真剣でクリスの兄に恋しなさい! 作:トラックオジサン
「ふぅ…彦一には感謝しないとな」
彦一に次の競技の事を言われ何とか燕と百代の弄りを躱すことが出来た。
さきほどまで弁慶との事で弄られていたせいもあり、弁慶の笑顔が頭から離れない。
そんな自分の考えに喝を入れるべく両手で頬をバチンっと叩く
「これでは弁慶に笑われてしまうな…少し気合を入れ直さなくてはな」
緩くなりそうになった顔に鞭を入れ気合を入れ直し、集合場所へと向かった。
『続いての競技は全学年男子によるバトルロワイヤルです』
実況から次の競技が告げられる。
『この競技は全学年の男子生徒がA〜Hの各ブロックに分かれ最後に残った一人が決勝へと進むことができます。残った8人で決勝戦のバトルロワイヤルを行い、最後に残った一人が優勝となります。なお、この競技の優勝者には素適な景品が用意されております』
この競技にも景品が付くのか…
どれだけこの水上体育祭にはスポンサーが付いてるんだ?
それにしてもまずは予選からか
ここで落ちる事の無いように気合を入れて望むとするか
男子生徒が各ブロックに振り分けされるとノアのブロックはHブロックとなった。
話した事はないが見た事のある生徒が何人かいるな
後は見たことが無いから別の学年だな
それにしても予選もバトルロワイヤル形式となると複数に狙われる事に注意だな。
いくら一般生徒とは言え川神学園の生徒達は血気盛んだからな。
油断せずに行こう。
「皆判ってるな?」
「ああ、まずは全員でフリードリヒを脱落させる!」
「あの美少女だらけで昼飯を食っていたあいつを許すな!」
「後輩達もいいな!まずはフリードリヒだけを狙うんだ!」
「「「「「はいっ!」」」」」
「フリードリヒを脱落させてから恨みっこなしで戦うんだ!それまで俺達は全員で同盟だ!忘れるな!」
「いくら川神百代と互角に戦ってたとはいえ、この人数で襲い掛かれば!」
「くっくっくっ、魍魎の宴前にフリードリヒを血祭りにあげてくれる!」
「奴を許すな!我々が魍魎の宴でしか慰める事のできない美少女達と思う存分に話し!イチャついていた事を!!」
「フリードリヒ先輩…恨みはありま…ありまくりだぁぁぁ!俺の気になる子がフリードリヒ先輩の写真をパスケースに入れてるの見ちゃったんだよぉぉぉお!」
「くそっ!掲示板には“フリードリヒ様の水着姿が眩しすぎて他のモブが見えない!”だと!俺達はモブじゃねぇ!」
「イケメンだからと調子に乗っていると痛い目を見る!それを思い知らせるんだ!」
「おのれ雌犬どもめ…俺のフリードリヒきゅんを…許せん!!」
「いざゆかん!打倒、ノア・フリードリヒ!者共!逝くぞぉぉぉぉぉ!」
「「「「「おおおおおおおおおおっ!」」」」」
ノアと同じブロックの学生達が打倒ノアを掲げ大声を上げる中…
全部聞こえてしまっているが…こんなに恨まれていたのか…
普通に過ごしているつもりだったが…普通ではなかったのか?
しかしいくら恨まれていようともやる事は変わらない。
俺にも譲れない事がある。
皆には悪いが…油断せずに挑ませてもらう。
他ブロックがそれぞれ代表者を決めていく中、ノアのブロックの予選が開始される。
「いくぞ皆!まず狙うはノア・フリードリヒのみ!」
「「「「「おおおおおおおおおおおおっ!」」」」」
そんな気合の入る生徒達とは反対側にノアは立っていた。
目を瞑り両手を胸の前で組みながら始まるのを待っている。
「ふぉっふぉっ、ここのブロックは元気があってよいのぉ。では…はじめぇ!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!ノア・フリードリヒぃぃぃぃ!かくごぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
川神鉄心の開始合図と共に男達が叫びながら一人の男に向かい全速力で向かっていく。
ノアは目を開き前を見据える。
前方には物凄い勢いで自分に向かってくる男達。
後方には海。
横に避けようとしても逃げ場を無くすように広がっている。
「逃げ場はなし…横に避けて落とすことも出来ないか…受け切るしかないな…」
避けることができないと覚悟を決め真正面から受ける覚悟を決める。
はぁぁぁっと息を吐き出し、向かってくる男達に突撃する。
「覚悟!ノア・フリードリヒぃぃぃぃぃっ!」
正面の男がノアに襲いかかろうとするが突撃の勢いそのままに正面の男を場外へと吹き飛ばし男はそのまま海へと落下した。
ノアに向かっていた男達の足は止まり吹き飛ばされた男の行方を顔を振り向かせ追っていた。
「よそ見してていいのかい?」
そのままノアの右横にいる男を拳を当て吹き飛ばす。
拳を当てられた男はそのまま後方へ数十人を巻き込んで海へ落下していった。
「くっ!やはり一筋縄ではいかないか!囲め!まだ数はこちらの方が有利だ!」
男が声を張り上げそれを聞いた男たちがノアを囲い込む。
「いくら数がいようとも…ふっ!」
囲っている一人の男を吹き飛ばし、更に横にいる男を吹き飛ばす。
「一人ずつ、確実に落とせばいいだけだ!はあっ!」
一人また一人と次々に海へと投げ出されていく。
こうして気づけばノアは各個撃破を繰り返しとうとう最後の一人を残すまでとなった。
「さあ、君でラストだ」
「くそぉぉぉぉっ!こんなはずではっ!」
「君達が私にどんな恨みを持っていても構わない…しかしここで負ける訳にはいかないのでね…終わりだ!」
ノアの放った拳が最後の一人に突き刺さる。
「ちっくしょぉぉぉぉおおおお!」
雄叫びをあげながら最後の一人が海へ落ちていった。
『Hブロック勝者が決まりました。決勝進出はノア・フリードリヒ!』
『さすがノア様ですね。まったく危なげなく終わらせてしまいましたね』
『これで各ブロックの予選が全て終了しました。引き続き決勝へと移りたいと思います』
『それでは各ブロックの代表を紹介しましょう』
『まずはAブロック代表、2-F源忠勝選手 ツンデレ代表と言われる源選手、面倒見の良い兄貴肌な男。腕前もある選手です』
「変な紹介すんじゃねぇよ!」
『続いてBブロック代表、2-S九鬼英雄様 我ら九鬼従者部隊の主である英雄様が見事決勝へと進出されております』
「この優勝を一子殿に捧げる!」
『Cブロック代表、2-F直江大和選手 頭脳派の彼がどのようにして決勝まで残ったのか不思議ですが頭脳派の直江選手が何処までやれるか注目ですね』
「とりあえず黒歴史を晒される事は無くなったけど…優勝狙ってみようかな?」
『Dブロック代表、2-F島津岳人選手 パワーなら校内でもトップクラス。期待挙げられた筋肉で優勝をもぎ取る事ができるでしょうか』
「むんっ!優勝して注目されて俺様の筋肉アピールで女を堕とすぜ!」
『Eブロック代表、2-F風間翔一選手 川神学園の風来坊。スピードなら誰にも負けないと豪語する彼はそのスピードを活かし優勝を狙います』
「風のように優勝を掻っ攫ってやるぜ!」
『Fブロック代表、2-S井上凖選手 ロリコンパワーで優勝を狙っています』
「うおぉぉぉぉぉぉ!紋サマぁぁぁぁぁぁぁっ!」
『Gブロック代表、2-S那須与一選手 本来は弓を使って戦うスタイルですが素手で何処までやれるのか注目しましょう』
「こんな大勢の前で弓を使う訳にはいかねぇな。何処で組織の奴が見ているか判んねぇからな」
『Hブロック代表、3-Sノア・フリードリヒ選手 川神百代とも互角と言われるその武力は今回の優勝候補筆頭でしょう』
「皆には悪いが本気で優勝を狙わせてもらう!」
『各選手、それぞれ配置に付きました。解説のクラウディオ様、注目のポイントは?』
『やはりフリードリヒ様をどう対処するかがポイントになるでしょう』
『私もそのように思います。選手達はどのように考えどう動くのか、間もなく試合開始となります』
「モモちゃんは誰が優勝すると思う?私は与一くんに頑張ってもらいたいけどクラスメイトとしてはフリードリヒ君を応援かな」
「圧倒的にノアだろうな。ただファミリーの誰かには頑張ってもらいたいが実力的に厳しいだろうな」
「ところがどっこい、私は大和君を応援しちゃうよん」
「私だって大和やキャップを応援するさ」
「実は大和君には一時的に強くなれるツボを教えてあるのだよ」
「へぇ、そんなツボあるんだね?」
「ま、あくまで一時的になんだけどねん」
「それ絶対に何か反動あるだろ?」
「お、さすがモモちゃん分かってらっしゃる。そのツボを押しちゃうと一週間は筋肉痛に悩まされちゃうんだよね」
「そんなことだろうと思ったよ。簡単に強くなれるツボなんて怪しすぎるだろ」
「まぁね。でも鍛えればこのぐらい強くなれるって、お試し用のツボだからね」
「ま、そのツボを押したとしてもノアには敵わないだろうな」
「そういえばその大和君は何で出場したんだろ?どう考えても不向きだよね?」
「決勝まで行かなかったら大和の黒歴史を暴露するって言ったからな」
「うっわ…モモちゃんえげつない…でもちょっと興味あるかも」
「まぁ方法はどうあれヤクソク通り決勝に行ったから暴露はしないがな」
「与一ぃぃぃっ!がんばれぇぇー!」
「主の応援してる姿はカワイイなぁ…ぷはぁ!」
「弁慶!弁慶も一緒に与一を応援しよう!」
「えー…与一の応援かぁ…私の分まで義経が応援してくれたらいいよ」
「そ、そこは一緒に応援してくれるでいいんじゃないか?」
「んー、私はノアの応援しなくちゃいけないからね」
「何でフリードリヒ先輩を応援するんだ?」
「私が応援してもらったからね。ま、私の応援がなくても優勝するだろうけどね」
「むぅ、それでも義経は与一を応援するぞ!せっかく与一が参加してくれたんだ!」
「ま、アイツは今まで何も出てなかったからね。何かの競技に出なかったらお仕置きって言ったらね」
「そ、それなら与一は約束を果たしたからお仕置きされないな!義経は安心したぞ」
「精々ノアの格好いい姿を拝ませて貰うための生贄になってくれればいいさ」
「最近弁慶はフリードリヒ先輩の事ばかりだな」
「まーね。私のお気に入りだからね」
「べ、弁慶はフリードリヒ先輩をどう思ってるんだ?その…年上は好みではないのだろう?」
「んー、そこらへんは秘密さ」
「ええぇぇ!」
「ほらほら、競技始まっちゃうよ?与一の応援しなくていいの?」
「上手く誤魔化された気がするが今は与一を応援しよう!よいちぃぃぃ!がんばれぇぇぇぇ!」
「さてさて、ノアはどう立ち回るのかな。じっくりと見せてもらうよ」
競技開始前、直江大和はノアを除く選手全員を集めていた。
「どうした大和?開始前に集まるなんて」
「開始前にすまない。集まってもらったのは率直に言えばここにいる全員で同盟を組みたいと思ってるんだ」
「ほう?ノア・フリードリヒを倒す為の同盟…そういうことだな?直江大和」
「九鬼の言う通りだ。はっきり言って一人でノア先輩と戦っても勝ち目はない」
「同感だな。モモ先輩とやりあえる人に一人で挑んでも負けは見えてるぜ」
「ハゲの言うとおりだな。王たる我でもアヤツに一人で勝てるとは思えん!」
「俺様も賛成だぜ。男のタイマン!といきてぇが勝てる気がしねぇよ」
「それで直江、何か作戦はあるのか?」
「正直何もないよ。障害物も何もない広いだけの場所じゃ作戦も立てようがないよ。だからとにかくお互いの邪魔をしないようにってぐらいかな」
「FとSでいきなり連携取れってのも難しいしな」
「那須与一もそれでいいか?」
「群れるのは好ましくないが…そうも言ってられないか…一つ俺からの忠告だ。奴は姉御の一撃を喰らっても平気で立ち上がるほどタフな奴だ。耐久力も相当だ」
「まじかよ!?マルギッテを吹き飛ばした弁慶の一撃受けても平気とかバケモンかよ」
「姉さんとやりあえてる時点でかなりのバケモンだよ。と言うわけで、ノア先輩を倒すまでは同盟でよろしく!」
「ふははははっ!我が先陣を切ってやろう!王である我に続くのだな!」
「英雄のフォローはこっちでやっとくから、後は任せたぜ?」
それぞれがスタート位置に戻る中、風間翔一だけが残っていた。
「んで、大和。本当は何か策あるんじゃねぇの?」
「本当にないよ。まぁ策というか悪あがき程度にやれる事はあるって感じだよ」
「そっか!んじゃ俺も位置に戻るからよ!」
風間翔一も大和の元から遠ざかっていく。
「まだ可能性はある…ここで結果を出せば!」
一人何かに燃える大和であった。