せっかくTSしたので親友(♂)を全力で落とそうと思う   作:らびっとありす

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今回は葵くんがテーマの話です。文化祭の時の中身は全部考えてるんですけど、準備期間の話は実は全然考えてなくて。そしたらこういう話書いてねぇなと思って書きました。

今回は頑張って会話文減らしました。こういう話を書くって言うことはつまりそういうことです。


白井葵という男

『先輩。付き合ってくれませんか!』

 

『すまん。出来ない。』

 

俺は。つまらない人間だと思う。

 

「また断ったの?」

 

別に断る理由は無い。ただ俺は誰かと付き合えるほどの器でも無いし、多分相手を失望させる。それに別に彼女が欲しいという訳でもないし好きでもない相手と付き合うほどの度胸もない。

 

俺は本当につまらない人間だと思う。

 

別に小説とかでよくある人間として大切な何かが欠けてるって訳でもなければ両親との仲が悪いとか姉弟同士の仲が悪いとかそういうのは一切無い。ただ気が合う親友がいてお調子者の友達がいる。ただそれだけの。本当に。どこにでもあるような普通で当たり前の幸せ。俺にとってはそんな日常がどうしようもなく好きで、誰かと付き合ってしまえばそんな日常も無くなると思ってしまうほどに自分は臆病だった。

 

「つまんね。俺って。」

 

そう言うとあいつは『そんなことも無いけどな』と横で笑いながら答える。何がおかしいと聞けば『別に』とちょっと拗ねた顔で答えた。

 

こいつとは何年も一緒にいるのに未だに分かってないことの方が多いような気がする。好きな物とか食べ物とか趣味とか。そういうことは良く知ってるし両親のことも熟知している。でもこいつ自信が何を考えているのかとか、どうして俺といるのかとか。そういうところはまるっきり分からない。前に聞いたこともあったが『自分で考えろ』と一蹴された。

 

「鈍感なのか……。俺って。」

 

「お前今更?」

 

昔から人の考えることを読み取ることは苦手だった。国語のテストとかであった『作者の気持ちを考えて書け』みたいな問題がどうしようもなく苦手で。小学校の頃、あいつが転校してくる前まで、周りからは人の気持ちが分からない怪物だと思われていたことぐらい周りの視線で気づいていた。

 

「葵ってさー。どこか抜けてるよね。昔から。」

 

周りは俺を完璧超人やら獅子王やら色々呼ぶが俺は別に自分は完璧だとは何一つ思っていない。逆に俺には欠けているモノの方が多いような気さえする。自分には何も取り柄がないから総合格闘技だって始めたし、喧嘩が強いと言われるのは守りたいものがあるからであってきっと、守りたいものがなければ俺は誰よりも弱い。守りたいものが消えた時、俺は本当に『自分』としての誇りも価値も何もかも失ってしまうと思う。

 

 

 

俺の両親は優秀で何個も道場を持ってる。姉だってモデルをやりながら合気道の日本チャンピオンにまでなったことがある実力者。祖父は近接格闘の指導者。格闘技の業界ではうちは名の知れた名家のようなもので、周りからしたら俺はその名家に生まれた『長男』に過ぎない。

 

ーー流石、あいつの息子だ。

 

本当に嫌だ。

 

ーー将来が楽しみね。

 

反吐が出る。完璧を演じてないのに周りからは完璧と言われる。それが本当にどうしようもないくらいに嫌だった。

 

「葵?」

 

「ん?」

 

「大丈夫?顔色悪いけど。」

 

でもそんな俺を『白井葵』として家族以外で初めて見てくれた人がいた。

 

「大丈夫。」

 

「はぁ?お前の大丈夫って1番信用ならないんだよ。」

 

いつも俺を気にかけてくれるそんな優しい人がいた。島崎優。白髪で赤い眼をしているがれっきとした日本人で男っぽい口調だが生物学上は女である。生物学上はというのはこいつ、何故か目が覚めたら性別が変わっていた。本人も理由がわからないらしい。と言ってももう3ヶ月近く前の話だし、優も今となっては受け入れている。

 

それに、こいつが俺にとって大切な親友であることは変わらない。

 

「ほれ。手、握ってやったら顔色良くなったろ?」

 

「……子供体温だな。」

 

「お前サラッと俺が子供だっていたな!?」

 

「は?言ってねぇし。」

 

「言った!これでも俺、他の人よりは胸あるんだぞ!?」

 

「胸で語んなや。てかお前後で自分で言ったことに対して恥ずかしくなっても知らんぞ。」

 

「………うにゃぁぁぁ!!」

 

頭はいいんだがこいつポンコツというかなんというか。

 

「アホか。お前。」

 

こんなやつだから俺はこいつを守りたいって思えるのかもしれない。こういうちょっと可愛いと思えるこいつのことを。

 

でもそれ以外に何か。こいつを守りたいって思う理由が。俺の中にはあった。

 

「んー………。」

 

「なんでじとーって見てくんだよ。」

 

「べっつにー。いっひひ。」

 

それがこいつが自然に笑っていられる為なのかはよく分からない。

 

「そういや文化祭の買い出し頼まれてたっけか。」

 

「あ。そういえば。早く行かなきゃ。」

 

「葵ー。早く行こー?」

 

「おう。」

 

ま、そんなことより俺はこいつとただ同じ時間を過ごせればいいとそう思った。

 

ーー『■■。■■■■■■。』

 

「葵?どうしたの?」

 

「……いや。なんでもない。」




最後の◻️のやつはこの物語の最後らへんに答え合わせが出てくるので文字数覚えておいてみてください。
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