「いいことだらけ」と言うけれど   作:ゲガント

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わっかりやすすぎるヒントもそこそこに、さっさと答え合わせです。





それでは、どうぞ。


憐れなる者

「それにしても……なんでここにこいつがいるのか不思議でならないんだけど。」

「そう?結構あの町にはうじゃうじゃいた気がするけど。」

「そんなわけ………あったわ。普通にいたわね。」

「…………ん~何となく変なのがいるのは分かるんだが、今一輪郭がパッとしないねぇ。」

「啓蒙が足りないのよ啓蒙が。というかギリ見えてるのね貴女。」

「伊達に平行世界を観測してないさ。理解したらヤバい物なら何度か見たことあるもんでね、ある程度そういう未知に対する耐性はついてるさね。」

 

三人は事務所から出て10歩程の所で振り返り、上を見上げていた。

 

「なんにせよ、あれがなんなのか教えてくれないかい?さっきの口振りからして知ってるんだろう?」

「まぁ隠しててもしょうがないし…………あれはアメンドーズ。ヤーナムで上位者と呼ばれる存在の内の一体で、私達が狩人になるかなり前、古狩人の連中が狩り尽くそうとした神の子供よ。」

「僕らも詳しい事はあまり分かりませんが、観測しにくいのはおそらく存在する次元が違うからでしょう。上位者は大体そんな物ですけど。」

「あぁ、だからここのフィクサーは認識出来なかったのか。」

「まだ居なくなった事を認識しているだけましですよ。恐らく遺跡で色々見て啓蒙が少し高まってたんですね。」

 

三人の目線の先、正しくはエノクとリサの認識の中には、遺跡天使事務所のビルの上の存在を捉えている。そこにいたのは巨大かつ極限まで痩せ細った灰色の人間だった。しかし、そのアーモンドのような形をした頭は人間とは程遠く、数えきれない位の目はギョロリと開いて、辺りを静かに観察していた。ビルを掴んでいる一対の腕以外に四本ほど腕がわさわさと動いている。

 

「何となくしか分からないが、なまじ人に近い分気味が悪いね。上位者ってのは大体あんなんなのかい?」

「そこら辺は常人には理解できない部分ってやつよ。別の上位者でエーブリエタースってのがいるんだけど………何て言うか、本人(?)よりも崇拝者共が気持ち悪かったわね。上位者と交信して興奮する変態だったから。」

「あぁ、聖歌隊…………いや、上位者に関わる奴らにまともな人なんて居なかったんじゃないかな?」

「それ言ったらあの町にいた奴ほとんど狂ってるのと同じよ?」

「「………………あ、その通りか。」」

「なに漫才やってんだい。」

 

惚けたように同時に呟く二人に呆れた声色で話しかけるイオリはそのまま話の続きを促した。

 

「で?どういった対処が適切なんだ?私はそれに従うよ。」

「あら?随分と素直ね。」

「あの化物はあんた達の方が経験豊富だろう?それに私ははっきり見えてる訳じゃあないんでね、あんましリスクのあることはしたくない。」

「ふぅん?まぁ、認識をどうにかするのは簡単よ。」パチンッ

 

そう言ってリサは指を鳴らす。次の瞬間、

 

 

 

 

 

「!!」

「へぇ?」

 

日が上っていた空が一瞬で満点の星空を臨む夜に変わり、荒れ果てていた周囲の地面は白く輝く花畑へと変貌した。そこは夢であった。オドンにいた者が悉く夢へと誘われるように、湖の先に瞳を授かり全てを隠す蜘蛛がいるように、夢の中では次元の壁など関係ないのである。この世界を展開したリサは勿論の事、その補助をしていたエノク、対象にしていたイオリとアメンドーズもその場所に立っていた。イオリは景色どころか場所まで変わっているという事実に目を見開きながら笑っている

 

「これはこれは………一体何をしたんだい?」

「簡単よ、夢の中に引きずり込んだの(・・・・・・・・・・・・)。」

「僕らもアメンドーズに何回もやられた方法ですからね。まぁ僕らも一応あちら側に近い存在ではありますから。」

「…………流石に世界を塗り替える業を持つ奴は初めて見るね。見た限り、周りの土地ごと持ってきたんだろう?」

「えぇ。でも貴女も移動なら出来るでしょう?」

「私は平行世界の行き来は出来るが、世界を構築する術なんざ持ち合わせてないよ。」

 

呆れたように笑うイオリはこちらを認識してじっと見つめてくるアメンドーズを見やる。

 

「おーおー、しっかりと見えるようになったね。さっき言ってた次元の壁を弄くったのかい?」

「正しくはアメンドーズをこちらの次元に引っ張って来たんですよ。さ、それじゃあ殺りましょうか。」

 

そう言ってエノクは虚空から一本の大剣を引っ張り出す。それは子供の体躯と比べると間違いなく大きいが、イオリが背負う物と比べると少々細身であった。その刀身の真ん中には細やかな細工が施されているが、使い込まれているためか本来あったであろう輝きは消え失せている。しかしその大剣からは底知れぬ何かを、誰かが"導き"と称した何かを感じ取ることが出来る気がする。エノクが大剣を肩に担ぐと、リサは意外そうな顔をして口を開いた。

 

「珍しいわねそれ使うなんて。」

「アメンドーズ相手には結構効くと思うからね。それに今全力でどれぐらいの出力を出せるか調べとかないと。」

「ふーん。」カチャッ!

 

エノクの言葉に納得したのか良く分からない感じで返すリサは右手に銃剣、左手には散弾銃を携えていた。そんなやり取りが行われていると、ずっとビルの上から動かなかったアメンドーズが飛び上がった。

 

 

ズドンッ!!

 

「        」シュルルルル

「………やっぱり髭がない、いや生えかけ?」

「恐らく成長途中なんだろうね。悪夢の個体とかトゥメルの個体よりも大きいから面倒な事になりそうだけど………まぁその時はその時だね。」

「気になる言い方だね。あのアメンドーズってのはそんなにいるのかい?」

「普通に建物に張り付いてたりしましたからね。隠し街とか視界に入るだけで何体か見える場所もありましたし、死体が山積みにされてた所もありました。あ、死体の一部ありますけど見ます?」

「それはあいつを殺してからのお楽しみにしておくよ。もうそろそろ向こうも動き出すみたいだしね。」

 

反対の手を虚空に突っ込んだエノクを止めるイオリは腰に差したサーベルを引き抜く。その顔には好戦的な笑みを浮かべられていた。

 

「神殺しか………ひっさびさに存分に暴れられそうだよ。」

「基本的には殴り付けて来るだけですけど、追い込まれたら僕らがさっき使った秘儀みたいなのを使うので気をつけて下さい。」

「あいよ。」

「           !!」

 

ドスンッ!!

 

痺れを切らしたのか、アメンドーズは一対の腕を伸ばし三人に向けて叩きつけた。ビジュアル的に肘と呼べる部分が2つあるアメンドーズの腕はかなりの長さを誇り、それに加え速さもあるため避けるのはかなり難しいだろう。しかし相対しているのは何度もアメンドーズを狩った狩人と、それと同等の実力を持つ猛者である。振り下ろされた腕を難なく避け、それぞれの武器を構え、アメンドーズへと向かって行った。

 

チャキッ

「そぉれ。」

 

ザシュッ!

 

イオリは通りすぎると同時に伸ばされたアメンドーズの腕をサーベルで切り刻む。その傷痕からは赤い血が吹き出した。

 

「なんだ、神といっても実体があればこんなもんかねぇ。」

「         !!」

「おっと、気に障ったかい?」

 

叫び声は聞き取れないが、明確にこちらに対しての敵意を感じ取ったイオリは続けざまに振るわれた別の腕による凪払いを跳躍して回避する。しかしアメンドーズの攻撃は止まることはなく、今度は着地を狙って握りつぶそうと手を伸ばしてきた。

 

「着地狩りとは中々頭が回るみたいだねぇ。ま、早々に殺られてはやんないよっ!」

 

ドゴッ!

 

イオリはその手が体に届く前に、背負っていた大剣でアメンドーズの手を叩き落とし、ルートをずらした。それにより、アメンドーズの手はイオリを捕らえる事なく隙を晒す。そんな無防備な相手を見逃す筈もなく、イオリはそのまま右手の大剣と左手のサーベルを振るって腕一本を再起不能に向かわせる。

 

「           !?」

「さぁて、次潰されたい腕はどれだい?」

 

今まで自分に敵う存在が居なかったのか、明らかに動揺が伺える動きをするアメンドーズにイオリは挑発するように大剣を向ける。

 

「あ、そうそう。」

 

しかし忘れてはいけない。この場には狩人がいるのだ。

 

「後方注意だよ?」

「シッ!!」ブオンッ!!

 

ザシュッ!!

 

「           !」

 

いつの間にか後ろに回り込んでいたエノクはその場で跳躍すると、大剣を両手で持ちそのまま背中を抉るように振り下ろし、切りつけた。不意打ちで攻撃を食らったアメンドーズは叫ぶようなうめき声を出した後、前方へ体勢を崩した。しかし只では済まさないと言わんばかりに背中にいるエノクに向けて腕の一本で殴り付けようとする。

 

「……少し浅かったかな、っと。」

 

当の本人はさも当然のように刀身を拳に突き刺し、その反動でアメンドーズに着地すると、そのまま雑に引き抜いた。その痛みで更に踞ってしまうアメンドーズだったが、そのまま真上に跳ぶことで背中に乗るエノクを振り落とし、イオリに向けて反撃しようとした。実践し、エノクを体から落とすのには成功したが、次の瞬間

 

パンッ!

 

「   !?」

「命中確認、意外と当たるわね。」

「銃剣かい?随分と古そうな代物だね。」

「レイテルパラッシュって言うんだけど……まぁ否定はしないわ。実際、都市の奴らが使ってるのと比べるとデザインがかなり違うし一部は木製だし。」

 

その頭に弾丸が叩き込まれる。弾丸が飛んできた方を見ると、いつの間にかイオリの側にいたリサが銃剣……レイテルパラッシュを変形させ、銃口をアメンドーズに向けていた。的確に目の一つに銃弾を撃ち込まれたアメンドーズは体を仰け反らせ、撃たれた部分を押さえる。

 

「         !!」

「あ、怒った。」

「わっかりやすいねぇ、まるで癇癪持ちのガキじゃないか。」

 

アメンドーズが何かを叫ぶような動作をするとそれに伴い周囲の空気が震える。同時にイオリに潰されたアメンドーズの腕の関節部分に赤い光が宿ると、何事もなかったかのように動き出した。その隙にエノクは再び斬りかかろうとしたが、アメンドーズの頭部に集まり始めた神秘に嫌な予感を覚える。

 

「えぇ…………速くないかな?」

 

エノクがそう呟いたと同時にアメンドーズの頭部に集まった神秘が何かを形成し始め、やがて幾つかの白い球体となる。持ち直したアメンドーズは沢山の瞳を自分を狙う者に向けると

 

「          !」

 

球体から光線を放った。




アメンドーズ(成長中)です。原作の奴より体が一回り大きいですし、威力も高くなって体力も多くなっています。何より早々に神秘を使ってきますね。
イオリさんって普通に上位者と渡り合えますよね?あの人がアメンドーズに負けるイメージが沸かないですし、マリア様と普通に斬り結んでそうですし。
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