「カービィ!?あなたしゃべれるようになったの?」
「フフフ、まあ18年間メタナイトに言葉の勉強を教えてもらったからね。」
「・・・このププビレッジで起きた事件ってあなたの仕業なの?」
「その通り!食い逃げ、畑あらし、窃盗、そして哀れな羊たちを食らったのも、ぜ~んぶ僕の仕業なのだ!」
カービィはケラケラと笑った。
だが、まだ信じられないフームは首を横に振った。
「嘘よ!あなたがそんなことをするはずがない!誰かに脅されているのよね!?」
だが、カービィニヤニヤしながらフームを罵倒した。
「誰に?魔獣にか?フフフ、カービィちゃんは悪事を働かない。そんな夢を見るお嬢さんのままでいいと思っているのかな?フーム。」
「・・・。」
フームは思わず涙目になった。
たまらず声を上げたのは意外にもデデデだった。
「貴様~、純粋無垢な女性や愚かな人民を泣かせるのは独裁者たるこのワシの役目ゾイ!それを勝手に奪いおって・・・許さん!この場で成敗してやるゾイ!!カービィ覚悟ォーー!!」
デデデは、ハンマーを持ち出してフームを飛び越え、カービィに向かって振り下ろした。
「デデデやめて~!!」
フームの悲痛な叫びは、理不尽に激昂したデデデの耳には届かなかった。
ドゴーン!
ハンマーが地面にたたきつけられる音ともに、あまりの威力に地面の小石や砂が舞い上がった。
だが、カービィは寸でのところで避けていた。
だが、右頬に飛び散った小石があたったのか、横一文字の傷ができてそこから赤い血が流れていた。
カービィは垂れてきた血を舌でなめた。
「・・・今の一撃は、僕を殺す勢いだったのだ。」
「フン!これを避けられぬようではワシのライバルは務まらんゾイ。」
カービィはデデデの気迫に数歩後ずさりした後、走って逃げた。
「逃げおったか・・・他愛のない奴ゾイ。」
デデデはハンマーを持ち上げると柄の部分で肩を叩いた。
「カービィ・・・。」
エスカルゴンは、涙目になりながらカービィの逃げた先を見つめるフームに近寄って肩を力強くゆすった。
「まだわからないんでゲスか!?」
「でも・・・。」
「カブーのおっしゃったことをもう忘れたんでゲスか!?あれはカービィであってカービィじゃない!そうでゲしょう陛下?」
「その通りゾイ!それにあんな奴、ワシはカービィとは認めんゾイ!!」
両親もフームに近寄って優しく声を掛けた。
「そうだとも、もしかしたら偽物かもしれないしな。」
「パパ・・・。」
「とにかく追いかけましょう!女の敵を放ってはおけませんわ!」
シミやシワ、髪に白髪が生えても二人が自分の両親であることをフームは改めて実感した。
「ママ!」
「決まりゾイ!では諸君、車に乗るゾイ!運転はもちろんエスカルゴンで・・・。」
エスカルゴンは口角を上げながら首と肩、そして指をポキポキ鳴らした。
「お任せを!」
デデデカーの中でフームは携帯で誰かと連絡を取っていた。
「携帯?だれに連絡するゾイ?」
「ブンよ。犯人逮捕なら彼の方が本職だしね。」
~ 同時刻:プププ警察署 ~
夜も明るい新市街で特に明るく、ビルが乱立する場所にブンが勤務する警察署はあった。
彼はボルン署長の後を継ぎ、ププビレッジの警察組織を数多の宇宙人たちがはびこるようになったプププランドの治安強化のために巨大化させ、元レンジャー部隊のボルンの兄ベルンに鍛え抜かれた体で署長の身でありながら現場でも大活躍していた。
そのため、プププランドの国民からの信頼は厚い。
そんなブンのもとに一本の電話が来た。
彼は仮眠中だったため、体を起こして寝ぼけ眼で受話器を取った。
「ハイ、こちらプププ警察署です。・・・なんだって!?」
そんなブンの切羽詰まった声に思わず残業していた部下が一斉にこちらへ向いた。
「ああ、わかったすぐに向かう!」
そう言って受話器を置いた。
「何があったんですか署長?」
「・・・食い逃げ、畑あらし、窃盗の犯人が分かった。」
「こんなことを言ってしまっては警察としてどうかと思いますが、殺人よりかは幾分かマシな事件だと思いますけど。」
「食に関するこれらの事件がすべてカービィの仕業だったとしてもか?」
その名を聞いて一斉に部下たちがざわめき始めた。
「あり得ない!あのナイトメアを倒した正義の味方カービィさまが!?」
「確かに食いしん坊と聞いていたが・・・にわかには信じられない。」
ブンは立ち上がって部下に命令をした。
「そうだ!信じられないことだ!だが、真相はカービィにしかわからない!よって、今からカービィ逮捕に向けて出動要請を出す!!捕まえて事情を聞き出すぞ!」
「「了解!」」
「ベルンjr副署長、留守番頼んだぜ。」
ベルンjrは黒のモヒカンに父親の弟であるボルンと同じ形の口ひげを生やしていた。髭以外はいかにも世紀末な顔をしているが、正義感ならだれにも引けを取らない男である。
「了解です!」
副署長は敬礼をして彼らを見送った。