真剣でクリスの兄に恋しなさい!   作:トラックオジサン

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26話

弁慶と恋人になった翌日

学園に登校し教室に入ると彦一がすでに登校していた。

相変わらず早いなと思いつつ声をかける。

 

「おはよう彦一相変わらず早いね」

「ノアか、おはよう。普段通りの時間だ」

 

彦一には告げておくか。

幸いにも教室に人は少ない。

少し小声で話せば聞こえないだろう。

何よりSクラスに所属している人達だ。

きっと人の恋愛より自分の事を優先するだろう

 

「少し話があるんだが構わないかい?」

「どうした?」

「昨日の事なんだが恋人が出来た」

「ほう、それはめでたいな。何故私に?」

「親友である彦一には伝えておこうと思ってね」

「なるほど、それは光栄な事だ。恋人は…」

「彦一が想像する人物で正解さ」

「ノアはいつの間に私の考えが判るようになったのかね?」

「散々俺の姿を観察していた彦一に判らないとは言わせないぞ?」

「ではここは素直におめでとうと言っておこう。おめでとう。君と彼女に幸あらんことを願うよ」

「言霊使いにお祝いの言葉を頂くとは幸福だね」

 

「おはよう二人共」

「清楚くんか、おはよう」

「葉桜君おはよう」

「相変わらず仲良しだね。何の話してたの?」

「ノアに恋人が出来たと言う話をしていた所だ」

「へぇぇ、そうなんだ。……えぇぇぇぇぇぇっ!?」

「どうした清楚くん?急に大声をあげて」

「そんな風に声を上げて驚く葉桜君もまた新鮮だな」

「ブレないねぇ…彦一は」

「ご、ごめんね!いきなりだったからビックリしたゃったよ」

「そんなに意外かい?」

「ううん。相手はべ…」

「清楚くん、それ以上はいけない」

「あ、うん。おめでとう。うん、お似合いのお二人だね」

「そうかい?ありがとう」

「何で私に教えてくれなかったんだろ…」

「昨日恋人になったばかりで帰りに色々とあったからね。報告出来なかったのだろうね」

「もしかして門の所に人が沢山いたのって…」

「俺だね」

「ほう?実に面白そうな話だな」

「話してもいいのだが…そろそろHRの時間だな」

 

教室の扉が開き担任が入ってくるとHRが始まった。

 

昼休み前に弁慶からメールが届いた。

 

【昼休み 屋上】

 

いつも通りの簡潔なメールに了解と返答しておいた。

 

昼休みになり屋上へ来るとそこには源氏組が勢揃いしていた。

 

「あれ?フリードリヒ先輩もここで昼食ですか?」

「ああ、弁慶に呼ばれたのだが義経くん達も一緒だったんだね」

「自分も弁慶に聞きたい事があったのですがフリードリヒ先輩が来てくれたので丁度良かったです」

「ちょうど良かった?」

「ノア来たんだね。こっちこっち」

 

ベンチに座り弁当を広げている弁慶が自分の横を示す。

弁慶の横にすわり弁当を広げる。

 

「相変わらず美味そうだねぇ」

「料理は見た目も大事だからね。不味そうに見えたら食べる気無くすだろ?」

「確かにね。何か食べたいなぁ」

「何が食べたいんだ?」

「んー…どれも美味そうなんだけど…この唐揚げかな。川神水に合いそうな気がする」

「なら俺にその玉子焼きを貰えるかい?交換にしよう」

「えー…ノアは私が色々と育たなくてもいいの?」

「おかずが一品無くなるのはさすがにね…それに弁慶は十分に育ってると思うけど?」

「セクハラだよ」

「言い出したのは弁慶だよね?」

「あ、ちゃんと授業聞いてたんだよ。偉い?」

「学年3位だったかな?今更だが少し厳しかったんじゃないか?」

「んー…でもさ、それぐらいにしないと川神水飲めなそうじゃん」

「それもそうか…上位2人は硬いんだろう?」

「その二人はさすがに勝てそうにないからね。だから3位なんだよ」

「そっか、頑張ってるな」

 

頭を少しこちらに傾けてくるので弁慶の頭を軽く撫でると目を閉じ気持ちよさそうにしている。

 

ふと義経くんや与一くんから声が上がらないのは弁当を食べているからだと思ったが二人共、口を大きく開け目を見開きこちらを見ている。

開いた口が塞がらないというのはこの事かな?

 

「義経はビックリだ…与一…」

「ああ…というか姉御との距離が近すぎる…まさか…」

 

何をそんなにビックリしているのだろうか?

与一くんは何かを察したようだ。

 

「フリードリヒ先輩、弁慶は他の人に髪の毛を触らせる事なんてありえないんだ」

「そうなのかい?」

「ああ、水上体育祭でもそうだったし、前に膝枕している姿も見てしまった。その…間違ってたら申し訳ないのだが…二人は…」

「二人は…?」

「ふ、二人は…その…」

「ほら、頑張って義経」

 

言葉に詰まる義経くんを励まし応援する弁慶

何だか微笑ましいな。

 

「こ、こここ、こここい…」

「鯉?」

「違う!恋人なのだろうか!?」

 

言い切った。

やっと出た義経くんの言葉に俺は答えずに弁慶を見ると無言で頷いた。

 

「うん。ノアとは昨日から正式に付き合い出したんだよ」

 

弁慶から放たれた言葉に驚きを隠せていないのは義経くんではなく与一くんだった。

コイツまじかよ!

そんな視線をこちらに送りながら驚いている。

 

「や、やはりそうなのか!義経は前から気になってしょうがなかったんだ」

「そうなのかい?さっき弁慶が言ったように恋人になったのは昨日からなんだが…そんなに前からそう見えていたのかい?」

「それはもう!噂になってるぐらいでしたから」

「そんな噂あったのかい?」

「うん、私も聞いたのはつい最近なんだけどね」

「こいつらまじかよ…あんだけ噂になってて知らねぇのかよ…」

 

まったくそんな話を知らなかったな…

 

「だが義経はこれで安心した。フリードリヒ先輩なら弁慶を任せられる」

「勿論そのつもりではあるけど持ち上げすぎないでくれよ?」

「ノアなら大丈夫だって」

「いや、弁慶?俺達の事を言われてるんだぞ?」

 

噂話に関してはまぁ問題ないだろうな。

実際に俺と弁慶は付き合い始めた訳だし。

ただ終始与一くんのこちらを見る目が気になるところではあったが…

 

そんな与一くんから放課後に話があると言われ再び屋上に訪れる事になった。

 

「すまない。遅くなってしまったかな?」

「いや、そんなことはない」

「それで話というのは?」

「お前さんは本当に姉御と恋人になったのか?」

「昼間にも言ったが本当だよ」

「そうか…お前は冥府の道を行く者だったのか…」

 

ちょっと何を言ってるのか判らない。

 

「一応忠告しておこう。姉御は…俺にキャメルクラッチをかけてくるような人間だぞ…」

 

ガタガタと震えだす与一くん

不憫だなぁ…

 

「本当に姉御と付き合っていくのか?」

「そうだね。その気持ちは変わらないよ」

「すげぇな…アンタ男だよ…確かに外見はいいかもしれない…だが武蔵坊弁慶だ!好きになる奴が…ましてや付き合う奴が現れるなんて…俺には青天の霹靂なんだ」

 

やっぱり何を言ってるのか判らない。

 

「俺から見たら何で姉御なんだって気持ちだ。あれを女と思った事はねぇ!男だっていたことがない!アンタならもっと他に女が寄ってくるだろ!」

「いや、言い過ぎじゃない?」

「さっきも言ったが…平気でキャメルクラッチをかけてくるんだぞ!?」

「かけられるような事してるからじゃない?」

「り、理不尽にかけられる事だってあるんだ!」

「そうなのかい?」

「アンタはそれでもいいのか!?」

「いや、キャメルクラッチを掛けられたことはないからね?与一くんは俺の事を心配してくれているようだけど俺は弁慶と付き合っていくよ」

「…そうか、それなら俺からは何も言うことはない…」

「ほら、与一くんは弁慶と一緒に育ってきたから姉弟みたいなもんだからそう見えるんだと思うけどね。俺から見れば弁慶は魅力的な女性だよ」

「……アンタは組織の人間だと思って警戒していたが違うんだな…姉御と付き合える人間が組織の人間であるはずがない。今まですまなかった」

 

理由は判らないが頭を下げられた。

理由を聞いてもきっと俺には理解できないだろうと思い特に聞くことはしない。

 

「アンタの事は尊敬の意味も込めて…兄貴と呼ばせてくれないか?そして…弁慶に俺を弄るのを止めてくれる様に説得してくれ…」

「与一くんが悪ければ止めない、弁慶が理不尽だったら俺のできる範囲で止めるでいいかい?」

「恩に着るぜ兄貴」

 

弟が出来てしまった。

 

少し与一くんと話しすぎてしまいだらけ部に行くのが遅くなってしまったな。

 

「失礼するよ」

 

ドアを開けるといつものように宇佐美先生と大和くんが将棋をしつつ、弁慶がちびちびと川神水を飲んでいる。

 

「おう」

「ノア先輩遅かったですね?」

「ちょっと話し込んでしまってね。今お茶を入れよう」

「すまんねぇ、ここにいるとフリードリヒのお茶が美味くてな」

「構いませんよ」

 

湯を沸かし茶を4人分準備しそれぞれの近くに置くと壁際に寄りかかり本を読み始める。

すると弁慶はいつも通りに俺の膝に頭を乗せる。

空いた手で頭を撫でる。

いつも通りの光景だ。

 

「何か弁慶はそのポジションで落ち着いてるよね」

「オジサンもすっかり見慣れちまったよ」

「ノアの膝は特別だからねぇ、空いてる方を貸してやってもいいぞ?」

「俺の了承を得てからにしてくれ…あ、大和くんに宇佐美先生、聞いてほしいことがある」

「ん?」

「なんですか?」

 

一瞬弁慶の方を見ると

 

「言うの?」

 

と口パクしてくるので軽く頷くと

 

「判った」

 

と再び口パクして体を起こし俺の隣に座り直した。

 

「昨日の事なんだが、弁慶と交際することになったがこれまでと変わらない対応で頼みたい」

「よろしく〜」

 

弁慶も返事をすると俺の腕に絡みつき頭を肩に置く。

 

「あー、やっぱそうなったのね」

「お、おめでとうございます!」

「ありがとう」

「これまでと変わらないのはいいんだが…お前らここでイチャつかないでくれよ?気まずくなるからよ」

「一応場は弁えているつもりだが?」

「ノア先輩…本人に自覚がなくても周りがそういう目で見ちゃうんですよ」

「そういうものか…善処しよう」

「いいなぁ…俺も小島先生と付き合いてぇ…フリードリヒ、何かアドバイスくれ」

「前に清潔にしてみてはと言いませんでしたか?」

「俺が実現できそうな事で頼むわ」

「趣味を合わせるとかは?」

「いーんじゃない?この先生は話す事は上手いからね」

「褒められてるんだか貶されてるんだか…」

「大和くん、小島先生の趣味は?」

「そこら辺までは把握してないですよ」

「宇佐美先生?」

「知ってたらとっくに話てるよな」

「じゃあこの話は大和くんが小島先生から趣味の話を聞き出せたらと言う事で…」

「あれ?いつの間にそんな指令が!?」

 

頑張れ宇佐美先生…いつか報われるはずだ

 

「そういえば掲示板に書いてあった事は本当だったんですね」

 

掲示板?学園からの連絡が書いてあるやつの事かな?

 

「学園の裏掲示板ってやつだよ。知らないの?」

「ああ、確か携帯で見れるんでしたっけ?話は聞いた事あるが見た事はないね」

「ま、学生同士の1つの交流場だと思ってりゃいいさ」

「そこにノア先輩と弁慶が付き合い始めたらしいって書かれてたんですよね。その手の話は色々と出てますけど今回は本人の口から言ってたって書いてありますね」

 

となるとあの教室で彦一と会話してたのを聞かれていたのか…結局普通に話してはいたが…

 

「俺は弁慶とは一言も言ってないんだけどね」

「お前等ものすげぇ噂になってたからそのせいだろフリードリヒが誰かと付き合うなら弁慶しかいないって皆思ってる訳だ」

「ふむ…今更だが何故俺と弁慶が恋人になった事にここまでの反応を示されるのだろうか…」

「ノア先輩も弁慶もインパクト残してますからね。人は噂話が好きなんですよ」

 

そんなものなのか

 

「あ、そういやお前等また今度仕事の手伝い頼むわ」

「またバーですか?」

「いや、違う仕事だけどよ。うちは万年従業員不足なんだわ」

「俺は構わないですよ。日本で仕事するのは貴重な経験ですからね」

「私もノアがやるなら構わないよ」

「ここで断るのもあれなので俺もいいですよ」

「ほんっと、助かるぜ。詳細決まったら教えるから宜しくな」

「むしろ弁慶がすんなりと了承した事にビックリしたよ」

「大和は私を何だと思ってるのさ。ノアが行くのに私が行かない訳ないだろ?」

「しっかりと見せ付けようとするんじゃねぇよ…はぁ、小島先生とイチャイチャしてぇなぁ…」

 

その後もまったりとした時間を過ごし

弁慶、大和くんと共に帰ることになった。

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