転生先が百合キャンセラーのバケモンとかどうにかならなかったんですか!?   作:サク&いずみーる

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今回で新たなタグが追加されます。「その手の話はなぁ……」という人はすぐに離れるのです、いいね?
さて、何人お気に入りが減るかなぁ……?


あ、ありのまま起こったことを話すぜ!(以下略)

 ──CHARMを扱うヒュージを倒し、数日が経ったある日。

 

「全く……派手にやらかしてくれたものね」

「昨日って、戦闘ありましたっけー?」

 

 一柳隊は海岸に来ていた。

 本来なら、白い砂浜と青い海がきらめいて。

 美しい景観を生み出しているこの場所だが。

 それらを台無しにしているのが、巨大な残骸。

 かろうじて生物っぽさがある歪なオブジェどもは、全てヒュージの亡骸だ。

 

「いえ、昨日は何もなかったはずです」

「共食いでもしたんじゃろか」

 

 ミリアムの言葉に、二水は鼻声でその可能性が低いと答えた。

 そもそもヒュージを形づくるのは、例外なく全てマギの力だ。

 故に、ヒュージはものを食べることがない。

 人間らしい振る舞いを心がけている、というピラトゥスですら。

 魚を獲ってくるのは、一緒に住む猫のためだという。

 

「マギを失えば、ヒュージは巨体を維持できず、その場で崩壊するはずよ」

 

 ヒュージの軟組織は一晩もあれば、無機質にまで分解される。

 骨格も、数日で同じ末路を辿ることだろう。

 

「それがまさに今」

「この臭い……まだマシな方」

 

 それでも、ヒュージとの戦闘経験がある方の雨嘉ですら。

 鼻を覆ってしまうほどの異臭が漂っている。

 

「う……」

「大丈夫ですか、雨嘉さん? 顔色が悪いように見えますが……」

「うん……ちょっと気持ち悪いかも……」

「少し休みますか?」

「ううん、まだ大丈夫」

「ですが……」

 

 突如「あっ!」と梅の声が上がる。

 

「梅、これからあいつのところに行くんだけど、誰か一緒にどうだ?」

 

 梅の言う『あいつ』が、ピラトゥスのことを指すのは周知の事実だ。

 しかし、公式の調査隊でもないのに頻繁に行くのもどうなのだろうか。

 それに、今はここでの仕事があるだろうに。

 

「私も行く」

 

 すっ、と鶴紗の手が挙がった。

 嬉しそうに笑うと、梅は雨嘉の元にも飛んできて。

 

「わんわんも一緒にどうだ?」

「え……?」

「それはいいですね。梅様、わたくしもご一緒させてもらえませんか?」

「しぇ、神琳?」

「おう! きっとあいつも喜ぶゾ!」

 

 さらっと雨嘉と神琳を巻き込んでいった。

 当の雨嘉は思わず、ぽかんと呆けた表情。

 「呆けた顔もかわいらしいですよ」と神琳に言われて赤くなったのは。

 2人だけの秘密である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 進む、進む。

 生い茂る草を踏み、出っ張った岩を越える。

 それなりに険しい道だが、リリィにとってはさほど苦ではない。

 むしろ、ちょっとした鍛練になる。

 それに異臭が漂っていた海岸から、ある程度離れているため。

 自然らしい、美味しい空気に満ちている。

 

 ──意外なことに、夢結は梅の提案をあっさり認めた。

 てっきり、サボりも同然の申し出を「下級生まで唆して……」と頭を抱えて。

 良くても『渋々許可してくれるが、お小言くらいはあるだろう』と雨嘉は考えていた。

 それがお小言もなしで。

 

「半分ほど人数を残しておいてもらえるなら、私は構わないわ」

 

 で、終わりだなんて。

 真面目な夢結にしては珍しい。

 

「梅様、ありがとうございます」

「んー? 何が?」

「雨嘉さんのことです」

「え……?」

 

 ドキリ、と心臓が跳ねた。

 

「雨嘉さんの顔色が悪いことを見抜いていたんですね。だから、空気の綺麗な山奥に誘ってくださったのでしょう?」

「あはは、何のことか梅にはさっぱりだゾ!」

「ふふっ、そういうことにしておきますね」

 

 そういうことだったのか、と納得する。

 あの時、やけに夢結が雨嘉の方を見ていた気がしたのは。

 そういう彼女なりの気遣いもあったのだろう。

 

「あ、あのっ、ありがとうございます!」

「気にすんなー。梅の気まぐれだからな! それに……」

「?」

 

「ここに来たのは、ちょっと胸騒ぎがしたからなんだ」

 

 一瞬にして、梅の表情が引き締まる。

 

 ──ピラトゥスと共闘した、あの直後。

 どこかおかしい様子で、小竜は住処へ戻っていった。

 その後、梅が真夜中に確認した時は、翼にくるまって転がっていた。

 さらにその後、定期派遣の調査隊が向かったものの。

 いつも温厚なはずの猫たちが、小動物とすら手を組んで。

 今までが嘘のように、激しく威嚇。

 中には、引っ掻いてまで妨害するものまでいたらしく。

 結局、様子を見ることすら叶わず、断念したという。

 

 もちろん、リリィと猫なんて『その気』になれば力の差は明白だ。

 だからと言って、無理に突破しなかったのは。

 妨害する動物たちが、どこか必死そうに見えたから。

 

「問題は邪魔してくる動物をどうするか、なんだけど……」

「猫だけなら、猫缶とか持ってるんですけどね」

「いろんな動物に慕われていますね、ピラトゥスは」

「普通のヒュージなら、倒して突破すればいいだけなのに……」

 

 どうしたものか悩みつつ。

 進んでいると、例の洞穴も近くなって。

 

「にゃー……!!」

「ふしゃぁ!!」

 

 少女たちの行き先に気がついた動物たちが。

 道を塞ぐように集まってくる。

 

「そりゃバレるかー」

「どうします?」

「縮地を使えば行けなくはないけど、こいつら相手に使うのはなぁ」

 

 脳内に撤退の二文字がチラつき始めた、その時。

 

「なー」

 

 動物たちの後ろから、鳴き声。

 その声が聞こえた途端、徐々に道が開ける。

 声の主は、他よりも大柄でがっしりした縞猫。

 ピラトゥスと共に、洞穴で見かけることが多い猫だ。

 

「おあー」

「え、いいのか?」

「なー」

 

 尻尾を揺らして招いている姿は、どこか焦っているようにも見える。

 周りの動物たちを見回すと、今度は何もしてこない。

 

「この子たちのリーダーなのかもしれないな」

「っとにかく、早く行こう!」

 

 残りの距離を一気に駆け抜け、あっという間に到着。

 洞穴は意外と奥行きがある。

 だが、梅が見た時は手前の方に倒れていた。

 だから、当然手前にいたのだが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え」

「……は?」

 

 

 今まで見てきた『小さな竜』ではなかった。

 それは、()()人の後ろ姿だった。

 色素の抜け落ちた、真っ白で長い髪。

 所々見える肌は、やはり透き通ったように白い。

 座り込んだ様子は、可憐な少女そのもの。

 

 しかし、後ろ姿でも分かる()()()()()()()()()()が。

 後ろ姿だからこそ分かる、()()()()()()()()()()()が。

 『そいつ』が人外であることを。

 どうしようもなく、物語っていて。

 

「お前……」

 

 声に反応し、『そいつ』が振り返る。

 顔立ちは、かわいらしい少女だった。

 蜂蜜のような色の瞳が、少女たちを見つめる。

 だが、少女たちの目を引いたのは左目に広がる黒い痣。

 それが、整った顔立ちにアンバランスさをもたらしている。

 振り返った『そいつ』は、黒く厳つい手と少女たちを見比べて──

 

 

 

 

 

 

 

 

「────キュイ……」

 

 ……今までヒュージの言葉を、正確に理解できたことがない4人だったが。

 目の前の()小竜が『へるぷみー』を発していることだけは。

 初めて理解できたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ──前略、前世の家族たちへ。

 

 優秀な妹は学校を楽しんでますか?

 心底仲の悪かった弟は受験に失敗しましたか?

 まだ仲良しの両親は元気ですか? できればもう少し枯れててください。

 学生時代、深夜に原付免許のために勉強してたら、隣の寝室から『盛り上がってた』声が聞こえて集中できませんでした。

 一応一発で受かったけど、覚えてる限り根に持つからな。

 俺は、アニメで見ていた(アサルトリリィ)世界に『人類の敵』として生きています。

 そして今では、何故か半人外系美少女に路線を切り替えています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……いや、俺が一番この状況に納得できてねえよ!!!

 なんっっっっだこの状況!?

 朝起きたら虫に変身してた野郎だって真っ青だよ!!

 何!? 目ぇ覚ましたらTS(一応まだ推定)してたって何!?

 『もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……』ってか?

 こんな怪文書送られてきたら身内全員俺の脳内構造を疑うこと間違いなしだろ!?!?

 

 ……気を取り直して。

 ドーモ、俺です。

 風邪っぽいものでダウンしたと思ったら、梅様たちに新形態をお披露目していたらしい転生者でございます。

 その後、無事にサルベージされて百合ヶ丘の病室にぶち込まれた次第。

 っていうか、腕と尻尾が邪魔……

 背中の翼は、どうやら任意で引っ込められるっぽい。

 あと顔のアザっぽいのも。

 でも、全体的に身体がゴツくて寝られん。

 今はとりあえず、検査の結果待ち。

 窓に張りついてる一柳隊の皆さんに手を振っておく。

 そして、目線を移した先。

 

 静かに眠っている、薄紫の髪の少女。

 この子が──後の『一柳結梨(ゆり)』ちゃん。

 最期まで、リリィとして仲間を守った女の子。

 ……ダメだ、『結末』を知ってるだけに、見てるだけで泣きそう。

 いや、泣けてるのかな?

 今のこの身体だとどうなんだろう?

 

「あの……祀様はどうして?」

「言い忘れていたけど、私も生徒会の役員なの。といっても、代理なんだけど」

 

 入ってきたのは、ママデビューが約束された梨璃ちゃんと。

 夢結様のルームメイトの祀様。

 実は、既に祀様とは面識があったりする。

 

「キュキューイ」

「久しぶりね。まさか、こんな再会とは思わなかったけど」

「二人とも、知り合いなんですか?」

「ピラトゥスの居場所が分かった次の日に、ほとんど生徒会の役員で構成された調査隊を派遣したのよ。その時に、私も同行したから」

「へぇ……」

 

 まあ、ホント少し話しただけなんだけどね。

 ていうか俺の声まだこれなん?

 人間ボイスの実装はまだですか??

 俺の声帯どうなってんの??

 

「まだ話せないのね」

「キュイー……」

「でも、表情が豊かになったから前より分かりやすくなりましたね?」

「キュイ?」

 

 マジ?

 だとしたら結構コミュニケーションが楽になったんじゃね?

 今までジェスチャーとオーバーリアクションで乗り切ってきたから、それは助かる。

 あれだけで感情表現はなかなかキツいんよ……

 

 その後、もう少し2人と何気ない会話……まあ、相変わらず俺はこんなんだったけど。

 とにかく話を聞いているうちに、梨璃ちゃんが何か用事を思い出して出ていった。

 確か、戦術とかそういうのを夢結様に訊きに行くんだっけ。

 でも間に合わないんだよなあ。

 ……頑張れ学生!

 

「さて、と」

 

 今まで楽しく話していた祀様の雰囲気が、少しだけ変わる。

 ピリッと身が引き締まる感じ。

 

「梨璃さんもいなくなったことだし、貴方のことを聞いていくわよ」

「キュイ……!」

 

 ひー……!

 これは、ちょっと……面接を思い出す。

 緊張するなあ……!

 

「ふふっ、そんなに緊張しないで? 何も、貴方のことを問い詰めようとしてるわけじゃないから、もっと気を抜いてくれていいわ」

 

 どうやら顔に出てたらしい。

 いやもう、本当に。

 どうして百合ヶ丘のリリィってみんな優しいんですかね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「帰ってきませんわね、梨璃さん」

「自分が助けたから、世話を焼きたいのでしょう。責任感の強い子だから」

 

 梨璃以外の一柳隊メンバーはラウンジに集まっていた。

 リーダーを待ちながら、束の間のティータイムである。

 

「気になるなら、貴女も行けばどうなの?」

「治療室はおしゃべり禁止なんですのよ。せっかく梨璃さんといたところで、黙ったままどうしろと?」

「見舞えよ」

「意外だなー。『黙っていてもできることはありますわ!』とかなんとか言うかと思ってたのに」

「なるほどその手がありましたわ!」

 

 天啓を得た、とばかりに楓の目が輝くが。

 「あるかー!!」というミリアムのツッコミに両断された。

 こうは言っても、楓だって場を弁えるため。

 これが本気ではないことは分かっている。

 ……いや、でも。

 実際はどうなのだろう……?

 

「そういえば、梅様はあの子……ピラトゥスのところには残らなかったんですね?」

 

 雨嘉がポロッとこぼした言葉に、二水やミリアムが「確かに」と反応する。

 何かと気にかけている節があるようだったし。

 そもそも、今回様子を見に行くことを提案したのだって彼女だ。

 

「まぁ、心配してないわけじゃないんだけど」

「だったら、どうして?」

「今回はもう大丈夫かな、ってさ」

 

 そう答えた梅はどこか、いつもと違って大人びた顔をしていた。

 伊達に長い間、離れていたわけではない。

 それでも信じていた梅の強さを、垣間見た気がして。

 下級生たちは密かに尊敬の念を高めた。

 当の本人は、少し照れくさそうに「それに、先輩がそんなんだと後輩に示しがつかないだろ?」と付け加えたが。

 

「あっ、お姉さまー!」

 

 ようやく来た、梨璃の弾む声。

 声と同じく、ちょっと嬉しそうな顔がかわいらしい。

 

「梨璃、どうしたの? そんなに慌てて……あの子が目を覚ましたの?」

「いえ、まだ寝てます。ぐっすり」

 

 トスッ、とテーブルに置かれたのは教本がいくつか。

 そのどれもが付箋付き。

 本からはみ出るカラフルなそれは。

 いかに彼女が努力を重ねているかが窺える。

 

「私、お姉さまに戦術理論の講義で教えてほしいことがあったんですけど──」

 

 ──間が悪く、鳴り響いた予鈴の音。

 時間は、時に無慈悲である。

 

「ああー間に合わなかったぁ! これから講義なんです! ごきげんようお姉さま!」

 

 夢結が何か言うまでもなく。

 梨璃は慌ただしくラウンジを後にした。

 他のメンバーも支度を整えていく。

 

「夢結は授業ないんだっけ?」

「取れる単位は、1年生の時に全部取ってしまったから」

 

 リリィはいつ出撃するか分からない。

 その上、普段は年相応の学生として生活している。

 故に、ガーデンは学業に関して臨機応変だ。

 『立て続けにヒュージの対応に追われていたら、単位が足りなくて留年した』では、あまりに報われない。

 ちなみに、夢結のような生徒は少なくない。

 その代わり、相当な努力を要する。

 

「あっそ。じゃあなー」

「ごきげんよう」

 

 羨ましそうなジト目の梅を送り出す。

 ああ見えて、彼女は勉強熱心だ。

 ……できれば、訓練もあれくらい真面目であってほしい、と夢結は思う。

 

「……?」

 

 ふと、目についた1冊の本。

 四つ葉のクローバーと『一柳梨璃』と書かれたシールからして。

 彼女の教本であることは間違いない。

 大方、慌てて飛び出していったから忘れてしまったのだろう。

 

「全く……そそっかしいんだから」

 

 そっと本を撫でてみる。

 届けることも考えたが、このままでもいいかもしれない。

 

 そんなことを思う夢結は、優しい笑みを浮かべた。




『何故あんな暴動じみた行動になったのか(特別意訳)』

猫1「な、なんかあいつちょっとずつ人間っぽい姿になってんやけど……」
猫2「ファッ!?」
おーやさん「……とりあえず本人が目ェ覚ますまで他の人間寄せつけんな、ぜってー本人すら度肝抜かれるのに第三者が見たらパニックだぞ」
猫一同「うっす」


【キャラ設定】その17

マギに当てられたことで、ガワだけ一部人間の姿になった。
今までもノインヴェルトの近くにいてマギを浴びたことはあったが、前回のは零距離パスというある意味規格外な方法で装填されたため、より大量で高純度なマギになった。それが今回の原因。
TFの途中みたいな中途半端な姿になったのは、倒されたヒュージのマギも混ざっているから。

シャーペンの書き殴りですが、オリ主ビジュアルをお納めくだせぇ……(教えてくださった方ありがとうございます!)

【挿絵表示】
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