暖かい日差しを感じて閉じていた目を開ける。
窓際に置かれた揺り椅子に座った状態で、
伸びをすると、軽い衝撃が走る。
今日も元気に動き回る命、
あと片手ほどの月日で会えると思うと嬉しくなってきた。
椅子から立ち上がろうとすると、
慌てて手を貸してくれる。
心配し過ぎと苦笑するとムッとした顔で、
自分だけの身体では
無いのだから、心配なんだと告げる。
荷物を運べば落としたりしたら危ないと取り上げ、
掃除や料理をしようとすると転んだら、
火傷をしたらと何もさせてくれない。
思い出していたら、ぼんやりしてしまっていたようだ。
体調を心配する、お父さんが、
昔のことを思い出していたと伝えると、微笑んでくれた。
支えられてばかりで申し訳ないと、
お父さんに言えば、そんな事は無いと返してくれる。
寡黙で暖かな父さんに似てきたと言えば、
照れくさそうに頭をかいている姿を見て、
母さんがまだ生きていた時のことを思い出す時がある。
母さん、私いま幸せだよ。だから見守っていてね。
鈴菜は、夢を見ていた。
「おーい!鈴菜?」
「一歌ちゃん…」
「ずっと、寝ていたよ?授業の終わりまで?」
「えっ?そんなに!?」
「爆睡しちゃったみたいだよ?」
「あぁ…授業の時なのに、
なんてことだ…なんてことだ…」
と、鈴菜が落ち込む。
鈴菜がネット上で歌姫と称賛されている事実は、
あまりリアルでは知られていない。
というよりは、鈴菜自身が、ほとんど、語らないからだ。
さらには、注目を浴びること自体、好きでは無い為。
鈴菜は帰宅した。
「お父さん、ただいま」
「お帰り、鈴菜。学校はどうだった?」
「順調だよ。友達いっぱいできたよ!」
「それは、よかった」
「じゃあ、今日も私が夕ご飯作るね」
鈴菜は、フライパンに油を敷いて、
換気扇を付けて、コンロ台に火を付けて、
豚肉と牛肉を焼いていった。
そして、焼いた牛肉と豚肉を、甘いタレで味付けして、
父と一緒に食べた。
「鈴菜は料理が得意だからな」
「肉を焼くことと、刺身を切る事しか、
上手に出来ないけどね…」
「最近は、麺類まで、茹でるようになったじゃん?」
「ちょっとだけどね」
「そうか」
鈴菜の学校生活と、日常は、それなりに満喫していた。
鈴菜は、風呂に入って、その後、体を拭いて、
自室の敷布団で寝ていた。
(お母さん、天国でも幸せに暮らしているかな…?)
と、鈴菜は、ふと思っていた。
(幸せで楽しく暮らしていたらいいな…)
と、鈴菜は思うのだった。
鈴菜は、その後、布団を敷いて、眠りについた。