よく晴れた日曜日
ぽかぽかと日差しが暖かく、思わずうとうとしてしまうほど。
高木雅利は友達である、天宮悠里と
デートに出かけるのだった。
「悠里ちゃん、まだ…だよな」
時刻を確認すると、まだ待ち合わせの十分前。
待ち合わせをしている
天宮悠里は、まだやって来ないだろう。
待ち遠しくて、何度も時間を確認してしまう。
と、そこへ。
「雅利君! お待たせ!」
元気いっぱいな明るい声が聞こえてきた。
振り返ると、そこには会いたかった人の姿が。
「悠里ちゃん」
名前を呼ばれ、えへへと無邪気に笑う悠里の姿に、雅利は安心した。
自分の好きな悠里の無邪気な笑顔は変わっていない。
久々に会った悠里は、清楚系で大人っぽいファッションで、やって来た。
背が少し伸びて大人っぽくスラッとしている。
「楽しみすぎて早く来ちゃったかなーと思ったら、
雅利君の方が早かったね! 会えなくて寂しかった?」
悠里も今日を楽しみにしてくれていたのだと思うと、
思わず笑みがこぼれそうになる。
だが、雅利は平静を装ってこう言った。
「別に……連絡は取りあっていたから」
「もう、素直じゃないなぁ」
拗ねたように悠里が頬を膨らました。見た目は大人っぽいのに対して
悠里はたまに子供っぽい動作をする。そういうところも、雅利は好きだ。
トレーナーのお姉さんからアナウンスがあった。
「皆さん、本日はイルカの触れあい体験に、
お越しいただきありがとうございます。
イルカたちも私たちも大変喜んでいます。ここで、体験コーナーです。
イルカに餌をあげたい人~」
「はーい!」
と、悠里が自分の手ではなくなぜだか雅利の手を挙げた。
「ちょ、悠里ちゃん、何やって…」
「はい、じゃあ、後ろの席に座っているお二人! お願いします!」
悠里と一緒に指名されてしまった。
イルカの近くまで行き、トレーナーの指示に従って、餌をあげる。
初めての体験のため、幾分緊張したが、イルカは美味しそうに餌を食べていた。
その後、お礼を言っているのかは分からないが、
イルカが尾びれをヒラヒラさせている。
「ショー楽しかったね、雅利君」
「そうだね。次は魚を見ようか」「うん!」
次に二人は、クラゲのコーナーにいた。
「雅利君、見て。このクラゲ、光っているよ」
小さい水槽でぷかぷかとクラゲが泳いでいる。
「綺麗だね」「だよね! 泳いでいるところ、可愛いなぁ」
薄暗い中で、白く綺麗に光っているクラゲたち。幻想的だ、と雅利は感じた。
それから悠里に手を引かれるまま、大水槽に移る。
そこにはジンベイザメやエイ、色々な種類の魚が泳いでいた。
魚や水槽の近くにある説明書を見ながら、二人は水族館を楽しんだ。
「お土産、見ていこうよ」
出口付近に着いたところで、雅利は切り出した。
「もちろん!」
悠里もその気だったようで、二人はお土産コーナーへと入っていった。
イルカやジンベイザメのぬいぐるみ、サンゴやカクレクマノミが
プリントされたクッキーなど、
色々なものが売っている。「あ、あのさ、悠里ちゃん」
面と向かって言うのが恥ずかしくて、
悠里が商品に夢中になっている隙に話しかけてみる。
聞こえなくてもいい、とさえ雅利は思っていた。
「なあに?」
きょとん、と悠里が首を傾げる。
「……おそろいのもの、買わない?」
悠里と会えたのは久々だ。今日の記念に何か形になるものがあれば、
と思い、雅利は提案してみた。
「買おう!一緒に選ぼっ!」
心なしか悠里の顔がぱああっと輝いたような気がした。
二人はぐるりとお土産コーナーを見て、色違いのシャーペンとくっつけると
ハートになるイルカのキーホルダーを買った。
「楽しかったね! 今日はありがとう」
水族館を出た後、悠里は満足げに笑顔でそう言ってくれた。
「あれ? 雅利君は、楽しくなかった?」
すぐに答えなかった雅利に、悠里は不安そうにこちらを振り返った。
その隙に。
雅利の唇に温かいものが触れた。
「とても楽しかったよ。ありがとう、悠里ちゃん」
「き、キスするときは言ってよ!でも…嬉しい…」
悠里は恥ずかしいようで、赤い頬を両手で包み込んだ。
「また出かけようね」
「うん。今日買ったシャーペン、早速学校で使うね」
「うん、わかった」
たわいない話をして、水族館を後にする。
今日一日、可愛い幼馴染である悠里に会えてとても幸せだった、
と雅利は思うのだった。