せっかくTSしたので親友(♂)を全力で落とそうと思う 作:らびっとありす
「……あぁ。そっか。」
今までずっと気づかなかった。
妙にずっと目線が離れなくて。気づけばずっとたった1人を見つめてた。
「俺、あいつのこと……。」
文化祭、本祭の本格準備まで今日でラストとなった。
「これ。姉さんから借りてきた。」
「おぉ!!さすが白井くん。やっぱり持つべきはモデルの姉持ちのクラスメイトだねぇ。」
「いや普通はそんな人いないと思うよ。」
軽音部の練習は部長が『今日はクラスの方に専念しな。』と言ったので今日はおやすみである。
「男子組はどうなの?」
「今、調理の最終調整入ってるらしいよ。」
うちの男子って料理できる人多いよね。俺は出来ないけど。
「そっか。」
「…………。んー?」
早坂さんが葵の顔とチャイナドレスをチラチラと見比べ始める。……あっ。なんか嫌な予感する。
「葵くんってさ。女顔だよね。」
「……はっ?」
「優くんそう思わない?」
「あー。昔、女装させられてた。」
「おい。おいおい優?いや、ウィッグとか「持ってるよー!」」
あ。葵。お疲れ様です。
「観念しろぉ!!」
「ゆ、優!助け「あーそういえば俺やることあったわー。」優!?」
女の子って火事場の馬鹿力凄いな……。あの抵抗している葵を無理やり更衣室に連れてった。てかあの反応的に色々多分持ってたんだろうな。そういやうちのクラスに同人誌即売会の売り子をよくやってるコスプレしてる子がいたっけか。用意周到だなぁ……。
「ふぅ。やり切った。」
「ダメだ。これはあかん。うちら、怪物を生み出したかもしれん。」
おっ。帰ってき……た。
「……うぅ。この格好、すげぇ恥ずかしいんだけど……。」
「え?葵?」
「おう。そうだよ。……あの。あんまジロジロ見られると。」
「あ、ごめん。」
……ってなんで俺シンプルに謝ってんだよ。ていうかめちゃくちゃ可愛い。え?葵?これが葵?いや確かに昔、お姉さんに面白半分で女装させられてたけどあの時はまだ完全に成長しきってなかったよね。あれ?あの時と全く変わってないというか、逆に可愛くなってない?というか色気増してない?増し増しになってない?
「あ、優くん横に並んで!」
「え?あ。はい。」
あ、ダメだ。普通に見惚れてた。
「ほー。ほーほーほー。これは絶景かな良きかな。」
「こう見たらあれだね。姉妹だね。完全に。」
撮られた写真を見てみると確かにこれは姉妹だ。
「おーい。こっちは色々終わっ………。あれ。」
「うちのクラスにこんな高身長な美少女いたっけ。」
「え?島崎のお姉さん?」
「お?なんや。おもろいことしとるやん。あおっち、やっぱりこう見たら女装似合うわ。」
「「「……はっ?」」」
そりゃそういう反応するよね。俺だって同じ立場だったら同じ反応する。
「お前。よく分かったな。」
葵、もう完全に吹っ切れてるし。こいつの適応能力バケモンか?
「え?葵?」
「やべぇ……。俺、抱かれてもいいわ。」
「まーるーき?」
「あ、サーセン。」
「それにしても似合ってるな。やっぱり女顔やなぁ。まぁ姉ちゃん可愛いもんな。」
「……おっと。神楽坂。それは。」
委員長……。静かに怒ってるよ。
「神楽坂。遺骨だけは拾ってやる。」
「はぁ!?ちょ。俺、素直に言っただけやん!?」
「徹君?」
「ちょ。委員長。別にそういう意味で言ったわけじゃなく……うぉあ!」
神楽坂。ご愁傷さまです。
「良し。白井くん。本番もそれで「いや着ねぇよ!?」ちぇ。せっかく可愛いのにもったいない。」
「男に可愛いってそれ。褒めてんの?」
「褒めてる褒めてる。優くんに言われたら嬉しいっしょ?」
「……え。ま、まぁ。それなりには。」
「じゃあ褒め言葉だよ。」
葵、口車に載せられてるというかこんなに葵が追い詰められてるの珍しいな。さすがに女子相手には葵も弱いのか。というより押しに弱いのかな。新しい弱点発見。
「ま、まぁ。もしもの時は着てやるよ。」
「「よしっ!!」」
負けてるじゃん。根性折れちゃったじゃん。
「とりあえず着替えてくる。」
急に恥ずかしくなったこれ。
「優くん。」
「ほえ?」
「多分もう少し押したら行けるわよ!」
「それ、ほんと?」
「早坂の言うことはあんまり信じない方がいいよー。」
「えぇ?これに関してはほんとだと思うんだけどなぁ。」
「なんだかんだで長く居ちゃったね。」
「明日から本祭の本格的な準備なのにね。」
「ねー。」
内装組と話し合いをした後、俺と渚は荷物を持って学校を出ようとしていた。
「そういや教室に荷物を取りに行った時、白井くんの荷物無かったけど先に帰ったのかな?」
「どーだろ。でも見てないよね。」
携帯を見ても履歴はない。神楽坂に連絡しても『いや知らんで』と返ってきた。
「あ、あの教室光ってる。」
確かあの教室って空き教室だったような。
「あ、あれって。」
教室の中にいたのはうちの学校の1年生と葵だった。あー。またか。
「告白!?」
「あーいつもの事だよ。多分すぐ終わると思う。」
なんだ。いつもの事か。あいつ本当にモテるな。昔から。
「大体、葵って誰が好きか分からないし付き合わ「俺には。好きなやつがいんだ。だからすまん。あんたとは付き合えない。」………え?」
葵に。好きな人?え。そんな話聞いたことないんだけど。
「白井くんに好きな人!?」
嘘。あいつが?あの唐変木が?あのド天然で鈍感なあおいが?そんな話、俺にあいつしてないのに。
「優くん!?大丈夫!?」
「……ごめん。ちょっと今、現実を受け止めるのに必死で。」
『それって。誰なんですか?』
『それは。』
「帰ろ。渚。」
「え?良いの?」
「良いよ。」
「でもまだ誰が好きなんて「俺じゃないことくらい分かってるよ。」」
あいつの中でずっと俺はきっと親友の時の俺のまんまだ。自分に過信していた。自分に酔っていた。落とせるんじゃないかとか。そう思ってたけど。
「………本当に良いの?泣いてるよ?」
あぁ……。なんて。本当になんて一方通行の片思いだったんだろう。
「良いんだ。あいつが誰を好きになったって。俺は。叶わない恋だったとしても俺は『あぁ……。そうだよ。あいつだよ。いつもいるアイツだよ。』……?」
『なんつーか。自分の口で言うのも恥ずかしいんだが。あいつが笑うと嬉しいし、あいつが泣くと俺も悲しい。俺、あいつのことどうしようもなく好きみたいなんだ。多分それはあいつが元々男だとか。そういうの全く関係なくさ。俺はあいつ自身を好きになったんだと思う。たまたま好きになったやつが元々男だったと言うだけでな。』
………え。
「………ッッッ!?」
やばい。俺、さっきまでかなり恥ずかしいことしてた。
『そうですか。……でも先輩が好きになったんならその人きっと凄いい人なんですね。』
『あぁ。俺の自慢の親友だよ。』
『じゃあ先輩。その人の事絶対に幸せにしてあげてくださいね。』
『おう。当たり前だ。』
ダメだ。俺、この場にいれる自信ない。
「ごめん渚。俺先帰る!」
「うぇ!?優くん!?」
ダメだ。
ほんとにダメだ。今誰にも見せられないくらいだらしない顔になってる。
心臓が今までにないくらい鼓動している。
「はぁ……はぁ。」
ほんとにこれはダメだ。体が暑い。
「家までもつか。これ。」
「尾上?」
「うぉあ!?ごめん。別に盗み聞きする気とかは無かったんだけど。」
「いや。別に良いけど。それより優は?」
「優くんなら早坂達と帰ったよ。」
「そうか。あいつには聞かれてなかったか。」
俺ってホントチキンだ。どうせならあいつに堂々と聞かれてたら良かった。
「初めはあいつに言いたかったんだけどな。」
「あ、徹君が待ってたよ。」
「おう。ありがと。」
「ふふっ。君もそういう顔できるんだ。」
「いや。俺も人間だし。」
「いや知ってるよ。それじゃあね。またあした。」
「じゃ。」
「はぁ……。」
あんなこと聞いたら意識してしまう。ダメだ。いつもなら抑えれるのに今日は。
「ん……「優ー 。」はべらっちょ!?」
お、お母さん!?
「あらま。お取り込み中だった?」
「違うけど!?」
「え?でもさっきいろ「わーわーわー。聞こえない聞こえない。」まぁお母さんも同じ頃があったわ。」
「聞いてないです。」
「今からするとこだった?」
「しないわ!!つかナチュラルにセクハラするのやめてくれる!?」
「でもまさにしようとしてたんじゃない?」
「……………。はぁ。否定できないところがまた。もう落ち着いたから大丈夫。」
まぁおかげで落ち着けたは落ち着いたけど。
「どーしたの。急に帰ってきて。」
「………。あの場にいるのが恥ずかしくなったから。」
「あら。葵くんに告白された?」
「…………。違うけど。あいつ、俺の事。す。す、好きだったみたいで。」
「あらあら。」
「あいつが告白されてるとこ見つけて盗み聞きしてたらそう言う会話が聞こえて。恥ずかしさと興奮で帰ってきた。」
ほんと。バカみたい。こんなに意識してる自分がほんとに馬鹿みたい。
「俺。決めた!後夜祭で告る!」
「ふふっ。青春ねー。それじゃあお母さんはお風呂の用意してくるわね。」
「あ。うん。」
結局あの人なにしに来たの。
「あ、そうだ。やる時は扉と窓閉めなさいよ。」
「一言余計だわ!!」
純情少女と純情少年っていいよねぇ。分かる。