Lobotomy Corporationでは個人的にはAとCが好きです。勿論アンジェラさんやセフィラ達も好きです。アブノマ?一部がクソですが、基本的に好きです。
「ここが私達が使ってる研究室!さ、入って入って。」
一つの扉の前で立ち止まったカルメンはドアノブをひねり、中に入るように促す。それに従って二人は入室し、キョロキョロと部屋を見渡した。
「ふーん、やっぱり研究する場所って大体こんな感じなのね。ビルゲンワース…あとヨセフカの診療所以来かしら。」
「あそこよりもこっちの方が何倍も健全だと思うよ?瓶詰めにされた目玉もなければ診察台に拘束されて頭を暴かれてる患者も居ないし。」
「てことは、麻酔用のヤバいお薬とかも無いのかな。」
「何か物騒な単語が聞こえるなぁ?」
平然とした顔でおぞましい事を口に出す二人にカルメンも苦笑い気味である。その反応に不思議そうに首をかしげる二人だった。
「研究者ってそんなもんじゃないの?」
「違うわよ!?」
「僕らが関わって来た研究者の方達が基本そんなものだったので………あと、研究内容が若干似てるなと。」
「どんな人達なのよ………ちょっと待って、「研究内容が似てる」?」
「あ~…まぁ病に対する特効薬みたいな意味ではそうね。」
エノクとリサの呟いた言葉に反応したカルメンは、先程までの苦笑いが嘘のように目を輝かせて距離を詰め始めた。
「ホント!?ちょっと分かる範囲でいいから教えてくれないかな!?」
「ちょ、近い近い!」
「落ち着いてください。」
「あ、ごめんね、最近研究が行き詰まってて……ヒントになりそうな事は片っ端から調べてる最中なの。だからね、是非とも知りたいの!ね、ね、教えて?」
「ストップストップ!わかったから!」
「取り敢えず、研究内容を見せてくれませんか?それから判断したいので………。」
一回落ち着いたと思ったら次の瞬間に探求心が再燃したカルメンに思わずのけぞる二人だった。
「はい、これが今までの研究データを纏めた奴。」
「ありがとうございます。」
カルメンが興奮から戻って来てからしばらくして、研究室の休憩スペースのような場所の椅子に腰かけた二人に一つの紙の束が渡される。エノクがお礼を言いながら受け取り、そのまま表紙に目を通すと思考を巡らせ始める。リサも横から覗き込んでいる。
「……人間の無意識の中に感染する………精神病ですか。」
「そうね、病原菌による物とはまた違った、言ってみれば精神汚染とか洗脳とかの方が近いのかもね。簡単に言えば人の可能性を否定するように思い込んでるみたいな感じよ。」
「獣の病とは何か違うわね。精神に作用するのは同じだけど、肉体にまでは影響が無いもの。」
「……………んー、ここまでだと何とも言えません。まぁ軽い説明なら出来ますけど、聞きますか?」
「さっき言ってた獣の病って奴のこと?お願いするわ。」
カルメンがそう言うと、エノクは資料から目を離して上を向く。
「どれから話しましょうか……。」
「そもそも獣の病って何なのか聞きたいんだけど?」
「それもそうですね。獣の病は……まぁ何というか、血を介して起こる伝染病みたいな物です。ただ、その症状と発症する理由が特殊です。」
「物理的な物なの?」
「その病が流行った街で有名だったのが特殊な輸血液による「血の医療」なのよ。血の医療の効果自体はかなり万能なの。」
リサは顎に手を当て、思い出しながら話し続ける。
「ただその血の医療のせいでとある存在と繋がってしまったせいで精神が狂ってしまう……というより生物としての本能が出てくるの。最終的には到底人とは呼べないレベルの化物になっちゃう。」
「……その存在って?」
「異次元の存在……いわば神様みたいな物よ。私達は上位者って呼んでるけど。」
「流れこんでくる情報を処理しようにも理解しようとしたら脳がパンクします。そのせいで血の医療を受けていた住人とはまともに会話も出来ませんでしたし、何なら襲いかかって来ましたから。」
「確かに、人の精神に影響を与えるっていうのは同じだけど………。」
「まぁ呪いに近い物なのよ。だって原材料の一つがその上位者の子供なんだし。」
「……………。」
「どう?参考になった?」
「………うん、ありがとう。」
二人の話を聞いたカルメンは考え込みながら近くにあった白紙に文字を書き込んで行く。暫くその状態が続くが、ふとカルメンが頭を上げて二人に問いかける。
「ねぇ、その病って誰にでも起こりうる物なの?」
「えぇ、というか人間であれば条件次第で起こるわ。」
「ふむ………さっき言ってた症状を詳しくお願い出来る?」
「そうですね……発症した人間の本性を表出させ、そのまま人間として残っている理性を覆い尽くしながら本能のまま暴れ始める………といった感じですね。」
「普段から自分を抑制してる奴ほど反動が大きいってのもあったわね。」
「なるほどなるほど………。」
「そしてこれがその症状を擬似的に発症させられる丸薬です。」スッ
「なるほ…………へ?」
エノクの懐からナチュラルに取り出されたビー玉サイズの黒い球体……獣血の丸薬を見て呆然とするカルメン。
「恐らく貴女が求める物とは多少違うでしょうけど、サンプルとして使ってください。」
「あ、うんどうも………って、何でこんなのがあるの!?」
「医療協会……血の医療を確立した連中が作ってたからだけど?」
そのまま自然に渡されたため受け取ったカルメンは数秒固まった後、焦ったように問いかける。しかしリサは何事も無かったような調子で返答した。
「組織なんだから一枚岩じゃないわよ。血の医療だって、貴女みたいに人を治すためだけに動いた結果じゃないでしょうし。」
「まぁ、製作者は漏れなく全員狂うか死ぬかしてたんで憶測ですけどね。」
「はへ~………だとしたらなんで貴方達が持ってるのか気になるんだけど……。」
「知り合いにそういう道具を複製して売ってくれる子がいるのよ。」
その言葉が聞こえたのか、机の上に青白い渦が出来、そこから使者が一人頭を出した。
「?」ヒョコッ
「呼んでないよ。」ボソボソ
「ん?」
首をかしげる使者にエノクが小声で話しかけた時、丁度丸薬をしまったカルメンの視界が使者が真ん中に来るような所になる。
「……………………んー?」
「どうしたの?」
そのまま目を細めながら目の前を凝視するカルメンにリサが問いかける。
「いや、なんか………机の上に白い靄みたいなのが見えて……。」
「?」ブンブン
こちらを凝視する初対面の女性が気になったのか、使者も頭を激しく横に揺らす。どうやら自分が見えているか試しているらしい。
「まさか……貴女見えてるの!?」
「え?この白い靄の事?なんか一部激しく揺れ動いてるのは見えるけど。」
「本当ですか………まさかこちらで僕ら以外に使者くん達が見える方がいるとは………。」
エノクとリサは驚きで目を丸くしている。一方でカルメンは見えている靄の正体が今一掴めず首をかしげており、指先で靄を触ろうとしていた。
「えい。」
「!」サッ
カルメンが使者に対して指を突き立てようとする。しかし、その事に驚いた使者はカルメンの指に触れまいと体を横にずらす。結果的に、カルメンの指は素通りする事になった。
「……えい。」
「!」サッ
また避ける。
「えいえい。」
「!」シュババッ
すばしっこい動きで避ける。
「むぅ………実体が無いのかな?」
「避けてるだけよ。」
「完全に遊んでますね。」
「~♪」クネクネ
首をかしげるカルメンを前に、使者はクネクネと踊り出した。まるで何処かのマンガでわかるタイプの某運命に出てくる戦神が行った舞のようである。ガチャの排出率は変わらないだろうが楽しそうだ。煽ってるようにも見えるが、カルメンから見えていないので問題無いだろう。
「ん~……まぁ良いや。取り敢えず、ここの片付けもするかなぁ。」
「手伝う?」
「じゃあお願いできるかしら。機材は殆ど貸し出してもらった奴だから洗うだけで良いよ。もう危険な薬品は使って無いし。」
「了解。エノク、やりましょ。」
「うん。」
コンコン
リサとエノクが研究機材を掃除しているとと、研究室のドアからノックが鳴る。カルメンが「どうぞー。」と返事をするとそのままドアノブが捻られドアが開く。そして向こう側から手に持った資料を見ている黒髪の青年が入って来た。
「先輩、少し聞きたい事があるんだが。」
「どうしたのアイン?」
「あぁ、この部分の物質構造について…………。」
青年……アインは質問をしながら研究室内に入って来たが、資料から顔を上げ、エノクとリサを視界に捉えるとピタリと止まった。
「………………。」
「あ、どうもお邪魔してます。」
「同じく。」
「…………………………そうか。」
初対面の二人に軽く挨拶されたアインは暫く動かなかったが、何とか絞り出すように声を出す。動揺していないように見えるが、それ以上言葉が続く事はない。そこにカルメンから声がかかる。
「この子達は引っ越しの手伝いをしてくれてるフィクサーなの。私達の研究にも興味があるって言ってくれたのよ。」
「……そうなのか。」
「うん。あ、それで聞きたい事って?」
「この間貰った資料に不明瞭な部分があってな、そこを詳しく知りたかったんだか。」
「あぁ…そこはまだ研究が進んでないのよ。実験に必要な物が取り寄せられなくて……だから隣の11区に行こうと思って。」
「医療技術が他の区より発達してるからか?」
「うん、こっちから打診したら「講義をしてほしい」って返信が来たの。本腰入れてる研究とは別のやつパパッと終わらせた甲斐があったわ。」
カルメンは沢山の研究資料が入っている段ボールを抱えながらニコッと笑った。アインも少しだけ口角を上げて話を続ける。
「そうか、それじゃあ研究もより良い場所で出来るのか。講義をしながらだと大変だろうが、頑張ってくれ。」
「うん、
「…………………………?」
「?」
カルメンの言葉に首をかしげるアイン。カルメンもそれに合わせて笑顔のまま可愛らしく首をかしげた。
「ちょっと待て、何故俺も行く前提なんだ?」
「ダメだった?」
「……………いや、別にそこは良いんだが……俺はそちらに行く手続きはしてないぞ?」
「あ、そこは大丈夫。「私の助手として連れて行きたい」って言ったらOKもらったから。」
「せめて俺の意見を聞いてからにして貰えないか。」
「てへっ☆」
ジト目を向けてくるアインに対して舌を出してウィンクするカルメン。その様子を見てアインは諦めたのか、ため息をつくと仕方がなさそうな顔になる。
「………まぁいい、今度からは俺の意見を聞いてからにしてくれ。」
「ホント!?ありがとぉ~!!」
「中々の策士ね、あの人。」
「事前に逃げ場を無くしてから仕留める………狩人の素質有りそうだね。」
「………まぁ、あながち間違いでもないか。」
はい、皆大好きAことアインさんです。人によっては本名は「アイン」じゃないって人もいるでしょうが、この小説ではアインとして出していきます。まだ学生なのでカルメンの事は先輩呼びしてます。ただし先輩呼びするのはカルメンだけですし、普段喋るのもカルメン位です。
今更ですけど、ねじれと獣化って似てません?