転生先が百合キャンセラーのバケモンとかどうにかならなかったんですか!?   作:サク&いずみーる

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本作のスケジュールみたいなものを作ってみたらワクワクしてきた作者です。
つまらないのは分かってますから、感想をください……!! 感想一つで救われる命がここにあります(切実)


情緒がジェットコースターしてる感じ

「梨璃、おかえり!」

 

 ヒュージとの戦いから戻った梨璃たち一柳隊を出迎えたのは。

 嬉しそうな表情を浮かべた結梨だった。

 

「ただいま、結梨ちゃん! アルンさんも来てたんだね?」

『今日はメディカルチェックだけだったから、早めに終わったんだ』

 

 アルンも小さく手を振る。

 尻尾はいつも通り、ゆらゆらと揺れていた。

 

「お留守番は退屈じゃなかった?」

「二水のお手伝いをしてたから大丈夫、途中からアルンも来たし」

「あっ。お願いしておいたインタビュー記事の書類、整理しておいてくれたんですね!」

 

 テーブルの上には、いくつかの紙の束。

 見ると、学年別に分けられているのが分かる。

 

「ここに書いてある数字の通り並べるだけだったから、簡単だったよ」

『オレが来た時には、もうある程度こんな感じになっていたよ』

「ありがとうございます! 結梨ちゃん、この短期間ですごい進歩ですね!」

「ふふふ〜、褒められちゃった」

「えらいね、結梨ちゃん」

 

 頭も撫でてもらって、結梨はすっかり上機嫌である。

 確かに、結梨の成長は目覚ましいものがある。

 百合ヶ丘で保護されて1ヶ月も経っていないというのに、身体機能を取り戻し。

 理解や知識をみるみる蓄えていく。

 今の結梨は、まるで水を吸っていくスポンジのようだ。

 

「はぁ……ようやく一息つけますわ」

『お疲れ様です』

 

 ため息と共に、楓がドカッとソファーにもたれる。

 お嬢様らしからぬ仕草に、一瞬だけアルンの顔が険しくなるが。

 その理由を近くで見てきたがために、労いの言葉で応じた。

 

「今日はまた随分元気がないのう」

「朝から夜まで結梨と一緒だから、いくらアルンがついてるとはいえ、楓が一番忙しいだろうなー」

「リリィ新聞のお手伝いもお願いしてしまってますし……」

 

 楓だって、一人の人間だ。

 優秀であるとはいえ、講義に訓練──さらにはリリィとしての出撃もある中で、結梨の面倒も見ている。

 それだけ多くのことをこなしていれば、疲れもする。

 

「あの……楓さん。私に何か助けになれることがあったら、言ってね?」

「ご心配には及びません! 梨璃さんの力になれると思えば、苦にはなりませんわ!」

 

 楓の切り替えの速さは凄まじいものだ。

 梨璃が心配してくれたらこれである。

 

「相変わらずだな……」

「でも、もし楓さんが疲れて倒れちゃったら──」

『大丈夫だよ』

 

 梨璃の不安を察したアルンが微笑んだ。

 その視線の先には──

 

「あら、結梨さん。またリボンタイが曲がってますわよ?」

「え? あ、ほんとだ」

「身だしなみには気を遣いなさいと教えているでしょうに。ほら、ちゃんとこうして……」

「ふふっ。楓、ありがとう」

 

 本当に疲れなんて感じさせない、優しい微笑。

 もし、結梨のことを本気で『手のかかる子』だと思っているなら。

 こんな表情はできない。

 『苦ではない』という言葉もあながち冗談ではなさそうだ。

 

「手慣れたものね」

「楓まで、お姉さんみたい……」

 

 神琳は微笑ましそうに、雨嘉は意外そうな反応を見せた。

 

「お茶を淹れてきます。少し外してもよろしいかしら」

「ええ。ミーティングを急ぐ必要もないから」

 

 楓が部屋を出たのを見計らって、アルンは口を開く。

 

『ね? 意外と楓さんも楽しんでそうでしょ?』

「……」

「どうやらいつもの『梨璃のため』ってだけじゃなくなってそうだなー」

『結局、なんだかんだ言って楓さん良い人ですから』

 

 顔を合わせた梅とアルンは、どこかニヤニヤした笑みを浮かべていた。

 その表情は揃って『面白いものを見た』と語っている。

 

「……ねぇ、梨璃。梨璃も楓も、毎日どこかへ出かけて、みんなで何してるの?」

 

 ──不意に、結梨がそんな質問を口にする。

 

「えっ? それは……」

「なんじゃ、やっぱり興味があるのか?」

 

 梨璃が言い淀んでいると、代わりにミリアムが反応を見せた。

 

「うん、わたしもいっしょに行きたい。梨璃のこと、みんなのこと、もっと知りたい」

「でも、結梨ちゃん……」

「目的意識を持つことは、悪いことではないわ」

 

 心配そうな梨璃に対して、夢結は肯定的な意見。

 「結梨を連れて行くかどうかは、別の話だけれど」と後に付け加えた上だ。

 『無知であるということは幸せだ』とは言うが。

 それは、同時に危険なものでもある。

 何故なら、知らなければ何かあった時に対処できない、ということだから。

 だったら多少なりとも知っておくのもいいだろう、そういう考えだった。

 

「実戦が早すぎるなら、まずは知識を得ることからじゃの。とりあえず社会科見学、ってことでどうじゃ?」

「『シャカイカケンガク』……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ──場所は変わって、百合ヶ丘の工房。

 結梨ちゃんの『社会科見学』に俺も同伴した。

 いや、一応ね?

 俺も今日の結果を聞いておかないといけないからさ?

 

「ここは……?」

『工房だよ。ここでいろいろ作ったりしているんだ』

 

 なんなら、俺がメディカルチェック受けたりするのもここだったりする。

 おかげで行き方を完全に覚えてしまった。

 

「百由様おるかー?」

 

 お決まりのセリフ(?)に返事はなし。

 ……返事はね。

 

「……って、おらんのかい。なんじゃ調子が狂うのう」

「百由様が工房にこもってないなんて……」

「珍しいこともあるもんじゃな。明日、ヒュージの雨でも降るんじゃないかの?」

『嫌すぎる……』

「そんな不可思議な現象が起きるなら、是非とも観測してみたいものね〜」

 

 にゅっと現れた百由様に、面白いくらいみんなの肩が跳ねる。

 

「うわっ!?」

「びっくりした……!」

「百由様、いきなり後ろから話しかけられたら驚きますよぉ!」

「ごめんごめん。でも、やっぱりアルンさんは驚かなかったわねぇ」

『まぁ、なんとなく分かってましたし』

 

 第六感、じゃないけど。

 ヒュージだからなのか、マギの気配に敏感になってるというか。

 あれかな、気配を司るレアスキル持ちだから?

 ちなみに「分かってたなら教えんか!」ってミーさんに言われたけど。

 『気をつけとく』って返しておいた。

 教えるなんて言ってへんで(ゲスの笑み)

 

「それにしても珍しい顔ぶれね。梨璃さんと結梨ちゃんが一緒かぁ」

「結梨がリリィの役目について、興味が尽きんみたいでの。工房の見学に連れてきたんじゃ」

「ふぅん、なんだか梨璃さんが初めて来た時を思い出すわね」

 

 確かアニメでは、ゲームのチュートリアルみたいなことしてたよな。

 その前に綺麗に夢結様と入れ違いになってたのは地味に笑った。

 で、百由様がCHARMガチャに失敗してたっけ。

 

「わぁ……! これ、梨璃たちが持ってるのと同じだ!」

 

 早速結梨ちゃんが食いついたのは、半ばバラバラになったCHARM。

 確かに、梨璃ちゃんと二水ちゃんが使ってるのと同じのがある。

 

「おっ、修理中のグングニルね。お客様、お目が高い♪」

「それは何のノリじゃ……」

 

 あ、グングニルで思い出した。

 

『そういえば、前にヒュージから取り返したボロボロのCHARMってどうなったんですか?』

「ああ、あのグングニル?」

 

 CHARMもそんなに安い代物じゃないはずだ。

 あんなボロボロになっても、使えそうなパーツがあったら直してリサイクルする……くらいはしてそう。

 それを伝えてみたら、百由様は首を横に振った。

 

「確かにそうすることもあるにはあるけど、今回は本当にボロボロでね。その内、解体して廃棄処分する予定なの」

『……そう、ですか』

「状態の悪い部品を使って、CHARMに支障が出たらリリィの命に関わるから。それこそ、アーセナルとしては許されないことよ。だから、仕方がないわ」

 

 稀に、そのCHARMやリリィの形見のようなものとして。

 パーツの一部を残しておいたり、アクセサリーにリメイクしたりすることもあるらしい。

 でも、それは持ち主や関係者がやることであって。

 俺には何の決定権もないことだ。

 

「まぁ、他の子のCHARMを直したり、あなたの検査でそれも先延ばしにされてるんだけどね」

『ぐぅ……』

 

 耳が痛い話です……

 でも、それであのCHARMの引退が遅れてるんだから喜ぶべきなのか?

 ちょっと複雑な気分。

 

「この穴の中、ギザギザだぁ……梨璃は、これを使ってヒュージと戦ってるんだね」

 

 結梨ちゃんはCHARMのライフリングを覗き込んでいた。

 梨璃ちゃんは見やすいように銃身を支えている。

 

「来たばかりで、すっかり夢中ね。結梨ちゃん、アーセナルとしての素質まで備わってるかも?」

「えぇっ!?」

「適当に言っとるだけじゃろ」

 

 ミーさんは呆れたように零した。

 でも百由様は心外だとばかりに指を振る。

 

「好奇心は科学者に最も大切な素養の一つよ? 努力では身に付かない天然の、ね」

 

 説得力のある言葉だった。

 まぁ、そうだよね。

 興味のないことを突き詰めるなんて、無理だもんな。

 何事も「興味があるから」「好きだから」っていう気持ちがあってこそ極められるものだし。

 

「まぁ、結梨ちゃんが仮にこっちの道を志望しても、梨璃さんから取ったりはしないから安心して」

「は、はぁ……」

「ところで百由様。この時間に工房を留守にしとったのは、なんでじゃ?」

「ああ、戦技競技会の件で、学内の特別施設にね」

 

 あっ(察し)

 

「その怪しい笑い……また何か妙なものを弄っとるんじゃな」

「素敵なサプライズを用意してるから、当日を楽しみにしててよ? ぐろっぴ」

 

 俺知ってる、例の名前噛みそうなメカでしょ。

 何回か付き合わされたもん。

 

「あ、そうだアルンさん。はいこれ、今日のメディカルチェックも異常なし」

『あ、ありがとうございます』

「百由様の方が楽しそうなのは、気のせいじゃろうか……」

 

 さらっと俺に結果を告げた百由様。

 大丈夫、『原作』通りならミーさんと戦うことはないはずだから(白目)

 

 ……ふと、結梨ちゃんを見るとめっちゃミーさんを見つめてた。

 見つめられた本人も気がついたらしく。

 

「なんじゃ結梨。わしの顔に何かついておるか?」

 

 結梨ちゃんはミーさんと百由様を交互に見比べる。

 

「ミリアムと百由は、梨璃と夢結みたいな……えーと、シュツ……なんだっけ?」

「シュッツエンゲル?」

 

 梨璃ちゃんの助け船に「そう、それ!」と頷いて。

 

「ミリアムと百由は、シュッツエンゲル?」

 

 その時俺に電流走る──!!

 

「な、何を言うんじゃお主は!? そんなわけないじゃろう!」

「だって仲いいし、ミリアム嬉しそうだし」

『そう、そうなんだよ結梨ちゃん』

 

 発した声こそ無機質だけど。

 まともに気持ちが入ったら感嘆符でノインヴェルトできたな(錯乱)

 思わず結梨ちゃんの手を取って踊り出す。

 そうかそうかアニメ最終回のエンディングで急にもゆミリが契ってたのそういうことか!!

 確かに絡みはあったけどもそういうことだったか!!!

 俺が知らない間に結梨ちゃんがキューピッドになってたんやな!!!!(大歓喜)

 

『そもそもそんな顔真っ赤にしても説得力ないよ、顔に図星って書いてあるようなもんでしょ』

「うぐぐ……」

 

 よく鶴紗ちゃんのことを『ツンデレ』だっていうやつがいるけど。

 俺に言わせれば真のツンデレはミーさんだと思うね!

 やったぜ喜べおまいら宴だー!!

 

「あれれ〜、ぐろっぴ〜? 私といるの、そんなに嬉しいのかなぁ〜?」

「やめい! 百由様とシュッツエンゲルなんて、こっちの身が持たん!」

「えー? ぐろっぴ酷ーい!」

 

 ほらほら俺ァ知ってるんだぞ!

 そんな『ありえなーい!』とか言っといて近い将来くっつくんだろ!

 

「やっぱり仲いいねー」

「ふふ、そうだね!」

 

 結梨ちゃんと梨璃ちゃんが笑う。

 歓喜に狂ったまま、俺の脳内で「お赤飯炊かなきゃ……!」ってしてるやつが走ってったところで──

 

 

 ──相も変わらず、空気の読めないバカ(ヒュージ)どもがお出ましなすったらしい。

 

「──っと。おかしなことを言っておったら、別の問題が発生したようじゃの」

『はぁ……困るんだよなぁ、せっかく良い気分だったのに』

 

 チッ、と舌打ちが出た。

 結梨ちゃんが真似するかもしれないから、あんまりしない方がいいって分かってるけど。

 

「この音……ヒュージが出たんだ」

「やれやれじゃ。さっきも出撃したばかりじゃというのに」

「百由様。結梨ちゃんのこと、頼んでもいいですか?」

 

 梨璃ちゃんのお願いに、百由様が頷く。

 

「大したおもてなしはできないけど、任せといて。梨璃さんが留守の間、迷子にさせないよう見ておくくらいのことはできるから」

「梨璃、また戦いに行くんだね」

 

 結梨ちゃんは、やっぱり心配そうな顔をした。

 何度経験しても、何度言って聞かせても。

 不安なものは不安なんだろう。

 

「うん、結梨ちゃんはここで待ってて。必ず帰ってくるから」

「分かった」

 

 ……だから。

 梨璃ちゃんが先に行ったのを見計らって、俺が──少し前から実戦にも参加している俺が。

 

『結梨ちゃんさ、前に梨璃ちゃんたちのことは誰が守るのって訊いてきたよね』

「うん、『仲間で助け合ってる』ってアルン言ってた」

『あれ、ちょっと間違えた』

 

 結梨ちゃんを、安心させてあげないと。

 

『オレが、梨璃ちゃんたちを守る。絶対、無事に帰ってこられるようにするんだ』

 

 それが、俺の役目だと思うから。

 そう言い残して、急いで梨璃ちゃんの後を追いかけた。

 

 ──結梨ちゃんの不安が拭い切れていないことに、ついぞ気づくことがないまま。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ヒュージとの戦闘において、ポジションというものは3種類ある。

 AZ──『アタッキングゾーン』と呼ばれる、レギオンの最前線に配置される危険な位置。

 TZ──『タクティカルゾーン』と呼ばれる、レギオンの中盤に配置され、ある程度の万能さが求められる位置。

 BZ──『バックゾーン』と呼ばれる、レギオンの最後方に配置され、サポートを主軸とする位置。

 どこにしろ、それぞれに重要な役割を担っているため。

 いずれにせよ、疎かにしていいポジションなんて存在しないのである。

 

 とはいえ、ポジションとの相性というものがある。

 例えば、AZは最前線であるため。

 必然的に、ヒュージに最も接近して戦うことになる。

 時に、敵を抑え込むタンク役も要求されることから。

 抜きんでた武勇が求められる。

 

 竜の少女──高松アルンはそのAZを陣取って戦うことが圧倒的に多い。

 異形の装甲による防御力、目に見えて分かる自己再生能力。

 現時点での主な攻撃手段が、拳などの超接近戦型であること。

 それらを考慮した結果、AZが適任だと判断された。

 というか、元からアルン自身が志願した。

 AZは役割的に、一瞬の油断が死に繋がるポジションである。

 意外だと思うだろうか?

 だが普段の言動を見聞きしていれば、なんとなく分かることではあるが。

 『死』を異常に恐れ、『生』に執着するアルンは。

 その反面、『傷つく』ということにはあまり躊躇を示さない。

 加えて、『リリィが戦場に立つ』ということに時折苦い顔をすることがある。

 

 

 ……まあ、これだけ長々と語っておいて何が言いたいかというと。

 

『どりゃっさぁー』

 

 無感情な声、だがブチギレの顔で。

 竜の少女が文字通りに敵をちぎっては投げていた。

 しかも、最前線で陣形もガン無視という脳筋もいいところの戦法。

 

「何ですのあの戦い方!?」

「ありゃ相当腹が立っとるのう……」

 

 楓は目を見開き、ミリアムは苦笑い。

 相手がミドル以下のヒュージしかいないから、まだ許されるものの。

 ラージ以上なら笑えない状況だった。

 だがまあ、そうでなくても特に咎められていないのは。

 

「アルン、2時の方向!」

『了解ですっ』

「アルンさん! 上空から追加で来ます!」

『墜としてきまっす』

 

 脳筋じみてはいるが、猪突猛進というほどではない。

 現に、梅や二水の指示を聞いて、即座に対応している。

 回避行動や防御もしっかりしている。

 ブチギレてはいるらしいが、冷静ではある。

 

『梨璃ちゃん伏せてっ』

「は、はいっ!」

 

 梨璃の背後に回っていたヒュージが、アルンの投げた亡骸で吹き飛ばされる。

 カバーも抜け目なかった。

 ドロップキックを決めて仕留めると、ヒュージ殲滅の報告が入る。

 

「ふー……」

 

 人工声帯を介さない、息だけの音が竜の少女から漏れる。

 この体で疲れを感じることがない、という話だから精神的なものなのだろう。

 

「お疲れ様でした」

『神琳さん……どうも。そちらこそお疲れ様です』

 

 そんなアルンのもとへ神琳が寄ってくる。

 雨嘉は二水や梨璃と話しているらしい。

 珍しい、と内心思っていると。

 

「今日は、何かありましたか?」

 

 神琳がそう尋ねてきた。

 

『そう見えます?』

「ええ。アルンさんは顔に出やすいタイプですから」

 

 それに、と前置きして。

 

「怒りを抱いてヒュージと戦うのはいつも通りなのですが、その後に思い詰めた表情をされるのは珍しいと思いましたので」

『……よく見てますよね』

「司令塔を担う以上、仲間の状態を把握するのも大切なことですからね」

『そうですかぁ』

 

 アルンはそう呟いて、神琳の瞳を見た。

 色違いの宝石の中に、乾いた笑顔の自分がいる。

 そんな世界から目を逸らし、現実へと引き戻した。

 

『たまにあるじゃないですか、センチメンタルになっちゃうみたいな』

 

 興奮が冷めて、急激に我に返った時の落差。

 あれが、今のアルンに起きている。

 要するに、八つ当たりして。

 その理由のくだらなさに後から自己嫌悪しているようなものだ。

 

『突発的にそうなることがあるってだけですから。異常なしです』

「なるほど」

『ていうか、正直オレにも分かりません』

「話してくださってありがとうございました」

『いえいえ、気にかけてくれて嬉しかったです』

 

 軽く頭を下げて礼を告げるアルン。

 まぁ、と小さく笑って続ける。

 

『本当にメンタルが折れてどうしようもなくなった時には、頼らせてもらいますね』

「はい、その時になったら存分に頼ってくださいね?」

 

 頼もしー、と零したアルンも。

 微笑んだ神琳も。

 仲間たちと帰路に就く。

 百合ヶ丘で待っている、もう一人の仲間がいるのだから。

 




「終わらせ方が雑」とか絶対言うなよ!? こっちも早く戦技競技会編行きたいんだからな!?
オリ主はメディカルチェックさえ受ければ出撃していいことになっています。なので、大抵は午後からしか出られません。

【キャラ設定】その25

実は前世の頃から錠剤が苦手。どうにも飲み込むのが苦手で「粉薬の方がまだマシ」と言ったほど。でも、粉薬も苦いから飲みたくない。それもあって体調を崩さないように気をつけていたら、いつの間にか体が丈夫になっていた。
どうしても錠剤が避けられない時は、専用のゼリーを使っている。今世でもそれを引きずっているため、検査で錠剤を飲む時にはお世話になっている。
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