転生先が百合キャンセラーのバケモンとかどうにかならなかったんですか!?   作:サク&いずみーる

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最近本格的にメンタルがぐずぐずになってきたので『ブルーアーカイブ』なるゲームを始めてしまいました。
コハルちゃんが欲しいのですが、来る気配が皆無です。というか、最近の赤尾さん「そういう」キャラ演じがちだなぁ……(にっこり)



立つ鳥、跡を濁さず

 結梨ちゃんのグラスが、だいたい目の高さまで上がる。

 わー……夕日でグラスとジュースがキラキラしてる。

 なんかむっちゃ綺麗……!

 

「こうやって……このくらい?」

「そうそう」

「中身のジュースを零さないように、きちんと持っていなさいな」

 

 梨璃ちゃんは一柳隊全員を見渡す。

 大丈夫だよ、みんな準備できてるよ。

 

「──お姉さま、みなさん。本当にお疲れ様でした!」

「お疲れさまでした!」

 

 カチン、カチンとグラス同士が軽くぶつかり合う音が心地いい。

 

 ──戦技競技会は無事に幕を閉じた。

 今はその打ち上げみたいなもん。

 夕飯前だし、ジュースだけの簡易的なやつだけどね。

 ちなみに俺はマグカップで炭酸をいただいてる。

 しかも強炭酸。

 ちょっと刺激的で、シュワパチいう音が面白い。

 前世を含めて、初めて飲んだな……

 

「これで何が終わるというわけでもないけれど……ひとまず夕食を摂って、今日までの疲れを癒しましょう」

「お姉さま、最後の競技、本当にかっこよかったです!」

「かっこよかった!」

「2人の期待に応えられたのなら、何よりだわ」

 

 そう言ってる夢結様だけど、どこか嬉しそうにしてるのは分かる。

 子どもたちに尊敬の眼差しを向けられる親みたいな感じ。

 

「梅もかっこよかったよ」

『縮地で一気に追い込みをかけるところなんてすごかったです!』

「はは、ありがとな! アルンは次こそ参加できるといいな」

『あれ見たら自分でもやりたくなりますもんね!』

 

 できれば今度こそ自分のCHARMが欲しいかな!!(強欲)

 

「結梨もエキシビションマッチ、かっこよかったゾ」

「確かに、結梨のあの戦いは凄かったのう。とてもCHARMを持ったばかりのリリィとは思えんかったぞ」

「すごく目立ってた」

「ですね〜!」

 

 結梨ちゃんは結梨ちゃんで大絶賛。

 そりゃあんな戦い見たら目が離せんってもんよ。

 結梨ちゃんが新人だって知っていれば、なおさらだ。

 なお、本人は「……わたし?」と無自覚。

 やっぱり、そういうとこも含めて梨璃ちゃんそっくりだよな。

 

「そうですよ。他のレギオンの方からも声援をもらいましたし!」

『知ってる? 百合ヶ丘の生徒会長もすごい褒めてたんだよ』

「衣装もとっても似合ってたもんね。みんな、結梨ちゃんのこと受け入れてくれたのかな……」

 

 ──後半、ぽろっと梨璃ちゃんが零した言葉を。

 俺は聞き逃さない。

 

『──受け入れてると思うよ』

 

 確かに、まだちょっと怪しんでる人もいるだろうし。

 後に「あんなこと」になってしまうだろうけど。

 でも少なくとも、あの時──あの瞬間だけは。

 百合ヶ丘にいる誰もが、結梨ちゃんを仲間だと思っていたはずだから。

 

『だって、こんなオレのことだって受け入れてくれてる人たちだもん』

 

 梨璃ちゃんは、はっとした表情で何度も頷いた。

 え、いや、ちょっ……!?

 そんな目ェうるうるさせんでも……!

 あの、泣かれると俺に特効ダメージが入るので勘弁してもろて……!!

 

「結梨、がんばった?」

「あぁ、すごく頑張ったゾ!」

「そっかー!」

 

 俺がアホみたいにオロオロしてる一方で。

 結梨ちゃんは褒められてご満悦だ。

 

「ですが、最終的にMVPをもぎ取ったのはまさかの……」

「本当にまさかじゃのう……」

 

 楓さんとミーさんは微妙な顔。

 ──原作通りに、雨嘉さんはコスプレ部門で最優秀リリィに選ばれた。

 心の準備はしてたけど、やっぱ破壊力すごかったよ。

 「にゃ〜ん」って。

 「にゃ〜ん」て!!(2回目)

 一応外だったから、なんとか意識は繋いだけど。

 やっぱり属性マシマシってオタクに特効だと思うんよな……!

 

「ダークホース」

「わんわんかわいかったからなー!」

「まぁ、目立ってはいましたわね……」

「雨嘉さん、本当に素敵でしたわ。悩んだ甲斐がありました」

 

 やっぱり大絶賛の好評価。

 でも、とうとう雨嘉さんは「うぅぅ……」と顔を覆ってしまった。

 そういや、この衣装って今後どうすんだろうね?

 そんな頻繁に着るようなデザインじゃないだろうし……

 やっぱり当時の実況民が言ってた通り『イノチ感じる』時に使うんかな?

 

「雨嘉、ずっと真っ赤になったままだね」

『それもまたかわいいですよ雨嘉さん!』

「や、やめてよ、もう……全校生徒の前であんな格好を……」

 

 やー、そうは言うけどね雨嘉さん。

 ヤケになったか知らないけど、あーた最後ノリノリだったじゃないの。

 「にゃ〜ん」て!!!(3回目)

 しっかも手の動きまで付けちゃってさ。

 えらくファンサしてましたやん?

 心のどこかでは楽しんではった雨嘉さんもいたんとちゃいます??

 

「見事な晴れ舞台じゃったの。神琳に話を持ちかけられた時は、何事かと思ったが……衣装の準備を手伝った甲斐があったのじゃ」

「ステージ前が大騒ぎで、後ろの方でしか見られなかった」

 

 などと関係者はコメントしており……なんてね。

 ちなみに、鶴紗ちゃんは俺が持ち上げた。

 だって見えにくそうだったし。

 

「気がついたら新聞の一面にも載ってるし……恥ずかしい……!」

『二水ちゃんすごいシャッターキメてたよね』

「だってあんなスクープ、見逃すわけないじゃないですか!」

『わぁ』

 

 何がすごいって、仕事が早えんだよ。

 競技会終わってそこまで時間経ってないんだぜ?

 

「雨嘉、泣いてるのか? よしよし」

「ふふふっ。妹に慰められる姉、といった光景ですね。羨ましいです」

「雨嘉はがんばった。みんなもがんばった。わたしも、がんばったと思う」

「結梨の言う通りよ。みんな頑張った、それでいいんだと思うわ」

『それに、こういうのは楽しんだもん勝ちってやつだよ』

「はい! 私、すっごく楽しかったです。みんなと一緒に、競技会ができて!」

「だな!」

 

 新しい思い出に、笑顔が咲いた。

 一柳隊の誰もが、年相応の笑みで。

 ……ああ、これは壊したくない光景だな。

 守りたい日常だ。

 その中で、結梨ちゃんが梨璃ちゃんに問いかけて。

 

「ねぇ、梨璃。わたし今日、ちゃんとみんなと同じになれた?」

「えっ?」

「結梨も、みんなと同じ、一柳隊の──」

 

 

 ──もはや聴き慣れてしまった警鐘。

 

 この世界で平穏は長く続いてくれないことを、嫌でも突きつけてくる。

 あーもう、ホンッットにさあ……

 なーんでこういう時ばっか出てきやがるかなあ!?

 しかも今日忙しいだろうからって、メディカルチェック受けてねえんだよ。

 俺出られねえじゃん。

 

「全く、こんな時にお邪魔虫が……今日くらいは空気を読んでくださってもバチは当たらないでしょうに」

 

 でも、CHARMはしっかり用意するんだよなあ。

 さすがだわ。

 って思ってたら、ミーさんも似たようなこと考えてたっぽい。

 それに対して楓さんは「リリィとして当然ですわ」って返してた。

 うわかっけえ……

 

「一柳隊の慰労会は、一旦お預けですね」

「……結梨は、またお留守番?」

「実戦は結梨ちゃんにはまだ早いから」

「まだ……」

 

 梨璃ちゃんはそう言い聞かせるけど。

 模擬とはいえ、一度戦闘を経験した結梨ちゃんは完全に納得してはいなかった。

 

「……じゃあ、いつ? いつだったら早くないの?」

 

 それは、どこか焦りを感じる訴えにも思えた。

 そうだよね。

 戦う力があるって分かってるのに。

 守られてばかりは、ちょっとつらいもんな。

 力になれないのは、悔しいもんな。

 

「そ、それは……」

「焦らなくても、いつか戦うべき時、戦わざるを得ない時が来るわ。貴女の意思に関わらず……」

 

 ……そっか。

 夢結様の話を聞いて、分かってしまった。

 あの時、結梨ちゃんは本能的に理解していたんだ。

 夢結様が言っていた「いつか戦うべき時」が今なんだって。

 加えて、そういう焦りが積もりに積もったもんだから──

 

「その日のための心構えをしておきなさい、結梨」

「……わかった」

 

 とりあえず、この場は飲み込めたらしい。

 結梨ちゃんはそれっきり、何も言わなかった。

 

『結梨ちゃんのことは、任せてください。オレが、責任持って必ず守りますから』

「頼んだわ」

「お願いします、アルンさん」

『もちろん』

 

 いつかと同じように、一柳隊は俺と結梨ちゃんを残して行った。

 違うのは、その後も黙っていたこと。

 傍らの結梨ちゃんは、良い表情とは言えない。

 

 ──なあ、結梨ちゃん。

 本当はそんな時、来ない方がいいんだよ。

 来ない方が、幸せなんだよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「──解析科から、結梨ちゃんのDNAの解析結果が出ました」

「うむ……」

 

 すっかり日も落ちた頃。

 理事長室へ来た百由の一言目はそれだった。

 ──一柳結梨のDNAは、平均的な人の女性のものであることは間違いない。

 しかし、その「平均的」が小さな違和感を生んでいたのを。

 百由が見逃すことはなかった。

 

「何というか、()()()()()()んです。普通の人間はどこかしら偏っているのが当たり前なのに」

「要点を頼む」

 

 結論を促す咬月に、百由は一息吐く。

 求められたらズバッと結論を話す彼女にしては珍しく、一瞬だけ言葉に詰まる。

 ……それほど、重たい真実に辿り着いてしまったから。

 

「──彼女はヒュージに由来する個体、というのが私の結論です」

「人化したヒュージ、というわけか」

「驚かれません?」

 

 百由は怪訝な面持ちとなった。

 ピラトゥスについての仮説をまとめたレポートを渡した時は。

 多少なりとも目を見開くくらいの反応はあったというのに。

 今の咬月は、いつも通り冷静そのものだ。

 

「残念だが、先手を打たれた」

 

 冷静の根拠は──机に広げられた書簡。

 どこまでも黒い封筒と、血を固めたような封蝋は不吉な印象を与えた。

 その内容は──『研究機関G.E.H.E.N.AとCHARMメーカー グランギニョルが共同開発していた実験体の紛失を、国連に届け出た』というもの。

 

 実験体の紛失──人を人とも思わない言い回しに苛立ちを覚えるが。

 本題は、そこではない。

 ヒュージから作り出した幹細胞を元に生み出された人造リリィ、それが一柳結梨の正体であると。

 連中は断言したのだ。

 

「その表現……胸糞悪いです」

 

 いくらマッドサイエンティストと評されることのある百由も。

 こんな馬鹿げた話には不快感を剥き出しにした。

 だって、結梨は百合ヶ丘のリリィだ。

 自分たちの仲間で──何より、人としての心がある。

 そんな『少女』を、実験動物呼ばわりされるのは。

 到底、許せないことだった。

 

「……可能なのか?」

 

 咬月の質問に、苦々しい肯定が返ってくる。

 ヒュージのDNAは多層ゲノム重複を起こしているため。

 これまで地球上に現れた全てのDNA情報を備えている、と言われている。

 当然、その中にはもちろん人のものも含まれており。

 ヒュージのDNAは方舟であるという説を提唱した学者もいるほどだ。

 

「あぁ……まぁ、どうやったのかは知りませんけど、行為としては可能です」

「倫理を無視した完全な違法行為だな」

 

 怒りに、憤りに。

 (はらわた)が煮えくりかえりそうな気分の中。

 ふと、百由は気がつく。

 一見、ただの人間にしか見えない結梨と違って。

 今の百合ヶ丘には一目で分かってしまう──悪く言えば、爆弾のような存在がいたじゃないか。

 

「アルンさんについては、何か言及されてるんですか?」

「いや、連中は存在にも気がついていないらしい」

「そうですか……」

 

 一瞬だけ、荒ぶって熱を帯びた感情がなりを潜めた。

 結梨の件に紛れて、アルンの存在が影に潜んでいるなら。

 まだ打開策はあるかもしれない。

 

「あの、よろしいですか?」

 

 すっ……と手を挙げたのは史房。

 話に割り込むようで申し訳なさそうにしていた。

 

「そもそも、アルンさんって何者なんでしょうか? 元人間だったかもしれない、というのは理事長代行から聞きました。本人も人間だった頃の記憶がある、と言っていたそうですが……」

「そういえば、詳細までは話していなかったのう」

 

 よく考えたら、レポートも結局のところ咬月が預かったままだから。

 知らないのは無理もなかった。

 内容が内容なだけに、秘匿性も非常に高いのである。

 しまい込んだままの紙束を取り出し、史房に手渡す。

 軽く目を通している間に、咬月は百由へ説明を促した。

 百由は「あくまで仮説に過ぎないですけど」と前置きした上で語り始める。

 

「アルンさんは紛れもなくヒュージです。これは、どうやっても覆せない事実です」

 

 ──ただし、怪物となった経緯については。

 考えが枝分かれしていた。

 

「1つは先天性。生まれながらにヒュージだった」

 

 知能や感情は元々持っていたもので。

 何らかの方法で自我を育み、人間と変わらないレベルまで自力で発達させた。

 

 だが、それは可能性として極めて低かった。

 完全にヒュージとして生を受けたなら、周りはヒュージばかりのはずだ。

 生まれたばかりの生物は周囲に合わせて、模倣を重ねて成長していく。

 破壊と侵略を繰り返すヒュージに囲まれた環境で。

 人間を守るような思考が生じるとは思えない。

 

「でも、これが『人間を取り込んで得た自我』だとしたら?」

「っ!?」

「ヒュージだって一応生物ですから、進化の1つや2つ……していてもおかしくないですよね」

 

 ヒュージは食事を必要としない。

 しかし、『捕食した』という事例は過去にあった。

 それに以前、リリィごとCHARMを取り込んだヒュージが、百合ヶ丘を襲ったことがあったが。

 あれだって捕食とは少し違うのだが、『リリィの力を我が物にしようとした』ということは似ている。

 

 つまり、類似した手段によってもたらされたのが「人間らしい感情」だったと。

 その可能性を百由は唱えていた。

 

「もう1つは後天性。始めは純粋な人として生まれて、何らかの……いえ、人体実験によってヒュージになってしまった」

 

 狂化リリィ、というものが存在する。

 G.E.H.E.N.Aの人体実験を重ねすぎたことで、身体がヒュージに近づいてしまい。

 その果てに、完全にヒュージとなってしまったリリィを指す。

 ……これも、事例がなかったわけではない。

 ヒュージへと身を堕としたリリィは、ヒュージとして討たれる。

 理性をなくし、人類に牙剥く存在となってしまうから。

 

 だが、アルンの場合は何かの弾みで自我を取り戻した、と考えられる。

 最初は、意識を維持できていたものだと考えてもいたが。

 実験されていた記憶が一切ないことから「取り戻した」という説が有力になった。

 尤も、それも推測でしかなくて。

 「あまりに過酷な記憶だったから、無意識のうちに自ら封印した」ということも考えられるのだが。

 

「最初は、2つの可能性を並行して考えていました。でも、得られる情報や本人の記憶があまりに鮮明だったので、次第に後者の可能性が強くなっていったんです」

 

 アルン自身の「情報」については、分からないこともあるが。

 「思い出」ならたくさん覚えていたのだ。

 それに、やはり模倣や他者から取り込んだとは思えないほどの、豊かな感情と知性。

 人に寄り添い、人を気遣える「心」は元来のものだろう。

 

「もちろん、前者の可能性も未だに捨てきれません。誰かから奪った知能で、私たちを欺いているということも考えられる」

 

 だが、そうは思えなかった。

 ……そうは、思いたくなかった。

 だって、あまりに優しかったのだ。

 ヒュージから誰かを守ろうと必死だった。

 いつだって、傷つけられる誰かを──リリィを想って怒っていた。

 それが全部嘘だったなんて、考えたくなかったのだ。

 もちろん、そんな考えは「研究者」として良くないのは分かっている。

 しかし「人」としての感情が甘い考えを引き止める。

 

「それでも、私はアルンさんを信じたいです」

「……そうじゃな」

 

 少なくとも、一緒に過ごしてきた時間だけは。

 本物のはずだから。

 『仲間』と断ずる根拠なんて、今はそれで充分だった。

 

「私も同意見です」

 

 レポートを読み終えた史房も強く頷いた。

 ヒュージから生み出された人間と、人の身から堕とされた竜の子。

 そのどちらも、生い立ちは人間の悪意によって歪められているが。

 それでも、2人とも人の心を持つものだ。

 

「しかし連中は己共の不始末を晒してまで、彼女の──結梨君の返還を我々に要求してきおった」

「どうします?」

「……彼女が人でないとなると、学院は彼女を守る根拠を失うことになる」

 

 ──上に立つ者としての、苦渋の選択。

 命令に従えば、結梨は間違いなく非道な実験の餌食となる。

 だが命令に逆らえば、リリィと軍の衝突は避けられなくなる。

 さらにはガーデンも踏み荒らされ、アルンの存在も暴かれてしまう。

 そうなれば、百合ヶ丘のリリィたちの信頼は地に落ち、さらなる危険に晒されてしまうだろう。

 

 ……そんなことだけは、決してあってはならない。

 『多数を守るために、少数を切る(コラテラルダメージ)』──それが、咬月の出した結論だった。

 

 

 

 

 

 少女たちは世界を──人々を守るために命を懸けて戦ってきたというのに。

 

 世界は報いることなく、どこまでも残酷だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ──空を見上げる。

 散りばめられた星、静かに照らす丸い月。

 

『満月、かぁ……』

 

 ──想いを馳せる。

 バケモンの姿の俺に、梨璃ちゃんは手を差し伸べてくれた。

 梅様は、ずっと気にかけてくれていた。

 一柳隊は、俺にとって心地いい居場所をくれた。

 相手は人類の敵なはずなのに、百合ヶ丘のリリィはみんな仲良くしてくれた。

 ううん、リリィだけじゃなくて理事長代行も、スタッフの人たちも良くしてくれた。

 たくさん話しかけてもらった。

 たくさん教えてもらった。

 たくさん助けてもらった。

 

 たくさん、新しい思い出をもらった。

 

 

 ──それに、結梨ちゃん。

 

 俺が知らなかっただけで、いろんな人に愛されてたのが分かった。

 いろんな人が支えてくれてたのが分かった。

 すごく……すごく安心したんだ。

 

 だから、このまま終わらせちゃいけない。

 「責任持って必ず守ります」って啖呵切ったもんな。

 男に二言はないってもんよ。

 

 

 ああ、でも。

 

『約束、破っちゃうかもなぁ』

 

 ……いや、諦める気は一切ないし。

 そうならないように可能性を引き上げようとしてんだけど。

 

『破っちゃったらごめんな、()()()

 

 もしやらかしたら、土産話で許してくれるかな。

 

『……よし』

 

 ここからは、俺にしかできない仕事だ。

 結梨ちゃんの明日を、勝ち取るために。

 俺も生き残れる未来を、掴み取るために。

 

 布石は撒いた。

 最後のピース、手に入れてきますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、満月の真夜中。

 

 俺──高松アルンは、百合ヶ丘女学院から姿を消した。

 




【キャラ設定】その30(今回は自分用まとめ)

百由様のオリ主に関する仮説

1-1 生まれた時から人間っぽい思考を持つヒュージだった
→「周りもヒュージだったなら、中身もヒュージっぽく育つんじゃね?」(ほぼボツ)
1-2 人間を食べたら人間っぽい思考になった
→「前にもCHARM食べてたヤツいたし、ヒュージだって生物だもんなぁ」(ワンチャン)

2-1 元は人間かリリィで、ゲヘカスが弄って身体だけヒュージになった
→「価値観もちゃんと人間だし、いろいろ覚えてるっぽいぞ?」
(実験されてたって記憶が全くない)
→「つらすぎて封印した説?」
2-2 元人間、ゲヘカスが狂化させて完全にヒュージにした
→「これじゃね? 実験期の記憶がないのも噛み合うやんけ」(最有力)(今ここ)


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