主人公ちゃんと精霊さんの接触を確認した。ここからが本番だ。
原作の流れなら、契約すれば自衛のための力が手に入るし、いつでも解約できるからという精霊さんのセールストークに押し切られて、とりあえずで『変身』のお試しをしているはず。
そして、なんだこの恥ずかしい変身コスチュームはと困惑している彼女に、精霊さんが街の平和を守るために戦ってくれないかと言って、一般市民のわたし一人でそんなことができるわけ無い、と主人公ちゃんが拒否する。
戦う事を拒否された精霊さんは、無理強いはしない、いずれ状況を理解するだろう、と不吉な事を言う。ここまでは変わらないだろう。
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原作開始の翌日、教室にある主人公ちゃんの机に精霊さんと話がしたいという短い内容の手紙を仕込む。連絡先を添えていたのでメッセージアプリに返信が来た。『放課後、屋上』。この時点では精霊さんの依代のブローチを持ち歩いているのか。
授業中に主人公ちゃんの視線をビシビシと感じる。多分精霊さんも見ているんだろうなーと思いながらスルー。
放課後、すぐに屋上に向かって魔法で人払いの処置をして待っていると、しばらくして警戒心バリバリの主人公ちゃんが来て、警戒心バリバリの精霊さんも実体化した。気持ちは分かる。
改めて彼女たちの姿をまじまじと見る。
主人公ちゃん、君ってエロ同人の女主人公みたいなスケベな身体つきしてるね(称賛)(罵倒)(宣戦布告)。
精霊さん、ワンピースの裾が短すぎるのは誰かに指摘されなかったのか。立っている状態ならギリギリパンツが見えないけど、かがんだり椅子に座ったりしたらすぐ丸見えになるぞ(エロ同人世界への無粋なツッコミ)。
……原作に立ち絵があるキャラ二人が揃ったせいで、変なテンションになってつい思考が逸れた。
悪の組織と戦っている魔法使いの水瀬ですと自己紹介する。精霊さんも硬い表情で自己紹介してくれた。
主人公ちゃんが魔法使いなら証拠を見せて欲しいと言ってきた。彼女の視界の範囲内で『転移』してみせる。信じてくれた。
精霊さんはどうやって私の所在を特定したのかと聞いてきた。『カサンドラ』のアクセスキーを教える。なんだこれはと確認した彼女は、内容を理解するとぽかんと口を開けて固まってしまった。かわいい。
戦争でもする気かって?そうだよ。今は戦時中で、僕は戦争指導者だ。
本題に入る。精霊さんに、何故主人公ちゃんを契約者に選んだのか聞いた。彼女が優れた資質を持っていたからと答えられた。他の資質を持つ者に乗り換える気は無いのかと聞く。他の候補者は見つかっていないと言われる。知ってた。
主人公ちゃん、意味不明なぐらいの魔力量だからな……。軽く見ただけでも血統書付きの人間である僕の10倍以上あるって、一体どういう理屈なんだか。
自分の代わりは居ないと聞かされた主人公ちゃんに、一緒に戦ってくれないかとお願いする。困ったような表情をするも即座にお断りはされなかった。
その流れのまま、この街の現状を説明する。怪人という危険な連中が闇に蠢いていて、僕も必死に戦っているけど僕一人では止められそうにない。だから、一緒に戦うか、さもなくば逃げる事を選ぶようにと言った。
もっと困り顔になる主人公ちゃん。理不尽な二択を迫られればそうもなるだろう。さらに攻めていく。
精霊と契約した人間は強力な力を持っているから、君の助力があればたくさんの人が助けられるんだけどなーと煽る。学園ではお人好しの優等生キャラで通っている彼女に罪悪感を覚えさせる。
続けて、協力してくれるならバイト代出すんだけどなーと話す。精霊さんには提示できない俗世の利益に目の色を変える主人公ちゃん。君が自分の学費を払うために喫茶店でバイトをしていることはすでに調べがついている。
最後に、僕も一緒に戦うし、主人公ちゃんがピンチになったら絶対に助けに入るからと言う。これも精霊さんには提示できない要素だ。
先っちょだけ、先っちょだけでいいからと言う僕の勧誘に、彼女は先っちょだけなら……と消極的な了承を返してくれた。
ちょろいもんだぜ。そんなんだから探索フェイズで怪しい勧誘に引っかかって洗脳バッドエンドに入ったりするんだ。
これで、主人公ちゃんは原作よりも一ヶ月ほど早い時期に悪の組織と戦い始めることになる。
敵側の動きの変化については原作の描写が少なくあまり当てにならないので、今後も監視に努める。
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主人公ちゃんと一緒に『リベレーター』の小規模拠点を攻める。留守番してる精霊さんには『カサンドラ』を使って後方支援をするようにお願いした。精霊さんって原作では特殊な戦闘シーン以外何も援護してくれないんだよな。
戦闘用の僕の服装について主人公ちゃんに突っ込まれる。ペストマスクは神秘と医療のバランスが良いから瘴気耐性を付けやすいのだ。不審者なのは仕方ない。
先導してお手本を見せながら共闘する。戦闘員や低位の魔物ぐらいなら最悪僕一人でもなんとかなる。主人公ちゃんは持ち前の責任感からおっかなびっくり戦い始めた。
若干腰が引けているものの、それでも景気よく戦闘員をぶっ飛ばし、えぐい出力の魔法剣と攻撃魔法で魔物を惨殺している。成績優秀、運動神経抜群、思い切りが良く、度胸もある。この辺の設定はちゃんと生きているようだ。
うっかり流れ弾が当たったら即死しかねないなーと考えながら敵の制圧を完了した。これが特級戦力か。ゲーム的に言えばレベル1の状態だが、もうすでに怪人を上回る力を持っている。
捕らわれていた女性の姿をあえて見せた。気分が良くなるおクスリを飲まされエロ同人みたいなことをされていた女性を見て、悪の組織に憤る主人公ちゃん。あまり表沙汰にはなっていないものの、今のこの街ではこれが日常茶飯事だと理解してもらえただろうか。
婦警さんに連絡を入れ、拠点制圧後の後始末をお願いする。彼女には"コスプレ女と黒づくめの不審者が『リベレーター』の拠点を攻撃したらしい"と伝えた。
今はまだ、主人公ちゃんと共闘関係にあることを教えるわけにはいかない。
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数回の共闘を経てそろそろ一歩踏み出してもいい頃合だと思ったので、疲れてない?マッサージとかどうかなと提案してみる。あっさり了承された。戦いで身体がバキバキらしい。運動部でもない女子があんなハードな運動したらそりゃあそうなる。
場所は主人公ちゃんの家でいいかなと聞くとこれも了承される。父親不在で一人暮らし状態なのに無警戒すぎる気もしたが、そういえば精霊さんが居るから一人ではなかった。『変身』が使える彼女に僕が腕力では敵わないというのも理由の一つだろうか。
折り畳み式のマッサージ台を持って主人公ちゃん家にお邪魔する。四次元ポケットっぽい魔法があり『転移』もある、魔法使いが物資運搬においてはかなり融通が効く世界で助かった。
何かマッサージ用に使えそうな服に着替えて欲しいと言ったら体操着を着て来た。ごく当たり前のようにブルマを履いているのを見ると、この世界がエロ同人世界であることを改めて認識してしまう。
マッサージ台に寝転んだ主人公ちゃんに、師匠直伝のエロマッサージ(エロ抜き)を披露する。お客さん、肩凝ってますねー。あ゛あ^~と気持ちよさそうな声を上げる主人公ちゃん。楽しい。
思う存分揉み解していると、なんと彼女は寝息を立て始めた。ええ……そんなに疲れてたのか。寝てしまった主人公ちゃんを見て訝しげな視線を向けて来る精霊さん。僕は無実だ。
マッサージが終わっても主人公ちゃんは眠ったままだったので、タオルケットをかけてそのまま寝かせてあげる。
精霊さんに、主人公ちゃんは最近どう?元気してる?と聞いてみた。彼女は物憂げな表情で、使命感と責任感で踏ん張っているものの、体力的にも精神的にも疲弊していると答えた。
そのまましばらく精霊さんと情報交換をしていると、主人公ちゃんが目を覚ました。よし、寝ぼけている今がチャンスだ。
一人暮らしって大変じゃない?僕が料理するから一緒にご飯食べない?うん。一緒にご飯食べるとなると移動が手間だから、この部屋に『転移』の基点置いて良い?うん。
あまりのチョロさに心配になってきた。まあ、彼女は詐欺のようなやり取りで結んだ口約束でも律儀に守ろうとしてしまう損な性格なので、一度了承したことを反故にはしないだろう。
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『強制』の怪人を撃破した。お約束通りの負け惜しみを言い残して爆発する怪人。
この怪人は怪人の中でも比較的真面目に働くやつなので、瘴気の薄い拠点に釣りだす作戦がうまくはまってくれた。基本的に怪人同士は仲が悪いが、こいつだけは職務を優先し協同して動く可能性があったので、早期に排除できたのは嬉しい。
初めての強敵との戦いを終え、肩で息をする主人公ちゃん。怪我をいくつか負っていたので回復魔法で治す。彼女は僕の方に何か言いたげな視線を向けて来た。しかし、彼女がその場で何かを言うことはなかった。
家に帰って思う存分主人公ちゃんをモミモミする。ああ^~女の子を甘やかすの楽しい。
もっと妹を甘やかしたいだけの人生だった。小さい頃はあんなに懐いていたのに、僕が中学サボる不良お兄ちゃんになったせいで嫌われちゃったんだよな。悲しい。悪の組織許せねえ……。
マッサージを受ける主人公ちゃんは、ほんの一瞬だけ何か言いたげな視線を向けて来たが、やはり、何も言わなかった。
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『教会』と『神無月』に、野良の『精霊憑き』が怪人を一体撃破した。彼女との連絡手段は入手できたが、強力な認識阻害能力があり警戒心も強いため依然として正体は不明、と虚偽報告をした。
この報告で、「どうしようもないから放置しよう」から「ほっといても解決しそうだから放置しよう」に変わったりしているんだろうか。
役に立たないのは分かっているから、せめて邪魔だけはしないでほしい。
『教会』から、解決の目途が立ったならもう十分だろう、さっさと避難しろと催促が来た。
冗談じゃない。たとえ怪人を全滅させたとしても、事態の半分も解決しないのが分からないのか。
……分からないよなそりゃ。原作知識が無ければ、あの規模の戦力が再生怪人として何度でも復活するなんて想像できるわけがない。
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ボクっ娘に正体不明の『精霊憑き』と協力関係を結んだと伝えた。
あの呪術耐性装備を渡したのかと聞かれる。うん、主人公ちゃんにあげたよ。
続けて代金はいくら取ったのかと聞かれる。主人公ちゃんにあれの代金を払える経済力があるわけないだろ。ゼロ円スマイルです。
お金はもっと大事にしろと説教された。信じられない、まさかこんな日が来るなんて……。娘の成長を喜ぶ父親のような気分になり、涙が出そうになってきた。
馬鹿にされていることを敏感に察したボクっ娘はぷんぷん怒り出した。ボクは真面目に怒っているんだって?僕だって真面目だよ。
金で世界が救えるのなら、銀行強盗でも何でもして稼いでくるのになあ。
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『毒』の怪人を撃破した。取り巻きが戦闘員中心で高位の魔物が少なかったことと、拠点の瘴気濃度が低めでいざという時の『転移』が行いやすいため狙い目だと判断しての選定だ。
戦闘自体は順調だったものの、拠点攻略の途中で施設内に満ちた催淫ガスを吸ったり媚薬沼を歩いたりで主人公ちゃんの体調に影響が出ている。帰投後すぐに『解毒』したが、神経が元に戻るには少し時間がかかるだろう。
また、無双ゲームのごとく魔物をバッサバッサと切り捨てている主人公ちゃんは、戦闘の度に大量の瘴気を浴びている。瘴気を浴びた人間は理性が弱まり性欲が強くなるというエロ同人みたいな設定があるので、僕がすぐに『浄化』していても多少の影響は受けているはず。
主人公ちゃんは自分で発散できているだろうか。少し心配だが、これはさすがにセクハラってレベルじゃないので聞けるわけがない。
この瘴気の設定のせいで、ただでさえ治安の悪いエロ同人世界がさらに世紀末になっている。今の広品市は街全体が瘴気に侵されつつあり、ヒロピンシチュ定番のクズ市民がそこらじゅうに居るのだ。お巡りさーん。お巡りさんも瘴気に頭をやられている。ヤバイ。
対策として婦警さんに師匠のマッサージ店を紹介してある。せめて警察の皆さんぐらいはまともで居てほしい。むさくるしい男達を相手に嫌そうな顔で『浄化』し続けている師匠を想像し、少しだけ笑った。
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主人公ちゃんの物言いたげな視線が日に日に強くなっている。
分かっている。彼女は「君はもう戦わなくていい」と言って欲しいのだろう。
原作の彼女はこうではなかった。僕が『魔法少女ルミナスレッド』の重要なイベントを起きないようにしたからこうなってしまった。それも分かっている。
原作の序盤の流れを思い出す。
戦う事を拒否した主人公ちゃんは、その後一ヶ月ほどは何事も無く平穏な日々を送る。しかし、ある日突然彼女の親友が行方不明になってしまう。
主人公ちゃんは精霊さんの助けを借りて親友ちゃんの所在を突き止め、悪の組織の手によってエロ同人みたいな目に遭っていた彼女を救出する。
救出された親友ちゃんは、命は助かったものの心に深い傷を負い、かつての明るい表情が見る影もない暗い性格になってしまう。
その様子を見た主人公ちゃんは、親友ちゃんを傷つけた悪の組織への『怒り』、自分が戦う事を拒否しなければ彼女は無事で居られたかもしれないという『後悔』、自分が戦わないことで見殺しにした「どこかのだれか」は知らない誰かの大切な人だったのかもしれないという『罪悪感』を抱く。
こうして彼女は正義のヒロインとしての自覚と覚悟を得て、悪事を働く連中を根絶やしにし、自分の手で平和を取り戻すのだと決意する。
覚悟完了した主人公ちゃんは、触手型の魔物とふれあい体験コーナーしたり、戦闘員にサンドイッチされたりしても動じない鋼のメンタルを持つ。
作中の敗北エロシーンでも、主人公ちゃんを屈服させようとする怪人が彼女の意志の強さに驚く場面が多くある。普通の女の子の100倍ぐらいは耐久力ありそう。決意の力ってすごい。
……まあ、そのつよつよメンタルの主人公ちゃんが完全に逆らえなくなるまで念入りに心を折られる、そういうバッドエンドが十数種類あるのが『魔法少女ルミナスレッド』なんだけど。
現在の主人公ちゃんのことを考える。彼女は『怒り』も『後悔』も『罪悪感』も持っていない。僕がそうした。
主人公ちゃんには戦わなかったことを後悔してほしくなかったから、すぐに戦わせた。
親友ちゃんをエロ同人みたいな目に遭わせないために、彼女が危険な場所に行こうとするたびに『転移』で先回りして、進行不能エリアを通達するNPCのごとく追い返し続けている。
この選択に後悔は無い。僕が何もしなかったとしても原作通りの展開になる確証は無いし、ルミナスレッドの参戦が一ヶ月も遅れれば街の被害がどれだけ増えるか想像もつかない。
それになによりも、あの底抜けに明るい親友ちゃんを、上手く行くかもわからない謀略の犠牲に差し出すなど考えたくも無い。
でも、今のよわよわな主人公ちゃんを見ていると、やっぱり親友ちゃんには覚醒素材ちゃんになってもらうべきだったんじゃないかと――
クラスメイトを覚醒素材呼ばわりするとは大したサイコパスぶりだな?親しく接しているわけではなくとも、彼女と会話したことぐらいあるだろう。人類の未来を考えすぎて倫理観がおかしくなった?違うな、お前は昔からそうだった。無自覚に人を傷つけることをやらかしては、相手が傷付いた様子を見てようやく己の行いを認識していた。そんな自分が嫌で、人間心理について学び、普通の人間のように振舞えるよう努力していた。今のお前は余裕が無くなって化けの皮が剝がれてきているだけだ。この冷血漢め。主人公ちゃんに優しくしようとするのも、周囲の期待に応えようとして破綻したかつての自分と同一視しているからだ。シスターさんやボクっ娘に無理に手を差し伸べようとしたのだって、「この人は原作の世界ではどうなっていたんだろう」などという薄気味悪い動機で――
脳内ジョーカーさんがはしゃぎだしたので、脳内バットマンさんに鎮圧していただいた。あの嘘字幕シリーズ、あのシーンだけ切り取っているせいでバットマンが完全にただの暴力的な不審者になっていて笑えるんだよな。
とにかく、もうすでに賽は投げられたんだ。今できる最善を模索しながら進むしかない。
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僕のせいで普通の女の子メンタルのまま戦う事になってしまった主人公ちゃん。原作情報を振り返りながら、彼女のモチベーションを向上させる方法が無いか検討する。
まずは周囲から見た彼女の人格について。
真面目で礼儀正しく、誰にでも優しく接することができる。人を傷つける輩には、毅然として抗議を行えるだけの気の強さと正義感も持ち合わせている。まさしく理想の優等生だ。
親しい間柄の者に対して時折甘えるような態度をとるが、それでも強気真面目優等生のキャラを逸脱することはない。
問題はここからだ。彼女は彼女自身が自覚していない要素を大量に抱えている。
抑圧的な性格の自分を嫌っていて、そんな自分を変えたい、壊したいという思いから変身願望と破滅願望がある。また、それらの願望に由来して露出で興奮する性癖があり、自分を否定することで昏い悦びを得る倒錯したマゾヒストでもある。
育った環境故か愛に飢えていて、承認欲求が強い。性欲はすさまじく強い。精力絶倫のセックスモンスターである鬼畜体育教師がタイマンを挑んで、長期戦の末ギリギリ勝利できるぐらいの性欲と言えば凄さが伝わるだろうか。勝利ってなんだよ。
さらに、特に開発されていないはずの初期状態でも3クリック分のテキストでビクンビクンしちゃうような敏感体質で、苦しょっぱくてドロドロしていて生臭い液体への抵抗が薄い奇妙な味覚を持つ。
……本当に普通の女の子なのか?悪の組織に攫われて改造手術を受けた過去とか無いよな。
体質的な要素はともかく、このような人格が形成された経緯についてはある程度の推測ができる。
彼女は仲睦まじい夫婦の間に生まれ、溢れんばかりの愛情を注がれて育つはずだった。しかし、彼女の母親は彼女を産んでからすぐに行方不明になってしまった。
何の前触れもなく妻を失った彼女の父親は、それでも懸命に彼女を育てようとした。……彼女が物心ついて初めて見たのは、最愛の人を諦めきれずに悲嘆に暮れる男だった。
せめて死別であったのなら、気持ちの整理が付けられたのかもしれない。だが、そうはならなかった。
彼女は父親のことを自分に愛情を注いでくれる存在だと認識しつつも、心のどこかで頼ってはならない、自分が支えなければならない相手だと思ってしまった。
お父さんに心配をかけたくない。お父さんにもっと褒めてほしい。そうした想いが誰もが認める『良い子ちゃん』の彼女を作り上げた。その裏側で、鬱屈した感情を溜めながら。
彼女の父親の育て方が悪かったとは思わない。今や彼女は名門広品学園でも成績上位の優等生で、クラスのみんなからも慕われている。彼女の歪みを理解し、受け入れてくれるパートナーと出会えれば、きっと幸せな人生を歩めただろう。
こんな、不幸の星の元に生まれさえしなければ。
まあ、これらの要素は自覚させなければいい。初期状態の彼女はやや潔癖な所があり、自慰行為もろくにしたことがないという描写があった。無自覚のままにしておけば、心の中に地雷原を抱えただけの真面目で清楚な女の子だ。
恋愛対象を見つけて性的な物事に肯定的な感情を持ったり、何かきっかけになる出来事でもなければ、そういうコンテンツには触れようとはしないはず。多分。むっつりスケベ設定もあったからちょっと自信が無い。
別に、何かの拍子に自己分析してしまったとしても問題は無い……か?彼女は世間体を気にし過ぎる性格だ。過度のストレスに晒されたりしなければ妙な行動はとらないだろう。
主人公ちゃんは僕のことをどう思っているのかな。多少の好意は持たれているだろうけど、僕は彼女のストレス源でもある。好意と憎悪を同時に持っていても不思議ではない。
原作には主人公ちゃんが恋愛感情を抱く相手は一人も登場しなかった。彼女の行動をシミュレートするには情報が足りない。
好意といえば、主人公ちゃんと精霊さんが原作よりも仲が良い気がする。原作ではお互いのことを信頼しながらも、一線を引いたビジネスライクな関係だった。
覚悟を決めた主人公ちゃんが、周囲に甘えることができない精神性になっていたためだ。普通の女の子な主人公ちゃんだからこそ仲が進展したと考えられる。
彼女のようなタイプの人間が、素直に甘えられる相手を見つけたらどうなるんだろう。愛を試すために無茶な要求を出したりするとか?これも原作に情報が無いから計算しきれない部分だ。
手っ取り早く覚悟を決めさせたいなら、君が負けたら後が無いということを教えれば……。
……ダメだ。世界なんて物を背負った人間がどんな思いをするのかは僕が一番よく知っているだろう。
街のヒロインだけでもいっぱいいっぱいになっている主人公ちゃんに、これ以上の負担はかけられない。
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『催眠』の怪人を撃破した。自慢の催眠術が効かないのがよほど悔しかったのか、他の怪人であれば普通の攻撃を行うタイミングでも呪術の発動を優先していた。
撃破後に家に戻ったら、主人公ちゃんが何故か服を脱ぎだした。まずい、どこかのタイミングで耐性を抜かれたのか。この世界は同じ系統の術を連続で当て続けると徐々に耐性が減衰する仕様なのだ。慌てて彼女を取り押さえて『催眠解除』をかける。
正気に戻る主人公ちゃん。治療のためとはいえ、下着姿の彼女をソファに押し倒すという暴挙をしでかしてしまった。速やかに土下座を行う。
許してもらえた。まあ、彼女が真面目に謝罪する人を無下にする性格ではないことは知っている。
ところで、押し倒されている時に「待って」とか「心の準備が」とか言ってたけど、一体どんな催眠を掛けられていたんですかね。
聞いてみたが、主人公ちゃんは顔を赤くしてそっぽを向き、口をもごもごとさせるだけだった。言いたくないなら無理には聞かないよ。
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今後の戦略と、僕が排除しきれなかった負け筋について考える。
戦略といっても複雑なことは一切無い。僕が先行偵察して優位な状況で戦えるように準備し、主人公ちゃんが戦う。
そうやって怪人全員と、再生怪人全員と、ドクターと、ラスボスをぶち殺せばこちらの勝利だ。
怪人どもはどいつもこいつも完全に勝利を確信して慢心しているので、同僚が次々に死んでも大して気にしない。まあ、ラスボスを倒すまでは残機無限で、ラスボスが絶望的に強いので慢心する気持ちは分からないでもない。
精霊さんには契約者が殺した魔物の魂を喰らって力を増すという能力がある。最速でドクターを殺しに行くよりも、怪人戦を間に挟んだ方がラスボス戦の勝率が上がるだろう。
負け筋はまず、主人公ちゃんが普通に敵に負けてしまうこと。
『魔法少女ルミナスレッド』の敗北エロシーンは仏の顔システムを採用していて、二回までなら散々犯されるだけでバッドエンドにはならない。仏の顔も二度まで。あれ?なんか違うような。
バッドエンドにならない理由は色々ある。精霊さんによる『召喚』で救助されるとか、隙を突いて自力で脱出するとか、弄ぶためにわざと解放されるとか。
しかし、同じ敵に三回敗北するとそれらの脱出手段を全て封じられて詰む。正義のヒロインを退職した主人公ちゃんは、奴隷、ペット、家畜、苗床、備品、動力源、フィギュアといった様々な職業に転職することになる。
ドクター戦とラスボス戦は例外的に敗北一回でバッドエンドになる。ドクター戦で負けると強制変身解除からの『変身』封印で自殺エンドか悪堕ちエンドのどちらかに入り、ラスボス戦で負けると敗北エロシーン無しでナレ死する。
まあ、今のよわよわメンタルな主人公ちゃんならどの敵でも一回負けただけで折れるだろうし、あまり細かい事は気にしなくていい。何かあったら僕が死ぬ気で助けに入るだけだ。
……彼女を助けるために僕が死んだら、その後の彼女はどういう反応をするのかな。
もう一つの負け筋は、変身ヒロインにとって致命的な弱点である身バレだ。
今の僕たちが優位に戦えているのは、ルミナスレッドが正体不明、所在不明、目的不明の不可視の死神だからだ。
正体不明の正義のヒロインであり続ける限り、敵に拠点を攻撃されるリスクが無い。そのため、僕たちは常に攻める側で居られる。
所在がバレて防衛戦をすることになったら、物量ですり潰されてあっけなく終わる。ルミナスレッドがどれだけ強くても、所詮は一人の人間に過ぎない。
対策として、しばらくの間は生活できるセーフハウスをいくつか用意してある。ただ、そういう避難場所に逃げなければならない状況になった時点で主人公ちゃんのメンタルはボロボロになるので、最低限の詰み防止でしかない。
身バレした状態でラスボスを撃破して世界を救っても、主人公ちゃんに平穏な生活が戻ることは無いだろう。こればかりは僕にはどうしようもない。
また、身バレするリスクを最低限に抑えるため、協力者であるボクっ娘や婦警さんにも彼女のことは秘密にしている。信用していないわけではないけど、この世界は人間から情報を引き出す手段が豊富にありすぎる。
★☆★☆★
主人公ちゃんの性格を分析するため、僕が発生の可能性を潰したエロイベントを振り返る。
原作の主人公ちゃんは正義に殉じる鉄の女だから、発生するエロイベントは全て凌辱系……と思いきや、そうではない。
エロ同人RPG定番のお金に困って身体を売るシチュエーションがちゃんとある。強制イベントではないから回避はできるが。
金欠に陥る主な原因は、探索フェイズで裏社会の情報屋に金を払うのと、経口避妊薬にかかるお金だ。このエロ同人世界は何故かコンビニで経口避妊薬が買える。
正義のヒロインとして活動しながらお金稼ぎもしなければならなくなった彼女は、手っ取り早く稼げる手段を選ぶ。すなわち、売春である。
すさまじいストレスを感じながらも、これも正義のため……と身体を売る主人公ちゃん。無自覚な性癖が色々噛み合ってわりとすぐに順応する。ええ……。
彼女は回数を重ねていくうちに売春にドハマりし、身体を対価にしてお金を稼ぐことに依存していく。当初の目的はどうした。
ここから更に別のエロイベントに派生する。売春を行っていることが学園の生徒にバレて、退学になりたくなかったら……分かっているね?される。
その気になれば塵も残さず消せる相手の脅迫に屈する主人公ちゃん。こういう場面で相手を害する発想が出ないあたり、本当に善良な人間すぎるんだよなあ。
初めの頃は一対一のシチュが主だが、すぐにエスカレートして乱交になる。水泳部の男子全員が参加してくるってこの世界の治安はどうなっているんだ。男子更衣室はヤリ部屋ではないぞ。
単純に犯されるというだけではなく、自分を犯す人間に顔見知りが混ざっているという事実に打ちのめされる主人公ちゃん。彼女は平穏な日常を取り戻すために戦っているというのに。
脅迫イベントを進めていると、水泳部顧問の鬼畜体育教師がエントリーする。彼は神聖な学び舎でなんてことをしているんだと正論を言いながら、主人公ちゃんを体育倉庫に連れ出す。
もちろんヤるためである。彼が他の竿役と一味違うのは、道具や薬や集団戦や呪術といった卑劣な手段を使わずに、己の身体一つで勝負を挑む所だ。
本気で堕としにかかる鬼畜体育教師にあひんあひん言わされる主人公ちゃん。彼はちゃんとゴムを使ってくれるので、避妊薬代はかからない。優しい。
これらのイベントを進めていくと、彼女はやがて、男に身体を求められることに愛情のようなものを見出し始める。輪姦を逆ハーレムと解釈するのはちょっと倒錯しすぎじゃない?
もっと進むと完全にセックス依存症になる。"何もしていないのが苦痛で、こうしている時だけが安らげる時間だった"とモノローグに出て来た時は、おお、もう……、と天を仰いだ記憶がある。
まあ、その状態でもラスボスは倒せるんですが。ラスボスはエロ攻撃を使ってこないので不利になることもない。セックス依存症の変身ヒロインに負けるなんて、邪神として恥ずかしくないの?
売春以外にも主人公ちゃん主導のエロイベントはある。この子は何故か、かなり早い段階から夜の市民公園を薄着でウロウロできるようになる。
ゲーム的にはシーンを回収できるだけのコマンドだが、彼女が自らそういうことをする理由を考えると、やはりストレス解消が目的だろう。
たった一人で悪の組織と戦い、身体を売って生活費を稼ぎ、学園では優等生として振舞う裏で同級生や教師に犯されるのだ。覚悟完了している主人公ちゃんでもストレスを感じないわけがない。
初めの頃はスリルを楽しむ程度で満足するが、徐々にエスカレートしていき、最終的に全裸徘徊するようになる。お巡りさーん。お巡りさんに捕まって犯されるイベントもある。そんな……。
ストレスを溜め込んだ主人公ちゃんが妙な事をしていないか、僕の方でも監視はしている。幸い、現時点でそのような兆候は無い。
……彼女は夜の時間帯に僕の部屋に入って何をしているんだろう。過激な一人遊びに興じていたとしても驚かないぞ。
その他に、師匠のマッサージ店を見つけて『浄化』してもらうイベントがある。彼にスペシャルなマッサージを注文すると超絶テクでアヘアヘさせてもらえる。
師匠は合意が無ければ手を出さないので和姦枠。まあ、あの人は大勢の女性と関係を持つ愛の伝道師なので、どう頑張っても恋人枠にはならないのだが。
総評する。
なんというか……愛情に飢えているのに、愛情がどういう物なのか理解していない節がある。
愛と似ている物を愛と誤認し、それを得ても飢えが満たされないことに気付かぬまま、際限なくそれに依存してしまっている。
お金も性欲も、それそのものは愛ではないんですよ。パパとママに教わらなかったのかな?
……彼女は夫婦愛というものを見ずに育ったからなあ。両親がプロレスごっこをしている所にうっかり出くわしたことも無い。男女関係について偏った知識しか持っていない可能性はある。
それと、無自覚な破滅願望というのはやはり厄介だ。
作中でも無意識に危険な行動を行い、何故自分がそのような行動をしてしまったのかと後から困惑するシーンが結構ある。
治安の悪い地域を『変身』しないまま歩き回り、生身では対処できない要素によってバッドエンド直送されるのも、これが原因かもしれない。
無意識の部分で自分自身を憎悪していて、発作的に破滅しようとするとか正直勘弁してほしい。
こんな不安定な女の子に戦う覚悟を決めさせなければならないなんて……本当に僕にできるのか?
★☆★☆★
珍しく主人公ちゃんが寝坊したと思ったら、少年誌に出て来そうなえっちイベントに遭遇してしまった。
いい悲鳴だ。原作にはボイスが無かったんだよな。彼女の声は、ハキハキしていてよく通る素敵な声だと思う。
なんか主人公ちゃんと精霊さんが内緒話してたっぽいのが気になるけど……。まあ、彼女達の仲が良いならそれはとても喜ばしいことだ。
今日も今日とて親友ちゃんを追い返す。数えるのも面倒なぐらい彼女の身を守った気がするけど、このアホサイドテールは未だ治安のヤバさに気づいていない。
もういい加減面倒になってきたから、一回ぐらいエロ同人みたいな目(未遂)に遭ってもらうべきかもしれない。
……いや、それで加減を誤ったら大惨事になる。やっぱりなし。くそ、情報屋なら自力で危険な情報ぐらい掴めよ。
夜の街を駆ける。
明日の出撃分の下準備は済んだので、今はフリーの時間だ。こういう時は、街を守る正義のヒーローごっこをしている。
『カサンドラ』により、街の暗がりに潜む魔物を探して無心に殺し続ける。人間の生活圏付近に出没する魔物はほとんど低位の魔物なので、僕程度の戦力でもサクサク処理できる。
酒に酔って赤ら顔をしたサラリーマンに魔物を殺す所を見られた。彼は腰を抜かして驚いている。
こんばんは。これに懲りたら明日からはもっと早い時間に帰宅するようにしようね。
ギャルっぽい風貌の女性が触手の魔物に犯されそうになっていた。すぐ助けに入る。
こんばんは。今のこの街は治安がひどいことになっているから、できれば引っ越した方がいいよ。
魔物に食われそうになっている人の反応に急行する。しかしすでに手遅れで、不良っぽい風貌の彼は死んでいた。
こんばんは。間に合わなくてごめん。来世があったらもうちょっとマシな世界に行けると良いね。
助けが間に合うことも、間に合わないこともある。『カサンドラ』は、今宵も誰かの滅びを予言し続ける。
こんな、波打ち際で砂のお城を作り続けるような行為に何か意味があるんだろうか。もっと、根本的な対応が必要なのに。
……そういえば、シスターさんはこんな感じで心を膿ませていったんだっけ。
自暴自棄になっていた彼女に対し、僕は何と言って励ましたのだったか。忘れてしまった。何かとても無責任なことを言ったような気がする。
戦う理由か。僕が戦っているのは、未来の情報を得て頭がおかしくなったからだ。主人公ちゃんの参考にはならないだろう。
精霊さんも同じく参考にならない。彼女はそういう使命を持つ存在だから、自分で戦う道を選んだわけではない。
でも、僕の知り合いのあの優しい人たちなら。強制ではなく、自らの意思で戦う道を選んだ人なら。迷える少女を導く方法を知っているかもしれない。
夜空を見上げ、主人公ちゃんに対して抱く一番強い想いを振り返る。
"こんなことになると知っていたら、わたしは契約なんてしなかったのに"、"どこか、遠い所へ行きたい"。そう言い残して、崖から身を投げた彼女を覚えている。
"わたしは一人で戦っていた。わたしだけが頑張っていた"、"わたしを責める資格がある人間は、この世に一人も存在しない"。そう呪詛を吐いて、闇への誘いを受け入れてしまう彼女を覚えている。
この物語を終わらせて、君を主人公なんかじゃない、普通の女の子に戻してあげたいんだ。
以上、ここまでがプロローグでした。
ユウ君、想いはちゃんと口に出さないと伝わらないぞ。