真剣でクリスの兄に恋しなさい! 作:トラックオジサン
ワイワイとした昼食も終わり午後の部に突入した。
皆英気を養った為か動きが良くなっているな。
1年と3年はS組がダントツでトップだが
2年はSとFが競っている。
競技がどんどんと進んでいく中で次の競技
2年女子によるバトルロワイヤルが開催される。
これは各クラス代表を2人選出して戦うタッグバトルのようだ。
どちらか一人でもその場に残っていれば問題ないバトルのようだ。
これは水上と関係あるのだろうか?
それにしても…
「これでFとSが決着を付けられるな」
「他のクラスに可能性はないのか?」
「2年生は総合的に見て全体的にレベルは高い。だが己の体を使った勝負ではFとSが一歩抜き出ているな」
「なるほど。ならばこの競技は見物だな」
FとSは誰が出てくるのか注目だな。
そこにチャイムみたいな音が響き渡る。
「おおっとここでスペシャルタイムです。この競技に優勝した方には景品として川神水大吟醸が贈呈されます」
突如桐山鯉のから告げられた景品名に1名目を輝かせる者がいた。
「これは私が出るっきゃないね!」
「おお!弁慶がやる気に!義経は嬉しいぞ!」
「景品があれだからな。姉御もやる気になる訳だ」
「よーし!義経と一緒に出れば優勝間違いなしだね!」
「うんっ!義経も頑張るぞ!」
「これは勝負あったかな」
「ほう?どういうことだ?」
「景品があれな時点で誰が出てくるのか決まったようなものだ。やる気に満ち溢れているだろうな。相方次第では勝負は分からなくもないが、一人でも残っていればいいとなると話は別だ。間違いなく弁慶と義経くんが出てくるだろうな」
「確かに弁慶ちゃんは出てくるよね。でも義経ちゃんも出てくるかな?」
「弁慶がやる気になっているのは間違いない。そうなるとそれに触発された義経が出てくるはずだ。普段やる気のない弁慶がせっかく出したやる気に主として応えたいとなるのは必然だろう」
「あ、本当だ。弁慶ちゃんが出て来たよ!でもペアは義経ちゃんじゃないみたいだよ?」
何?
義経がペアじゃない?
一体誰が…あれは…!?
誰だ?
確か常に着物を着ていて目立つ女生徒だったが…
「あれは…不死川か」
「不死川…あぁ、日本三大御三家の一つだったかな?」
「その通りだ」
「おかしいな…予想が外れたか?」
「あれじゃない?義経ちゃん前半で結構競技に出てたから制限じゃないかな?」
「そういえば制限があったな…さすがに義経くんがいくつの競技に出たのかまでは把握してなかったな」
「これで勝負は分からなくなったの?」
「不死川の強さが判らないからなんとも言えないが…Fのペア次第ではありえるかもしれないな」
「そんな大注目のFのペアが出てきたみたいだよん」
俺たち3人の近くにはいつの間にか燕がいた。
全然気配を感じなかったぞ…
さらには百代もいる。
「何故百代まで一緒にいる?」
「なーに、中々面白そうな戦いになりそうだったんでな。ノアと一緒に観戦しようと思ってな!」
「別に構わないが、Fは誰が…あれは一子くんとクリスか」
「な?面白そうだろ?」
「確かに面白そうな戦いにはなりそうだな」
「それで?ノア君は弁慶とクリスちゃん、どっちを応援するのかな?」
「…何故クリスと弁慶なんだ?クリスは俺の妹だぞ?」
「あんだけ私達の目の前で弁慶とイチャついていたのにか?」
「そのような事はしていないが?」
「ノア君…それは無理があるよ…」
おかしいな…俺はそのような事を弁慶としていない。
いつも通りだったはずだ。
「まぁそう言う訳でノアはどっちを応援するんだ?」
胸の前で腕を組みながらニヤニヤと聞いてくる百代。
「そうだな…ここはクリスを応援させてもらおうか」
「へぇ?その訳は?」
「今のクリス一人では弁慶に勝つ事は出来ない。今回はペア戦だ。一子くんとの連携によっては勝つ事も不可能ではないだろう。戦略を練って弁慶にどのように挑むのか…今のクリスには酷かもしれないが将来的には部隊を率いてもらう予定だからな。そういう意味で頑張ってほしくもあるのでクリスを応援させてもらう」
「んー却下!何かそれらしい理由で誤魔化してるだろ!」
嘘偽りなく言ったんだが…どうすればいいんだ…
「あれ?弁慶ちゃんこっちに向かってきてるね?」
確かに弁慶がこちらに向かってきているな。
何用だ?
弁慶は真っ直ぐとこちらへ…いや、俺に向かってきているな。
百代に燕はニヤニヤしながら、清楚くんと彦一は微笑みながらこちらを見ている。
他の3年生達も弁慶がこちらに向かっているのが見えているので弁慶に注目が集まってしまう。
ただでさえ綺麗な顔立ちに整ったプロポーション…出ている所はしっかり出て引っ込むとこは引っ込んでいる弁慶の姿は身長も相まってモデルにさえ見てしまう。
しかもスクール水着という日本伝統の学生水着というものを着ている為、体のラインがハッキリとしている。
全員が全員こちらに注目している訳ではないが今から競技始まるというのにこちらに向かってくる弁慶の姿はどうしても目立ってしまう。
弁慶がこちらに辿り着くと俺の目の前に立つ。
「こちらに来てどうしたんだ弁慶?」
「私あの競技に出る事にしたんだよね」
「景品があれだからな。弁慶なら出ると思っていたよ。早く向かった方がいいのではないか?」
「うん。それでね、あの景品取ったらだらけ部にも少し献上する予定なんだけどあれに合うつまみを作ってくれる?」
「判った。約束しよう」
「それでノアの妹が相手なのは知ってるんだけど…私の事応援してくれない?」
「…判った。弁慶の事を応援させてもらうよ」
俺の言葉を聞くと満足そうな笑みを浮かべ開始場所へ戻っていった。
あの笑みは色々な意味で駄目だな…
最近の自分はどうもおかしいな…
顔が熱い…
「おやおや?どういうことかなノア君?クリスちゃんを応援するんじゃなかったの?」
肘で脇腹を突いてくる燕。
「おいおい、燕の言うとおりだぞ?どういうことだ?」
ニヤけた顔で聞いてくる百代。
「これは…不可抗力だ…」
「ノア君大丈夫?顔が真っ赤だよ?熱中症じゃない?」
「すまない清楚くん…そういう訳ではないんだ」
「ここまで顔が赤くなるとはな、貴重な体験ではないか?」
「すまない彦一…頭から被れるぐらいの水はないか?」
「残念ながらここにはないな。海にでも潜るしかないな」
「つまりないということだな…」
ここまで恥ずかしいと感じる経験は初めてだ。
後でメールなどでは駄目だったのか?
「まぁ今は競技を見ようじゃないか!な?」
「ああ、そうしよう。それがいいな」
「後でたーっぷりと色々聞かせてもらうけどねん」
こうして弁慶の笑顔にやられてしまった俺は周りに弄られつつバトルロワイヤルを見る事になった。
競技の方は大方の予想通りと言うべきか
Fクラスの一子くんとクリス
Sクラスの弁慶の3人が残っている。
まずはSクラスの不死川心がクリスと一子くんの蹴りにあっけなく沈み、残りの人達は一致団結して弁慶を倒そうとしたがこちらもあっけなく沈んでしまった。
「予想通りの結果になったな」
「私としては妹に勝って欲しいが弁慶相手だと中々厳しいな」
「かと言ってクリスちゃんでも一子ちゃんと同じ結果だよね」
「応援云々は抜きにしてノアの言う通りになりそうかな」
「さて…個人の実力ならそう考えるのが順当ではあるな。だがこれはタッグバトルだ。二人が上手く連携できれば勝機もある」
「クリどうするのよ?」
「まずは自分が仕掛けてみる。犬、バックアップを頼む!」
クリスが果敢にも単身で弁慶に挑む。
クリスの素早い拳の連撃を弁慶に向けて放つ。
「クリスから仕掛けたか…」
「中々いい連撃だな。けど…」
「うん。弁慶ちゃんは一見すると攻撃を受けているように見えるけど…」
「弁慶みたいにタフそうな相手にあの攻撃では駄目だな」
「ああ、精彩を欠いているな…掴まれないようにと逃げ腰の攻撃ではいつか捕まるぞ…クリス」
「はあぁぁぁぁぁぁっ!」
「ほいっ、ほいっ、ほいっと!はい、捕まえた!」
「くっ、しまった!」
「そいじゃ1名様海にご案内…そぉい!」
案の定弁慶に腕を掴まれてしまったクリスはそのまま海に向かって投げられてしまった。
「ワンっ!ダフルキャーッチィー!」
一子くんがその場から飛び上がりクリスが海に投げ出されるのを阻止した。
跳躍力は素晴らしいが一歩間違えればクリスごと海に落ちていただろう。
しかし、思い切りの良さは中々いい判断だ。
一人よりも二人で弁慶に立ち向かった方がまだ勝機はある。
さてここからどうするか…
二人が何かを話し合っている。
すると急にクリスの闘気が上がり再び弁慶に仕掛けに行った。
「せやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
クリスの攻撃が先程に比べると段違いで良くなっている。
速度の増したクリスの攻撃が弁慶に襲いかかるが…
「さっきよりは鋭いけど…ほいっ!」
速度の増したクリスの攻撃を物ともせず弁慶は再びクリスの腕を掴もうと手を伸ばす。
「させるかっ!」
弁慶が伸ばした腕を膝蹴りでクリスが回避する。
「おー、クリはさっきより動きが良くなったな」
「だね。さっきと全然違うね。これは弁慶も危ないかな?ってノア君?難しい顔してるけどどったの?」
「ん?クリスの動きが気になってしまってね」
「んー?全然いい動きしてるじゃないか。何か問題あるか?」
「そうだな…強いて言うなら最初の様子見攻撃をせずに始めから全力で行かなかったのかと気になってね。クリスにとって弁慶の実力は未知数だったはずだ。ならば最初から全力で行くのが普通だろう?今回はタッグバトルだから助かりはしたがクリス一人なら即終了していた事を考えるとね。まだまだ甘いな…と考えてしまったのさ」
「へぇー…ノア君はしっかりとお兄ちゃんしてるんだねぇ」
「でもお前、私と戦った時全力じゃ無かっただろ」
「あれは訓練だからな?それに…俺も百代と一緒で全力を出す時は父さんの許可がいるのさ」
「なんで?」
「それは軍事機密ということで…ま、そんな大した理由ではないがな」
「へぇ…ノアの本気を是非見てみたいなぁ…!」
「闘気を閉まってくれ百代…父さんから許可が降りれば戦う事は可能だが…今はまだ訓練で勘弁してくれ」
「ほんとに頼むぞ?」
「判ったから今は競技を見よう」
クリスの怒涛の攻めが続いているが一瞬の隙を弁慶は見逃さずクリスの腕を掴み取る。
「ほいっ!これで、終わりっと!」
「うわぁぁあっ!」
先程とは違いクリスの相方である一子くんのいる方向とは反対側にクリスを海に投げ込んだ弁慶。
その隙を逃すまいと一子くんが仕掛けた。
「貰ったわよ!弁慶!」
弁慶の一瞬の隙を付き一子くんが弁慶に体ごとぶつかって行く。
勢いそのままに弁慶を外へと押し出そうとしている。
「っと、これはまずいかな…でも!」
そのままの勢いに場外へ押し出されそうになった弁慶だが何とか踏ん張りを効かせ押しとどまった。
「うっぐぐぐっ!」
「狙いは良かったよ。けどね…」
弁慶はチラッとノアの方へと視線を向ける。
「応援してくれるって約束だからね…負けられないのさ!そぉい!」
「うわっ!」
体ごとぶつかって来た一子くんを弁慶はそのまま体を掴み後方へと投げる。
投げ出されてしまった一子くんは空中では為す術もなく海へと落ちてしまった。
「そこまで!勝者、武蔵坊弁慶!」
学園長から勝者が告げられバトルロワイヤルは終了を迎えた。
「妹も狙いは良かったんだがなぁ…まだまだだな」
「クリスと一子くんがもっと連携出来ていれば多分勝てていただろうな」
「それはそうとしてやっぱ弁慶は強いね〜。これは愛の力かしら?」
「何故そこでこちらを見ながら愛の力と言える?」
「あれま?奥さん聞きました?とぼけちゃってー」
「最後に弁慶がこっちを見たのに気づいてないとは言わせないぞ?バッチリ視線はノアへ向かってたからな」
「…たまたまかもしれないぞ?」
「おやおや、まだ言いますかねこの子は。いい加減に白状して楽になってしまえばいいのに!」
「清楚くん…助けてくれ…」
「えっと…二人共それぐらいにして…ね?ノア君困ってるみたいだし」
「いくら清楚ちゃんの頼みでもそれは聞けないな!」
「こんないじり…面白そうな話はほっとけないよ!」
くそっ!何て面倒臭い二人に絡まれてしまったんだ…
そんな苦戦をしているとは知らず弁慶はこちらに手を振っている。
条件反射で軽く手を振ってしまうと二人が当然の如く食い付いてきた。
「おやおや?これはこれは!」
「いやぁ!あっついなぁ!体感温度上がったんじゃないか?」
この二人を黙らせるにはどうすればいいんだ…
「ノアよ。そろそろ出番ではないか?行かなくていいのか?」
彦一からの声が掛かると次に参加する競技を思い出した。
「ああ、すまない彦一。助かったよ」
「なぁに、私は競技には参加できないのでな。その分ノアに頑張ってもらわないといけないからな」
持つべきものは友だな。
「おい京極、ノア弄ってんだから邪魔すんなよ!」
「いくら京極君でもこれは見逃せないでしょ?」
「確かに興味がないとも言い切れないがノアは次の競技に参加しなければならないのでな」
「えーそれにしたって…」
「ところで武神よ。肩に水子が乗っているがいつの間に乗せたのだ?」
「はははっ!馬鹿だな京極は!そんなのいる訳ないだろ!」
「そうか…信じないのならばそれでいいが…放って置くと前髪のクロスが解けるぞ?」
「うわー!その言霊だけは止めてくれ!」
「まつなg…「さぁさぁ!ノア君の事を皆で応援しよう!」ふむ…何もいないようだな」
「ふふっ、優しいね京極君は」
「友の困っている姿もまた貴重だが助けるのも友の役目だからな」
彦一には借りができてしまったな。
とりあえず次の競技で優勝してクラスに勝利を届けるとするかな。