せっかくTSしたので親友(♂)を全力で落とそうと思う 作:らびっとありす
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「着る必要あるのか?」
「あるある。優くんとデートなんでしょ。そりゃ浴衣着るわよ。」
「いや姉さん俺ら付き合ってすらないんだが。」
「つべこべ言わない!!」
夏祭り当日。あいつが浴衣を着ると言ったら姉さんが張り切って俺の分の浴衣を持ってきていた。何でも仕事場で使った余りを借りてきたとかなんとか。
「うーん。やっぱり似合うわねぇ。流石は私の弟!!」
「俺、着る必要あんの?」
「あのねぇ。浴衣来てる横の人が普段着って違和感ありありでしょ?それにうちの夏祭りは私服の人の方が少ないし。」
「………一理あるな。」
「チョッロ。うちの弟。」
「俺いつも姉さんの口車に載せられてるような気がするんだが。」
「気の所為よ気の所為。ほらほらそろそろ行くんでしょ。早く準備しなさい。女の子を待たせる男の子はモテないよ?」
「別にモテる気ないし。」
スマホを見ると『あと少しで家出る』と優からメッセージが届いてた。
「嬉しそうね。ほんとに。」
「そうだな。」
『分かった。』と送るとドタドタと階段を誰かが上がってくる音が聞こえてきた。
「葵!?」
「母さん?どうしたの。」
「ねぇ!あの女の子誰!?彼女!?」
「……あれ?言ってなかったっけ。」
「彼女出来たなんて聞いてないわよ!?」
「いや彼女じゃないし。優だけどあいつ。」
「うぅえぇ!?優くん!?」
このこと俺言ってなかったか。
「もう来てたか。ちょっくら行ってくるわ。」
うへぇ……。緊張する。俺だけ浴衣だったらまるで俺だけが浮かれてるような感じがするんだよな。
「すまん。優。遅れた。」
「い、いやいいよ。今来たばっかだし。てか横同士なんだから遅れるも何も。」
「お前、緊張しすぎて早口なってっぞ。」
あわわ。オタク特有の早口なってた。
「そそんなことないよ。あはは。ごめんなさいくっそ緊張してます。心臓バックバクです。」
「別に緊張する必要ないだろ。」
急に屈むな。お前の顔が整いすぎてやばいから。ていうかこいつが浴衣を着てる!?
「お前、浴衣着るようなやつだっけ!?」
「いや姉さんが勝手に着させた。」
やってんなぁこの2人。相変わらずブレない。
「ていうかおばさんに言ってなかったんだね。俺の事。」
「言う機会なかったからな。…………。」
「何黙り込んでんだよ。」
「いや。やっぱり似合うなって。何着ても。」
「………ふぇあ!?」
やっべ。また変な声出た。
「他の人がみても。その。可愛いって思えるかな?」
「可愛いだろ。そりゃ。お世辞でもなんでもねぇよ。」
ひゃ……。可愛いって。すんなり言うことかそれ……。多分ほかの女子なら勘違いするぞそれ。なんでそういうことをペラペラと。
「おーい。何ボーってしてんだよ。早く行くぞ。」
「お、おう!ちょっと待って!」
「おぉ。やっぱりうちの町の夏祭りは気合入ってるよねぇ。」
うちの町は県の中でもかなり大きい方の町であり三大祭りとまでは行かないけど県内でも有数の大きな祭りではある。地域外の人もこの夏祭りにはよく来る。
「あっそうだ。手、繋いどけ。」
「うぇ!?え?なんで「逸れないようにだ。お前すぐどっか行くだろ」……はぁ期待した俺が馬鹿みたいだわ。」
そういえばこいつ、こういうやつだったな。
「何期待してたんだ?」
「いつの間にいちご牛乳……。はぁ……。ん。て、繋ぐんでしょ。」
まぁ理由はどうであれ手を繋げるのは嬉しいし。不本意だけど提案は受け入れよう。……別に負けたとかそういうのは思ってないから。
「どうせなら思いっきり楽しむか。」
「だな!」
にしてもやっぱりここの夏祭りは規模がデカイな。何をやるにしてもでかい。
「すみません。りんご飴下さい。」
「昔から好きだよなぁ。それ。」
「おう。シャリシャリしてて甘くて美味い。」
「俺食ったことねぇんだよな。りんご飴。」
「食う?ほらガブッと。」
「そう言うなら。」
うぉ。飴がすごく甘い。でも意外とあっさりしてるんだ。みずみずしい。
「シャリシャリしてる……。リンゴだ。」
「だろ?りんご丸かじりしてるみたいなもんだしな。」
美味しい。確かにこれは美味しい。………ん?あれ。俺これサラッと恥ずかしいことしてない?
「……間接じゃんこれ……。」
「うっめ。」
はぁぁぁぁ。無駄に意識してる俺がほんとに馬鹿みたいじゃねぇか。こいつほんと。
「……少しは恥ずかしがれよ。まじで。」
この鈍感野郎……。人の気も知らないで。
「そういやなんかいるか?買ってくるよ。」
「え?いやいいよ。俺が買ってくるし。」
「迷子なるだろ。」
それを言われると耳が痛い。
「じゃあ一緒に買いに行けばいいじゃん。」
「それもそうか。うし。なんか買いに行くぞ。」
天然過ぎないかこいつ。
「おっ。葵くん。」
「おっすおっさん。焼きそば2つ。」
「なんだ?横の子は。彼女か?」
「違いますよ。」
葵は昔から交流関係が多い。ほかの学校にも『獅子王』なんて呼ばれることもしばしば。まぁ俺にとって中学校の記憶なんて苦い記憶しかないんだけど。
「おいし。」
「やっぱおっさんの焼きそばは美味いな。」
「だねぇ。夏祭り来たらいつもこれ食べてるような気がするよ。」
んんー。おいし。
「すまん。俺ちょっとトイレ行ってくるわ。」
「あ、うん。」
「すぐ戻る。」
トイレってこの公園割と広いからちょっと遠いんだよね。まぁ流石にトイレまではついて行かないか。一応俺女の子な訳だし。
「………あいつやっぱりかっこいいな。」
浴衣も似合ってるし。声も良いし。まぁ天然で唐変木で鈍感だけど。やっぱりあいつってかっこいいな。そういうところ全部込みで。
「あ、ゆーくん!」
「神楽坂?」
「あれ?あおっちは?」
「あいつなら今トイレ。」
「やっぱり2人もきとったんか。」
「夏祭りだからね。神楽坂は1人?」
「いや?友達と来とるよ。今別行動してるから。そしたらゆーくん見つけて。………っとゆーくん気をつけや。」
「え?気をつける?」
「なんか片っ端から女の子に声掛けとる輩がおるらしいからな。十分気をつけや。」
「わ、分かった。」
所謂ナンパってやつか。今の時代にそんなことする人いるんだ。
「それじゃあ俺はここら辺で。じゃあね。ゆーくん。」
「バイバイ神楽坂。」
あいつもあいつで交流関係広いなぁ。……なんぱか。まぁ俺は無いだろ。さすがに。俺、男だし。中身は。
………そう思ってた自分を殴ってやりたい。神楽坂が離れてからものの数秒でこれとは。
「いや。あの。俺、友達と来てて。」
「俺っ子?」
「いえですから。俺一人じゃないですし。ですから離れてください。」
うぅ。早く。早く来て葵。無理やりにも連れてかれそうなんだけど。
「あの。」
「は?今こっちはとりこ……み。」
「あ、葵!!」
「あ、葵?お、お前あの!?」
「おいバカ!言うな。あいつ、間違いなくあいつだ。獅子王。獅子王の白井葵だ。」
「そんなことどうでもいいんっすよ。……で。なんか用っすか。俺の『彼女』に。」
か、か、か、かの。
「「「し、失礼しましたァーー。」」」
「…………ふぅ。こうでもしねぇと懲りねぇからなあーいうのは。……大丈夫か?優。」
「か、かの。」
「おーい。帰ってこーい。」
「ふぉあっ!?」
あ、淡ゆくどこか遠くに行くところだった。
「すまん。あいつらに俺がお前の彼氏だって言わないと多分しつこく言われると思ったから。嘘言ってすまん。」
「別に俺はお前と恋人でも……ゴニョゴニョ……。」
「よし。まだ時間にも余裕あるし。」
……よし。どうせなら思いっきりいっちゃえ。あいつも思いっきり楽しむかって言ってたし。
「えいっ!!」
「うおっ。」
「………言ったよね?俺の彼女だって。」
「……おう。言ったけどあれはあいつらを撒くための嘘で。」
「もしかしたらあいつらまだいるかもじゃん。それにさっきの会話誰かに聞かれてるかもだし。」
「ぐいぐい行くな。今日。」
「今日1日くらいは。恋人のフリしないと。危ないと俺は思うんだけど。」
「…………。~~~ッッ!あーもうわかったわかった。今日な。今日1日な。それで終わり。」
「~~~うん!!ならこうやって腕に引っ付いてもいいんだよね。だって今日だけ俺ら『恋人』のフリをしないといけないし。」
「……俺、完全にはめられた感じするんだが。」
はめてないはめてない。
「お前が言ったんだぞ?責任、ちゃんと取れ?さー行こう!!」
おぉ。照れてる照れてる。珍しいこともあるもんだ。
楽しそうでなによりです。