真剣でクリスの兄に恋しなさい!   作:トラックオジサン

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遅くなりました!
36話目です!

祝お気に入り1000件突破しました!
つたない文章力ではありますがいつも読んでいただきありがとうございます!


36話

「ここが九州か」

 

 

 

ノアは九州の地に降り立っていた。

 

 

 

「んー!飛行機は楽チンでいいねぇ、あっという間に到着しちゃったよ」

 

 

 

隣には弁慶がいる。

 

以前、鍋島から誘われていた九州への旅行にやってきた二人。

 

川神学園は夏休みに入った事もあり、早速お言葉に甘える事にした。

 

学生にとって忌むべき存在である夏休みの課題も勿論出されていたが優等生であるノアは3日間ほどで終わらせている。

 

それに触発される形で弁慶も課題をすべて終わらせている。

 

二人は何も気にすることなく残りの夏休みを楽しく過ごせる事になった。

 

まず訪れたのは名所となっている滝のある場所だった。

 

この場所は鍋島に行ってみろと言われた場所であり滝の裏側に入れるという珍しい事で有名な場所であった。

 

 

 

「滝の裏側に入るのは初めてだよ」

 

「私もだよ。こんな機会滅多にないだろうね」

 

「ああ、誘ってくれた鍋島さんには感謝しないといけないね」

 

 

 

二人はいつも通り腕を組み手を繋ぎ歩いている。

 

川神学園では日常化してしまい特に珍しくもない光景であるが九州で初めて二人を目にした人達は、イケメン、美少女、高身長な二人に目を奪われていた。

 

ノアと弁慶は物珍しさで見られる視線に慣れてきたのか特に気にした様子も無く、周りから見ればイチャイチャしながら滝を見ている様に見えた。

 

 

 

「お前達、ノア・フリードリヒと武蔵坊弁慶だな」

 

 

 

学生服を着た集団がノアと弁慶を囲い込んだ。

 

 

 

「そうですが…君達は?」

 

「忘れたとは言わせないぞ!我等は天神館の生徒だ!」

 

「鍋島さんが学長やってる所だね。んで何の用?」

 

 

 

弁慶は見るからに不機嫌ですという声色で彼等の目的を訪ねた。

 

 

 

「鍋島館長が負けたと聞かされ…我々は信じられなくてな」

 

「つまり?」

 

「こういうことだ!天 神 合 体 !」

 

 

 

二人の目の前で天神館の生徒達が次々と重なっていき、一つの生物のようになった。

 

交流戦で見せた合体の少人数verといったところである。

 

 

 

「敵討ちというやつかな」

 

「はぁ…せっかくノアと旅行中なのに…」

 

「鍋島館長を思っている彼等の気持ちだろうが…サッサと片付けさせてもらおう」

 

 

 

ノアが軽く構えると弁慶も構え、二人同時に拳を真っ直ぐ放った。

 

 

 

「っとすまねぇ、ちょっと待ってくれ」

 

 

 

何処からともなく鍋島が現れノアと弁慶の拳をパシッと止めると直ぐに学生たちの方を振り向く。

 

 

 

「ったく、よさねぇか!お前達!」

 

 

 

鍋島の拳から放たれた一撃は合体している学生達に当たり合体が壊された。

 

 

 

「気持ちは嬉しいが止めとけ」

 

「しかし!館長が負けたことが信じられません!」

 

「いや、俺はあの二人にやられてんのは事実だ。俺もまだまだってこったな」

 

「館長…!」

 

「なぁに、お前等と一緒に俺も鍛え直すってだけの話だ」

 

 

 

天神館の館長と生徒達による熱いやりとりに弁慶は冷ややかな視線を向け、ノアは一件落着かとため息を吐く。

 

 

 

「俺が誘ったのにわりぃな」

 

「気にしてないですよ。随分と慕われているようですね」

 

「おお、嬉しい限りだぜ。詫びといっちゃあなんだが移動と案内をうちでやらせてもらうぜ」

 

「そんなにしてもらっていいんですか?」

 

「構わねぇよ」

 

 

 

向こうがやってくれるのであればとノアは鍋島の提案を受け入れる事にした。

 

案内役として十勇士の鉢屋が合流し九州の名所を案内してくれる事になった。

 

 

 

「君は忍者なんだよね?」

 

「ああ、その通りだ軍神よ」

 

「君が良ければドイツでうちの隊員に忍術教えてあげる事はできるかい?」

 

「依頼であれば喜んで引き受けよう」

 

「ならお願いしよう。我流で覚えた隊員がいるので見てやって欲しい、見積もりは出来るかい?」

 

「やっておこう。これが個人の連絡先になる、見積もりは出来次第送ろう」

 

「ああ、頼むよ」

 

 

 

これはある意味ノアにとってはありがたい出会いであった。

 

猟犬部隊の隊員で忍術を使うのはリザである。

 

リザはほとんど独学で忍術を勉強、訓練し忍術もどきを使えるようになったわけであるが、本家の本元の忍者に比べればまだまだに思えた。

 

女王蜂に依頼を頼もうとしたが基本的に九鬼の従者、専属従者であれば忙しくてこちらの依頼を受けることが難しかった。

 

今回の出会いは突発であるがかなりの収穫であった。

 

 

 

一通り案内が終わると泊まる予定の宿まで送ってもらい、そこからは弁慶と二人での時間となった。

 

 

 

「鍋島さんには感謝しなければいけないね」

 

「こっちに来てから絡まれた訳だし、これぐらいはしてもらわないとね」

 

 

 

二人が泊まる宿は九州の中で最高級な宿であった。

 

宿周辺を軽く散策し、戻る頃には部屋で夕食を食べる。

 

弁慶も料理に満足したのか川神水の飲む量がいつもより多いように見えた。

 

 

 

すっかりと酔いの回った弁慶は部屋で休み、ノアは室内に付いている内風呂の温泉に浸かることにした。

 

 

 

ノアはこんなに贅沢な時間を過ごしいいのだろうかと思っていた。

 

軍に従事してからは休みなく任務をこなしていた。

 

年末年始になれば家族と過ごしていたがここまでゆったりとした休みは本当にいつ以来だろうと考えていると扉が開く音がしたので振り返るとそこにはタオルで体を隠した弁慶が立っていた。

 

ゆっくりとした足取りでノアへ近づき湯船へ入る。

 

 

 

「あー…気持ちいいねぇ…」

 

「ああ、日本の温泉がここまで気持ちいいとは思わなかったよ」

 

「ドイツにも温泉ってなかったっけ?」

 

「あるにはあるが基本的に水着着用だよ」

 

「なるほどね、私はやっぱり温泉なら何も付けないほうが楽チンかな」

 

「だからと言って俺が入ってる所に何もつけずに入ってくるのかい?」

 

「もうノアには見られちゃってるからね」

 

「それもそうか…」

 

 

 

湯船に入った弁慶はノアの隣に座り頭を肩に預けてくる。

 

すると弁慶は何処からともなく川神水を取り出し飲み始めた。

 

 

 

「ぷはぁ…やっぱ露天風呂にはこれだよ」

 

「そうなのかい?」

 

「日本の風物詩だよ…んぐっ…ぷはぁっ!」

 

「あまり飲みすぎないように…と言っても寝る場所も近いから問題はないか」

 

 

 

弁慶はハイペースで川神水を飲み続け案の定酔っ払ってしまった。

 

弁慶を湯船から出し何とか介抱すると布団に寝かせる。

 

寝かし終えたノアは夜風に当たる為、立ち上がろうとするが弁慶が手を掴んで離さないまま寝てしまったので立ち上がる事が出来なかった。

 

仕方なく夜風に当たる事を諦め自分の布団に戻る為弁慶に声を掛けると…

 

 

 

「一緒の布団で寝ればいいじゃん…」

 

 

 

一瞬どうしようか迷ったノアだったが直ぐに迷いを消し去り弁慶の布団に潜り込む。

 

布団に潜り込むと直ぐに弁慶が抱きついてきた。

 

そのまま目が合うと唇を重ねる。

 

 

 

「このままだと眠れないから腕枕してよ」

 

 

 

抱きついてきたのは弁慶からだろと思いながらノアは腕を伸ばすと弁慶の頭が腕に置かれそのまま眠りについた。

 

 

 

翌朝目が覚めるとすぐに体を起こそうとするも弁慶が腕枕で寝ている為、体を起こす事が出来なかった。

 

横で気持ちよさそうに寝ている弁慶を見て笑みを浮かべる。

 

弁慶の髪を起こさない様にそっと撫でる。

 

すると弁慶の目がゆっくりと開いた。

 

 

 

「おはよう。起こしてしまったかな?」

 

「んー……大丈夫…もっと撫でて……直ぐに起きるから…」

 

 

 

言われた通りに髪を撫で続けているとゆっくりと体を起こし起き上がる弁慶。

 

あくびをしながら腕を上に伸ばしすと浴衣がはだけている為、色々と見えてしまっている。

 

弁慶の元々持っている色香と合わせてかなり艶っぽい姿である。

 

 

 

「朝から随分と色っぽいね」

 

「んー…?朝から欲情させちゃった?」

 

「そうだね、とても魅力的な姿に興奮しているよ」

 

「……する?」

 

 

 

ノアとて健全な男である。

 

朝から男の生理現象が発生していない訳もない。

 

 

 

「とても魅力的な提案だけど直ぐに朝食の時間になってしまうだろうから止めておくよ」

 

「そっか、ノアとイチャイチャしたかったから残念」

 

「また旅行する機会もあるだろうさ、その時には存分に弁慶のその姿を堪能させてもらうよ」

 

「今の発言を昔のノアに聞かせてあげたいね」

 

「そこまで変わったつもりはないんだけどなぁ…」

 

 

 

浴衣の乱れを直し運ばれてきた朝食を食べる。

 

朝から豪勢な朝食を美味しくいただき、帰り支度し宿を出る。

 

 

 

「今日は天神館に行くんだっけ?」

 

「鍋島さんに誘われてるからね。今回の旅行も招待してもらってるから断る訳にはいかないしね」

 

 

 

本日は天神館、館長の鍋島に誘われて彼の学園を訪問させてもらう予定である。

 

弁慶の言うとおり、休みの日に学校を見てどうするのだろうと考えるが、他の学園も見てみたいと思う気持ちもある。

 

旅館から出ると天神館までの車が用意されており、それに乗り込むと車は天神館に向けて走り出す。

 

 

 

田舎道を走っていると目の前に大きな建物が見えてくる。

 

その建物が天神館であった。

 

車が天神館の前で停まり扉が空けられたので外に出ると校門の前にいつもの白スーツにハマキをふかしながら鍋島館長が出迎える。

 

 

 

「わざわざわりぃな」

 

「招待してもらってる身ですから、問題ありませんよ」

 

「それで?鍋島さんは私達に何を見せたいのさ」

 

「まぁそう焦んなってとりあえずついてきてくれ」

 

 

 

鍋島館長に案内され天神館の中を進む。

 

校舎の中を案内される途中多くの生徒達とすれ違う。

 

すれ違う度に礼儀正しく鍋島館長に挨拶している。

 

 

 

「天神館は夏休みではないのですか?」

 

「ありがてぇことに自主的に登校してくれてるんだわ。部活は勿論だが夏期講習にも参加してくれて学長冥利に尽きるもんだぜ」

 

 

 

そのまま校舎の中を進んでいくと学長室へと案内される。

 

 

 

「適当に座って楽にしてくれ」

 

 

 

言われるがまま近くにあったソファーへと腰掛けるノアと弁慶

 

 

 

「それで、鍋島さんは学園を自慢する為に俺と弁慶を呼んだのですか?」

 

「それも目的ではあるな。どうだい俺の学校と生徒達は?」

 

「全員を見ている訳ではありませんが皆やる気に満ち溢れていましたね」

 

「だろ?交流戦には負けはしたが西だって負けちゃいねぇと思ってんだよ。そんな人材を埋もらせるのはもったいねぇだろ?だからこの天神館を作ったんだよ」

 

「へぇー鍋島さんそこまでやってたんだね」

 

 

 

そこで一度一呼吸おき、鍋島館長がノアと弁慶を正面から見据える。

 

 

 

「でだ、今回二人に来てもらったの短期交換留学についてなんだわ」

 

「交換留学?」

 

「一ヶ月程度の期間でうちとそっちで生徒の交換って事だな、もう正式に決定されてる事だ、夏休み明けには伝えられるんじゃねぇか?」

 

 

 

何故それを自分達に話したのだろうかと疑問に思う弁慶だが直ぐにノアがそれに応えた。

 

 

 

「なるほど…俺と弁慶にその交換留学生になって欲しい…という所かな?」

 

「察しが良くて助かるぜ」

 

「何でそれが私達なの?川神学園だったらいくらでも候補いるでしょ?」

 

 

 

もっともな話であった。

 

川神学園の生徒達であれば沢山の候補がいるはずである。

 

 

 

「お前達は俺を倒したって事でうちのとこじゃ有名になっちまったからよ、来てくれたら面白そうだと思ってな」

 

 

 

鍋島の狙いは自分を倒した二人が交換留学で来れば生徒達を煽り切磋琢磨する機会を増やす事にあった。

 

何となくではあるがそんな鍋島の狙いをノアは感じ取っていた。

 

 

 

「まだ明確に答えは出せませんね」

 

「というと?」

 

「俺だけならまだしも弁慶を留学させるには九鬼を通さないと面倒くさくなりますよ」

 

「あー、確かにそうだな、俺とした事がスッカリ忘れてたぜ、弁慶が来てくれるってなりゃ俺が直々に説得するぜ?」

 

 

 

「ノアが行くならって思うけど鍋島さん絡みで挑まれそうでダルいなぁ」

 

 

 

なんとも弁慶らしい理由にノアが微笑んだ。

 

最近は一緒に居る事が多いのですっかり忘れてしまっていたが弁慶は本来こういう性格だったという事を。

 

 

 

「お前さんは自分で何処までやれるのか興味ねぇのか?」

 

「そうだね、今は主の義経や彼氏のノアと楽しくやれて川神水さえ飲めればそれでいいよ」

 

「そこは鍋島さんに諦めてもらうしかないね。弁慶は元々こういう性格なんですよ」

 

「元々弁慶の性格上そう簡単に動かねぇ事は判ってるさ、フリードリヒはどうなんだ?」

 

「俺としてはとても面白いと思うし短期だけならこちらに来てもいいと思ってますよ」

 

「話が早くて助かるぜ。3年の枠はこれでOKだな、となると2年の枠は弁慶がダメとなると募集で来た奴らにするか」

 

 

 

残念そうな感じは一切見せずに淡々と何かを決めていく鍋島

 

 

 

夏休みに入ってからは毎日会うことは叶わないが学園に居た時は毎日会っていたノアと一ヶ月離れるのは今の弁慶に耐える事は出来るのだろうか弁慶は考えていた。

 

 

 

「ねぇ、ノアは私が居なくて寂しくないの?」

 

「寂しいに決まってるよ」

 

「じゃあなんで留学OKにしちゃったの?」

 

「そうだね…ただ単純に面白そうだったからかな」

 

「それだけ?」

 

「日本にいる時間も限られてしまってるからね。色々な体験が出来るならしておきたいと思ってね。すまないね」

 

 

 

確かにノアは日本にいる時間が限られている。

 

川神学園も来年度になってしまえばノアは去ってしまう。

 

そんな当たり前の事を弁慶は忘れてしまっていた。

 

考えてることがある、とノアに言われていたがその考えは未だに教えてもらっていない。

 

それに一ヶ月も義経と離れていて大丈夫だろうかと心配もしている。

 

義経の元に残るのは与一だけとなってしまう。

 

いざとなった時に与一では義経をカバーする事は出来ないのではないかと考えていた。

 

葉桜清楚が残っているとはいえ、学年が違うのでそこまで頼る事が出来ない。

 

 

 

「弁慶は何を悩んでいるんだい?」

 

「私がこっちに来ちゃうと義経が大丈夫かなって思ってね」

 

「与一くんがいるじゃないか」

 

「だから心配なんだよねぇ…いっそ義経も一緒に留学させられない?」

 

「わりぃな、今回は各学年1人ずつだけなんだわ」

 

「あーそっかぁ…」

 

「弁慶が与一くんを頼りなく思っているようだけど俺はそんな事ないと思うよ。彼はやる時はやる男だよ」

 

「うーん…」

 

「個人的に弁慶が一緒に来てくれたら嬉しいけど、ある意味与一くんが弁慶のいない状態でどうなのかを確認してみるというのもいいんじゃないかな?」

 

「それでなんかあったらどうするのさ?」

 

「九鬼が居れば問題なんて起きないと思うけどね」

 

「うーん…でもなぁ…」

 

「期間まではまだあるようだしじっくり悩んでみるのもいいんじゃないかな」

 

「まぁそうだね、まだ時間あるし…鍋島さん、返事は保留でもいい?」

 

「おお!全然かまわねぇぜ!いい返事待ってるぜ!」

 

「ま、あんま期待せずに待っててくださいよっと」

 

 

 

それで話は終わり少し談笑した後は空港まで送ってもらい今回の九州旅行は終わりを迎えた。

 

 

 

「お土産いっぱい貰っちゃったね」

 

「鍋島さんには世話になりっぱなしだね。やはり留学を決めて正解だったかな」

 

「ノアと一緒に行きたいとは思うけど不安がありすぎだ…」

 

「決闘だったら代わりに引き受けるよ?倒したのは俺も弁慶も一緒だしね」

 

「そう?なら彼氏のかっくいーとこを見ながら川神水でも飲んでようかな」

 

「なら俺はそれ用のつまみを作っておこう、弁慶にカッコいい姿を見せないとね」

 

 

 

二人は楽しく談笑しながら九州を後にした。!




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