じゃあやるしかない。
28万人が住む「三門市」に、ある日突然異世界への
門からは
地球上の兵器が効かない怪物達の侵攻に誰もが恐怖した。
だが、謎の一団が現れてこれを撃退する。
一団は界境防衛機関「ボーダー」を名乗り、近界民に対する防衛体制を整えた。
それから4年後、依然として門からは近界民が出現するにも関わらず、三門市の人々は今日も普通の生活を続けていた。
「だーかーらぁ!貴様のトリオン量でもこれが限界だと何度言えば分かる!!」
「どうしてそこで諦めるんですか!ボーダーの開発チームはこれまで数々のトリオン兵器やトリガーを開発してきました。なのに、なのにどうしてこんなところで諦めちゃうんですか!僕は納得できません!」
「貴様の納得など知らんわ!不可能なものは不可能だ。これ以上の出力を求めるなら、それこそ使い手のトリオン量を増やすしかあるまい」
ボーダー本部開発室前の廊下にて、開発室長のおじさんに食い下がる一人のボーダー隊員の姿があった。
歳は16。
戦いに浪漫と美学を求める、ボーダー内屈指の有名人だ。
「貴様の
「奇策ではありません。美学です!自爆は戦場の華!格上相手に、己を犠牲にしてでも戦果を勝ち取る浪漫がわかりませんか!?」
鬼怒田開発室長も、ボーダー幹部の一人として散々注意してきている。
これで何度目になるか数え切れないほど同じ事を言われても改めるつもりの無い問題児。
それがこの16歳の男が有名な原因である。
人呼んで自爆マシーン。
開発室の人間に頼み込んで作って貰った試作型の自爆トリガーを引っ提げて、追い詰められると自爆をし、追い詰められなくても自爆をし、有利な状況でも自爆をする男に付ける名前などそれで充分だろう。
本当は上層部もこの自爆トリガーを使用禁止にしたかった。
だが麻薬中毒者から麻薬を取り上げると暴れるように、彼から自爆トリガーを取り上げると面倒くさいことになりそうだという意見が出たためにその案は見送りとなった。
もし事態が悪化した場合、その責任を取れる者がいなかったのだ。
彼も最初からこんな感じだったわけではない。
入隊当初はまともで、生まれ持ったトリオン能力と強力な
そしてとあるA級部隊に所属するに至ったが、その途中で自爆の浪漫に目覚めてしまった。
ちょうどその時に若い新人がその隊に入ることになり、「自爆は複数の敵に単騎で仕掛けるのが最上」とわけのわからない台詞と共にチームを抜けた。
現在はA級ソロとして活動しているが、チーム単位でないと熟せない仕事など幾らでもあるため実質有能な駒を遊ばせていることになる。
鬼怒田を含めたボーダー首脳陣の目下の課題は、どうやってこのバカな駒を有効活用するのかということになっている。
「なあ、聞いたか?玉狛にトリオンお化けが入ったんだってさ」
不意に廊下から誰かの雑談が聞こえた。
ここはボーダー本部の廊下なので、それ自体は何も不思議なことは無い。
内容も新しく入ったC級隊員の話題で、新しく試験に受かった者達の正式入隊日として似つかわしいものだった。
だが、彼の興味は一気にその雑談に持って行かれる。
「ああ、噂じゃブラックトリガー並の出力らしいぜ?」
ブラックトリガー。
ボーダーで使われている通常トリガーとは比べものにならない出力を誇る特別なトリガーだ。
具体的にどれほどの出力かなのか少年は知らない。
だが、そんな物を引き合いに出されるなど一体どれほどのトリオン能力を有しているのだろうか。
そう少年は考えた。
「鬼怒田開発室長、先程ご自分でした発言を覚えていらっしゃいますか?」
「む?貴様には何度も言葉を重ねてきたからな。覚えがありすぎて逆に見当が付かん」
「あなたは先程僕にこう言いました。「貴様の納得など知らんわ!不可能なものは不可能だ。これ以上の出力を求めるなら、それこそ
「……ふむ?」
「今まで僕の自爆ではイルガー1体を巻き込む程度でした。自爆に限らず、トリガーの出力は使い手のトリオン量に依存します。つまり、僕よりトリオン量の多い子に自爆を伝授すればいいんですよ!」
◇◇
「わたし、人が撃てないんです」
どうしましょう、と。
不安と懺悔に満ちた表情でチームメイトの三雲・空閑・宇佐美に告白する雨取千佳。
それを静かに見守るレイジ、烏丸、小南の3人の先輩たち。
場所はボーダー玉狛支部。
C級からB級に上がったばかりの
正式入隊したばかりだが戦場を渡り歩き経験を積んでいる
正式入隊したばかりだし戦闘経験皆無の
修と千佳が幼馴染みで最近そこに遊真が加わったのだが、歴の違いを感じさせないほど3人は既に仲良しだった。
そしてこの三人+玉狛支部の先輩オペレーターでチームを組むことを改めて誓った直後、千佳のカミングアウトが始まったのだ。
「わたし、自分が攻撃されるより人を撃つ方が怖くって……。何度も撃とうと思ったんだけど、どうしても撃てないの」
「ジコギセーの精神ってやつか?」
「自己犠牲……。そういえば、ボーダーに助けを求めなかった理由もそんなのじゃなかったか?」
「そうなの?」
雨取千佳は途轍もないトリオン能力を持つ。
トリオン能力が高い者は保有トリオンも多いのだが、彼女のそれは別の世界を見渡しても類を見ないレベルである。
だが、それ故に別の世界に狙われやすい。
彼女はこれまで頻繁にトリオン兵に襲われてきたのだ。
普通なら界境防衛機関であるボーダーに保護を求めるものだが、彼女は「自分のせいで誰かに迷惑をかけたくないから」という理由でボーダーにすら保護を求めず過ごしてきた。
そのことをオペレーターの宇佐美に話す三雲。
ほんの何気ない気遣いで行われた仲間についての説明だ。
しかし、タイミングが悪かった。
「話は聞かせて貰った!!!」
「げっ!」
「うわぁ」
「よりにもよって……」
そう、よりにもよってボーダー屈指の問題児に聞かれてしまっていた。
これには玉狛支部の先輩達も思わず嫌そうな声が漏れてしまう。
「自己犠牲!素晴らしい!!その高潔な精神があれば君はボーダー最強の火力を手に入れられる!敵を撃てない?問題無いさ。そう、自爆さえあればね!!!」
「お前、本部の人間が他所の支部に勝手に入るなよ」
「迅に許可を取ったから問題無いぞ、烏丸。それより新人育成にお悩みのようですね?雨取千佳は基本スナイパーとしてレイジさんが育成するって聞いたけど、それだけじゃ足りないから僕が秘策を伝授してあげることになったのです」
「秘策って、おいまさか!?」
「そのまさかですよレイジさん」
そう、自爆です。
と喋る彼の表情の、なんと生き生きとしたことか。
「俺が雨取の師匠になったんだから、いくら迅の言葉でもそれだけは聞けん。……他の助言ならまだしも、
「本当は分かっているんでしょう?戦場で彼女だけが一人取り残されたらどうなるか。人を撃てない彼女では一方的に狩られるだけ。
自爆は安易な戦法としてみられがちだが、実は実際の戦争でも高い効果を発揮した、使いどころさえ間違えなければとても実用的な作戦なのだ。
問題は作戦段階で既に味方兵が死ぬことが決定していることだが、ボーダーのトリガーには
これは戦闘体であるトリオン体が破壊された時……簡単に言うと戦闘不能になったときに自動的に本部という安全地帯に転移出来る神のようなシステムである。
そのため、場合によっては有効な戦術として上層部からも一定の評価は得ている。
しかし、いくら緊急脱出があるといってもそれを使うと戦線復帰するのに丸1日掛かるため、安易に自爆すれば継続戦闘能力がガタ落ちだ。
故に、ここぞというとき以外での自爆の効力は低く、精々「最終的には自爆もあるぞ」と相手に牽制ができる程度なのだ。
最初はボーダー首脳陣も自爆トリガーによる隊員達の安易な自爆を危惧していた。
特に実力の低い者や入隊したばかりで戦闘経験が低い者ほど自爆に惹かれやすく、自力を伸ばす機会が減るのではないかという心配があったのだ。
だが蓋を開けてみたらその心配は杞憂だった。
何故なら、「安易に自爆をするとあいつの同類になるぞ」と隊員達の間で恐れられているからだ。
あいつとは勿論自爆マシーンの彼である。
ボーダーで自爆と言えば彼。彼と言えば自爆。
故に、彼の仲間扱いをされることを恐れた隊員達は自爆トリガー自体にすら忌避感情を持っている。
そのため、トリガーにセットしている者が存在するのかどうかすら怪しいほどの素晴らしい普及率なのだ。
「まあ、結局のところ雨取千佳本人が嫌だと言えばそれまでなんだが……どうだ?自爆に興味ないか?」
黙って聞いていた玉狛の新入り2人が止めに入るまもなく、雨取千佳が口を開く。
「あ、あります!」
よせ!それ以上関わってはいけない!
本来千佳が人を撃てない云々の話はもっと先なんですが、それは原作世界線での話。
オリ主が居る以上そのまんまなはずも無し。
高評価よろしくお願いします……!!!
修妹ポジの幻覚を見たことがあるかどうか
-
オリキャラ(&原作キャラ)である
-
原作キャラだけである
-
ない
-
そもそも幻覚自体見ない