「いいことだらけ」と言うけれど   作:ゲガント

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お待たせしました。続きです。
最近外で小説書くときに寒さで震えが止まりません。







それでは、どうぞ。


邂逅

「ん~!やっと解放されたぁ……。」

「僕らはまだ最下位のフィクサーだからね……功績的な意味でも実力的な意味でも当てはまらないから色々と面倒な事になっているんだと思うよ。」

 

13区のハナ協会支部から出てきたエノクとリサは少し疲れた表情で道を歩く。リサは大きく背伸びをし、ため息を吐きながら愚痴を溢し始める。

 

「全く……何が「信用出来ないから証拠を見せろ。」よ。そんなくっだらない事に時間割くぐらいなら武器の手入れしたいんだけど。」

「死体引っ張って来れば良かったんだろうけど、余りそう言うことしたくないからね。まだ生きてる敵なら別だけど。」

「最終的にほぼ向こうに手柄行ったし、どうせならもっと金せびっておけば良かったかしら。」

「話すだけ無駄だと思うよ。信用が必要になるけど今の僕らにはそれが無いからね。」

「はぁ~………面倒臭い。」

 

そう言ってとても苛立ってそうな顔をするリサにエノクは苦笑いを返す。

 

「まだ一個目の依頼だよ?まだまだこれから更に依頼をこなしてかないといけないから…ほら、頑張ろ?」

「むぅ………仕方ないわね。じゃあ代わりに私に構いなさい~。」

 

リサはエノクの腕に自分の腕を絡ませると、そのまま頭を擦り付け始める。機嫌の良いときの猫のように全身からかまってオーラを垂れ流すリサ。

 

「あはは……歩きにくいから後でね?」

「む~……………。」プクー

 

しかし、エノクはそれを優しく嗜めるとそのまま歩き続ける。自分の要望が通らなかった事が悔しいのか、リサは頬を膨らませた。

 

「とりあえず、ファルさんの所に戻ろう。行方不明者が出る理由が解明された以上、僕らの依頼は終わったわけだし、ここら辺にいても意味ないからね。」

「………はぁい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、いうわけで次の仕事下さい。」

「早すぎやしないかな………?」

 

ニコニコといつもの笑みを浮かべるエノクにたいして少しひきつった笑みを浮かべて返事をするファル。

 

「ごめん、依頼渡したの三日前だったよね?」

「そうですよ?」

「渡した依頼って行方不明者の捜査だったよね?」

「そうですよ?」

「もう終わらせたの?」

「そうですよ?」

「えぇ………。」

「なんか文句でもあんの?」

 

げんなりとしているファルに不機嫌そうにたずねるリサだった。ファルは謝りながら話を続ける。

 

「あぁ、気を悪くしたなら謝るよ……でも、報告書も見たけど本当に君達の強さはどうなってるんだい?」

「?何を言ってるんですか?」

「報告書には私達は原因を発見したとしか書かれて無い筈だけど?」

「………だってあの報告書全部は本当の事書いてないんだろうから。」

 

その言葉にエノクとリサは眉をひそめるが、ファルはそのまま自分の考えに没頭始める。

 

「君達が発見した……死体の集合体?は少なくとも報告書通りの並のフィクサーが倒せる強さじゃなかった筈………少なくとも、あの報告のあった場所周辺では太刀打ち出来る人は居ない………。」

「ちょっと待ちなさい………待てっつってんでしようが!」

「あ、ごめん、少し思考に浸ってて……それで、何かな?」

「何であんたがあの犬擬きの事あたかも知ってるような事言ってるのよ。」

 

リサの疑問にファルは何でもないかのように答えた。

 

「あぁそんな形だったんだね。少し前に人の死体を繋ぎ合わせた人形の似たような事案があって、その解決に駆り出された事があったんだよ。」

「……それが何故僕らの強さ云々に繋がるんですか?」

「その時に6級フィクサーが何人か殺されたからだよ。」

 

その言葉の後、ファルはエノクとリサを真っ直ぐと見据える。

 

「だから君達なんだ。あの地域で勝てる要素が無いなら、外から介入した君達しか出来る人はいないからね。」

「………前々から思ってましたけど貴方、何者ですか?」

 

言いきったファルにエノクは微笑んだまま疑いの目を向ける。リサに関しては怪しんでいる気配を隠そうともしていない。しかしファルは先ほどまでの情けないひきつった顔をすることはなく、静かにエノクへ返答した。

 

「ただの受付兼事務員だよ。」

「多分、外郭でも普通に生きていけるレベルですよね?」

「過大評価し過ぎだよ。僕はただの協会の職員なんだから。」

「嘘つき。」

「あはは………参ったなぁ。」

 

困ったように笑うファルにジト目を向けるだったが、不意にこちらに近づいてくる革靴の足音を捉える。足音の主は愉快そうな声色で話しかけてきた。

 

「はっはっは、なんだいファル、ボロだして子供相手にたじたじになっているのかい?」

「………イオリさん。」

「他人行儀はやめろと言ってるだろう?」

 

苦々しい表情をしているファルをよそに、イオリはこちらを見上げる二人に目線を移す。

 

「それで、そっちの二人は初めましてだね。」

「えぇ、そうですね。初めまして、エノクと申します。以後お見知りおきを。」

「リサよ。」

「見た目にしちゃしっかりと礼儀をわきまえているじゃないか。こっちも自己紹介しなきゃねぇ。」

 

クツクツと愉快そうに笑うイオリは機嫌良く話始める。

 

「私はイオリ。『紫の涙』って名前の方が有名かもしれんが、まぁよろしく頼むよ。」

「『紫の涙』………すいません、知らないです。」

「おや、そうかい。」

「都市の中に入ってからまだ1ヶ月も経ってないんだから当然でしょ。まだ理解してない所も多いのよ。」

「へぇ?」

 

リサの言葉に興味が引かれたのか、イオリはそのまま話題を深く掘り下げ始めた。

 

「素養からして上流階級から落ちてきた奴らの子供かと思ってたんだが………予想がはずれたね。知り合いに貴族でもいたのかい?」

「……そうですね、女王様ならいました。」

「おぉ、随分と愉快な交遊関係があるみたいだね。となると、外郭の更に別の場所からこっちに来たってところかい?」

「この都市の外側を外郭と言ってるならその通りかもね。あの街が実在してるのかは怪しい所だけど。」

「ふぅん?」

 

段々と興味が重なっていったイオリはニヤリと笑うとファルに対して告げた。

 

「ファル、次この子らに出す依頼は?」

「へ?……まだ決めてませんけど………まさかあんた。」

「あぁ、少しこの子達借りるよ?どの位の実力か、確かめて見たくなったんでね、私の依頼を手伝わせてみるよ。」

「待って下さい師匠!さすがにそれは………。」

「良いじゃないかファル。それとも、私の腕は信用出来ないかい?なんならまたあの時みたいに軽く地面とキスさせてやろうか?」

「うぐっ………それは勘弁願いたいですけど………。」

 

ファルが引き止めるために立ち上がるも忠告された本人であるイオリはどこ吹く風で、それどころか逆にファルを脅し始めた。するとエノクがおずおずと話に入って来る。

 

「僕らは別に構いませんよ。都市の事をもっと深く知れる良い機会なので。」

「ほらみろ、この子の方がよっぽど肝が座ってるじゃないか。」

「…………いいのかい、二人とも。」

 

苦々しい表情でエノクとリサに問いかけるファル。しかし二人はなんでもないような顔をして口を開く。

 

「むしろ、この人がどんな依頼受けてるのか気になります。」 

「あー…確か特色……だったっけ?そんな風に渾名された奴らってかなり強いんでしょ?戦い方とか見ても損は無いわ。」

「で、どうするんだい、ファル?」

「………あぁ、もう、分かりましたよ。」

 

深いため息をついたファルは一度別の部屋に向かった後、何かの資料らしき紙束を手に持って戻って来た。

 

「イオリさん宛に届いた依頼です。なんでも不可解な死に方をするフィクサーが絶えないとか………。」

「依頼主は?」

「遺跡天使事務所です。」

「これはまた珍しい事もあったもんだね。あそこは遺跡の化物相手にやられるほど生半可な連中じゃないはずだろう?」

「詳しい事は向こうで話すみたいですので…………お願いしますよ?」

「言われなくとも。」

 

ファルが差し出した資料を片手で受けとったイオリはそのままエノクとリサの方に顔を向ける。

 

「じゃあ行くよ。お前達の力を見るのにも丁度良い場所だ。」

「構いませんが………遺跡というのは?」

「見た方が早い、さっさとついてきな。」

 

そう言うと、イオリはそのままヒールを鳴らしながらさっさと出口へ向かい、エノクとリサもそれについていく。その途中、何かを思い出したかのように立ち止まったエノクはファルの方に振り向くと、軽く会釈をする。

 

「それでは、また。」

「……あぁ、そうだね。」

 

ファルが軽く微笑んだ所を確認したエノクはそのまま先に行っている二人の元へ走っていった。




はい、イオリさんと一緒に遺跡に行くことになりました。話の中に出てきた「遺跡天使事務所」はlibraryofruinaのMODの一つに出てくる事務所です。ストーリーなどはYouTubeで見られますよ。
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