デデデは城の中にある車庫へ向かって走り出した。
その道中で黒づくめの猫獣人三人に出くわした。
「な、なんゾイ貴様ら!そこをどくゾイ。」
「我々は、地下組織『魔多蛇尾組』の者ですにゃ。あにゃたがこの城の主ですかにゃ?」
タイトスカートを穿いた銀髪ショートが似合う女性の猫獣人が声を掛けてきた。
「そうだが?」
「うちらはこの女を追っているさかい、何か知りまへんか?」
目にキズがあり、ほかの二匹より体が大きい男性の茶トラ風猫獣人がスーツのポケットから写真をだしてデデデに渡した。
「おー!これはフームゾイ。」
「知っているんですかにゃ?」
「知っているも何もさっき、エスカルゴンと一緒に窓の外から飛び降りたゾイ。」
三人は顔を見合わせると、足早に去っていった。
「なんだ?あいつら・・・まいっか。それよりも早くワシもエスカルゴンを追うゾイ!」
デデデは携帯を出してワドルドゥ隊長を呼び出した。
『ハ、陛下!』
「直ちに車を出せるようにするゾイ!」
『しょ、承知しました!』
デデデはようやく車庫にたどり着いた。
そこにはすでにデデデカーを調整しているワドルディたちがいた。
「できたか!?」
「あ、これは陛下!実はこの車、あちこちガタが来ていたもので修理していました。今しがた、ゴムがすり減っていたタイヤをすべて取り替えたところです。」
「実に結構・・・では。」
デデデは車に乗りエンジンを掛けようとしたが、ワドルドゥ隊長に慌てて止められた。
「お、お待ちください陛下!」
「ん?なんゾイ!?」
デデデは早く行きたくてうずうずしていた。
「実は、この車に重大な欠陥が見つかりましてその・・・。」
「エンジンがかかればそれでよいゾイ!」
「いや、ですが・・・。」
「案ずるより産むがやすしゾイ!」
デデデはキーをひねった。
すると、いとも簡単にエンジンがかかった。
「デデデ、いっくゾーイ!」
デデデはワドルドゥ隊長の忠告を聞かずに車庫から出てしまった。
「一番壊れちゃいけないところが壊れているのになー。」
デデデは桟橋を渡りハンドルを切って堀に沿って車を走らせた。
「エスカルゴン!どこに行ったゾイ?!」
こちらに向かっているとも知らずにエスカルゴンは、フームと一緒に堀の近くの草むらから顔を出して機をうかがっていた。
「誰もいないみたいね。」
「今がチャンスでゲス・・・ん?」
「どうしたの・・・ひい!」
エスカルゴンとフームは、ものすごい形相でこちらに車で向かってくるデデデの姿をとらえた。
「見つけたゾーイ!」
デデデはブレーキを踏んだがなぜか止まらなかった。
「ん?うわー!ブレーキがブレークしているゾイ!!」
デデデは焦ってハンドル操作を誤り車ごと堀に落下した。
「ホーリーシーーット!!!」
ザッパーン!
フームとエスカルゴンは、ほっと胸をなでおろして草むらから出た。
ちょうど良いタイミングで空車のタクシーが現れた。
「おー!ナイスタイミングでゲス。」
「ヘイ!タクシー!」
フームが手を挙げてタクシーを止めると、二人はすかさず乗り込んだ。
「どちらまで?」
「カービィの家よ、知っています?」
「そりゃあ、銀河を救った英雄の家ですもの。」
「じゃあ、そこまで頼むでゲスよ。」
「ハイ。」
タクシーは目的地に向かって走り出した。
その様子をデデデは堀の水の中から顔を出して見ていた。
「・・・ったく、なんで大王たるワシがこんな目に・・・は、は、はっくしょん!!」
しばらくして猫耳が付いた黒光りする高級車がデデデの前に停まり、中から先程の猫獣人たちが出てきた。
「フームはどこ行ったにゃ?」
デデデはエスカルゴンたちの乗ったタクシーが向かった方向を指さした。
「タクシーに乗ってあっちに行ったゾイ。」
「どうも。よし!急ぎましょうにゃ!!」
彼らは、道を教えたデデデを助けずにそのまま走り去ってしまった。
「おーい!大王のワシを置いていくでないゾイ!・・・ベックショイ!!」
しばらくすると、ワドルドゥ隊長が縄を抱えてワドルディ兵士たちと一緒にやってきた。
「陛下!お怪我はありませんか?」
「馬鹿モーン!ブレーキぐらい先に直しとかんかー!」
「も、申し訳ありません!今、お助けします。」
そう言ってワドルドゥ隊長は、ロープをデデデの横に投げた。
デデデが縄をつかんだのを確認すると、ワドルディ兵士を一列に並べて縄を持たせ引っ張らせた。
「せーの!オーエス!オーエス!」
「「ワーニャス!ワーニャス!」」
可愛い掛け声とともに兵士たちはデデデがつかんだ縄を引っ張った。
やがて無事にデデデは引き上げられた。
「ハ~、助かったゾイ。」
全身びしょ濡れになったデデデは服を乾かすためにいったん城に戻ることにした。
「見ていろエスカルゴン、今度こそお前の体の仕組みをカメラに収めてやるゾイ。デハハハハ・・・ハーックション!」