〇〇の(ポケモン)トレーナー   作:カナーさん

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呆然です。
あっあと今回は賛否が分かれそうです。でもゲームの表現的には間違った表現ではないと思います。正直リオルのシナリオが公開された時点でこうなるのはわかっていました。


ゴールイン!でもきみにきまった

 この世界にきて驚いたことの一つ。

 ウマ娘は進化をしない。

 正確には言うならこの世界の生き物はあなたの知る進化に当て嵌まらない。

 ウマ娘は進化の変わりに人間と同じ様に産まれ、同じ様に成長する。

 もちろん、彼らにも老化はある。けれど人間ほど目に見えるほどの変化ではない。

彼らは進化をしない限り、フォルムチェンジなどがなければ人間と比べ、その姿はほぼ同じなのだ。

 

 なぜこんな話になっているかといえばあなたの希望を叩き折ったウマ娘。あなたは知らないが名をシンボリルドルフ。

 そして、あなたが最初にあったウマ娘。あなたは覚えれないだろうがトウカイテイオー。

 あなたが彼女が未来のチャンピオンになるかもしれないと思った理由の一つに彼女の進化した姿がシンボリルドルフだと思っていたことがあげられる。

 

 もちろん、チャンピオンと同じポケットモンスターを使えば容易に勝てるなんてそんな甘い世界ではない。チャンピオンが扱うのだがらそれに挑むチャレンジャー達が対策をしていないなんて夢を見すぎている。

とはいえ、軒並みいるチャレンジャー達を退けてきた実績は確かに魅力的である。だから子供がチャンピオンと同じポケットモンスターを強請ることもよくあること。

 

 強さという観点なら、あなたの保護者のサーナイトはカロスチャンピオンカルネのサーナイトには及ばない。なぜならあなたがあまり戦わせたがらないことからの経験不足などが挙げられる。

 それは戦闘経験というわけではなく、あなたが勝負に勝つための戦略からいかにサーナイトが傷付かないかという思考に陥っているためだがここでは割愛しよう。

 

 ではなぜチャンピオンと同じというだけでは強みにならないのに、あなたは彼女に未来のチャンピオンという思いを寄せたのか。

 

 そんなのは決まっている。シンボリルドルフという後押しがあったのは事実だがあなたが彼女に惚れ込んだのはその輝きだ。

 

 それは同期のヒカリ。

 それは後輩のメイ。

 それは仲間のセッシー。

 それは友達のリオル。

 

 彼女達が持っているなにかを成すそんな力。

 まるで劇のスポットラインが当てられている主人公のような常に魅入る煌めき。

 今まで魅せつけられたそれを、彼女から感じ取ったのだ。

 

 だからあなたは彼女の体を心配するし、彼女の姿から過去のあの子達を思い出すのだ。もう届かない大切な思い出達。

 

 だからあなたは彼女以外になにかを見つけたとしてもここまで関わることはしない。

 あなたができるのは良くて手の届く範囲だけでそれ以上を求めるなら届いたものすら満足に守れなくなる。

 

 チリーン

 

 バックに入っているやすらぎのすずが唐突にひとりでに寂しそうに主張する。

 

 はて、とあなたは首を傾げる。

 セットされたボールを触り確かめるも全員の感触が帰ってきた。

 他のコ達がどうなのかは知る由もないがあなたのポケットモンスター達はボールから出ないとサイコキネシスもイリュージョンも使えない。実は使えるのかも知れないがあなたは見たことがない。

 いや一匹だけ。あなたは小さなかわいい主張をするコを知っている。けれどそれはありえないと思っていた。

 

 あのコはよくあなたの周りをグルグル構ってほしそうに回っていたけど、でもボールには入れていなかった。

 一度は入れたけどなんとなく窮屈そうだったので出してそれからはずっとカラッポのボールと石があなたとの目に見える繋がりだ。

 グルグル回るものだから物覚えの悪いあなたでもすぐ名前を覚えて、それを嬉しそうにしてピカチュウを持ち上げるようにあなたを持ち上げていた。

 あなたがこの世界に持って来れた物はあなたが身に着けていた物だけ。だからあなたの周囲を漂っていたあのコはきっとこの世界にはいないのだろうとそう考えていた。

 

 歩くときに鳴ると周囲の視線を集めるため閉まっていたやすらぎのすずを取り出す。

 やはり変化は感じられない。

 

 ささやかな風が髪を揺らせず通り過ぎる。

 なんとなしにやすらぎのすずから視線を上げれば、先には待ち人の彼女とその友達であろうウマ娘が歩いているのが見える。

 

 どうせだ彼女もこの音は好きだろうとすずを鳴らす。

 

 チリーン

 

 それと同時に弾いたふしぎなあめが彼女に向かって飛ばす。

 今度こそナイスキャッチと言わせてほしいものだ。

 

 

 

□ようこそ! サクジョずみのせかいへカット

 

 

 

 私にとってその方との出合いは私の夢を変えさせ…いや。私の夢を終わらせる始まりだった。

 

 トレセン学園に入学前。まだテイオーとライバルになる前。

 メジロの敷地から突然生えてくるようにボロボロの姿を現しました。

 そんな不審者はしかし、誰にも悟られることなくメジロ家に侵入出来たことから只者ではないことは皆重々承知でした。

 それでもウマ娘が本気の全力で抑え込なければ鎮圧出来ないレベルなど当初は誰も考えておりませんでした。

 病院に叩き込み、それからはメジロ家の力に晒されて、それでなにも見つからずわからなかったらしい。

 

 私達を狙うわけでも、財産を狙うわけでもなく、悪意なくただあそこに辿り着いたと誰が信じられるでしょう。

 世迷い言といい、誰一人として彼から情報を引き出せなかった。当に狂っているとそう判断されました。

 

 しかし私は違うと。少なくとも彼がただ頭がおかしいだけではないことを当時私だけが知っていた。

 

 ブルボンさんではないけれど彼が抵抗したおりに落とした腕輪。誰もそれが落ちていることに気付かなかったので拾って届けようと思って、ライブキャスターに保存された映像が再生された。

 

 それはまるで絵空事。絵本の中身。テレビの中。誰か空想。それらが現実として投写された作り物かと疑いたくなるくらい衝撃的な映像でした。

 

 映像の中の彼がベルトに巻いた紅白のボールを取り出したかと思えば、それは手に包めるくらい小さかった筈なのに風船のように急に膨み、更にそれを彼が投げると唐突に中から光が溢れ、その光が地面にフィールドに降り立つとその姿は拳ほどのサイズから出てきたと思えないような巨体でありました。

 

 そこからはもう目線が外せなかった。彼の指示でフィールドを駆け回るその姿に目を奪われた。徐々に砂塵が多くなっていく映像は私が見終わる頃にはもうリピートは愚か反応すら示さなくなった。

 

 私の心はその時に傾いた。

 彼はウマ娘のトレーナーではなかった。

 彼は怪獣のトレーナーであったのだ。

 

 

 私は進言した。

 どうにかして彼にあの映像をあの景色を見せてほしかったから。

 だから彼が監禁から解放されなくてはならなかった。

 それには彼が一番得意な事をさせるのが一番いい。

 

 それから説得と実演、信頼を得る年月だった。

 なんとかおばあさまに進言して、なんて説得したか覚えていませんが話をつけて、彼に与えられた犬が成果を示し、彼に爆弾と去勢を施して海外でキャリアをつませ、そうして彼は帰ってきた。

 メジロ家のサポートを受け、彼は能力と成果を示し、信頼をもぎとった。

 

 私は嬉しいですけど何故そこまで頑張れたのか聞くと、彼曰く私が啖呵を切ったのだから誠意を見せないと、と項垂れながら苦手な勉学を本当に嫌そうに履修していました。

 

 …その頃になると私と彼の関係も長いもので帰ってきてからはずっと私の周囲に犬のようにいました。

 正直今でもわからないのですが彼はいつ私に懐いたのでしょう?

 

 そうして私がトレセン学園に入ってからは怒涛の日々で気が付けば私は走り抜けていた。悲願もウマ娘なら誰もが思う三冠すら追い抜いて。

 それで私は嬉しかったですけど、なにかが足りなかった。

 

 私は貴方とレースを駆け抜けたはずなのにどうしていつも少し寂しくなるのでしょう。 

 

 休日、貴方が犬の戯れている時にその感覚が何なのかわかった。

 

 違う。

 私が見たかったのはこの景色じゃない。

 私と貴方が見ている景色が違う。

 それはそうだ。貴方の専門はウマ娘じゃない。

 一心同体。その覚悟を貴方は示してくれたというのに私は呑気に…

 

 テーブルをコンコンと指で叩く。

 そうすれば貴方は私の側まで来る。

 

「帰りましょう。貴方の世界に」

 

 そこからは私の想像を遥かに越える大冒険があったのですけど。まぁ楽しい夢でした。

 今ではもう子供の頃の夢だったと思っているでしょうけど。それでも大切な思い出でした。

 過去の私に言い残すことはそうですね。

 三年の間、夢に走りなさい。

 

 

 いつ書いたのか覚えていない、ボロボロであることから幼い頃に書いたのだろうと推測できる手記。

 それを見つけて読んで見ればなんとも!他人に見られたなら赤面必須のとんでもない黒歴史でした。誰もが通る道とは言いますけどこんなにも恥ずかしいものだなんて。

 

 でも最後の一文"夢に走れ"は言われなくともです。メジロ家の悲願を叶えるのは当然ですがこんな容易く書かれているのはやはりこの頃の私は幼いのだろう。

 

 

 なんて

 

 

 テイオーが投げられたアメをキャッチするまで私は気にも止めてなかった。

 ただ幼い私が幻想と現実の境目がないのだと…あれ。

 

 泣いてる?私が?なんで?

 

 

 苦笑しながら近付いて来ている貴方は私を見て動揺したように瞳を広げる。

 

 

 あぁ私の知っている表情だ。

 

 

 …入学前私は待っていた。知らなくても待っていた。貴方とこの世界を飛び出してそれからいつの間にかこの世界に、貴方と出会う前に戻された私は待っていた。

 もう一度会いたい。まだ走り抜けれてないから。

 でも貴方は現れず私は貴方のいないまま入学できてしまった。

 

 

 

 彼女にナイスキャッチと言おうとしたあなたは隣ですすり泣くように静かに涙を流すウマ娘を見て口を閉じた。

 これが彼女なら何泣いてんだよっと反応出来たかも知れないが初対面_である。流石に自重するあなた。

 

 どういうことだ、と彼女を見れば同じ視線でコロコロと口の中を遊ばせながらあなた見つめるトウカイテイオー。

 あなたはシリアスは真面目に受け取るスタンスである。一度思うがまま行動したらまるで話についていけなかった経験があるあなたは反省したのだ。

 

 …バーロ、夕焼けが目に染みたのだろう。とりあえずハンカチを渡す。

 

「…っ。ありがとうございますよくわかりましたね」

 

 とりあえず最寄りの喫茶店でもないだろうか。

 

「あっいえそこまでしていただかなくてけっこうです。もう収まりましたので。初めまして私の名はメジロマックイーンです。以後宜しくお願いしますわ」

 

 差し出された手を握り、あなたは少し困った。

 名乗られたら名乗り返さなくてはならないのだがはて、あなたと彼女の関係をどう伝えるべきか。

 自分は…後ろにいる彼女の知り合いである。

 それと大丈夫なら確認したいのだがなにか悪いことをしただろうか。

 

「…いえ。いい夕暮れにノスタルジーを感じまして、ご心配ありがとうございますね」

 

 なるほど納得だ。

 あなたもボールの中にいるリオルもこの時間帯はとても精神が乱れやすい。

 人によっては挫折の思い出だろう。あなたはジムリーダーに負けて悔し涙を堪えている人を何人も見てきた。そのうちの一人は鏡に写る自分だ。

 

「ちょっとちょっとボクを省いて通じ合おうとしないでよ」

 

「テイオー拗ねてらっしゃるの?」

 

「拗ねてない!後で話はあるけど」

 

「(怒ってるではありませんか)」

 

 そうだったとあなたはメジロマックイーンから手を離してポンッと手を叩く。 

 今日は祝杯を上げようと思って迎えに来たのだ。無理なら後日好きなタイミングであなたに会いに来てくれれば良い。

 

「えっ祝杯?誰の、なんの?」

 

「そりゃー"ボク"に決まってるだろー?今日は記念するべき誰かの始まりなんだから。今日はキミが主役だよテイオー」

 

 彼女達の顔が硬直する。あまりにも聞き覚えのある声にあなたはため息を吐く。

 あなたが振り返ればそこにはトウカイテイオーの姿が。なに勝手に出てきているのだろうか。

 

「別にいいじゃん。減るものでもないんだし悪さしてないでしょ?」

 

 堂々とその姿を現している時点で大問題なのだ。

 

「ボ、ボボボボクゥ!?」

 

 メイちゃんと旅をしていた頃はよく頭を押さえていた。主にどう叱ろうか、と。でも今のあなたはもうそんな事は思わない。

 これがこのコの、ゾロアークの戯れ方なのだ。今ではかわいいな程度にしか思わない。

 あなたがよく頭を押さえているとゾロアークはよく笑うのだが、それはあなたがゾロアークの事しか考えていないと実感できる故の笑みだ。これは構って欲しいですというアピールなのだ。今でこそ理解できる感情だが当時は大変だった。

 

 ポンポンと肩を叩く。

 ニィっと三日月のようにトウカイテイオーの姿でゾロアークは口を歪める。

 

 力を入れてあなたの顔に飛びついてくるテイオーアーク。そのまま肩に居座ると思えばあなたの頭を足で挟むように座って陣取る。首が窮屈だがあなたなら問題はない。いつものことである。

 

「(後ろから飛びつかれたのに蹈鞴を踏まないなんて想像よりかなりの体幹ですわね)」

 

「ほらほらハヤクハヤクパーティーだよパーティーお祝いだー」

 

「まずは降りろよボクの偽物!」 

 

 …久しぶりに頭を押さえてもいいと思う。

 

 

「まず。まずだ!お祝いは嬉しいけどその娘は誰なのさ!?もしかして今日問題になったボク似のウマ娘って_」

 

「この娘でしょうね」

 

「ボクだよ」

 

 テイオーアークだろう。しかし問題になったとは解せない。あなたからすれば祝福のベルを鳴らしたのとなにも変わらない。感謝されることはあれ苦言を受け入れるつもりはない。

 

「キミのせいでボクは今日レースに勝っていい気分だったのに。事実無根なのにエアグルーヴ達から厳しい視線をもらったんだよ。なにも悪い事してないのに心臓がいくつあっても足りないよう」

 

 バンバンと台パンしたかと思えばテーブルに崩れる彼女。

 ここはメジロマックイーンのご厚意で用意された部屋。パーティーは開催したいがあなたには資金がなさすぎる。カラオケに行く金もないことを伝えると快く部屋を貸してくれたのだ。

 あなたが保有している別荘よりは小さいがあなたはここで祭りを開くつもりはないのでそれくらいの広さで十分である。

 

 聞く所によるとオラシオンはよほど学園のウマ娘にこうかばつぐんだったようだ。この曲を好んでくれるのはあなたとしても嬉しいのだが学園の機能がストップするレベルだとは思っていなかった。

 精々誰かの心を温めれるくらいにしか考えていなかったあなたは驚いている。

 

「ボクが吹いたのに精々って評価はどうなの。あの曲がなきゃ一時期寝れなかったキミがどの口でボクの演奏を軽く言えるのかな?」

 

 もちろん、あなたはとてもよい気分になった。アロマセラピーもかく言うほど。でもそれはあなたが知っているからだ。なにも知らないウマ娘があの曲を聞いても綺麗な音色、くらいにしか思わないと思っていた。

 

「んーまぁ確かに。そこはボクも不思議だった。追いかけてくる気迫もただならぬ雰囲気だったし」

 

「…というかキミは誰なのさ」

 

 顔うずめるままの彼女が問う。

 

 …祝い事だ。隠し事はなしにしよう。

 このコはゾロアーク。ポケットモンスター。縮めてポケモンと呼ばれる種族であなたの友である。

 

 




この星の不思議な生き物ポケットモンスター
縮めてポケモン
今、あなたとポケモンたちの出会いと冒険と戦いの日々が始まる。

この世界に新たな概念が誕生した。
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