転生先が百合キャンセラーのバケモンとかどうにかならなかったんですか!? 作:サク&いずみーる
百合ヶ丘女学院に、墓標が
ヒュージと戦うリリィにとって、それ自体は珍しい話ではない。
珍しくはないけれど、慣れることもできなかった。
しかし、誰かが死んだということはどうしようもなく事実だから。
少女たちはそれを受け入れる他ない。
「納得、できません」
黙祷を捧げる中、静寂を破る者がいた。
「どうしてですか……どうしてお墓が1つだけなんですか……! あの子だって、守るために戦っていたのに!」
その少女は一柳隊のメンバーではないけれど。
それなりに「いなくなった者」との交流があったリリィだ。
墓標に最も近い秦 祀は、掴みかかってくる勢いで迫る少女に。
諭すように真実を伝える。
「アルンさんのお墓は建てられないの。表向きには、
「それ、どういう……」
祀も、百由から聞いた話でしかないが。
アルンは結梨を解放させるために、政府に乗り込んで。
役人たちを誘導して、自ら身代わりとなった。
ただし、差し出したのはアルンのコピーだ。
それを連中はアルン本人だと思って連れていったのだという。
「もしかして、そのコピーを取り戻せば……!」
「いいえ。私たちが知っているアルンさんとは全く別物だそうよ。だから、仮にG.E.H.E.N.Aから取り返したところで意味はない」
「そんな……」
連行された時点で、感覚や思考のシンクロは解除したと本人が言っていたらしい。
だから、今はまともな思考を持たぬ空っぽな人形と変わらない。
そもそも、そんなことをすれば。
表面上だけでも等価交換として成り立っていた話を、正面から反故にしてしまう。
そうなったら、連中はまた結梨をヒュージだと言い喚くだろう。
アルンはそれを望まない。
……尤も、その結梨もいなくなってしまったが。
「あんまりじゃないですか、そんなの」
「……」
何にしろ、少女たちが知っている『高松アルン』はいない。
心は死んでしまったようなものなのに、肉体だけが生かされ続けている。
故に、アルンの墓標は建てられない。
もし建てられるとすれば、それは分身体が死んだ時だ。
それも、貴重なサンプルを連中が簡単に手放すとは思えないから。
いつになるのか分からない話だが。
「ええ、あんまりな話よ。でも、これはもう起きてしまったことなの。私だって、できることなら認めたくないけれど……」
……あまりに、あまりにも残酷な話だと祀も思う。
百合ヶ丘を守るために、結梨を守るために。
その身を犠牲にしたというのに、竜の少女がいた証は何一つ残せない。
結局、結梨を守ることは叶わなかったけれど。
彼女の在り方を守ったのも、守るために一人で足掻いていたのも紛れもなく事実だ。
アルンを百合ヶ丘のリリィ全員が、完全に受け入れていたわけではない。
それでも、リリィとしての心を持って戦っていたことは誰もが理解していた。
「……アルンさんって、何が好きなんでしょうか」
「そうね、味が分からなくなってからは食べ物に関心が持てなくなったって言っていたけれど、昔はグミが好きだったそうよ」
「じゃあ、今度いっぱい持ってこないとですね」
「きっと喜ぶと思うわ」
せめて、記録にも残せない功労者に追悼を。
少女たちは1つの墓前にて、2人の魂を弔った。
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「ねぇ、二水」
雨嘉が話しかけても、二水は何も反応しない。
ペンを持ったまま、ただぼんやりとメモ帳を眺めているだけ。
……理由は、分かっている。
「二水、大丈夫?」
「ふえ!? あ、すみません、聞いてませんでした……」
軽く肩に触れられて、ようやく気がついたらしい。
謝る二水に「大丈夫」と返し、改めて覗き込む。
余程使い込んでいるメモ帳だが。
開いたページは真っ白だった。
「リリィ新聞、作らなくていいの?」
「……結梨ちゃんやアルンさんと、一緒に作るって約束していたんです」
「そう……」
2人の名前が出て、なんとなく会話が途切れる。
元々会話が得意ではない雨嘉と、身近な仲間を初めて失った二水。
会話を弾ませるには、あまりにも空気が重たかったが。
今はそれでよかった。
「二水さん、これで涙を拭いてください」
「あ、いつの間に……ありがとうございます」
神琳がハンカチを差し出したことで、やっと二水は頬を伝う雫の存在に気がついた。
お礼を述べて、ハンカチを受け取るけれど。
自覚した途端、少しずつ少しずつ溢れてきてしまって。
一向に止まってはくれない。
「私、こういうの初めてで……」
「……二水」
この世界において、身近な人を失うことはもはや珍しくない。
リリィの中には天涯孤独となってしまった者もいる。
家族や仲間が生きている、というのは実はとても運が良いことなのだ。
これが初めてだということは、二水は今まで恵まれていたことに他ならない。
「初めてでも、初めてでなくても……誰かの死というのは、とても悲しいものです」
リリィは、その悲しみを背負って生きていかなければならない。
それが、どれほど苦しくても。
立ち止まることが許されないわけではない。
ただ、留まり続けてもいられないというだけで。
「でも……私は、そんなに強くはありません……」
1人で背負うのは難しい、と二水は言う。
……当然のことだ。
そんなことができる人間は、大きく限られている。
少なくとも、リリィになって間もないような少女には酷な話だ。
それは泣き言や弱音なんかではない。
むしろ、向き合おうとしている二水は頑張っている。
──だから。
「……私たちがついてるよ」
「雨嘉、さん?」
神琳も強く頷く。
「心が悲しみで潰されてしまいそうなら、わたくしたちが支えます。支え合うのも、リリィですから」
「支え、合う……」
1人がダメなら、2人で。
2人がダメなら、レギオンで。
それが人間──リリィの生き方だ。
「はい。皆さんで支え合って、少しずつ、前へ進みましょう」
「神琳さん、雨嘉さん……私、やってみます」
二水の目元は、まだ涙でぐしゃぐしゃなままだ。
悲しみも拭い切れたわけではない。
でも、前に進んでみると決めたから。
「ふふ。それじゃあ、結梨さんに代わって、わたくしたちが新聞のお手伝いをしますね」
「うん、任せて」
「ありがとうございます」
決意を固めたなら、もう周りが口を出すことはない。
ただ寄り添って、支えてやるだけだ。
──竜の少女がしてくれていたように。
「ほら、猫缶食うか」
鶴紗はいつも通りに、学院内の猫が集まる場所に来た。
しかし、表情はいつも通りとはいかなかった。
「にゃあっ」
「……悪い。2人は連れて帰ってこれなかったんだ」
「にゃおおっ!」
「そんな不満そうな顔しないで、私だって怒りたいよ」
結梨とアルンにあんな生き方を押しつけた連中に。
行き場をなくした怒りが膨らんでいくのを自覚する。
できるなら、胸ぐらを掴んででも問い詰めてやりたかった。
……復讐してやる、なんて発想に至れないのは。
鶴紗が心優しい少女であることの証だ。
一柳隊のメンバーにまで迷惑がかかってしまうし、鶴紗も人の命を奪えるほど冷酷ではない。
それに、復讐なんて遂げても結梨は喜ばないだろうから。
「にゃっ」
「そういえば、ウィザは来ないんだね」
「にゃあ?」
「ちょっと、寂しいかもな」
素直に触らせてくれるのは、あの傷持ちの黒猫くらいだったから。
今目の前にいる三毛猫ではそうもいかないだろう。
行き場をなくした手が、ゆっくりと膝の上に落ちる。
G.E.H.E.N.Aに実験されてもなお、生きようとする結梨とアルン。
死にたいと願う、鶴紗。
「どうせなら、結梨じゃなく……」
私だったらよかったのに、と言いかけて止まる。
竜の少女が最も嫌がる言葉だったことを思い出したからだ。
──死にたいとか、絶対に言わないでよ。思っちゃうのは……百歩譲ってもう諦めるけれど、言うのは、本当にダメ
──大切な人が死ぬって、結構クるものなんだからさ
──少なくとも、オレや一柳隊は鶴紗ちゃんが死んじゃったら悲しいな
「……アルンの言う通りだ」
いつになく真剣で。
ともすれば泣きそうな顔で、静かに訴えていた。
それは「ただ死に怯えている」というには何かが違っていた。
「これは、結構クるね」
──竜の少女が残した意志は、鶴紗の中で何かを変えて。
「工房になど、連れて来ん方がよかったんじゃろうか……」
「んー?」
百由が作業に没頭する傍らで、ミリアムはそんなことを呟いた。
二水同様、仲間を失ってしまったのは初めてのことだった。
あんな結末を招いてしまったきっかけが、自分にもある。
そう思うと、自分にのしかかる後悔のようなものが膨らんでいく気がした。
「CHARMに興味を持たせん方が、結梨にとってよかったのかもしれんと思っておったのじゃ」
そう口にして「それも傲慢じゃな」と直前の言葉を取り消す。
結梨は自らの意思で、リリィになることを望んだ。
ただ、それだけのことだ。
『自業自得』だなんて冷たい言葉で切り捨てるつもりは更々ないけれど。
結局、結梨自身が選んだ道なのだ。
その眩しく尊い覚悟を、どうして否定することができよう。
「あ、ぐろっぴ〜。そっちに置いてある携行食取ってくれない? 今ちょっと手が離せなくて……」
「……百由様はいつも通りじゃの」
いっそ安心するくらいの変わらない様子。
ミリアムは呆れたような、安堵するような微笑を零す。
だが、忙しなく動いていた手がはたと止まって。
一瞬だけ、工房が静かになる。
「……ねえ、ぐろっぴ」
「なんじゃ、百由様?」
「……私が、もっと早く動けていれば、結果は変わっていたのかな……?」
「百由様……」
「結梨ちゃんは確かにヒトとして認められた。でも、それは私たちだけじゃ掴めなかったかもしれない結果だったわ」
現に、あれだけの証拠を突きつけられても。
政府は自分たちの考えで押し切ろうとしていた。
アルンの機転がなければ、事態はより一層悪化していたかもしれない。
もし、もっと早く動けていれば。
もし、もっと確実な証拠を掴めていれば。
そんな『たられば』が止まない。
「いつも通り」なんて見せかけだ。
余計な心配をかけたくなくて、そう振る舞っているだけだ。
アーセナルという誰かの
過去に気を取られすぎて、誰かの未来を失うわけにはいかないから。
それでも、全く気にしないなんてできなくて。
「……どうすれば、よかったのかな」
「さぁのう、わしには分からん」
ミリアムは苦笑を1つ。
どうやら思った以上に不安に揺らいでいるらしい上級生の目を見つめる。
「じゃが、百由様は徹夜でいろんなところを駆け回って、調べてくれたんじゃ。みんな、百由様には感謝しておると思うぞ」
その言葉で、淡いサファイアの揺れが収まる。
少しだけ、救われたような気持ちだった。
罪悪感がわずかに軽くなったのを感じて。
「私は……したくてやったことだから」
力のない小さな笑みが、口元に浮かんでいた。
「……それより、ぐろっぴは?」
「正直……しんどいのう」
こんなにつらいものなのか、と内心呟く。
──竜の少女たちがいなくなったことを、ようやく実感しながら。
「……CHARMなんか持って、今から射撃訓練にでも行くのか?」
指摘通り、夢結の手にはブリューナクが握られている。
当の夢結は梅の方をちらりと見て。
「梅……貴女こそ」
「ここに来たら、誰かしらモヤモヤを抱えた1年生がいるんじゃないかと思ってたんだ」
ただソファーで横になっているようにしか見えなかったが。
こういう時の梅は違うことを、夢結は知っている。
分かっているのだ。
「梅は、あまり喋るのは上手くないからな。こういうことに付き合ってやるくらいしか思いつかない」
「その気遣いだけで、言葉で伝えなくとも助けられたと感じている子はいるんじゃないかしら」
「……だったらいいけどな」
励ますだけが力になる、というわけではない。
受け止める、ということも救いになることだってある。
苦しかったこと、悲しかったこと。
一人で抱えていては潰れてしまいそうなことでも。
誰かに話して、多少は楽になることだってあるのだ。
そして今、梅が思う一番に手を差し伸べるべき相手の名が浮かぶ。
「なぁ、梨璃には会いに行ってやらないのか?」
今回の一件で、梨璃は謹慎処分を受けた。
結梨はヒトとして認められたが、梨璃が命令に背いて動いたことは事実だ。
たとえ、それが間違いから出た命令だったとしても。
完全に撤回されるまでは有効だ。
命令を守ったり守らなかったりと、ちぐはぐな状態では仲間を危険に晒しかねない。
確かに、百合ヶ丘のリリィには臨機応変な状況判断も認められている。
だが、それはあくまで
外部にはそれを快く思わない者もいる。
だから、形式上だけでも梨璃を罰して。
それで納得してもらおうということだった。
まるで見せしめのような仕打ちに。
百合ヶ丘のリリィは心を痛め、あるいは憤りを抱いた。
……そう思われているのは、彼女に対する救いであると言えた。
そして、梨璃は何人たりとも面会を許されなくなった。
──シュッツエンゲルである、夢結を除いて。
彼女だけは、許可さえ下りればわずかな時間ではあるものの会うことを許された。
それは、学院からのせめてもの慈悲だった。
そもそも、仲間を失った梨璃に対して。
追い討ちをかけるような現状が間違いなのだ。
だって、あんまりじゃないか。
喪失感に沈む少女に、罰を求めるなんて。
しかも、梨璃は何一つとして悪いことはしていないというのに。
「今は、一人にしておいた方がいいわ」
夢結は首を横に振った。
その根拠は──
「……私が、そうだったから」
「そっか」
梅はそれ以上何も言わなかった。
彼女もまた、夢結が辿ってきた道を見ていたから。
夢結が『今はそうするべき』と考えたのなら、そうなのだろう。
「大切な人を喪うという悲しみ、できることなら梨璃には味わわせたくなかった……」
「それは……リリィである以上、難しいんじゃないか?」
……もちろん、夢結には分かっている。
リリィである以上──否、この世界に生きている以上。
その願いは単なる理想でしかない。
現実はもっと残酷で、そんな世界で戦い続けなければならない。
分かって、いても。
「でも、あの子の悲しむ顔は見たくない……」
そう願ってしまうのは、どうしようもなくて。
「……少しは、自分のことも考えた方がいいぞ」
「自分のこと……?」
「ああ。夢結、ひどい顔してる……」
言われて思わず自分の頬に触れた。
鏡がないから確認はできないけれど。
なんとなく、いい顔はしていないことは想像に難くない。
しかし、それは夢結に限った話ではない。
「貴女こそ、人のことを言えないでしょう」
「あ……!」
最初の指摘以来、ソファーと向き合ったままの体をぐいっと引く。
一瞬の抵抗はあったが、不意打ちに対応しきれなくて露わになる。
そこに見えたのは、目元をほんのり染めた梅の顔。
夢結のため息が頬をかすめて、一瞬ひんやりとした。
『一度取り戻したものを再び失う方が、初めて失くすよりもつらい』
そんな台詞があるらしい。
もちろん、後者を軽んじるつもりはないが。
その台詞は現実となって、梅に突き刺さっていた。
梅本人の話と合わせれば、アルンが二度も目の前でいなくなったのだ。
やっと、百合ヶ丘のみんなに受け入れられてきたというのに。
上級生だから、普段そんな振る舞いを見せないから。
……身近にずっと苦しんできた仲間がいたから。
ずっと抑えてきたけれど、本当は泣きたかった。
絶望しきったわけではないけれど、やっぱりつらかった。
折れてはいないが、それはそれとして悔しかった。
メンタルの強さは自負しているが、限度というものがある。
「それに、梅も訓練をするつもりだったんじゃないかしら」
「そんなことは……」
「ソファーの後ろに隠したCHARMはどう説明するの?」
「う……」
夢結が指差す先。
わずかに覗く黄色の機体は、梅の相棒タンキエム。
夢結は人の感情には疎いけれど、観察眼はそれなりに優れている。
故に、CHARMの存在や梅の目元に気がついた。
「私も話すことが上手いわけではないから、話を聞くくらいしかできないけれど……貴女だけに抱え込ませたりはしないわ」
「……ああ」
暗に『言わなければ何も聞いたりしない』と。
でも『一人にはしない』とも告げられて。
梅は横たえていた体をようやく起こす。
自分だってつらいだろうに、不器用ながらも気にかけてくれた。
なら、それに応えて前に進まなければ。
──竜の少女も、そう望んでいるだろうから。
「経験しているとはいえ、この悲しみには決して慣れないわね……」
「慣れなくていいと思う。大切な人を亡くして、悲しくなかったら──」
「──それこそ、本当のヒュージだ」
「ん……」
最悪な寝覚めに楓は顔をしかめた。
寝起きとはいえ、鏡の中には酷い顔の自分がいる。
久しく忘れていた感覚──喪失感と悲しさがぐちゃぐちゃに混ざったような不快感。
とても、慣れるものではない。
「わたくしの部屋、こんなにも広かったなんて……」
一気に2人も同居人がいなくなったのだ。
あれほど賑やかだったのが嘘のようで。
殊更に喪失感が強くなる。
隅の方に置かれたボロボロの寝具が物悲しかった。
「……くっ……」
立ち止まってなどいられない。
きっと梨璃は、もっと悲しんでいるはずだ。
夢結だって、あれで結構脆いところがある。
梨璃たちを支えてやらなくてはいけない。
それが、今の自分がするべきことだ。
そう決意したところで「くぅ……」と鳴る音。
部屋にいるのは彼女一人だから、答えは一つしかない。
「あっ……も、もう、こんな時に締まらないですわね」
……最後に食事を取ったのはいつだっただろうか。
まともに思考を動かすためにも、何か食べておかなくては。
そう考えて辺りを見渡して、ふと視界に小さな青が入る。
その正体は、いつかのラムネ菓子。
──それから、これを楓にあげたくて
──梨璃に教えてもらって買ってきたんだ。楓にあげる
──お疲れ様でした。それから、ありがとう!
思い返される、かつての思い出たち。
ちょっとやんちゃな結梨に、楓が振り回されて。
そこにアルンも加わって、二人で結梨のフォローをしていた日々。
大変だったのに、楽しくて。
「全く、散々世話を焼かされた割に、安い対価ですわ……」
言葉とは裏腹に、楓の表情は穏やかで。
とても優しい顔をしていた。
ラムネ菓子を手に取り、一粒口にする。
甘くて、爽やかで。
でも、すぐに溶け出してしまう。
それが結梨たちとの日々と重なるようで、少しほろ苦い。
「ふふ……ありがとう、結梨さん」
今度こそ動き出さなくては、と。
余韻に浸っていた目を開いた楓は。
「あら……?」
ふと気がつく。
ラムネ菓子が置いてあった位置に、畳んだ紙切れがある。
まるで隠されるように置かれたそれが、妙に気になった。
単なるゴミとして片づけるには何かが違う、と直感が囁く。
四つ折りの紙を開き、中身を確認した楓は。
「これ……!」
──新たな使命のために、部屋を飛び出すことになる。
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──さあ、約束を果たそう。
──確かこの辺りだね?
──違う違う! それじゃないって!
──あった、あったよ! これじゃない?
──それだ!
──見つけた見つけた!
──待って、一回浮かべた方がいいよ!
──……それもそうだな。
──でもまだ見つからないようにね。
──じゃあ、次のバトンを託さないとな。
【キャラ設定】その37(質問箱から)
『アルン君は動物全般に好かれるようですが、逆に好かれない動物って何ですか?』
特にいない。人間から酷い目に遭わされた動物とかはさすがに距離を置かれるけれど、それも割と一時的。強いて言うなら人間には好かれないと思う。
魚や虫は普通の対応。追いかけられれば逃げるし、何もしなければ何もない。
逆にオリ主的にはハトが苦手。理由は察してあげて。