真剣でクリスの兄に恋しなさい!   作:トラックオジサン

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次で終わるはず…


31話

カードが再分配され再びサイコロが振られる。

 

2巡目最初の戦いは

大和 vs 板垣辰子

こちらのカードは1で相手は2

相手は流さずに勝負することを決定。

 

「大和くん大丈夫なのかい?」

「早めに1を無くしたかったのでここが一番かなと…」

「彼女と知り合いみたいだけどやれるの?」

「実力は分かんないけど、回避に専念すれば何とかいけるんじゃない?」

「楽観的な気もするが軍師が決めた事だ…応援しているよ」

「大丈夫だって!大和ならやってくれるさ!」

 

両者が中央に揃うと開始の合図がされる。

 

相手の方からはやる気というのが感じられないがその意図はなんだろうか?

 

戦いが始まると大和が一瞬の余所見をした隙にタックルを受けてしまう。

 

「まずいな」

「これは開始早々決まっちゃったかな?」

 

そのまま攻撃に移るのかと思われたが板垣辰子は大和を抱きしめたまま目をつぶってしまった。

 

「弁慶、俺の目はおかしくなったのかもしれないよ。彼女は大和くんを抱きしめたまま寝てるように見えるんだが…」

「安心しなよノア、それは正常ってことだから」

「…そうか…」

 

そのまま60秒が経過し引き分けとなる。

戦いを終えた大和が戻ってくるとやりきった顔をしている。

 

「ふぅ…厳しい戦いだったぜ」

「そうか…どう見ても寝ているようにしか見えなかったが気の所為だったんだね?」

「ええ!そりゃもう厳しい戦いでした」

「そりゃ無理があるよ直江大和…」

「デスヨネー」

「まぁ負けなかっただけ良しとしよう…次の戦いに備えよう」

 

茶番もそこそこに続いての対戦が決定される。

 

続いての試合は宇佐美と咲となる。

カードはこちらが2で相手が1

宇佐美の疲労を考えてここは流しを選択する大和

 

更に次の試合が開始される前に文太が大和に向かい宣言する。

 

「君のカードの傾向を完璧に把握できたよ。次から君に主導権は一切渡さないからね」

 

大胆な発言に唖然とする一同

 

「どう思う?」

「さすがにハッタリじゃない?」

「混乱させたいだけかもしれないので気にせずにいきましょう」

 

続いての戦いは宇佐美と鍋島となった

選択したカードは5

文太が出したカードが6

当然相手は鍋島が戦うとなれば流しはしない。

 

「おいおいまじかよ…勘弁してくれ…」

「まさか宣言通りにやられるなんて…」

「さすがに偶然だろうと言いたいが…今は戦いに集中すべきだね」

「先生、骨は拾ってあげるからね」

 

両者中央に出揃うと鍋島から提案があがる。

 

「さすがに俺相手に勝てってのは酷な話だからよぉ、俺が相手の場合だけ引き分けでもそっちの勝ちでいいぜ」

「ほぉ…随分と自信があるようだな…」

「これは完全に舐められちゃってるね」

「でもこれで少しは勝ち星を拾いやすくなったかな?」

「それはどうかな…あれだけ言えるという事はそれに裏付けられた実力があるという事だ。楽観的に捉えないほうがいい」

「だね。上から目線なのは気に食わないけど…それだけの強さを持ってるからね」

 

「んじゃはじめるぞー!ファイッ!」

 

「どうだい先生?やりやすくなっただろ?」

「あや、私はギックリとやっちゃったんで逃げるのは厳しいですよ」

「そうかい。なら一撃で仕留めてやるよ」

「やっぱそうなっちゃいますよね…」

 

宇佐美は鍋島の豪快な拳を腹に受け吹き飛ばされてしまう。

 

「そこまで!勝者鍋島!」

 

律儀にというべきだろうか

鍋島が吹き飛ばした方向はノア達がいる方向だった。

直ぐにノア達は宇佐美に駆け寄る。

 

「ヒゲ先生!」

「……大丈夫。気を失ってるだけだよ」

「やはり鍋島相手は厳しいね…」

 

ここまで9戦が終わり1勝2敗で川神書店チームが負けている。

加えて宇佐美巨人が戦えなくなった事によりサイコロで宇佐美が出てしまった場合カードで勝たないと不戦敗となってしまう。

 

「少しずつ追い詰められてるね」

「これは少し危ういか?」

「なぁに弱気になってんすか!これからっすよ!」

 

弱気になってしまった面々に持ち前の明るさで喝を入れる翔一。

それを聞いたノアは苦い顔を止め、笑顔を見せる。

 

「大丈夫と言っておきながら不安になってしまったようだね。すまない。助かったよ翔一くん」

「いえいえ!こんぐらいどうってことないっすよ!」

 

「よーし、さっさと次行くぞ!」

 

次に出た目は大和と鍋島

ここは確実に流す為に大和は7を出し文太は3を出す。

 

「大和くんは確実に流したいから7を使うしかない。そうなるともう勝負が流れるのは確定だよね。流れてしまうなら現在の手札の中から最低数で構わない。実にミレーニアムだね」

 

さすがにそれはそうだろうと思うノアだが少しばかり違和感を覚える。

その違和感が何なのかはまだ判っていない。

 

続いての試合は宇佐美と辰子の組み合わせとなる。

ここで大和は3を選択する。

大和の手札に7はなく相手は7は持っている。

主導権が絶対に相手になるのであればここで最低数を切り捨て相手の7を使わせるのが狙いではあったが…

 

「大和君はここで僕に7を使わせたい。そちらの人は気絶しているからね。こちらが主導権を持てば負けてしまう。だから6が出てくると思わせて7を使わせたい。と思うのが普通だよね。だから僕はこれを出させてもらうよ」

 

両者のカードが開かれると文太の出したカードは4

大和より1つ上の数字で主導権はあちらに移り不戦敗となってしまう。

1勝3敗と徐々に後が無くなってきてしまうノア達。

 

「さすがにこれ以上はまずいね」

 

弁慶の言葉に先程明るくなった空気は淀んでしまう中ノアは1人考え込んでいた。

 

……何かおかしいな。

先程もそうだがこれで4回連続で出されたカードの誤差が1しか違っていないな…

偶然そうなる可能性もあるだろうが…

次の一回で偶然かどうか判断するか。

 

サイコロが振られ出目は翔一と竜兵が選択される。

カードは大和が4で文太が5となり主導権は文太となり勝負は流される。

今回のカードの数値を見てノアは確信する。

 

確実にこちらのカードを見られているな。

トランプは九鬼が用意した物だからトランプに仕掛けは無い。

そうなると可能性があるのはあちらの持っている携帯電話だ。

…橋の上から誰かに大和くんのカードを確認してもらっている?

いや、橋の上にも九鬼従者部隊の連中が何人もいる。

双眼鏡みたいな物でこちらを覗いていれば直ぐにチェックが入るはずだ。

肉眼ではカードは見えても細かい数字までは見えないはずだ。

そうなるとどうやって…

 

「ノア先輩」

 

ノアが思考していると大和が声を掛けてきた。

その顔は何かを得たような顔をしているように見える。

 

「その顔は何か掴めたようだね?」

「ええ、相手の数字の出し方が不自然すぎて…さすがに気づきますよ。毎回後出しなのも明らかに不自然ですし」

「後はどのように見ているかということだが…」

「確証はありませんけど、何となく目星は付いてますよ」

「そうか。なら俺から言う事は何もないよ。後はサイコロの出目次第ではあるが…こちらには勝利の女神が付いているから何も問題ないさ。後は任せたよ」

「ええ、期待してて下さい」

 

大和とノアが会話しているとサイコロが振られ出目は翔一と鍋島。

カードはこちらが6で向こうが7

当然鍋島の出目なので流す事なく勝負となる。

 

「ごめんキャップ、流してあげられなかった…」

「なぁに!気にすんなよ!なにか掴んだんだろ?そういう顔してるぜ?」

「ああ!」

「ならあとは任せたぜ!」

 

両者中央に揃い開始の合図が出されると翔一は果敢に鍋島へと攻めていくが鍋島の一撃を顔に受け気絶してしまう。

 

「わりぃな。中途半端にやると立ち上がりそうだったからよ」

 

これで状況は1勝4敗と川神書店チームは後が無くなってしまった。

しかし川神書店チームの残る3人は誰もが悲壮な顔をしていない。

 

再び両者がカードを使い切った為再度カードが配られ、サイコロが振られる。

サイコロの出目は弁慶と辰子。

それを見た大和と文太がカードを選ぶ。

 

「よーし、それぞれカードをオープンしな」

 

ステイシーに促されカードを表にする。

カードの数字は大和が3で文太が2

主導権は大和側へと移る。

 

「あ、あれ?おかしいな…読み違えたかな…ははっ…」

 

大和が仕掛けた罠に見事に文太が引っ掛かり主導権を渡した事に少しばかり戸惑いを見せる。

 

「さぁってと、やっと出番だね。待ちくたびれちゃったよ」

 

首をポキポキと鳴らしながら弁慶が準備を始める。

 

「相手の実力は未知数だから油断しないようにね」

「まあ何とかなるでしょ。ちゃちゃっと行ってくるよ」

「弁慶、頑張って!」

 

歩きながら後ろに手を軽く振り中央へ向かう。

 

「やっと弁慶の出番かよ!ロックな戦い期待してるぜ!はじめ!」

 

開始と同時弁慶が錫紵を辰子に向け放つと辰子はそれを難なく掴み取る。

 

「むっ!」

「力比べなら負けないぞぉ!」

 

抜けたような返事をする辰子ではあるが弁慶に負けず劣らず力で対抗してくる。

 

「やるじゃないか。それなら…ほいっと」

 

弁慶は錫杖を手放すと辰子のバランスが崩れる。

その隙きに後ろへと回り込み技を仕掛ける。

 

「源氏式、バックドロップ!」

 

弁慶の技が見事に決まるが辰子も負けじと直ぐに立ち上がり反撃に移る。

 

「今度はこっちの番だよぉ!えぇい!」

 

辰子が打撃を弁慶に向けて放つ。

 

「くっ!意外とやる!けど!」

 

何発か弁慶が喰らってしまうがお返しとばかりにミドルキックで牽制を入れ、一瞬の隙きをつき再び後ろに回り込み、チョークスリーパーが決まりそのまま絞め落とすかに思われた。

 

「うぅぅぅぅ…うわぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

突如辰子から咆哮が上がり弁慶が吹き飛ばされる。

 

「な、なんだっ!」

 

慌てて弁慶は錫杖を取り構える。

辰子の闘気が膨れ上がり警戒態勢を取る弁慶。

周りの人間も辰子の変貌に驚きを隠せない。

 

「ふぁ…zzz…」

 

一瞬にして膨れ上がった闘気は一瞬にして無くなりその場で眠りこけてしまう。

 

「そこまで、勝者弁慶」

 

呆気に取られる面々ではあるが勝者は弁慶となった。

 

「いやー、あれはヤバそうだったね」

「やはり川神は面白いね。あんな逸材がいるとはね。何にせよ勝ちは勝ちだ。よくやったね」

 

弁慶の頭を撫でるノア

 

「へっへー、もっと褒めてくれていいんだよ」

「見慣れたとはいえ本当にこの人達は…」

「まずかったかい?」

「ノア先輩がそうやってれば弁慶はやってくれそうな気がするので今は何も言いませんよ」

 

少し穏やかな空気になる中、次の勝負が決まる。

続いては宇佐美と鍋島が選択されるがお互いに1を出して勝負が流れる。

 

「馬鹿な!7じゃないだと!?」

「あれ?ほんとうだー!よく考えれば相手の考えてる事分かっちゃいますね」

「くっ!たまたまだ!次はないよ!」

 

「よーし!少し盛り上がってきたところで次行くぞー!ダイスロール!」

 

続いての勝負は…弁慶と鍋島が選択される。

 

「今なら相手の選択カードも判るし流していいよね?」

「いんや、ここは受けようじゃないか。おーい、私達はこのカードを出すよ」

 

弁慶が手に持ち上に掲げたカードは2

 

「相手は学長の元弟子の人だよ?」

「あぁ、厳しい戦いになるだろうけど今なら何とかなりそうなんだよね」

「先輩からも何とか言ってくださいよ」

「弁慶がやれると言ってるなら俺からは何も言えないよ」

「はぁ…本当にいいんだな?」

「ああ、問題ないよ」

 

弁慶の宣言に大和は何色を示したが弁慶、更にはノアの言葉により宣言したカードをそのまま審判へと渡す。

 

「おお!いいねぇ!熱いじゃねぇか!流さなくていいぜ?受けてやるよ」

 

鍋島は弁慶の行動を称賛し勝負を受ける為カードの3を出す。

 

「弁慶ぐらい実力があれば引き分けでもいいんだ。弁慶頼んだよ」

「なぁに言ってるのさ大和」

「えっ?」

「別に勝ってしまって構わないんだろう?」

 

弁慶の大胆な言葉を聞いたノアは…

 

「くっく…あっはっはっはっ!はぁ…そうだな、倒してしまっても構わないよ」

「ノアを大笑いさせただけで今の発言には価値アリだね」

 

弁慶はノアに近づきノアの体を抱きしめる。

ノアもそれに応えるように弁慶の体を抱きしめる。

 

「ちょっと頑張ってくるからノア成分補給させてね」

「ああ、勝利を信じているよ」

「よしっ!行ってくるよ!」

 

弁慶がノアから離れ中央へと向かう。

 

その頃橋の上ではノアと弁慶の包容姿に大いに盛り上がっていた。

 

「見て!ノア様と弁慶が!」

「あぁぁぁぁっ!羨ましい…私もノア様に抱き締められたい…」

「ノア先輩と弁慶はやっぱ華があるよなぁ…」

「今年の川神学園ベストカップルはあの二人で決まりだよな」

 

そんな声がちらほらと橋の上から聞こえる中…

 

「あーーーっ!弁慶がノア兄様に抱きついたァァァっ!」

「うるさいよクリス…弁慶と付き合ってるんだから別に普通でしょ」

「そうなんだが!うー!ノア兄様は自分の兄様なのに!!」

「あー…クリスもあのお父さんに似てるのね…しょーもない…」

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