俺が産まれてから既に5日がたった。
いや正確な時間はわからないけど5回ほど日が昇って沈んだのでそれぐらいは経っている。
なのにこの5日間、一度も─そう一度も親らしき影どころか生物すらみたことがない。
どうにか草を食べて食い繋いでいるが、最強のドラゴンとはいえまだ子供だし空腹には勝てぬ...
いや、もしかしたら種族でかえるタイミングが決まっててその時に来るのかもしれない!オレが転生者で早めにかえっただけでな!
べ...別に寂しくなんて無いんだからねっ!
もさもさと草を食べながらそんなことを考えていると後ろからパキッという音が連続で聞こえてきた。
後ろにあるもの当然俺がいた巣である。ようやく目覚めたかと思って振り返れば、そこには俺より少し大きめの体躯を持った鳥のような生物が殻から出てくるところだった。
( は ? )
─俺は目を疑った。それはそいつらの体のデカさにじゃない。
別に全く違うというわけではない。大体のシルエットは同じだ。だが構造が違う
後ろ足が俺より発達し、前傾姿勢の二足歩行タイプ。腕についている翼は鳥のような羽で滑空すら出来なさそう。しかし流線形のフォルムは素早く走りそうだ。
そう、それは前世でもいたことが示唆されていた恐竜というものに良く似ていた。
すぐに【鑑定】のスキルを恐竜もどきに使う
────────────────
トカリプトル(幼体) 種族:亜竜
コモンスキル
【瞬足】【危機察知】【狩猟本能】【毒牙】【毒耐性】
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【鑑定】した結果をみて思わずかたまった
種族:亜竜...竜じゃなくて...?
それがいけなかったのだろう。さらに困惑が他の感情に勝ち、相手をみてなかった。
その三体が天敵を見るかのような目でこちらを見ていることを。
右後ろに体が引っ張られる。次に感じたのは解放感と肩のあたりの涼しさ。そして──
「──ガアァァァァァァァア!?」
──今まで、前世も合わせて感じたことのない“激痛”だった。
すぐさま違和感のある右肩を見る。ない...ない。ついさっきまであったはずの、右腕がない...?
ピチャピチャという音に後ろを振り向けば群れている三匹のトカリプトル。その足元に赤く染まり、すでに半分が欠けている俺の腕が転がっていた。
恐怖を覚えた。命の危機を感じた。平和な日本での感覚が音を立てて崩れた気がした。
動けなかった
音が消える。こちらを見る。その三匹の獲物を見る目はまっすぐに俺を射ぬいてこう言った気がした。
『 次 は お 前 だ 』
俺は走った
腕を失ったせいでとれないバランスも
竜であるということも忘れてただひたすらに走った
死にたくない 死にたくない
その感情だけが俺の足を動かした
冷静さを取り戻したときにはもうどれほど走ったか分からなかった
それでも冷や汗が止まらない
あんな目を向けられたことなんてなかった。当然だ、平和な日本にいたんだから。
今更だがこの霧も5日の間一度も晴れたことがなかった。そういう気候なのだろうか、とも思ったが今からでも調べる価値はある。
そう思って霧にむかって【鑑定】を使用した
『毒霧』
結果が出る
『毒霧』 『毒霧』
『毒霧』 『毒霧』 『毒霧』 『毒霧』
『毒霧』 『毒霧』 『毒霧』 『毒霧』
『毒霧』 『毒霧』 『毒霧』 『毒霧』
『毒霧』 『毒霧』 『毒霧』 『毒霧』
『毒霧』 『毒霧』 『毒霧』 『毒霧』
『毒霧』『毒霧』 『毒霧』 『毒霧』『毒霧』
『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』『毒霧』
...は?
かちりとピースがはまった音が聞こえた気がした
だからトカゲも鳥も虫の一匹すらいない
何故ならそこに来るまでに毒で死ぬから
しかも子供の毒耐性を強化するために外に行くにつれて霧が濃い気がする
早く...!早く逃げなければ───何処へ?
外に向かっても耐性すらない俺では耐えきれない
少しでも生き残るためにあそこに戻らなきゃいけない
行きと同じで死にたくないという感情が足を動かす
思考が鈍る 足が重い 体がだるい 音が聞こえない 鼻がきかない 目が霞んできた 足の感覚もない
じっくり、ゆっくり、じわじわと
何かが失われ少しづつオレの体を蝕んでいく
あと少しだ──どこまでだ
霧が晴れてきてる──霧の濃さなんて分からない
まだ走れる──もう無理だ
諦めたら死ぬ──楽になりたい
考えずに足を動かせ──何でだ?
考えるな──何で俺がこんな目にあわなきゃいけない?
そんなの自分のせいだ──世界のせいさ
ようやく霧が晴れる。視界が広がる。足がもつれる。地面に倒れる。
体力は底をつき、空腹で力がでず、内部は毒に侵され、外部からはたった今目の前に現れた三体の脅威に破壊される。
生きなければ──死にたくないだけだろ?
あぁそうだ──ようやく気づいたか?
こいつらはオレを殺そうとした──そうこの世界は
『
俺のスキルである【思考加速】を使い体感時間を引き伸ばす。時間がゆっくりになった感覚だ。
今の状態で消耗がおおきいユニークスキルは使えない。やるならコモンスキルのほうが良い。
一匹のトカリプトルが【瞬足】を使いつつ噛みつこうと頭を伸ばす。それを左に転がり、腕で地面をなぐる反動をつかって立ち上がる。
前の動きとは明らかに違うそれに思いがけずにトカリプトルの動きが止まる。その隙を逃さずに地面を蹴って接近、そして力のままに一匹の首を噛みちぎった。
一瞬で絶命したのを見た二匹も動きが止まるとおもい、突撃したスピードを利用して頭部に蹴りを放つもぺたんと地面にひれ伏すことで回避。
続けてかかと落としを決めるもすでに下がった後で地面をえぐるだけだった。
自分が攻撃しようとする前に避けられたことからこれが【危機察知】の能力であることだと推測する。今も無策近づけば死ぬと分かっているのか睨みながら動かない。
残りの二匹に警戒しつつ先に殺した一匹に食らいつこうとする。しかし、それを許す者ではない。
二匹とも【瞬足】を使い、一匹はフェイントを交えた挑発で注意をひき、もう一匹は俺の右側から回り込み死角にはいる。
粗末ではあるが俺には有効な策ではある。攻撃系のスキルがない俺の一番の武器は強靭な顎による噛みつきである。それを【狩猟本能】の能力で感じ、背後についた。
その理不尽さに嘆いても状況は変わらない。
食いちぎった分、余裕はあるがユニークを一瞬発動させるだけでもガス欠になる自信がある。何より背後からの攻撃が防げない。
そこで思い出したのは前世の記憶。視覚を失うと他の感覚が鋭くなるという記憶だった。
藁にもすがる思いで目を閉じて感覚をとぎ澄ます、外にある酸素を取り込んだりして感じる感覚。少しは見える霧のような物の流れを感じとるように...。
トカリプトルはその光景に違和感を覚え、逆に警戒した。そう、警戒してしまった。その行動が最大の勝期を逃したといっても過言ではない。
この時は毒によってほとんどの感覚が制限されていた。触覚、嗅覚、聴覚がすでにないのにかろうじてあった視覚ですら捨てたのだ。故に、それは起きた
『確認しました。』
『エクストラスキル【魔力感知】を獲得』
『成功しました。』
その声が聞こえたと同時にスキルをONにする。すると自分の世界が広がり全てが手に取るように感じる、分かるという全能感に浸りそうになった。
トカリプトルは痺れを切らしたのか【瞬足】を使って飛びかかってくる。タイミングは同時、【魔力感知】がなかったら冗談抜きで死んでいたかもしれない。
分かったことは【瞬足】は直線にしか動けないことと使う前に少しのタメがあることだ。だから意外と捉えるのは難しくない。直線上に攻撃を置くだけでいいのだから。
後ろから来るヤツは尻尾で地面に叩きつけ、前から来るヤツは頭ごと噛み砕いた。
前のヤツはそのまま絶命、背後のヤツは気絶していただけだったので首を食いちぎった。
5日ぶりのマトモな食事に豪快にかぶりつく。
ぶちぶちと肉を切る音が聞こえる
喰らえ 蝕め 毒のように
『確認しました。』
『ユニークスキル【
『成功しました。』
『続いて、ユニークスキルに付属したスキルの獲得』
『成功しました。【毒食み】【毒耐性】のスキルを獲得しました。』
「─────」
俺の勝利の雄叫びが天をついた
原作の【魔力感知】って簡単に取れてるけどあれって【大賢者】がいたからだよな?エクストラだし簡単には取れないよな?ってビビりながら書いてました
ヴェルダナーヴァの一人称って?
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僕(作者はコレ)
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私
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オレ(主人公と分けるため、カタカナ)
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我
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ナーヴァ
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拙僧
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一人称ナシ(作者の負担が増大)