転生したら最凶最悪の邪竜だった件   作:カルカルパッチョ

11 / 29
感想がありがたい...!自分でもいまいち転スラの設定について分かってないからもっと教えてくれ。



10話 勝者は敗者の血肉を喰らう

「アオォォォォォォォオン!!!」

 

開戦の合図は『ロンリーハウンド』の遠吠えだった。

 

数多の怪物たちが咆哮を上げつつ俺に向かってなだれ込む。そいつらが俺に近づく前に尻尾を振るって全方位を攻撃する。

 

殺せたなら良し。殺せなくても牽制として歩みを止められたら良し。回避することもあたわず、全力で振り抜いた全てを引き潰す一撃は──被害ゼロで止められる結果となった。

 

想定外のことに停止した思考は多方向から来る衝撃で覚醒した。その攻撃も一番の弱点である前足より発達していない後ろ足を集中して攻撃したものだ。

 

仕切り直しに【火炎吐息】を放つも、モンスター達はすでに届かない距離まで退いているし、俺の尻尾を止めた場所には燃え移った様子はない。しかもすぐに水が飛んできて鎮火されてしまった。

 

そこに見えたのは冷たく感じるほど真っ青な甲羅。俺の【竜鱗】から【竜鎧】へと進化させるために使った【外殻装甲】の持ち主がいた。

 

名前は『軍隊ガメ』。エクストラスキル【団結の力】を持つ、俺があった中で一番硬いモンスターだ。一部、モンスターの種族が必ず持つ固有能力を持っているカメ。

 

その固有能力は『軍隊ガメの数だけ堅くなる』こと。【団結の力】の効果は同じ種族に同じ分だけバフを盛るみたいなものだ。

 

もちろん【団結の力】はエクストラスキルなだけあり、持っていないヤツもいるのだが、【看破者(ミヌクモノ)】でざっとみた結果2/3は取得している。

 

それが約20体。どうりでビクともしないわけだ。

 

その影からチクチクと他の奴らも攻撃してくる。ダメージはそうでもない。当たり前だ、トカリプトルの速度でも貫き切れなかったものだぞ。

 

鬱陶しい攻撃を無視してカメに攻撃しようとした瞬間、頭の中に【危機感知】の警報が鳴る。しかし、反応する前に腹に衝撃が走った。

 

「ガハッ──」

 

口から空気が漏れる。【苦痛耐性】を持っていても痛覚はあるし衝撃も感じる。腹に感じたものはトカリプトルほどではないものの相当な大きさだった。

 

そしてその大きさで俺が目で追えないほどのスピードを出せるモンスターを俺はそいつしか知らない。

 

俺が幾度となく罠にかけ、その肉を喰らい、ドッグシーフが奪うほどエネルギーが高いどこまでも駆け続ける。『レッド・ボア』であった。

 

これで敵は俺の攻撃を通さない絶対的な盾と俺に確実にダメージを与えるだけの矛が揃ったわけだ。

 

俺の動きが止まったのを好機と見たか、もう一度全方位からなだれ込んでくるモンスター達。だが、二度目が通じるとおもうな─よッと!

 

尻尾を垂直に振り下ろし、重力を加えた重い一撃を繰り出す。もちろん軍隊ガメが届かないような方向へとだ。

 

だがそれも空振りに終わる。なぜならそれはタダノガニが出した幻影だったからだ。

 

砂ぼこりが舞い、視野が狭まる。そんな時に俺は【危機感知】が作用するよりも前に左腕を右に向かって振りかぶった。

 

肉を潰すような感覚をおぼえつつ、逆に無防備になった腹へとレッド・ボアの突進が突き刺さる。...どうやら俺が倒したのは別のモンスターだったようだ。

 

この状況では周囲に紛れて【万能感知】が役に立たない。だからこそ山勘で腕を振るって『当たるまで殴れば当たる』を実行しているのだが、これが誰かに操作されてるんじゃないかと思うくらいあたらない。

 

そして俺の体力が尽きかけていたころ、ようやくお目当てのものが届いた。

 

(あぁようやく終わった...)

 

『解析完了。情報より該当するスキルの獲得』

『成功しました。スキル【肉体改造】【高速飛翔】【高速演算】【演算省略】【毒霧操作】各種耐性を獲得しました。』

 

『続いて、条件を満たしたため各種耐性を統合し、【状態異常耐性】を獲得』

『成功しました。』

 

『続いて、【高速演算】【演算省略】【自動演算】【思考加速】【並列思考】【看破者(ミヌクモノ)】を統合。』

『成功しました。【看破者(ミヌクモノ)】は【予見者(ミサダメシモノ)】に変化しました。』

 

俺に『世界の言葉』が終了を伝える。

 

声が聞こえなくなると同時に尻尾と前足を叩きつけ、砂ぼこりを起こす。俺が先に仕掛けてきたからか、またはやけくそになったと思われたか。どちらにしろモンスター達は一瞬攻撃すべきかを躊躇った。

 

そして俺はその一瞬の時間が欲しかった。

 

必要なのはイメージと行程。

 

腕の皮膜は背中に移動。そのままとじ込むようにして背中に隠す。前足よりも後ろ足を太く発達させ、二足で立てるように。からだの全体を小さくして足への負担を小さく。...とまぁこんな感じか。最後に俺の人間像を想像(イメージ)すれば──

 

「ふっ完成だ!」

 

髪の毛は鴉の濡れ羽色というような色で目は髪とは真逆の白。体は男としたらちょっと低め?と思うくらいの170センチ。

 

うわぁ全然違うな。手を組んで大きく延びをして体を慣らす。ポキポキと小気味良い音を鳴らしながら周りを見渡す。

 

モンスター達は一回り大きくなり(実際は自分が小さくなったからそう見えるだけだが)威圧感も増したように見える。

 

急に巨体から変わったのに驚いているのか唖然とした様子で見つめるモンスターを横目にスキルの動作を確認していく。

 

【竜鎧】ヨシ!【状態異常耐性】ヨシ!【魔力炉】ヨシ!【万能感知】ヨシ!【吐息】系ヨシ!【破壊者】【拒絶者】【浸蝕者】【予見者】【譲渡者】ヨシ!ヨシ!ヨーシ!

 

さっきまでトカリプトル(ユニーク)の解析に頭のほとんどを割いていたから出来なかったユニークスキルも発動出来てるな。同時発動も可能になったし。

 

指先から燃料(魔素)を出してちょっとだけ【火炎吐息】。燃え上がった炎にどんどん燃料を入れ、温度を上げていく。

 

さすがにこの熱に目を覚ましたのか、茫然自失といった様子だったモンスター達が俺の行動を止めようと動き出す。

 

ま、もう遅いけどな。

 

転生前に聞いたことあるヤツだが、炎を超高温にさせるとプラズマを発生させることが出来るらしい。それが今俺の手のひらで起こっている現象だ。

 

力技でプラズマと炎を分離させ、雷として周辺の空中に留まらせてから下に向かって──打ち下ろす。

 

「落ちろ─!」

 

空を引き裂くように落ちた雷は進み出した歩みを止めるには十分な威力であり、さらに軍隊ガメが苦手な属性であったがために二匹ほど殺すことが出来た。

 

しかし、俺の攻撃はまだ終わらない。

 

【肉体改造】を使って人になるついでに直した右腕に残った炎を自分が居たところのちょうど真上あたりに放り投げる。

 

──瞬間、音が消え、すぐに大爆発が起こり、全てを焼き尽くす。

 

実は仕込みはすでに完成済みであった。

 

砂ぼこりをあげると同時に二層構造の【拒絶者】でモンスターを囲むような一層目と俺だけを囲む二層目。

 

一層目の役割はモンスターを逃がさないこと──ではなく、逃がさないのは熱と水である。

 

一層目が出来た時点で【猛毒生成】によって水蒸気を作り出す。より正確に言うならば()だ。

 

水だって摂取しまくれば水中()になるのだ。そもそも毒は基本取り込みすぎたから害になっているだけなのだ。そう考えると何でも作れる気がしてきた。

 

気づかれないように足元に水溜まりが出来るほどに。

 

そうして出来たところを電気を流して分解する。...もうおわかりかな?水は電気分解されると水素が発生するのだ。

 

そこに炎を投げ込むことで皆さんご存知、水素爆発を起こせるということだ。つまりさっきの爆発は意図的に起こしたものである。もっとも──

 

 

見下ろした先にあるのは半径数キロにわたる巨大なクレーター。

 

 

──こんなになるとは思っていなかったけどね。

 




『ロンリーハウンド』
基本的には一匹で戦う文字通り一匹狼(犬)。
高速移動からの噛みつきや鋭い爪での攻撃で相手を翻弄しつつ、倒せなければ即時撤退する面倒なヤツ。

『軍隊ガメ』ATK 0 DEF 1700
数が多くなるほど防御力が上がる質より量というより質も量もという感じのモンスター。
某カードバトル系遊びの王様風に言うと場の軍隊ガメの数×200、場の軍隊ガメのDEFが上昇。戦闘時、ATKの半分をDEFに上乗せする。(団結の力装備)

固有能力
先天的に持っている能力のこと。スキルとは違い、同じ種族なら同じ固有能力を持っている。

ヴェルダナーヴァの一人称って?

  • 僕(作者はコレ)
  • オレ(主人公と分けるため、カタカナ)
  • ナーヴァ
  • 拙僧
  • 一人称ナシ(作者の負担が増大)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。