転生したら最凶最悪の邪竜だった件   作:カルカルパッチョ

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あと4話ぐらいで原作キャラ出せると思う


11話 困難(リターン)には相応の報酬(リスク)

山の突出した崖の上で一つの影が震えていた。目線の先には自然豊かだった平原は見る影なく草は焼け、飛び散った血肉は焦げ、巨大なクレーターが出来上がっていた。

 

(こんな...こんなはずではなかった─!)

 

その顔に浮かぶのは驚愕。

 

標的に変化が訪れた瞬間、急に起きた大爆発。あれだけで差し向けていた八割のモンスターが死んだ。

 

──何だあれは、想定外だ

 

そしてそれ以上ある感情が焦燥だった。

 

次、殺られるのは自分なのではないか。

すでに居場所がバレているのではないか。

 

優秀な頭脳が考えたくもない思考を広げていく。

 

種族の中でも自分だけが特別だった。誰も知らないことを自分だけが知っていた。分からないことなんて今までの一度もなかった。

 

企画者(クワダテルモノ)】それが私のスキル。私だけのスキル。

 

一族の中でも私だけ違った。嫌われ避けられた。私だって仲間に入れて欲しかったのに誰もがいないものとして扱った。

 

そんな時に目に入ったのがアイツ。

 

誰もが嫌いな、私よりも疎まれたアイツ。

 

本能的に殺さなきゃと、取り返しのつかないことになるとみんなで襲いかかったアイツ。

 

それでも誰もアイツを倒せなかった。

 

夜のように鈍く光る黒い鱗も。失われた右腕を補うように自在に操る尻尾も。あらゆるものを噛み砕く強靭な顎も。それ以上に破壊する圧倒的なパワーも。誰もがそれに阻まれた。

 

だからこそアイツを殺せば今度こそみんな認めてくれる。私を『家族』という輪の中に入れてくれるはずだ。そう思った。

 

それからずっと観察してた。気づかれないように、息を殺して、気配を消して。そのうち【消音】と【隠密】のスキルを獲得したりして、どうにかバレずにここまで来た。

 

作戦を練って、みんなに伝えて、襲撃回数を徐々に減らした。アイツを油断させて好機が来るように。

 

私と似た者同士のアイツが生まれる前のここの主に情報をリークしたりして、仲間をかき集めて、5桁を越えるモンスターが集まってくれた。

 

今まで必死に集めた情報、アイツのクセ、縄張り、一対多数での戦い方。足りない情報を埋めて、継ぎ足して、長い時間をかけてようやく出来た作戦。

 

──その全てをまとめて焼き尽くされた。

 

そんなの一度だって使ってこなかったじゃないの。何よ、そのスキル。何よ、その姿。何なのよ、その強さは!

 

分からない、分からない。こんな感覚は初めて。

 

そんな時に響いたの。高速で落ちてきたものが地面を踏みしめる音と衝撃が。

 

「イッテェェ!くっそ、思ったより吹っ飛ばされたー!...で、お前が首謀者だな。」

 

いつもより小さい体なのに中身は圧縮されて強く見える。

 

「いやー分からなかったぜ。俺が知らないユニーク持ちがまだいたなんてなぁ。しかも知識系の能力か...どうりで妙に統率がとれてると思った。」

 

アイツが一歩踏み出すたびに私の体が勝手に後退する。焦点が定まらないし、体の震えも止まらない。

 

すでに後ろは断崖絶壁。それでも逃れられぬもの()は歩みを止めない。

 

「じゃあな。」

 

振りきられた右腕は私の腹を貫通し、的確に命を削りとっていった。血が流れ出すのが止められないことから何か細工をしたのだろう。

 

不思議と死ぬ恐怖を感じなかったため、残された少しの時間を何に使おうかと考えているときにアイツが口を開いた。

 

「あぁ、そうそう伝えたいことがあったんだった。」

 

アイツが背を向けた状態から振り返る。なに、最後に嘲りか?そう思っているところを真剣な表情で見つめられ、

 

「──良い策だった。もうちょっと解析に時間かかってたら危なかったな。」

 

「   」

 

そう言い放ったのだった。

 

本当は分かってた。コイツを殺したところで輪の中に入れるわけじゃないって。次の脅威として今度は私が排斥されて追われる番だって。

 

あの化け物みたいな大きいスライムをアイツが殺してからみんなの殺る気が、警戒度が引き上がったんだからアイツを倒した私も同じようにされるって。

 

でも仕方がないじゃないか。私が焦がれたものを手に入れる可能性が万に一つでもあるのなら、すがり付くしかないじゃないか。

 

それが最後の思考となって私は空中に溶けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

想像以上に強い爆風で空飛んでたら黒幕らしきヤツが見えたからつい殺っちゃった☆そう俺だ。

 

俺がついさっき殺したのは『ウォーラット』のユニーク。他のモンスターとは違い、鋭い爪も倒すための力も持たない非力な存在ではあるが、類い稀な頭脳を持ったモンスターだ。

 

今回の件で分かったが、一番気をつけなければいけないのは強靭な体をもつモンスターではなく知性を持つモンスターだ。

 

策すらも正面から打ち破れるだけの力があれば別だが、俺はまだそこの域まで行くことが出来ていない。スピードも、パワーも、テクニックもだ。

 

まぁ、後は帰ってから考えるか

 

『魔素保有量が一定以上に達しました。これより進化を開始します。』

 

「──ォオ!?」

 

急に襲う虚脱感に思わず膝をつく。【肉体改造】が解除され、竜の姿に戻された。すぐに眠気が押し寄せてきて体が鉛になったかのように動かない。

 

やっべ、力が...抜ける!進化?マジかよこんなに辛いもんなのか!?とにかくどうにかして家には戻らねぇと襲われる!進化中で抵抗出来ずに死んだとか笑えねぇぞ!

 

這うことで少しずつ移動していたがそれも限界を迎えた。ついに目蓋が降りてきて、抗いようのない心地よさに包まれながら深い眠りへと落ちていった。

 

最後に犬のような鳴き声を聞きながら。

 




転スラ読みなおしするので次の投稿遅くなります。戦闘シーン終わったし遅くてもいいだろ。ガハ

『ウォーラット』
多くの魔物を先導し、戦争を起こすネズミ。
非力ではあるが誰もがその言葉に騙され、戦争に参加してしまう。そして勝った方を殺──すのではなく、そのおこぼれに預かる基本的に強者につくモンスターである。しかし、その特性から多くの魔物に嫌われることがある。

ヴェルダナーヴァの一人称って?

  • 僕(作者はコレ)
  • オレ(主人公と分けるため、カタカナ)
  • ナーヴァ
  • 拙僧
  • 一人称ナシ(作者の負担が増大)
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