真剣でクリスの兄に恋しなさい!   作:トラックオジサン

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27話

本日は学園が休みの日で弁慶と恋人同士になってから初めての休日だ。

せっかくなので弁慶に出掛けようと提案すると快く了承してくれた。

普段ラフな格好しかしないのだけど今日ばかりは自分なりにオシャレというものをしてみた。

と言っても基本的に私服は似たりよったりな物ばかりなので代わり映えしたと自分では思えなかった。

もっと昔から自分の見栄えに気を付けていれば良かったなと後悔したが今更な話だ。

 

待ち合わせ場所は川神駅前で時間より10分前に到着した。

弁慶はもう到着しているのかな?と辺りを見回すと男に声を掛けられている弁慶を発見。

明らかに面倒くさそうにしている。

明らかに知り合いという雰囲気ではないな。

 

「だからさぁ、そんな彼氏待ってる必要ないって!俺が楽しませちゃうから!」

「はぁ…しつこいなぁ…いいからサッサとどっか行ってくれないか?」

「じゃあこうしよう!その彼氏が俺よりブサイクだったら俺と遊ぼうよ!君ほどカワイイ人がブサイクと遊ぶなんて勿体ないよ!」

 

この言葉にイラっとしてしまった弁慶はつい男の言葉に反論してしまう。

 

「しつこい時点で話終わってんだけどねぇ…そもそも私の彼氏がブサイクな訳ないだろ?失礼な奴だな」

「やっと会話してくれたね!もっと会話してくれれば君を楽しませることだって簡単に出来ちゃうのさ!」

 

何を言っても無駄だと思いため息を付きながら明後日の方向を向くと愛しの待ち人がこちらに歩いてくるのが見えた弁慶は立ち上がりノアの元へと歩きだした。

何故か弁慶に話し掛けていた男も一緒になって歩き出した。

 

「すまない。待たせてしまったかな?」

「遅かったじゃないか!って言いたいけど見事に10分前なんだよね」

 

二人が合流し話しをすると周りの人達が二人に釘付けとなった。

ウェーブ掛かった黒髪にモデル顔負けのプロポーションに高身長でカワイイ系の顔

相手の男は外国人で金髪のイケメン、こちらもモデル顔負けのプロポーションに高身長

周りからこれでもかと川神学園内で高評価される二人が外で揃ってしまえば自然と人々の視線を集めてしまうのは仕方の無い事だった。

 

少し遅れて弁慶に声を掛けていた男が先程声をかけた極上の女性が楽しそうな顔をしているのを見つけその相手を見ると…

 

「やだぁ…イケメン…あれは負けるわ…」

 

特に何かを語る事なくその場を後にしてしまった。

 

「さっきの彼は知り合いではないのかい?」

「そんな訳ないさ。ただのナンパしてきた見知らぬ人だよ」

「俺の彼女はナンパされるほどの人なのだね」

「そうさ、自慢していいんだよ」

「今後は大いに自慢させてもらうさ、とりあえず目的の場所へ行こうか」

 

弁慶がノアの腕を取り自分の腕を絡ませ手を繋ぐ。

二人は電車で目的地の場所まで移動するのだが

道中もやたらと目を引いてしまうが二人共慣れてしまったのかまったく気にせずに目的地に向かう。

 

「ここが七浜にある遊園地という所か」

「へぇ…存在は知ってたけどこんな風になってるんだね」

 

やってきたのは七浜にある遊園地。

近くには七浜中華街がありデートスポットとしては有名な場所である。

 

「ノアはこういう所に来たことはあるの?」

「家族で行ったことあるが小さい時だったからね。弁慶は?」

「ずっと島だったからね。初めてだよ」

「それなら今日は楽しまないとね」

「そうだね。ノアは何乗りたい?」

「特にこれと言っては…弁慶の乗りたい物に付き合わせてもらうよ」

「こういう時は男がエスコートするもんじゃないの?」

「それはそうなんだが…昨日の夜から楽しみで調べ物を怠ってしまってね」

「冗談だよ。そんなに楽しみだったの?」

「好きな人とデートするのだから楽しみにもなるものさ」

「…私も楽しみだったさ。それじゃ乗り物一通り乗って楽しもうじゃないか」

「ああ、そうしよう」

 

互いに若干照れくさそうにしながら最初の乗り物へと向かうノアと弁慶のカップルは何処か落ち着いており周囲から見ると大人のカップルに見えてしまう。

 

ジェットコースター、お化け屋敷、メリーゴーランドなど一通り楽しんでいるとあっという間に正午となってしまった。

 

「あれ?もうお昼だよ」

「楽しいと時間が過ぎるのが早いと聞いていたが本当のようだね」

「じゃあそろそろお昼にしようか」

「そうだね。このお昼の時間も楽しみにしていたからね」

「そんなに楽しみにされても困っちゃうよ」

「愛しい女性からの手作りを楽しみにするなというのが無理な話だよ。あそこのベンチに座ろうか」

 

少し先にあるベンチに二人並んで座る。

 

「じゃあ…これが私の作った弁当だよ」

 

作った弁当を膝の上に置き蓋を開ける。

 

「見事なまでのツマミ尽くしだね」

「そりゃそうさ、私の料理だからね。こんな女の子でガッカリした?」

「何故だい?」

「ノアの作る料理と比べちゃうとさ…」

「そんな事は関係ないよ。弁慶が俺の為に料理してくれたことが嬉しいんだよ。学園にはこれを食べたい生徒が沢山いるだろうしね。それを独占出来るなんて俺は幸せ者だよ」

「ふふっ、言い過ぎじゃない?」

「実際ラブレターを沢山貰っていたじゃないか」

 

弁慶の下駄箱にはいつも何かしらの手紙が入っている。

挑戦状もそうだが圧倒的にラブレターが多く入っている。

ノアという恋人が出来たと噂になった今も勢いは止まらなかった。

 

「手紙でってのはイマイチ気持ちが伝わらないんだねぇ。伝わったとしてもノアがいるからなびかないけどね」

「ありがたい言葉だね。さ、弁当を食べよう。せっかく弁慶が俺の為に作ってきてくれたんだからね」

「ノアって意外とヤキモチとかしちゃうタイプなの?」

「かもしれないね。なんせ父さんの血が入っているからね。どれからいただこうかな…」

 

まずは一口と食べる物を物色していると弁慶の箸が動きおかずを掴んでノアの顔の前まで差し出した。

 

「まずはこれかな、一番の自信作だよ」

「このまま食べろってことかな?それじゃ遠慮なく」

 

ここで初々しい人ならば食べるのに躊躇しそうな物ではあるがノアは迷わず弁慶の差し出したおかずを口に運んだ。

 

「…うん。味付けが丁度いいね。川神水にピッタリだ」

「そりゃあ、それに合わせて作ってるからね。それと率直な感想でお願いしたいかな」

「無粋な言い方だったね。美味しいよ。このまま食べさせてくれるのかな?」

「ふふ、じゃあ次は…」

 

昼食をベンチで楽しんでいる姿は眼を見張るものだった。

仲睦まじく彼女が彼氏にあーんと食べさせる姿は見ている方も恥ずかしくなる姿だったが二人が美男美女である為か恥ずかしさはなくついつい目を奪われてしまっている。

 

「うん。全部美味しかったよ。ご馳走さま」

「お粗末様です」

「是非これからも俺の為に作ってもらいたいもんだね」

「私ので良ければいくらだって作ってあげるさ」

「なら次も楽しみにしているよ」

 

昼食も終わり午後も乗り物を乗り回していく。

途中、ノアと弁慶は雑誌の取材を受ける事になった。

女子中高生向けのファッション雑誌でその中にあるカップル特集に載せたいという物であった。

全国各地のカップルを毎月何組か紹介している物である。

快く雑誌の取材を引き受けるノアと弁慶は次々に繰り出される記者の質問に淡々と答えていった。

途中、弁慶が話題の武士道プランのクローンであると知ると記者の目つきが鋭くなったように感じてしまう。

弁慶への質問が終わると次はノアの番になる。

噂の武蔵坊弁慶を落とした男は何者なのか。

次々と出てくると記者の質問に余すことなく答えていくノア。

普通の人ならば歯が浮きすぎて言えないようなセリフ、弁慶への想い、これらを恥ずかしげもなく語るノア。

それを聞き弁慶は少し顔を赤くし恥ずかしそうにしている。

記者の質問が終わると次に何枚か写真を撮ってもらう。

普通のカップルであれば隣同士に並んだ姿を1枚撮らせてもらえればそれで終わりのはずだった。

ポーズを指定され何枚も写真を撮られるノアと弁慶。

ノアは勿論、弁慶もこの手の雑誌を読まない為、何枚も写真を撮られる事に多少の疑問は持ち合わせているがこれが普通なのだろうと思い、次々に写真に収められていく。

次々に写真を撮られていく二人を見る記者は“確実にこの号は売れる”と思っていたが事実、この二人が載る雑誌が発売されると女子中高生達の口コミで二人のことが広がると雑誌が創刊されて以来の部数を発行したという…

 

撮影も終わりノアと弁慶が開放された時にはかなりの時間が経過してしまった。

 

「思ったより時間が取られてしまったね」

「取材なんて気軽に受けるもんじゃなかったかもね…」

「貴重な経験ではあっただろう?時間的に次が最後の乗り物だね」

「最後と言ったらあれじゃない?」

 

弁慶が指差す方向には観覧車が回っていた。

 

「ごゆっくりお楽しみください!」

 

係員に案内され観覧車の一つに入る。

対面式座る設計になっているがノアが片方に座ると弁慶がその横に座ると弁慶は直ぐにノアの肩に頭を乗せる。

ノアは弁慶の体の後ろから手を回し頭を軽く撫でる。

 

「はぁぁぁ…やっぱノアに撫でられるのは落ち着くなぁ。これがないと駄目な体になってしまったよ」

「それは申し訳ない事をしたかな?」

「そうだね。責任を取って毎日撫でて貰わないといけないなぁ」

「それは素敵な提案だね。弁慶の頭を撫でるのは俺としても日課になってしまっているからね」

「おやおや?これはプロポーズを受けてしまっているのかな?」

「弁慶から先にプロポーズしてきたじゃないか」

「そうだったかな?そういうのは男の口から聞きたいもんじゃないか」

「…真面目に聞きたいが弁慶はそれでいいのかい?」

「私はノアじゃなきゃ駄目だよ。ノアは嫌なの?」

「嫌だったら弁慶と恋人になるなんてことないよ。一生の問題だからね」

「それなら何も気にしなくていいさ」

「そうか…」

 

もう少しで観覧車の頂点に差し掛かるといったところでお互いに無言で見つめ合う。

互いの顔が近づき、弁慶の両腕がノアの首に回され…唇が重なる。

 

「ん……」

 

前回よりも長くお互いに離れることなく唇を重なり合わせる。

 

観覧車がゆっくりと降りていき地上に付く前に二人は離れ観覧車から降りる。

ノアが先に降り弁慶に手を差し出すと弁慶はその手を掴みゆっくりと観覧車から降りる。

 

「いい時間だね。中華街で夕食にしようか」

「うん。川神水に合う中華はあるのかなぁ」

 

何も言わずともノアの腕を取り手を繋ぎながら七浜中華街を目指す。

 

ノアが予約した中華料理屋で夕食をたっぷりと堪能し店を後にした。

 

「中華料理も中々美味しかったね」

「ああ、今度何かしら作ってみようと思ったよ」

「いいねぇ、味見は私がしてあげるよ」

「下手な物は作れなくなってしまったな…」

「ノアなら初めてでも大丈夫さ。私が保障しよう」

「頑張って作るとしますか…さて、弁慶を送らせて貰うとしようか」

「あれ?そのお土産届けないの?」

 

ノアの片手には袋が握られている。

クリスの土産は勿論だがクリスが世話になっている島津寮の寮母、大和達への土産も入っている。

 

「いや、行くには行くんだが遅くなってしまうだろ?」

「少しぐらい大丈夫さ。私も一緒に行くよ」

「いいのかい?弁慶と長く一緒にいられるのは歓迎するが…」

「私もノアと少しでも一緒に居たいからね。それにクリスは将来義妹になるかもしれないじゃん?」

「確かに可能性はあるけど…ま、俺がしっかりと送り届ければ問題ないか」

「そうそう、最後までしっかりとエスコートしておくれ、私の彼氏さん」

「最後の送りまでしっかりやらせてもらうよ。俺の彼女さん」

 

島津寮へ向け手を繋ぎ歩き出した。

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