SCP:IRON.SAGA.   作:野生のムジナは語彙力がない

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今回はありきたりなSCPです。
本当に普通の、つまんないものです

ぱっと見の印象では何の変哲も無い、実験するような価値はない、けれども変なところがあって仕方なくSCP認定されるような、そんなアノマリーです。実験価値ないないならアノマラスでもよくね?って感じではありますが、そこはまあまあ……お気になさらず

それでは、続きをどうぞ……


SCP−295−IS 『ただのオブシダン』

アイテム番号:SCP−295−IS

『ただのオブシダン』

オブジェクトクラス:Safe

 

 

 

特別収容プロトコル:

SCP−295−ISは専用の標準安全車両ガレージ内に保管されます。現在、SCP−295−ISに対する実験は優先順位が極めて低いため無期限に中止されています。

SCP−295−ISは一切の整備を必要とせず、担当者は1日に1度、対ミーム処置の施された覗き窓から車両の状態を確認して下さい。またアノマリーの悪用を防ぐため、ガレージの鍵は別の場所に保管されます。

 

 

 

説明:

SCP−295−ISは地中海複合工業製『オブシダン』のカスタムモデルです。標準モデルとの相違点としては、武器グレード1威力4(作中最弱)のフラッシュライトを主武装としている点で、それ以外に武装はありません。

発見時、SCP−295−ISのコックピットブロック内部は流し込まれたコンクリートで埋め尽くされており、ハッチは溶接が施されていました。

またコックピット構造は極端に圧縮されており、機械による計測の結果、体長30センチ程度のパイロットしか搭乗出来ないと判明しました。当然のことながら、大人はともかく子どもですらSCP−295−ISへの搭乗は物理的に不可能です。

 

その異常性は標準モデル以上の破壊耐性を有していることと、軽度の認識災害を保持していることです。SCP−295−ISを直接目視した者はSCP−295−ISへの搭乗を試みるようになります。しかし、前述した通りコックピットへの進入が不可能である為、この試みは早々に打ち切られます。

 

 

 

補遺:

側面の装甲には黒ペンで『ぼくのかんがえたさいきょうのメカ』と書かれています。これが何を意味しているのかは不明ですが、多くの場合子どもの落書きであると推測される為、追跡調査と筆跡鑑定は行われません

 

 

 

 

報告は以上です

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

特別アクセス権限を確認

本稿は特殊クリアランス権限所有者以外の閲覧を禁じられています。担当者は他の閲覧者がいないことを確認した上で、次に進んでください

 

 

 

 

 

情報開示請求……承認

偽装プロテクト……解除

光学式ミーム殺害エージェント……起動

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生体反応を検出

 

ようこそ担当者様

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アイテム番号:SCP−295−IS

『██████(削除済み)』

オブジェクトクラス:Keter

 

 

特別収容プロトコル:

担当者はSCP−295−ISが現在の形状(オブシダン)になっていることを、オリエンテーションの余談の場などを利用して自然を装い、できる限り広く公開して下さい。

決して、SCP−295−ISの真の性質を悟られるな

 

 

説明:

新たなる担当者へ

これが読まれているということは、私はもうそこにはいないのだろう。

 

突然このようなメッセージが出て驚かれるのも無理はない。しかし、知って欲しいのだ。かの大帝国が、鍵の締め忘れという小さなミスが原因であっけなく崩壊してしまった時のように、個人の何気ないたった1つの行動が、時に世界を揺るがす大いなる禍を引き起こすこともあるのだということを

 

SCP−295−ISは貴方の予想している通り、ただの地中海複合工業製『オブシダン』などではない。はっきり言って、アレはかの有名な682よりもっとおぞましいものだった。

 

あれは元々、不定形なものだったとされている。

出自は不明、いつ、どこで、誰が、何のためにこんなものを作ったのかは最早知りようがない。ただ1つ言えることは、SCP−295−ISは搭乗した者と、それ以外の多くの人々の認識によって性質を変えるという異常性を持つということだけだ。

SCP−295−ISは搭乗したパイロットの意思を読み取り、その人物が最も望んでいる機体へと姿形を変えるのである。(その際、外観だけではなくコックピット内部の構造も搭乗者の体格に合わせて最適化される)

この異常性によって、例えば搭乗者がオブシダンに火力を望みさえすれば、ただのオブシダンがブレーキングドーン並の対要塞粒子砲を装備することは勿論のこと、搭乗者がその存在を知ってさえいれば十二巨神とほぼ同等の能力を持つBMへ変化を遂げるのも容易なことだった。

 

つまるところ『ぼくのかんがえた最強のメカ』を具現化するアイテムといえば分かりやすいだろう。

 

これだけ聞けば、まだThaumiel クラスとして活用の道があったのかもしれない。しかし、ある1つの深刻な問題から、我々はこれをKeter クラスとして扱わなければならなかった。

 

それがSCP−295−ISの精神作用である。

簡単に言えば、SCP−295−ISには搭乗者の心を操る副作用があり、SCP−295−ISの力に魅入られてしまった搭乗者は能力を行使する度にSCP−295−ISに対して依存するようになり、最終的に社会秩序や倫理観、そして正義感を全て忘却した上で、目につくありとあらゆる存在を敵とみなして生存本能と湧き上がる破壊衝動のままに暴走してしまうのである。

 

我々が知り得た中での最古の情報によると、元々SCP−295−ISは現在のようにオブシダンの形をしていたとされており、地中海沿岸の町にあるごく普通の平凡な家庭に住む1人の少年に、彼の父親が誕生日プレゼントとして贈ったものだったとされている。

 

当初、少年はSCP−295−ISを普通のオブシダンとしてしか認識せず、さらに比較的平穏な地域であったため戦闘行為への参加もなく、所有者である少年はSCP−295−ISが持つ異常な破壊耐性に気がつきつつも、特に何事もなく日々を過ごしていた。

 

しかしその後、彼の家族が不運にもマフィアの抗争に巻き込まれ、両親と兄弟が死亡してしまったことで異常性が発現。少年が力を求めたことでSCP−295−ISは暴走し、その結果、地中海沿岸の町は消滅。さらにマフィアの構成員を含めた全住民がSCP−295−ISによって殺害され、さらに近海に浮かぶ島の1つが人々の記憶や世界の歴史から永遠に失われることとなった

 

この事件の後、我々は独自に調査を行なった。

その結果、SCP−███−ISが見せた未来から、あれがXKクラスシナリオを引き起こす可能性を孕んだKeterクラスのアノマリーであることを知った我々は……いや、過去の我々は地中海の爆心地からSCP−295−ISを先んじて回収していた『要注意団体:ソロモン』に向けて機動部隊を派遣した。

 

 

 

そして、我々は敗北した。

 

 

 

詳しい説明は省くが、しくじったのは確かだ。

その結果、SCP−295−ISの活性化と暴走を招いてしまい、あれは文字通り『神』とへ変貌を遂げた。

『神』の存在は瞬く間に世界へと伝播し、大多数の人々がその存在を認識してしまったことでSCP−295−ISの存在性はより強化された。さらに基底現実に対して致命的な影響力を及ぼす現実改変を行使したことで地球全土のヒューム値が大幅に低下、そして我々が最も恐れていた事態『XKクラス:来訪者イベント』の成立が確定した。

 

これに対し、我々は最終手段である

『手順:リザレクト647』を発動。

 

タイムスリップ能力を持つアノマリーの力を用いて、機動部隊は事件前の地中海へと時空跳躍した。そして暴走の原因となったマフィアの抗争を鎮圧させることに成功。そして非活性状態のSCP−295−ISを確保の上で先のアノマリーを搭乗させ、そこで最高クラスの記憶処理をアノマリーに用いることで、搭乗者である『彼』の記憶からありとあらゆる兵器に関する情報と概念の一切を消去し、一時的な無力化に成功。その結果、SCP−295−ISは委員会の管理下に置かれることとなった。

 

その後、SCP−295−ISへの搭乗を防ぐべく、我々は『彼』の体格に合わせて最適化されたコックピット内部をコンクリートで埋め、開閉を不可能にすべくハッチに溶接を施した。

しかし、まだ安心(Safe)は出来なかった。

いくらSCP−295−ISへの搭乗手段を無くしたところで、あれは大多数の人の意思を読み取って姿形を変えることができる。それは即ち、SCP−295−ISの真の性質を知っているものが1人でも多くいれば、同時にそれはXKクラスシナリオが再発してしまう可能性が上がるということを意味しているのである。

 

そこで我々は、この事件に関与した委員会出身者の1人を残してそれ以外の全員に記憶処理を施し、偽装された報告書をカバーストーリーとして基地全体に流布することで、SCP−295−ISを『ただのオブシダン』として認識させ、その性質を安定させることにした。

 

SCP−295−ISはいかにもSCPらしく、ありきたりな風に記述された。完全に忘れ去ってしまえばまた同じ悲劇が繰り返される可能性がある、しかし、破壊することはできない。だからこそ、我々は前述の偽装された報告書を閲覧させ、このアノマリーに対する人々の興味関心を最大限に失わせ、よくあるSafeクラスの1つとして認識させ続けなければならない。

 

また、委員会出身者以外にも記憶処理は例外なく行われた。タイムスリップを行なった『彼』も、何があったのかも知らず今頃は呑気にSCP–978–ISを使ってイタズラを仕掛けていることだろう

 

こうして、SCP−295−ISの正体を知るのは私と……そして、この報告書を読んでいる君だけとなった。そしてその私も、この基地を去る前に記憶処理を受けるつもりだ。

 

さて、いよいよトーチを後任の君に託す時が来た。重ねて言うまでもないが、君はたった1人の担当者である……いや、そう身構える必要はない。やるべきことさえ理解し、役割を果たしていればそれでいいのだ。

 

どうか君に幸福あれ。

世界は君を必要としている。

 

 

 

 

 

そして最後に、ありがとう

 

ー名もなき研究員ー




極端に文字量が少ない報告書でも逆に何かあるなって感づかれて興味を引いてしまうかもしれないので、偽装の報告書はどれだけ書いていいか少し悩みました。メタタイトルは当初『ぼくのかんがえた最強のメカ』にしようと思いましたが、最終的に元ネタである『ただの椅子』に倣った形に落ち着きました。その方が興味引かないかなって

↓元ネタ
SCP-2950 - Just A Chair
by weizhong
http://www.scp-wiki.net/scp-2950
http://scp-jp.wikidot.com/scp-2950
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