エスカルゴンは自分の殻をさすって、妙な段差ができていることを確認した。
そして、手についたざらざらは間違いなく自分の殻の破片から出た粉だった。
エスカルゴンは真っ青になり半泣きで叫んだ。
「オーマイガー!!」
「デハハハハ!これでまたエスカルゴンの裸が見れるゾイ!!」
デデデは上機嫌だったが、もちろんフームとエスカルゴンは抗議した。
「どうしてくれるのよ!」
「何が?」
「何がじゃない!私の殻、ヒビが入っちゃったじゃないのよもー!」
エスカルゴンの殻はピシピシと嫌な音を立てていた。
「わー!もう御開帳まで時間がないでゲス~。何てことをしてくれたんでゲスか!この悪魔、鬼、人でなし!デブ、サディストォー!!」
「まー、まー、そう怒らずにまず傷を確かめるゾイ。」
デデデは、エスカルゴンの殻を完全破壊するために、ハンマーを持ちながらにじり寄ってきた。
「見ちゃ嫌んもー!」
「見るなと言われると見たくなるゾイ!」
「何でそんなことをしてしまうん?!」
「それがワシのサガだから!」
「やーらしかー!!」
フームそっちのけでデデデとエスカルゴンは追いかけっこを始めてしまった。
「もー!デデデ、あとでちゃんと弁償するのよ!」
「被害のお返しだな!わかってるゾーイ!!デへヘヘヘヘ・・・。」
「コイツ絶対わかってねぇええ!」
フームは、肩の荷が下りたと言わんばかりに肩を叩くと走り出した。
「フー・・・さて、私も急いでカービィのところに行かなくっちゃ!」
エスカルゴンは、命からがら逃げおおせて自室にこもった。
「ここまでくればもう大丈夫。」
エスカルゴンは木でできた戸棚の扉を開けた。
「フフン、こんなこともあろうかと用意していたでゲスよ。」
中にあったのはおびただしい数のエスカルゴンの殻だった。
一方、デデデはエスカルゴンに弁償するため、ホーリーナイトメア社を呼び出そうとしていた。
「この間の偽カービィの言うことがホントなら、奴はとっくにいるはずゾイ!」
デデデは何度も呼び出しボタンを押した。
「だめゾイ。全く音沙汰がないゾイ!」
その時、ある意味懐かしい起動音が彼の周りでした。
「おっ!ついに来たあ!!」
デデデの目の前にせりあがってくる見慣れた機器たち、埃と蜘蛛の巣にまみれていたがスムーズに動くあたり、さすがナイトメアの機械と言ったところだろう。
そして、あらかた機械のスタンバイが終わった後に、デデデから見て左サイドから大きなモニターが現れて、そこから映し出された映像からこれまた懐かしい姿が映った。
『ようこそ、ホーリーナイトメア社のカスタマーサービスへ。お久しぶりですねデデデ陛下。』
「久しいなカスタマー。だが、貴様はあのナイトメア要塞で死んだはずでは?」
「私はヒューマノイド、つまりはロボットです。簡単には死にません・・・早速ですが陛下、本日はナイトメア様復活の特別記念として魔獣をお安く売ることができますが?」
「おお、それは魅力的ゾイ!だが、今回は魔獣ではない。」
「と、申しますと?」
「エスカルゴンの殻に見事にヒビが入ったゾイ。ガハハハ!そこで、殻を直す薬が欲しいんだゾイ。」
カスタマーはサングラスを指で押し上げた。
「なるほど、でしたら少々お時間はかかりますが甲殻類の魔獣の手当てに使う飲み薬をご用意いたします。」
「どんなに遅くともよいゾイ!デハハハハ!!」
その頃、桟橋の前で学生鞄を持って立っているブレザー姿の少女がいた。
少女の髪は腰まで届くクリーム色のふんわりロングで片方の目を隠しており、クリっとした大きな目は常に眠そうにしている。
顔の輪郭はどことなく小さい頃のフームとブンに似ていて、体はフームより少し高くやせ型だが、出るところは出ている・・・どこかとは言わないが・・・。
つやのある黄色い肌をしており、キャピィ族の中では美少女の部類に入るだろう。
彼女は、桟橋が上がっているのを確認するとスマホを取り出してどこかへ電話した。
すると、ワドルディ兵士の詰め所となっている部屋の電話が鳴り出した。
「ハイ、こちらデデデ城の警備隊長ワドルドゥであります。・・・あ、プリンお嬢様でしたか。ハイ、すぐ桟橋を下げますので少々お待ちを・・・。」
ワドルドゥ隊長は、部下のワドルディ兵士たちとともに桟橋を上げる部屋へと向かっていった。
やがて、桟橋が下りるとプリンはスマホを見ながら歩き出した。
ワドルドゥ隊長はプリンを見つけて駆け寄り部下とともに敬礼をした。
「お帰りなさいませ、お嬢様!」
彼女はだるそうにスマホから目を放した。
「遅い。」
「も、申し訳ありません。」
彼女は、冷や汗をかくワドルドゥ隊長に冷ややかな視線を送ると、スマホにイヤホンを差し込んでヘビメタを聞きながら行ってしまった。
そんな彼女を見てワドルドゥ隊長は、タオルをどこからか取り出して汗を拭きながらため息をついた。
「あの二人の妹だとはにわかには信じられない。パーム殿もメーム殿も彼女の育て方をどこで間違ったのでありましょうか・・・。」