せっかくTSしたので親友(♂)を全力で落とそうと思う 作:らびっとありす
こういう日常系はあまり書きなれてなんで会話文が多くてすみません。そろそろこの作品も後半戦に入ります。
……恋人っぽいことってどうするの。
あくまでフリとはいえ俺は誰とも付き合ったこともない。なんなら葵も。よくアニメとかドラマであるのは食べ合う?……いやそれならさっきやったし。手は離れないようにしてたし。
「恋人っぽいことってなんだ?」
「俺に聞くな。だいたいお前が言い始めたことだろ。」
まぁでも。周りにはそう見られてるのか。……でもそう見られてるだけなんだよなぁ。はぁ。早く付き合いてぇ…。でも多分こいつまだ落とせてないし。俺はこいつを落とすって決めたんだし。
「なぁ。お前も考え……うぉっ!?狐のお面!?いつの間に。」
「さっき。木彫りらしいぞ。割と安かったから買った。」
「さ、さっき。いつの間に。」
「お前の分もあるぞ。」
こいつの趣味というか好み。よく分かんねぇ……。
「なんか。絵に書いたような感じだな。そのお面の被り方。」
「お前が言うな。」
ていうか。こいつこんなに身長高かったんだな。ずっと一緒にいたけど改めて思うと。……まぁ俺が縮んだってのもあると思うけど。そりゃダンクシュートもできるよなぁ。
「ねぇ葵。あれ。」
「ん?あ。」
「おぉ。また会ったな。」
歩いていると何人かと一緒にいる神楽坂が見えてきた。ほんとにこいつミーハーだな。
「ほんとにお前友達俺ら以外にいたんだな。」
「お前失礼やな。まぁええけど。」
葵それが第一声?
「でもお前ちゃんと友達やって思ってくれてたんやな。」
「今でも撤回できんぞ?」
「いやすみませんでした。……ってなんで俺が謝んねん!?」
「セルフツッコミ感謝。」
「あんなぁ……。お前遊んでるやろ?」
葵。露骨にバレたかって顔してる。ていうか友達さん話についていけてないじゃん。
「なぁ。徹。この人は?てかあのめちゃくちゃ可愛い子は?」
「ゆーくんに手は出さん方がええで?彼氏さんが黙っとらんから。」
「お前聞いてたか。」
「聞こえとった。この長身のイケメンは白井葵。別称は獅子王。んでこっちのこじんまりしてるのは島崎優。うちの高校のカースト2大トップや。」
「いや俺は最低ランクだぞ。」
「俺も。」
「嘘つけ。あ、こいつらは俺の塾時代の友達や。」
「どうもー。」
「うっす。つかお前な。獅子王はやめろって。」
「ここらじゃお前の名前知らん人間は少ないって。バレるのも時間のうちやろ。」
まぁさっき名前聞いた瞬間逃げったし。
「そういや。神楽坂達は何してるの?」
「俺ら?そこら辺さまよってるだけやけど。2人は?」
「真ん中の広場にとりあえず向かってる。」
「そっか。楽しみやゆーくん。」
「おう!」
「んじゃな。彼氏役、頑張りや。」
「一言余計だわ。」
照れてる。すげぇ照れてる。
「行くぞ。」
「うん。」
「相変わらず中央広場凄いね。人の数。」
中央広場は沢山の人達で賑わっていた。所謂、太鼓を中心に人達が踊っているというわけだ。この公園が広いからできることであり、この夏祭りのメインの一つである。お祭りの運営委員会の人達が様々な催しを計画しているからずっと居てても飽きない。時々、大物が来たりするからそこもまた目玉である。
「そろそろ始まる頃だろ。」
俺達もこの催しは好きだ。中でも1番盛り上がるのが今から行われる行事である。
「お。どんどん人集まり始めた。」
「さぁ今回も始まりましたデュオバトル!!」
デュオバトル。2人1組のペアになってコンビネーションを競うダンスバトル。始まりは5年前で初めは1発芸のようなものだったのだがその盛り上がりようからいつの間にか恒例行事となっていた。
「ねぇ。葵。」
続々と参加者が集まり始める。カップルと思われる人たちから友達同士、家族。色んな人達が参加している。
「どうした?」
いつも俺たちは見るだけだった。ずっとこの外から見るだけ。でも今日は。今日は何故か行けそうな気がした。
「俺達もやろうぜ!」
「おう。いっちょ見せつけてやるか。」
「優勝しちゃった。」
「まじか。マジで優勝かよ。」
委員会の人と見ている観客の人による採点で優勝者が決まる。そしてその結果俺たちが優勝した。
「色々貰っちゃった。」
「後で山分けだな。」
そろそろお祭りも大詰めになってきた。周りの人達も花火が良く見れる場所の席取りを始めていた。俺たちはと言うと。
「わぁ。屋台荒らしみたいだ。」
「周りの子供とかに配ってるからそういう訳では無いだろ。ほれ。」
葵は子供から好かれる。というか子供には本当に優しい。多分、両親の影響だろうなぁ。
「ほれ。お前も。」
「わぁ。可愛い。キーホルダー?」
「そ。射的の景品。俺と同じ。」
「おそろだ!」
色違いのキーホルダーだ。うさぎさん……可愛い。
「カバンにつけよ。ていうか大丈夫なの?席とらなくても。」
「おう。大丈夫。ちょっと着いてきてくれないか。」
「お。うわっ。」
葵が俺の手を引いて歩き始めた。どこに行くのと聞けば『取っておきの場所だ』と言う。
「とっておき?」
「俺しか知らない俺のお気に入りの場所。」
歩き続けること数分。気づけば人の声も聞こえなくなってきた。聞こえてくるのは涼しい虫の声と地面と靴が重なる音。空には満月が俺たちを強く照らしてくれている。葵はただ黙々と俺の手を引いてカツカツと階段をあがっていった。
「ここは?」
「もう誰も来なくなって手入れもされなくなった神社の跡地。」
「川だ。」
町にこんなところがあったんだ。
「ほら。見てよ優。」
「蛍だ!!凄い!!」
凄い。生きてる蛍なんて初めて見た。
「昔から1人になりたい時とか夜に急に来たくなるんだよな。ここに。」
「葵でもあるんだそういうの。」
「あるよ。俺にも。1人になりたい時とか。でもここに来たらさ。どーでも良くなるんだよな。……っとそろそろか。優。」
こっちこっちと葵が手を振る。
「ベンチ?」
「そ。横、空いてるから。」
「よっと。座ったよ?」
「そこで見てな。」
夜空を眺めていると、目の前で。
「わぁ………。」
1輪の綺麗な花が夜空に咲いた。
「すげぇだろここ。」
「うん。凄い。」
色鮮やかな花弁が夜空に舞う。
「妖怪みたい。葵。」
その花弁が舞うのを見ながらカラカラと葵は笑って手に持ってるラムネを飲んだ。狐のお面を被ってるその姿はまるでファンタジーに出てくる妖怪ような雰囲気があった。
「……ちょっと肩借りるね。」
葵はただ何も言わずに肩に手を置いた。
「また。またさ。来年もこうやって2人でさ。行こ。」
「……おう。」
「えへへ。絶対だよ?絶対約束。」
「あぁ。絶対だ。」
俺たちは親友で。俺は彼が好きで。俺たちは決して恋人同士ではない。でもせめて。せめて今日は。今日だけは良いかな。自分に甘えても。
「あ、終わっちゃった。」
「よし。んじゃ帰るか。……つかもう誰も見てないんだし恋人のフリしなくてもいいんだぞ?」
「…………。もーちょっとだけ。」
この夜はまるで花火のように綺麗で。
「少しだけな。」
夢のように儚く。
「………ん。」
琥珀糖のようにほんのり甘い。そんな夏の日だった。
時代的には2018年あたりを想定してたりしてなかったりします。SNSもTwitterとかそのあたりです。
とりあえずこの小説完結させたら12話のドシリアスな話書きます。まだこの小説完結する気しないけど。