超破壊兵器アマトリチャーナ   作:名も無き二次創作家

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今回は短いかも。
またも独自解釈あり。



自爆とは頭脳戦である

人には“信頼度”という物がある。

普段嘘を言わない人間の言葉は信頼度が高い。

逆に、普段から嘘を言う人間の言葉は信頼度が低い。

責任感の無い人間が「責任を持って仕事に取り組むように」と言っても説得力が無いし、勉強や仕事から直ぐ逃げる人間が「逃げるな」と言ってもお前が言うなと返される。

 

人は常日頃の行いによって他者からの評価を上下させており、それがいざというときの信頼性に影響を与える。

だからこそ普段からの言動に気をつけねばならないのだ。

 

 

「くそ、近界民(ネイバー)め!おい雨取、歌川さんの敵を取るぞ!次の標的を伝える!」

 

「……」

 

ようするに、常日頃から自爆自爆と騒ぎ立て、終いには自らの想定不足を他人のせいにする者の言葉に信頼もクソもないのである。

 

アマトリチャーナこと雨取千佳は人に責められることが怖い臆病な性質を持つ。

だが、それと同時に自己犠牲的な一面も持つため今回の自爆特攻作戦に乗り気だった。

そんな新人が自爆の師匠たる彼のことを信じるのは当然の流れだ。

彼がやれと言えばとりあえずやったし、やるなと言われたことはやらなかった。

そして「風間隊はエリートだからお前の自爆に巻き込む心配をする方が烏滸がましい」と言われれば、当然「自爆しても風間隊は避けてくれる」と思う。

だから雨取は何の憂いも無く思い切り自爆をかました。

 

結果。

 

風間隊の歌川が逃げ切れず緊急脱出(戦闘不能)になってしまった。

 

「次は米屋さんのところだ。敵を一言で表すと空飛ぶ砲台だな。……よし、トリオンは回復したな?」

 

「は、はい……」

 

エネドラ自身とエネドラが使っていたブラックトリガーの回収を風間隊にまかせて、緊急脱出により隊室へ帰還していた雨取は、先程から自爆の師匠兼隊長からトリオンを供給されている。

しかし、彼女の顔は青い。

歌川を巻き込んでしまったことを気に病んでいるのだ。

 

トリオン供給が数分続き、雨取のトリオンが今ある程度回復する。

 

「いいか雨取、次はちょっと捻って──────」

 

隊員のメンタルケアも隊長のお仕事。

そう意気込んでちょっとした作戦とともにコミュニケーションを試みる自爆マシーン。

 

 

 

◇◇

 

 

 

 

 

「ははは、玄界(ミデン)の兵士も悪くないな!……む?」

 

『そちらに恐ろしい速さで何かが向かっています。恐らく先ほどエネドラが喰らった攻撃と関係があるかと』

 

「ミラか。泥の王(ウロボロス)を回収し損ねたようだな。エネドラも余計な事を喋られる前に始末したかったが、まあ始末する手間が省けたから良しとしよう。……玄界を相手に油断したか?珍しい」

 

『……申し訳ありません』

 

「おっと、そんなことよりその正体不明の広域爆破攻撃の正体を掴むのが俺の役目みたいだな」

 

『はい、お願いしま──』

 

「どうやら悠長に話している時間は無いらしい」

 

そこで通話を切り謎の飛行物体から逃げだす大柄の男。

名前はランバネイン。

彼の本来の目的は、仲間がボーダーのC級隊員を攫うための時間稼ぎである。

C級隊員は緊急脱出を所持していないことが明らかとなっており、しかしトリガーを使える程度にはトリオン能力があることが判明している。

つまり、ボーダーのC級隊員はアフトクラトルからしたら、わざわざトリオン能力が高い者を寄せ集めて「どうぞ持っていってください」と言われているようなものなのだ。

「では遠慮無く」ということで行われたのが今回攻めてきたハイレイン達の認識である。

 

「来たか、謎の飛行物体!……なんだと!?」

 

直線的に突っ込んでくる何かをひらりとかわし、タックルが避けられてモタつくそれを視界に捉えたランバネイン。

彼は驚愕を露わにした。

なぜなら、彼の目に映っていたのは幼女と見紛うほど小さい少女だったからだ。

そしてその少女に、彼は見覚えがあった。

 

「金の雛鳥……!!!」

 

彼等の遠征の目的は幾つかある。

その一つが超絶的なトリオン能力を持つ金の雛鳥こと雨取千佳の誘拐である。

事前の調べではC級隊員であったため、他のC級と一緒に攫おうということになっていたのだ。

だが、彼の目の前にいる雛鳥は既に訓練生の服装では無かった。

 

「ミラ!先ほどの爆発の正体は金の雛鳥だ!!!奴は既に訓練生ではない!」

 

『な……!?』

 

事前情報と違う。

これは今回の作戦の根幹に関わることだと認識し、危険を承知で戦闘中に仲間と通信を繋げるランバネイン。

これは隊長の判断を仰ぐ必要があると判断したミラは、彼にそう伝えて通信を切り替えた。

 

「さて、隊長の指示がでるまで時間稼ぎといくか」

 

 

 

◇◇

 

 

 

『ベイルアウトなるものを所持している以上、金の雛鳥を攫うことは難しい。確保ではなく迎撃しろ』

 

という指示がアフトクラトルの隊長たるハイレインから出された。

ランバネインはその指示に従い、雨取千佳ことアマトリチャーナと空中戦を繰り広げていた。

 

「ワープ、いやテレポートか。量産型のトリガーでそんなことが出来るとは、玄界の進歩も目覚ましいな。跳躍距離も申し分ない」

 

「……ッ!」

 

雨取は現在自爆戦闘用のトリガーを使っているため、トリガーセットの中にテレポーターが入っている。

通常、テレポーターの跳躍距離は30メートルだ。

無理をすればそれ以上でもいけるが、消費トリオンが尋常では無いため30メートルまでしか普通は跳ばない。

だが雨取の場合は無理せず100メートル跳ぶことができる。

また、彼女のトリガーセットには韋駄天もある。

これは、目で追うことが出来ないほどの超高速移動を可能とする移動系のトリガーだ。

メインの韋駄天とサブのテレポーターで相手に取り付き、ゼロ距離でブラックトリガーも真っ青の威力の自爆を敢行する。

それが例の自爆バカが授けた雨取の基本戦術である。

 

雨取のトリオン量でボーダーのトリガーを使えば、その過剰な出力で通常より遙かに高い効果を発揮する。

狙撃は大砲になるしメテオラを降らせたら空爆だ。

テレポーターや韋駄天も例外では無かったようで、主に飛距離が大幅に向上している。

そのためボーダー基地から一直線にとんできて敵に張り付き自爆、なんて無茶なマネが出来ると判断されていたし実際にエネドラをそれで仕留めている。

だが────

 

「動きがぎこちない。空中戦には馴れていないか?いや、そもそも戦闘自体が不得手とみえる!」

 

建造物が視界を遮る地上とは違って、空中は呆れるほど見通しがいい。

どんなに早く迫ろうとも流石に見つかるし、トリガーを使って空中機動が出来るとはいえ得意というわけでもない。

練度の差も明らか。

流石の雨取もこれは分が悪い。

オペレーターからの視覚支援を一身に受けて、例え背後だろうと周囲の把握を可能としている彼女でも覆しようのない戦力差がそこにはあった。

果敢にテレポーターや韋駄天で接近を試みるも、巨体に見合わぬ身軽な飛行技術や射撃での牽制で全て躱される。

 

「速い。……だがそれだけだ。どれほど優れた乗り物を使おうと、パイロットが素人では話にならん。引っ込んでいろ!」

 

「素人でも、戦いに向いていなくても、戦わない理由にはなりません!」

 

ランバネインの言葉に反論しながらハウンドを撃ち隙を作ろうとする雨取だが、抵抗もむなしく遂に彼のトリガーを突きつけられた。

 

『戦闘体活動限界、緊急脱出』

 

「よし、ミラ。金の雛鳥を始末したぞ」

 

『記録から解析すると、エネドラの時も爆発した瞬間ベイルアウトをしていました。ですが先ほど再び戦場に戻ってきました。次もまた戻ってくる可能性があります』

 

謎の広域爆破は恐らく金の雛鳥のトリオン量から繰り出される自爆だと思われます、とついでに付け足すミラ。

 

「それは……おかしいな。事前調査によるとベイルアウトした者は再出撃が出来ないはずだ。少なくともその日の内の再出撃が確認されたことはない」

 

『再出撃できなかったのではなくしなかっただけ……とは考えられません。おそらく金の雛鳥にだけ何らかの仕掛けがあるのでは?具体的には分かりませんが』

 

「ふむ……。まあ、そうだな。奴だけが例外と考えた方が色々と納得がいく」

 

先ほどの移動系トリガー、特にテレポーターはノーマルトリガーに収まっていい能力では無い。

そう考えながら、そういえばとミラに尋ねるランバネイン。

 

「再出撃してくるとして、インターバルはどれくらいだ?」

 

『エネドラのところで自爆をし、其方へ飛び立つまでの間の時間は()10()()()()()

 

「そうか、()()()()。ではそれくらいの時間になったらまた空に上がるか」

 

わかってしまったランバネイン。

そして他のボーダー隊員たちを迎撃するために地上に近づき、ビルの間に入ったときのこと。

 

「…………ッ!!!?」

 

気がついたら背中に強烈な衝撃が加えられていた。

そしてそれを脳が正しく認識する前に、無限に広がる白が彼の網膜を焼いた。

辺りのビルや民家が土台たる地面ごと放射状になぎ払われた。

その様は正に隕石が如く。

しかし、雨取の緊急脱出からまだ約5分しか経っていない。

戦闘体が破壊され、生身で宙を落下するランバネインは全てを理解する。

 

「なるほど、謀ったな」

 

一回目の10分はブラフ。

雨取は最初から空中戦で分のあるランバネインに正面から勝とうなどと思っていなかったのだ。

故に、まだ大丈夫という油断を誘うために出撃のインターバルを偽装した。

全てはエネドラ戦で一度見せている攻撃と全く同じ物で、完璧な不意打ちを決めるために。

 

 

 

◇◇

 

 

 

「自爆の使い方ってのはここがモノを言うんだよね」

 

と、得意げに自身の頭を人差し指で(つつ)くバカと、それを微妙な目で見つめる少女の姿がボーダー本部基地の中にあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




余談。
今度こそ回収に来たミラだが、あまりの衝撃波にランバネインからトリガーが外れてしまっていた。
そのことに気付いたミラだが、敵トリガーをマークしていたオペレーターの視覚支援により緑川が先に奪取。
アフトのトリガー『雷の羽(ケリードーン)』ゲット。
これがブラックトリガーじゃないなんて、アフトってヤバい。

オリ主や千佳の一人称じゃないから描写は少ないけど、一応オリ主もオペとして働いてはいるんです。。
アマトリチャーナ再出撃の際に敵の機動を予測して相手の視界に入らないようにルート指示とか、他のオペと情報共有して敵がトリオン反応を捕捉する力があるのかの確認とか。もし敵がその力を持っているならテレポーターや韋駄天ではなくバッグワームに切り替えて、足で走らせるか車出してもらって移送するかとか、そういう判断が必要になる。

読んでくださる皆さんのおかげで、日間ランキングでかなりまあまあな順位にランクインしてたみたいで嬉しかったです!僕の確認できた範囲では25位でした。ありがとうございます!
あと小説情報から、皆さんが「ここすき」してくださった箇所を確認できると思うんですけど、楽しい事になってます。
今のところ鬼怒田さん脳破壊がダントツです。
最後まで宜しくお願いします!

修妹ポジの幻覚を見たことがあるかどうか

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