転生したら最凶最悪の邪竜だった件   作:カルカルパッチョ

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ここで蜘蛛との戦闘は決着です。次の次の話から新章いくかも?



25話 決着

 

「いやー気になってたんだよ。」

 

岩に押し潰され、身動きが取れない。

 

差し迫るのは十分に溜められたブレス。その威力は竜巻を消し去り、片足も本の少しの抵抗すら許さず蒸発させるという結果ですでに示されている。

 

遠距離を持っていたとしても当たらないほどの距離まで離され、もはや取れる手立てはない。しかし、声だけはしっかりと蜘蛛の耳に聴こえていた。

 

どこの誰から見ても絶体絶命、にも関わらずその状況にある竜はうっすら笑う。

 

ついに放たれた必殺の光はまっすぐ飛び、竜を消し去る()()()()()

 

 

ぐにゃり

 

 

そのような音が聞こえてくるほどに、蜘蛛から放たれた光が何かを焼く音といっしょに折れ曲がる。まるで光が自ら方向転換し、竜を焼くことを拒んだかのように曲がり、竜の左上を通りすぎた。

 

「キシッ─!?」

 

蜘蛛はそのまま遥か遠くへと伸びて星になった光を唖然と見送りそうになるが、すぐに我に返り、視線を竜へと戻す。

 

「あれだけ強いキメラが竜巻に巻き込まれた後、帰ってくる様子が一つもないこととか。...いや、一番気になったのはあれだな。」

 

未だ囚われた身で喋り続ける竜が何をしたのか蜘蛛には見当も付かないが、ブレスを曲げたのが何かのスキルならば最初から使っているはず。何かしらの制限があるだろう、という結論に至った。

 

続けて一発目よりも細いがチャージ時間を大幅に削減し、速度に優れたブレスにして二発目を放つ。しかし、これもまた曲げられ当たらなかった。

 

「竜巻が取り払われた後、俺がお前と相対したとき、始めに打った小手調べのあれ。」

 

キシッ(ウルサイ)──!!』

 

不自然によく響く声を取り払うように、頭に浮かんだ自分の弱点に気づいている可能性を考え、左右に振って消し去る。

 

ぽつぽつと降り始めた雨をうっとうしく感じながらも今度こそ確実に仕留め、再度曲げられることを防ぐため即座に三発目のチャージへと入る。

 

──違和感。

 

その正体は分からず、竜の声に不安を煽られているだけだ、と無理やり納得してチャージを再開する。

 

「俺の【竜の息吹】──ダメージなんてないはずだよなぁ...()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

キシャァァァァ(黙れだまれダマレェェ)!!!』

 

怒りで震えそうになるのをすでに強くなった雨が蜘蛛の体を打ち付けていたことで少しだけ冷静に戻す。

 

───違和感。

 

そうだ、やはりおかしい。なぜ──なぜ()()()()()()()()()()()()()()()()

 

空には黒い雲が太陽を覆い隠し、今までの熱射がウソだったかのように少し肌寒い風が吹く。

 

冷静になったことで正常な思考を取り戻した蜘蛛が考えを巡らせた。

 

まずい!雨が岩に染み込めば結合が切れて竜が解放されてしまう!まずはこの雲を払わねば!

 

竜から目を離し、溜め込んでいたブレスを雲に向かって打つために解放しようとする。

 

この時、蜘蛛は焦っていた。冷静に戻ったとしても変わりがないほどに。

 

全てを貫き破壊すると短い間でもその威力を信頼していたブレスが絶体避けられない状況で二度も外された。

 

竜の不敵な笑みと声も焦りを助長させるものだったのだろう。

 

追い詰めているのは蜘蛛のはずなのに逆に追い詰められているような焦燥感。そのせいで普通の砂岩ならともかく、スキルで結合された砂の間に水が入るわけもないのに可能性を考えてしまった。

 

ついには目も離した。戦闘において敵から目を離すというのは一番やってはいけない行為だというのに。

 

「助かったぜ。これでまだ冷静に行動してたんなら俺が死んでた。」

 

いつの間にか懐に潜り込んでいた竜が竜人形態の姿で蜘蛛の顎にむかってアッパーを放つ。

 

前回とは違い、打ち上げるように来た打撃は的確に脳を揺さぶり、最初の不意打ちのようにブレスに指向性を持たせる暇もない。

 

 

ドグオォォォォン

 

 

今度こそ確実に入った攻撃。さらに衝撃で意識が飛び、体重を支えきれなくなった体が沈む瞬間に二発目を腹に入れる。

 

「もう手は緩めねぇよ。ところで『酸性雨』って知ってるか?いま降ってるこれはその何倍もの強酸で出来ててよ。【毒霧操作】!」

 

空中の雲が竜のスキルによって蜘蛛の頭上で渦巻く。そしておもむろに上に掲げた右腕を勢いよく振り下ろした。

 

「【魔毒の鉄槌(フォーリンダウン)】!」

 

──瞬間、いままで降っていた量とは比べ物にならないほどの雨が滝のような水流となって飛んでいる竜以外の全てを溶かし、洗い流す。

 

『ギォガァァァォァ!?』

 

当然、蜘蛛も逃れることどころか抵抗すら敵わず水流に飲み込まれ、次に顔を出したときにはボロボロの体であった。

 

『■■■■■■■───!!!!!』

 

それでも、生きている。毒の滝が溶かしたのはあくまでも表面だけであり、完全に倒しきるには同じ質量の攻撃をもう一度繰り出さなければならない。

 

しかし先ほどの毒の滝をもう一度出すほどの水は黒雲には残ってはいなかった。そもそも、この雨は蜘蛛に打ち出した水が蒸発して出来たものであり現状すぐに蒸発させるほどの力はない。

 

それを知ってか知らずか。激昂した蜘蛛は一直線に竜へと向かう。

 

その様子を見ても竜の表情は変わらず、正面から蜘蛛と向き合い、

 

「おわりだ」

 

直後、蜘蛛に狙ったかのように巨大な雷が墜ち──

 

 

『ギ...シシ......シ..............』

 

 

──その巨体を地に沈めた。

 





蜘蛛くんのプロフィール

『レーヴシュバリエ』
巨大な蜘蛛の怪物。オリ主が殺したまま放置されたモンスターたちの魔素から生まれた。
生まれたのはたった一匹にもかかわらず、【統一者(全なる個)】の能力により合成獣キメラを作り出した。
【統一者】の所持者には効果がないものの『スキルの共有』という規格外の能力を操られる者に付与するため取り込んだ相手によっては星すらも壊しえる存在になっていた。
現在、【統一者】は星王竜ヴェルダナーヴァによって大幅に改変され【統率者(ヒキイルモノ)】に変わっている。

強さ的にはカリュプディスにユニークスキルを与えて防御力を強化して【超速再生】を失わせた感じ。
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