお前、ちとこっちにこい」

「すまないが明日も学校なのでね。断る」

「大人しくついてくりゃ痛い目にあわねぇのに…よっ!」

「ふっ…むんっ!」

 

いきなり顔面に向かって殴りかかってきたので咄嗟に躱して相手の顔面に拳をねじ込んでしまった。

 

「やりすぎてしまったかな?」

「いや…あれぐらいじゃへこたれ無いと思うんでいいんじゃないですかね」

「そのままでいいか…」

「そうですね…それとやっぱ送ってもらえませんか?」

「そうだな。その方が良さそうだ」

 

無事に大和くんを島津寮に送り届けた後に自分も無事家に到着した。

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