転生先が百合キャンセラーのバケモンとかどうにかならなかったんですか!? 作:サク&いずみーる
報告さえいただければ、うちのオリ主を各自の二次創作に使っていただいても構いません。
どうぞうちの子を各地に派遣してくださいませ→その内見た目イラスト描き上げます。
『アサルトリリィ』
それは、人類を脅かす謎の生命体『ヒュージ』と、それらに対抗するために人々を守り、導く少女たち『リリィ』の戦いの物語である。
時に笑い合い、時に悲しみ。
時に伝承の名を授かった武器『CHARM』を手に戦場を駆ける。
その中で少女たちが成長し、友情を深め、仲間との絆を強くしていく。
──要するに女の子が百合百合して、空気読めないバケモンをぬっ殺す話だ。
あのアニメのエンディングなんて、その道の人間なら「ヒュッッ」とでものたまって狂乱したことだろう。
ああ、でも作品に合わせて言うなら「イノチ感じちゃってる!」なんだろうか。
二次創作作家がその腕を振るってくれそうな燃料投下だ。
人形が原作だったことは最近知った。
何故そんな話を急にしたかと言うと。
そんな百合百合ワールドに転生したからである。
死んだ自覚なんてないまま、気づいたらこれよ?
しかも相当マズい事態になった。
この際だから、死んだ死んでないはどうでもいい。
『アサルトリリィ』世界に転生しちゃったのも全然いい。
問題はその転生先の体だ。
なんせ、あろうことか『特型ヒュージ』に転生していたのだから。
ヤバいなんてもんじゃない。
先述の通り、ヒュージはリリィの……いや、それどころか全人類の敵だ。
ヒュージ抹殺を掲げる乙女たちにエンカウントしてみろ、即座にスクラップだ。
マッドな科学者サークルに捕まってみろ、人間すらモルモット扱いの連中がヒュージで遊ばない道理がない。
結局、どこをどう通ってもデッドエンド直行の未来しか見えない。
だが、『俺』は物語でよく見る「一回死んでるから今更死ぬのもねぇ(達観)」なんて思考にはなれない。
むしろ、みっともなく生き延びようとすらするタイプだ。
かと言って、人が死ぬことを良しとできるタイプでもないから……
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目の前の異常に、少女たちは言葉を失った。
そう、異常だ。
CHARMとの略式契約すらなしに戦場に来た『
ガーデンたる百合ヶ丘女学院のエースである『
後に「百合ヶ丘の至宝」と称される『楓
もちろん「ヒュージが奇襲を仕掛けてきた」ことや「見たこともないヒュージの出現」にも驚きはあった。
だが、それすら凌駕する異常がここにはあった。
──ヒュージがヒュージを攻撃している。
「共食い」ではなく、「攻撃」である。
しかも、少女たちに攻撃の流れ弾が来ないように庇うような動きさえある。
リリィに対する敵意が一切ないのだ。
ヒュージと言えば意思疎通は不可能、人類を絶滅させるためだけに現れたような、正真正銘の『バケモノ』である。
その、はずだ。
「キュイーッ!!」
攻撃しているのは新種のヒュージ。
ミドル級よりは多少大きく、ラージ級よりはまあ小さいという中途半端な体躯。
しかし、その姿はどこか威容すらある。
何故なら、その姿は伝承において森羅万象の頂点に立つと言われた生物──ドラゴンによく似た姿をしているのだから。
「何ですの、あのヒュージ……!?」
「分からない……けど、今まで聞いたことのないヒュージであることは間違いないわ」
「まるで私たちを守るように……」
『新種』がついにヒュージを押し倒す。
これが人間の男女ならラブコメの波動があったかもしれないが、実際はヒュージ同士の取っ組み合い、そんなものはありはしない。
尤も「取っ組み合い」と呼ぶには、あまりにも一方的過ぎた。
『新種』の殴打がヒュージの外殻を砕く。
『新種』の鋭爪がヒュージの肉体を裂く。
『新種』の尻尾がヒュージの触手を絡めて引きちぎる。
じたばたと抵抗するヒュージも何のその。
容赦なくただのガラクタへと変えていくではないか。
いや、それよりも問題は──
「どうするんですか? この後」
──『新種』が眼前のヒュージを仕留めた後にあった。
ヒュージを討ったからといって『新種』がそれで満足するとは考えられない。
その後にリリィたちや百合ヶ丘を襲撃する可能性だってある。
敵意がない? そんなものは根拠たり得ない。
「警戒しておくに越したことはないわ」
「ええ。わたくしたちに挑むことがどれほど愚かな行為なのか、きっちり教えて差し上げますわ」
故に各々、手の中のCHARMを握り直す。
そもそもリリィの使命は「人に仇為すヒュージを討伐する」ことだ。
なら、『新種』であろうと攻撃された時はやり返す。
そう考えていた。
「キュイー……」
とうとう1体のヒュージが永遠に沈黙する。
『新種』はどこか気怠げに視線を少女たちへと向けた。
リリィたちはCHARMを構えて警戒を怠らない。
当然の反応に『新種』は気まずそうに後頭部を掻くような仕草。
表情なんてないはずなのに、そいつには冷や汗すら見えそうで。
……なんというか、いちいち人間くさいヒュージだった。
「ッ……!」
「! 来るわよ!」
「ええ!」
「はいっ!」
『新種』が体を起こす動きを見せた。
やはりヒュージはヒュージ、結局は戦いなど避けられない。
巨大な翼が広がり天を覆う。
そして、翼を羽ばたかせて宙に浮いたかと思うと──
──そのまま何もせずに撤退した。
まさかの、誰もが「最も可能性が低い」と推測した選択肢である。
しかもご丁寧に、行き先は百合ヶ丘でもケイブやネストでもない方角だった。
本当に何もない、強いて言えば自然しかない場所へと向かっていた。
「あ、あれー?」
「この場合、どうすればいいのでしょう?」
「……一度戻って報告しましょう。小さな焦りは、やがて大きな失敗になりかねない。分からない時はガーデンに判断を仰ぐのも一つの手よ」
そうして、3人の乙女は帰っていく。
人間にはヒュージの考えなど、分かりはしない。
まあ、だからと言って。
逆も然りとは限らないわけだが。
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(ッッッッッぶねえええええ!!!)
去っていく少女たちを見て、内心は渾身のセーフポーズ。
いやホントに危なかった……!
ここで「追うわよ!」みたいな流れになってたら詰んでたぜ?
やっぱ第一印象って大事なんやなって……
「みゃー」
わっ、真っ黒ネコチャン!
そのまますり寄ってくる。
今ヒュージなのに、警戒されることなく脚にすりすりされる。
あーあれかな……そういや前世でも結構動物に好かれてたんだよなあ。
その影響引きずってんのかな?
それとも『中身』がこんなんだって動物には分かる的な?
んーむ、寄ってきた猫を吸ったり、撫で回したいところだけど。
いかんせん、こんな体じゃどうしようもない。
その代わり、好きなだけすりすりしとくれ……!
「にゃー」
「キュー」
──実のところ、『俺』が転生してからそこそこ日が経っている。
おそらく、自我を得てから……1年、も経ってないくらい?
しっかしまあ、気がついたら戦場って。
イマドキの二次創作でありがちな展開だったな、でも実際あると堪ったもんじゃないがな!!
そこから、「死にたくない死にたくない!!」と某蜘蛛ちゃんばりの生き汚さを発揮して、かろうじて生き延びた次第だった。
……人間とリリィは一度も殺してないゾ。
で、一回だけヒュージネストとやらにお邪魔してみればこれがまた良くなかった。
何が悪いって、全部悪いよそりゃ。
でも群を抜いて悪かったのが、あの『感覚』だ。
まるで頭の中を覗かれているような、体が大群に溶けていくような、大群が自分の中に入ってくるような。
あの形容し難い、気持ち悪くなるような感覚に、人としての本能が拒絶を叫んだ。
『同期』とでも言えばいいんだろうか。
そして半ば逃げ出すようにネストを脱出した。
「ごろごろごろごろ……」
「……キューイ?」
幸いにも、ネストに情報漏れはしてないと思う。
もし漏れてんなら、ヒュージが俺を追ってくるはずだ。
ばったり遭遇することはあれども、最初から俺目当てで来られたことは多分ない。
だってこんなバグ、放っといたら何するか分かんないじゃん?
排除するなり、取り込んで解析するなり、何か手を打つだろ。
思考がどうというより、生物の本能的サムシングで。
……ところで。
「にゃあ」
「みゃーん」
「……(すりすり)」
「キュルル?」
「ぴぃぴぃ」
「キュイ!?」
増えてね? しかも猫じゃねえのもいるんじゃね!?
オイオイこちとらヒュージよ!?
キミたちそんなに危機感薄くていいんですかね!?
うわでも揃いも揃ってモッフモフやな!?(思考放棄)
「……」
「な〜う?」
なんて、ね。
……こうして、動物たちが寄ってきてくれて思うのは。
「人間ともこんな感じで歩み寄れたらたらいいのに」という淡い期待。
まあ、俺が人語を話せない時点で無理な話だ。
相手の話は分かるんだけども、こっちの意図が伝わらない。
筆談という手段があるにはあるが、リリィがそんな隙を与えてくれるとは思えない。
ほんっと、どうしたもんかねぇ……
【キャラ設定】その1
ヒュージに憑依転生した哀れな一般人。結構けろっとした性格。
ヒュージ体としての姿はミドル以上ラージ未満の大きさ。
アサルトリリィはアニメとゲームくらいは知っている。