転生先が百合キャンセラーのバケモンとかどうにかならなかったんですか!? 作:サク&いずみーる
課題もマシマシでつらい……
虚空に開くは異次元への門
門より流れるは歪なる悪夢
来たれ、来たれ
さあ
開幕の狼煙は、今ここに
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大人しくしてようと言ったな、あれは嘘だ。
「キュッキュッキュイーッ!!」
「■■■■■■!?」
目の前でケイブかっ開いたらやるっきゃねーよなあ!!
しかも出てくる出てくるヒュージの団体様。
よりどりみどりでいらっしゃーい!
おかげで日常パート終わっちまったよ!
ほんっとこいつら空気読まねえな!!
「キュ……イー!!」
喰らえジャーマンスープレックス!!
周りのヒュージも巻き込んだらァ!
イルカと戯れて癒しを得た後。
よっしゃ引きこもりするべと思って上陸したら、突然空間に『穴』が開いた。
……思わず思考が停止したのは仕方ないと思う。
あっちも「え、なんか知らない奴がいるんだけど」とばかりに固まってたし。
で、そっから一足先に我に返ってぶん殴ったら
そりゃそうだろうね!
「あれ、仲間か?」と思ってた得体の知れない奴がいきなりお仲間殺ってたら「なんだコイツ!?(応戦)」ってなるわ!
俺だってそうする!
「キュッイー!」
「■■■■」
あっオイコラ逃げんじゃねー!!
人がいるだろう方向にスタコラした奴を蛇腹の触手でとっ捕まえて、固まっているところにフルスイング。
普通は人間に存在しない器官を動かすって結構難しいねん……!
翼? あれは肩甲骨の延長線みたいなもんだろ?
「キュイキュイキュイーッ!!」
「■■■■■■■■!?」
「キュイー!!」
オラオラー! スモールミドル程度で俺を止められると思うなよ!!
鎧が硬けりゃATK低くてもそれなりのダメージになんだぞー!
ゲームと違って、その辺のステータスは明確に分かれてないからね。
「クッソ硬い盾で殴ったら痛かろ?」みたいな感じ。
丸っこいのを引っ掴んで叩きつけ、次のはグーパン。
……やーべ、一周回って楽しくなってきちった。
「弱い者いじめダメ、ゼッタイ」なんて教わってきた善良な元市民だけど。
ごめん、弱い者いじめめっちゃ楽しい……!
人間相手にはしないから許してクレメンス!
とか考えてたら既に大体潰し終わった後だった。
体感は5……6分?
辺りを見渡すと、スクラップになったヒュージがゴロゴロしてる。
…………あ、マズった。
楽しくなってて気づかなかったけど、流れてきた数と倒した数が噛み合わない。
おおよそだとしても数が合わない。
出てきた数はもっと多かった。
「キュイー……」
うわ、うっわ。
うわあああああー……!
とうとうやらかした……!
ケイブも消えてっから、そこから逃げられたな……
あいつら絶対他のヒュージにチクったゾ。
今まで数が少ないはぐれみてーな奴ばっか相手にしてたり、リリィが来るまでの時間稼ぎみたいなことばっかしてたのが仇になったんか。
いや、今までバレずに切り抜けられたことの方が異常だったのか。
ちっくしょう、次回以降は遭遇から敵判定ってか。
あー……
「──キュイ?」
あ? なんだアレ?
天を仰いだ拍子に、いくつかの飛行機雲が見えた。
この世界で呑気に飛行機が飛んでるのも不自然だよな。
同時に、海の向こうに感じた歪な気配。
しかも、さっきまで相手にしてたのよりデカい。
……あ、思い出したわ。
確かアレ、防衛軍のミサイルなんだっけ。
でも、大した効果はないという。
現に、海上は大爆発を起こしたけど。
来てるやつはピンピンしてる。
なんつーかさ、あんなバカスカ撃っちゃって。
国の予算吹き飛びそうだなあ。
俺、公民の成績あんまりよくなかったけど、確か日本って借金まみれなんだろ?
そんな拍車かけることして大丈夫なん?
「──! ──!」
「──」
跳んでいく人影が1、2、3、4……9人。
距離あるから、声はちゃんと聞こえないけど。
あれが世界最高峰のレギオン──アールヴヘイム。
なら、あのピンボールマシンみてーにポンポン飛び交ってるのがマギスフィアか。
にしても速っ! パスはっや!
「──!」
閃光が直下する、フィニッシュショットだ。
一瞬、なんぞバリア的なものを張ったっぽいがパキッとやられた。
すげーな、あれがノインヴェルト戦術……!
ああいうのって、やっぱカッケーよな!
ちゃんと見たのはこれが初めてかもしれん。
つまり、今後下手打ちゃアレが俺に向けられるということで……
「…………」
あーやめやめ!
そんなん考えたらアカン!
俺は引きこもって平和に暮らすんだから!
あんなカッコいい必殺技を喰らう機会はないの!
「■■■■■■■」
って、なんかいる!!
つかヒュージがまたノコノコと出張ってはる!
そんなに俺を引きこもりにするのが嫌ですかそうですか!
ヒュージのくせに「外に出て日光浴しろ」ってか!?
「キュキュイー!!」
あーもう!
いいぜ、お望み通りやったらァよ!!(ヤケクソ)
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「構えなさい、梨璃さん」
それは指示というより、宣戦布告に近かった。
「は、はい!」
覚束ない手つきでCHARMを構える。
しかし、「こうですか」と聞いて返ってきたのは容赦のない一撃だった。
踏ん張りは甘く、体勢が崩れる。
梨璃の手のひらがジンジンと痛みを訴える。
──ヒュージとは、通常の生物がマギによって怪物化したものだとされている。
そして、マギという超常の力に操られるヒュージに対抗できるのは、同じくマギを扱うリリィのみ。
「マギを宿さないCHARMなど、それはただの刃物よ」
ただの刃物では、ヒュージと戦うことはできない。
つまり、戦場における戦力外……いや、状況によっては死に繋がるかもしれない。
そうならないためにも、少女たちはここにいた。
「もっと集中なさい。そうすればCHARMは重く、強靭になる」
「っ……!」
教えに従い、集中する。
握った剣に力を込める。
マギクリスタルが反応を示し、刃がマギの輝きを帯び始めた、というところで。
「くあっ……!」
夢結が再びCHARMを叩き込む。
そのたった二撃は、早くも梨璃に膝をつかせることを強いた。
「ああっ、梨璃さん!」
「素人相手になんてことを!」
相手に打ち込ませるのではなく、自ら打ち込んでいくこの方法。
しかも、最近CHARMを手にしたようなド新人に、優しさ皆無の一撃。
『戦場で死なないため』と言えば聞こえはいいが、それにしたって厳しい。
「もう少し粘ってみせなさい梨璃さん」
「は、はい……」
三度目、響く金属同士の衝突音。
衰えを知らぬ一撃に、とうとう梨璃は息を切らして座り込む。
手から離れたCHARMが重く虚しい音を立てて転がった。
アメジストの瞳は、ただ冷たく少女を見下ろしていた。
「軽いわね」
「随分と手荒いですこと。わたくしにマゾっ気があればたまらないでしょうねぇ」
割り込むように皮肉を飛ばしたのは楓。
今までは手出しするまいと思っていたが、そろそろ限界だった。
それが『運命の相手』なら、尚更のこと。
「夢結様のお噂は存じておりますわ。レアスキル──ルナティックトランサーを武器に、数々のヒュージを屠ってきた百合ヶ丘屈指の使い手」
夢結は何も言わない。
表情も微動だにせず、ただ言外に『何が言いたい』と見つめていた。
「トランス状態ではリリィ相手にも容赦しないとか」
「楓さん、それは……」
「──いいんです」
遮ったのは、梨璃。
力の入らない足で、無理やり立ち上がる。
未だ覚束ない手で、転がったCHARMを握りしめる。
俯いた顔に表情は見えなかった。
「わたし……私、みんなより遅れてるから……やらなくちゃ、いけないんです」
ぱたり、と落ちる雫一つ。
「だからっ……続けさせてください!」
それは、切実な懇願だった。
自分が無力で未熟だと知っているから。
憧れるリリィの隣で戦えるようになりたいから。
そして、本人にそうまで言われてしまえば。
結局は外野でしかない楓は何も言わない。
今まで通り、観戦に徹するだけ。
「そう……なら、続けましょうか」
夢結は淡々と告げる。
表情も微動だにせず、ただCHARMを振るう。
──その猛攻にわずかな不安が交じっていることには、本人も自覚がないまま。
最早『訓練』というより『リンチ』にも似た一方的な剣戟は。
時間の許す限り続き、梨璃の身体に多くのアザを残す結果となった。
冒頭の謎ポエムは特に伏線でもなんでもないです。強いて言えば「ケイブ発生!」の様子をそれっぽく書いただけです。
【キャラ設定】その3
ステ振りは防御がぶっちぎり、次に速度、あとは平均くらい。「勝手に転生させられた上にあっさり死ぬとか絶対ヤダー!!」っていう執念がこのステータスを生み出した。
どのくらい硬いかっていうと、翼はシェルター並みで、本編で使ってた防衛軍のミサイルくらいならノーダメージ。
体も、多少CHARMに斬られた程度ならなんとかなる。高火力攻撃やレアスキル込みの攻撃はさすがに効く。