転生したら最凶最悪の邪竜だった件   作:カルカルパッチョ

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ようやく出せる...お待ちかねのあの方だよ!



19話 闇夜を照らす星の輝き

──殺した

 

手が赤く、紅く染まっている。

 

──ころした

 

返り血と肉片がくっついて気持ち悪い。

 

──コロシタ

 

もう家族の名前や種族すら思い出せない。

 

──俺が殺した(壊した)

 

あの優しく暖めるぬるま湯のような幸福も、時に遊び時に本気で怒った戯れも、ただただ惰眠を貪る時間も、冬に小さな布団で身を寄せあった温もりも

──全て俺が壊した。

 

いままでの記憶が浮かんでは消え、なかったはずの記憶が走馬灯のように流れていくクセに種族名も、その容姿も、何もかもがもやがかかったように出てきてはくれない。

 

悲しみに暮れるなか、洞窟に激震が走る。キメラ達は帰ったと見せかけて潜んでいたのだ。普段なら気づいていたかもしれないが蓄積された疲労から考えるのを止めたことで見逃してしまっていた。

 

そんなわけで奇襲を受けたのだが、竜は何もせずにこのまま死ぬつもりだった。

 

(もう、疲れた)

 

100年以上生きてきた。命を追われ、戦闘に次ぐ戦闘の日々。つかの間の休息すらも敵にとっての準備期間であり常日頃から警戒の網を張り巡らせた。一番は初めて一方的に命を奪ったときの鉄の匂い。

 

一つ一つは小さくても積もり積もって俺のココロを蝕んでくる。

 

疲れてしまったのだ。平和のへの字もない殺伐とした世界に。弱肉強食という自然の摂理に。

 

ピシッ、ミシッ、ピキピキピキと次第に大きくなる予兆に耳を傾けて──

 

 

 

──そんな時、視界の端に白い布を捉えた。

 

布団のように平たく長方形の形をしているが、一つの短い方から膨らんだ半球がくっついている。詰まるところ羽織るタイプのフード付きローブのようなものだった。

 

そう言えばいつの日か『クロウサギ』という幸運を呼ぶウサギを10体ほど狩ってきたとき、家族が内四体を絶対に離すものかといわんばかりに噛みついていたため、あげたのを思い出した。

 

そんな動物の皮から作られたからか、幸運にも俺が暴れた被害が出ることなく、俺の裁縫を見よう見まねで作ったのか所々ほつれているものの十分使えるレベルのものだった。

 

そこまで考えて、気づいたときにはそれを瓦礫から守るために覆い被さるように体が動いていた。

 

壁が、天井が、砕けて崩れ落ちる。

 

「グ、グゥオォォォォォ!!!!」

 

いくつもの大岩が雨のように容赦なくその巨体に降り注ぐ。受ける衝撃は計り知れず、翼の皮膜を貫くほどの鋭さのものもあれば、ひたすらに重くのしかかるものもある。

その衝撃に何度も膝を折り、何度も諦め欠けたが、目にうつる純白のローブを汚すまいと必死に身をていした。

 

洞窟といってもそこまで深度が浅かったことも幸いしてか、落石自体はすぐに終わった。それでも俺にとっては永遠とも感じられるような時間ではあったのだが。

 

もう一度言うが()()()()()すぐに終わった。

しかし敵が瀕死の重症である好機をヤツらが見逃すはずもなく、追撃として少し盛り上がっている場所へと次々に銃弾が撃ち込まれる。

 

「ッ────!!!」

 

体を貫かれる感覚に歯を食い縛りながらも竜はしぶとく生き残っていた。

 

その理由はただ単に()()()()()()()()に他ならない。

 

時に全てをひっくり返す“運”というもの。今回の、家に帰ってからの戦い(第三ラウンド)でいうならばおおよそ三つに分けられるだろう。

 

一つ目は精神が壊れかけた際に、ローブが()()()()()()()()()()()で目に入ったこと。

もしもそれに少しでも傷がついていたとしたら、罪悪感からさらに自分を責めて【破壊者】の名に恥じない行動を起こしていたことだろう。

 

二つ目は次々と撃ち込まれた弾丸が()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()こと。

いくら瓦礫に弾かれまっすぐ飛ばないとしても、何発も撃ち込まれれば話は別だ。例え1%だとしても100回やれば一回は当たるのだ。それが正確な位置が分かってはいないとは言えど真ん中に入らなかったことを考えると本当に、“運”がよかったとしか言えない。

 

そして三つ目は──

 

 

 

世界が灰色に染まる。

 

投げられた弾丸は勢いをそのままに空中で静止し、振りかぶった拳は前に進まず、沈みかけの太陽は位置を変えない。止んだ攻撃に訝しげに首を動かす竜だけが時間が停止した世界で動いていた。

 

『大丈夫...そうじゃないね。生きてるかな?』

 

突然、頭の中にひびく声にうろたえるも冷静な部分によって声の主が何かしたのだろうと推測する。

 

 

 

──何より、その姿が星王竜の目に止まったことだろう。

 

『星王竜ヴェルダナーヴァ』

 

一番最初に生まれた竜種であり、その力は世界の時間を止めるほどのものから、数多の星を創造するまでに及んだ。故にその管理者として多忙な日々を過ごしていた。

 

だからこそ普通ならば目に止まるはずもなかった。

 

そう、普通ではないからこそ“運”。

 

『たまたま』仕事が早期に終わり、

 

『たまたま』世界の中の様子が気になり、

 

『たまたま』一番最初に選んだのが竜のいる星だった。

 

これのどれか一つでも起きなければやられるのも時間の問題だろう。つまり竜はおそらく数十年分の運を使いきったことだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「....」

 

『.....あれ、聞こえてない?』

 

反応しなかったことに不安そうな声色をひびかせ、俺に問いかけてくる。

そこで俺が思ったことはただ一つ。

 

『あーあー、マイクテストマイクテスト。もしもーし聞ーこーえーてーるー?...え、まさかの無視?ちょっフェルドウェイ!これ本当に繋がってる?』

 

なんだコイツ?

 




シリアスをシリアスのまま終わらせるとでも思ったか?

ヴェルダナーヴァの口調がわからんぬ。


『クロウサギ』
黒兎という名の白兎。ややこしい。
集団で行動し『なきごえ』と『つぶらなひとみ』『いかく』によって攻撃力を下げることで自分の身を守る。これをされて10匹も倒したオリ主は人じゃない。
普通のウサギよりも二回りほど大きいが、その肉はパサパサしているため、捕まえる労力と見た目に反した食べられる部位の少なさから別名『苦労詐欺(くろうさぎ)』とも呼ばれている。

ヴェルダナーヴァの一人称って?

  • 僕(作者はコレ)
  • オレ(主人公と分けるため、カタカナ)
  • ナーヴァ
  • 拙僧
  • 一人称ナシ(作者の負担が増大)
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