転生先が百合キャンセラーのバケモンとかどうにかならなかったんですか!? 作:サク&いずみーる
前回サブタイトルは花の名前です。ちょっと調べてみたら「これや……!」と思ったね。
ミサイルと化したヒュージの襲撃。
それに伴う百合ヶ丘のリリィの退避命令。
極めつけは、ほとんどのCHARMが突如として使用不能になったこと。
少女たちが混乱に陥るのは無理もない話だ。
百由の解析で、先の3体のヒュージは墜落時の運動エネルギーを利用して。
地中深くに潜り込み、マギの結界を展開していることが分かった。
件の結界が、CHARMを封じた大本であることも。
マギの供給量が尋常ではなく、CHARMが起動しなくなったのもその影響だろう。
ただ、あれほどの規模の駆体を構築しながら、リリィのマギにまで干渉してくることは想定外だ。
「マギをこうも湯水のように使うとは……」
「先に降りた3体のマギ反応は、ほぼ消失。新たに出現したヒュージに吸い尽くされたと思われます」
しかし、敵の数が減ったからとて。
安心できる要素は一つもない。
3体分のマギを取り込んで、新手の1体が強力になった可能性もあるのだ。
「あのヒュージ……ここからでも、殺気を感じる」
ヒュージが放つプレッシャーに、冷や汗が出るのを実感する。
その強大な敵意と憎しみは、まるで──
「──『ルナティックトランサー』……」
「百由、今なんて?」
「結界の中心部にあるこの波形、ルナティックトランサーのによく似てる」
もし避難が遅れていたら、リリィにも影響を及ぼしていただろう。
その言葉を聞いて、視線が思わず遠くへ飛ぶ。
視線の先で、巨大な
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白井夢結は、実は一度避難していた。
しかし楓や梨璃の考えていた通り、そんな素直に逃げてやらなかったのが彼女である。
同級生たちの目を欺いて、百合ヶ丘女学院に単身戻ってきたのだ。
何故そんなことをしたのか、と問われれば。
『ちょっとした探し物』というところか。
「っう……」
ところが、その道中で異変が起きた。
突然襲ってきた鈍い頭痛。
しかも
その証拠に、携えていたブリューナクが起動しなくなった。
これでは、戻っても戦えない。
だが、彼女には『当て』がある。
そして、この頭痛も動けなくなるほどではない。
だから。
「大丈夫……」
自分に言い聞かせて、間接照明に照らされた道を進む。
程なくして、辿り着いたのは百由の工房。
明かりもない部屋で、ただ一つ青白く光る『それ』はよく目立った。
「はぁ……はぁ……」
──フラッシュバックする、かつての記憶。
滴る『赤』、傷だらけの『姉』。
何かを呟いて『黄金』を持ち去られる。
ぐらりと揺れる心、少し頭痛が強くなる。
でも深呼吸で整えれば、ほら大丈夫。
「……ふふっ」
思わず小さく笑う余裕すらあった。
今までに比べれば、なんてことない。
これなら制御できる。
過小評価でも自惚れでもなく、本気でそう感じた。
右手で柄を握る。
瞬間、本来の主が戻ってきたことを喜ぶかのように。
CHARMのコアが、夢結のルーンを映し出す。
「貴方、まだ私を覚えていてくれたのね……」
美しい黒髪が、マギと溶け合って白に染まる。
瞳に燃えるような深紅が滲み出す。
だが、少女は至って冷静で、確かに自我を保っている。
(あの子たちが戻ってくるまでは、私が何とかするわ)
振り返って、工房の奥を見やる。
まるで、そこに何があるのか分かっているように。
ふっ、と微笑んだ。
「その間は力を貸して頂戴──私のダインスレイフ」
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「ちょっと! ……じゃなくて、こら! そこのヒュージ!」
顕現した赤いギガント級に啖呵切ったはいいものの。
一言目が「ちょっと」な辺り、梨璃の人柄の良さがどうにも滲み出ていた。
訂正して出た二言目も、やっぱり良い子な部分が抜け切れない。
「あなたの相手は私よ! 他の誰にも手出しはさせないんだからっ!」
尤も、今求められているのは挑発の内容ではない。
重要なのは少しでも時間を稼ぐことだ。
どれだけ啖呵がほわっとしていようが、みっともなかろうがどうでもいい。
とにかく敵の注意を引き、仲間が突破口を開くのを待つ。
つまり、これは持久戦だ。
竜の少女が得意としていた戦いである。
(アルンさんなら、どうしてたかな……)
「■■■■■■」
「わっ!」
挑発に乗ってか、単なる本能か。
マギの光弾が乱れ撃ちで飛んでくる。
梨璃はすばしっこく跳ねて回避、着弾した所が小さな爆発を起こす。
補欠合格、と聞くとあまり良いようには思えないだろうし。
本人もちょっとした自虐ネタのようにしている節があるけれど。
そもそも名門と称される百合ヶ丘に入学できた時点で、何か優れたものを持っているのだ。
一柳梨璃がリリィとなり得た才能の一つが、この体捌き──いわば回避力である。
自然の中で育まれてきた動体視力と反射神経。
彼我距離の取り方やそれなりの身体能力が、彼女の命を繋いでいる。
(まずは、陽動の攻撃……!)
シューティングモードのグングニルで撃ち込む。
しかし、黒いオーラに吸い込まれてダメージを与えられない。
「っ!」
煩わしいとばかりに飛び出した赤い『腕』が。
地面を抉って梨璃に迫る。
「うわぁっ!?」
降り注ぐ土塊をすり抜け、半ば飛び込むように避けていく。
相手はネストのマギを大きく掻っ攫っていったヒュージだ。
体躯としてならギガント級に並ぶだろうが、マギとしてはアルトラ級にすら迫りかねない。
そんなものが質量を伴って直撃しようものなら、梨璃だって無事ではいられないだろう。
ところが、梨璃の避けた一撃は地面から跳ね上がった。
弧を描いたそれは止まらず、背後の校舎へと直撃。
最初は結界が攻撃を抑えていたが、衝撃波までは防ぎきれないらしい。
原型こそ保てたものの、窓ガラスは悉く砕け散っていくのが遠目に窺えた。
「っ、校舎が!」
思わず振り向いた梨璃に、隙が生じるのは必然で。
ヒュージもその隙を見逃さない。
2つ目の『腕』を切り離して、再び梨璃を貫こうとして──
「ふうっ!!」
割り込む影一つ。
毛先を
その手に握るは、黄金の大剣。
以前回収されたはずのダインスレイフだ。
「お姉さま!?」
真っ向から攻撃を受け止める。
激しく弾ける火花が目を焼きそうだ。
踏みしめた足元からも、強くマギを発していた。
「……大丈夫かしら、梨璃?」
「は、はいっ! あ、それ、ルナティックトランサー……? でも、え……?」
振り返った夢結の瞳もまた、中途半端に色を変えていた。
いつもの澄んだ紫に、紅が溶け込んでいる。
何度か見てきたルナティックトランサーの暴走とはまた違う。
姿は近づきつつあるが、理性を保っているようで。
だというのに、扱う力は普段よりも跳ね上がっている。
いや、そもそも今はCHARMが使えないのではないか。
それに伴って、レアスキルも使用できないはずだ。
だが、目の前で守ってくれている『姉』は。
それらの不可能をひっくり返している。
「あとは、私に任せて。貴女はここから逃げなさい……!」
「あっ、待ってください!」
ヒュージの攻撃を弾き飛ばすと、梨璃の制止を振り切って。
『腕』を駆け上がって本体へと迫る。
その隙に校舎を襲った『腕』が夢結を狙って戻ってくる。
咄嗟に体勢を低くして、立てたダインスレイフの剣先で流せば。
視界の上下で、文字通り火花が弾けた。
「……っく!!」
さらに追い打ちとばかりに、3本目の『腕』が投げられ。
大剣の腹でなんとか受け止める。
火花の量が増え、一時的に視界の麻痺を察した。
夢結は目を閉じて視力の回復を試みる。
代わりに、他の感覚を研ぎ澄ます。
かろうじて手から伝わる衝撃が、肌を掠める熱が。
今の状況を大まかに伝えてくれている。
直接攻撃と火力に特化したダインスレイフに。
中途半端とはいえ、まともに機能してくれているルナティックトランサー。
いつも以上に攻撃力に振り切れている今の夢結ですら、防戦に徹していた。
しかし、それは決して絶望を意味するものではない。
「まだ、いける……!」
一撃ですら脅威だというのに、彼女一人で三撃も対処できている。
一方的に押し潰されるのではなく、拮抗できているのだ。
ヒュージの攻撃は、質量とマギによる火力頼りの極めて単純なもの。
質量は技術で流せる。
マギによる火力はCHARMとレアスキルで対抗できる。
負けていない、士気もある。
ならば、まだ『次』に繋げられる……!
「あ──!」
競り合っていた感覚が急に消えた。
代わりに生じた浮遊感。
閉ざした視界の中で、過去の経験から。
『何かの拍子に弾き出された』ことを推測する。
だからといって、
「離れてくださいっ!」
故に、梨璃が突っ込んでくる。
CHARM同士をぶつけることで、夢結もろとも射線からずらした。
少なくとも、視覚を封じられた夢結を助けるなら最善策といえる。
「■■■■!?」
まるで静かな水面に雫を落とすように。
梨璃を中心として、マギの波動が広がっていく。
先程と違うのは、その広がりが清らかなものであることだ。
薄暗かった空が、地上が。
わずかに明るさを取り戻していく。
驚いたのか、ヒュージの砲撃が引っ込んだ。
その反動で巨体がよろめいたが、それだけ。
大したダメージには至っていない。
落下していくだけのリリィなど、最早ただの的に等しい。
「■■■■■■■■■■!!」
邪魔をされた仕返しのつもりなのか。
『腕』を撃ち出し、砲撃を構えて。
「っ、お姉さま……!」
「梨璃……!」
捉えた景色の中、あるいは聞こえた音で。
2人はそれぞれ状況を理解して。
嫌な汗が背中を滑り落ちる。
大切な人の体を抱きしめる少女たちに、魔の手が迫って──
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ある程度ギャンギャン吠えてりゃ冷静にもなるわけで。
結局言いたい放題言っても、もうどうしようもないって現実に行き着いた。
だってほら、俺だってもう死んでるわけじゃん?
あとできることっつったら、精々傍観者のお役目くらいよ。
──まあ、偉そうなこと言ったところで後の祭りなんですけどね。
『声』のトーンは自虐的で。
表情が出るなら、どんな顔をしてたんだろうか。
──死人に口なし、拱手傍観。俺も幽霊の仲間入りですよ。
投げやりな気持ちが戻ってくる。
──約束も守れないクズだから、多分地獄にでも落ちるんでしょうね……
罪悪感も、思い出して。
──いや、むしろ成仏もできないでずっと苦しんでんですかねえ。
開き直ったような口振りで。
──でもやっぱり、もっと梨璃ちゃんとか、一柳隊のみんなと話したかったなあ。
その実、未練たらたらで。
──結梨ちゃんだって助けてやれたんだし、みんなと笑ってるとこ、もっと拝みたかっ、たなあ……
……ああ、みっともねえ。
一体どこまで情けなくなれば気が済むんだってくらいに。
自分の中がぐちゃぐちゃになってく気がして。
霧がかかる思考の中。
ほんの一瞬、もう消えてしまいたいなんて思ったところで。
「その願い、自分で叶えてくればいいじゃないか」
美鈴様は優しく笑っていた。
今まで見たような、どこか暗さを感じるものじゃなくて。
──なん、で……
「ん?」
──なんで、そんなこと言えるんですか……?
「なんでって?」
──もう、みんなには会えないってのに。
「君が言ったんだろう? 『自分の気持ちに嘘はつくな』って」
清々しくて、綺麗な微笑みだった。
それに、と紡がれた言葉は。
「だって、
──……あ
沈む思考の中に光を差して、思い出させる。
弱気になっていた想いを打ち払って。
「僕だって、抱えてきた苦しみを和らげてもらった分は返さないとね」
そうだ。
絶対帰るって気持ちで、今まで布石を打ってきたんだろ。
死んでやるもんかって、託してきたじゃん。
いっぺん三途の川が見えたくらいで、何をウジウジしてやがる。
自分だけならまだしも。
みんなの努力まで無駄にするつもりか……!
「だから、僕とも約束だ」
──やく、そく……
差し出された小指。
美鈴様は琥珀の瞳を俺に合わせてくる。
……俺にとって『約束』という言葉は。
世間でいうそれよりも、重い意味を持っている。
だから、できない約束はしないし。
結んだ約束は何が何でも守っている。
「どうか僕の分まで夢結を──大切なあの子の仲間たちを守ってあげてほしい」
あの子と同じ目をしてると思った。
「そして、みんなに支えられたその命で生き続けてくれないか」
そう考えたら、自然と『手』を伸ばしていて。
──任せて、ください。
指と『指』を結んだ瞬間。
何かが剥がれ落ちるような感覚がした。
──この命も、
「……それがヒュージの肉体を持ちながらも、人の心を持つ君が出した答えかい?」
「そんな大層なもんじゃないですよ」
みんなに繋いでもらった命。
背負っている大切な人の想いや願い。
まだ生きていられるなら、無駄になんてできるわけがない。
「でも、そこまで過保護に守ってあげようとする必要はないかもしれないですよ」
「?」
きょとんとする美鈴様がちょっと新鮮で面白い。
アニメ本編じゃ見られん表情だし。
ああ、別に約束が守れないとかじゃなくてさ?
もちろん必要とあらば、すぐに助けに行くよ。
でも、ね?
「もう夢結様は、朝露みたいに脆くて儚い存在じゃありませんから」
夢結様は
支えてくれる人がいると分かっているはずだ。
……実際に頼ることができるのかっていうのは、まあ。
個人の根本的な問題になっちゃうんだけど。
それでも、心の持ちようは少し変わってくると思う。
ちょっとした余裕、みたいなね?
「……そうだね」
白い花畑に風が吹く。
花を揺らす音が心地良い。
美鈴様は1つ、小さく頷いて。
「やっぱり、さっきみたいな砕けた話し方の方が僕は良いと思うな」
「うえっ!? あ、えと、んー……あっはは、はははー……で、きれば、忘れてもらえると助かりますけど……」
「無理かな」
「でっすよねぇー……」
えぐい取り乱したから忘れてほしかったのに……
うっわ、悪い顔してますわこのお姉様!
また来ちまったら絶対ネタにされるな、いじられるな(確信)
美鈴様、人をからかうの好きそうだもん。
オオオオ……もういろんな意味で来られねえぞここ……!
「っと、どうやら迎えが来たみたいだ」
「迎え?」
──……!
声が聞こえて、その方向を見ると。
ぼんやりと人影が見えて。
目を凝らして、明らかになる薄紫。
……うん? 薄紫?
「────アルンっ!!」
「っとぉおおおお!?」
ふわふわと降下してきたのは一人の女の子。
アイエエエ!? 結梨チャン!? 結梨チャンナンデ!?
さすがに吐いたり漏らしたりはしないけど、気分は一般人がニンジャを見た時のそれ。
結梨ちゃん無事なんじゃないの!?
「大丈夫、彼女は確実に生きているよ」
「え、あ、そうなんすか……」
ビビった……ホンットに焦った……
つーか、何
こちとら大マジぞ!?
「ほら、その声を聞かせてあげなよ」
「……あ」
そういや声出るようになってる。
俺、今世ではこんな声してんのか……
はっきりしてなかった身体も、ちゃんと分かる。
しかも、あのゴッツい黒い腕じゃなくて。
もっと人間らしい肌をした腕をしてる。
……ちょっと名残はあるけど、それはそれで良い。
むしろロマンを感じる……!
「アルン、帰ろ? みんなが待ってるよ!」
「……うん。そうだな、帰ろっか」
差し出された手を取る前に、美鈴様へと向き直る。
「色々と、ありがとうございました。あっちのことはオレに任せてください」
「こちらこそ。あまり早く来ないことを祈っているよ」
ふわり、ひらりと花弁が舞い上がる。
そういえば咲いていたこの花たちはそういう意味だったんだな、と思わず口元がほころぶ。
「ところで美鈴様、この花の意味って知ってますか?」
「……死の象徴、じゃなかったかな。花言葉は『慰め』、この花を贈り物として選ぶのは『受け取った人の死を願う』という意味になってしまうとか」
「まぁ、間違いじゃないです。というか、一般的にはそういうものとして通ってますし」
「この場所にはぴったりな花じゃないか」
俺も、ここに咲いてるのを見て。
真っ先にそれと結びついたから「死んだんだ」って思った。
これ、一応ヒガンバナの仲間みたいなもんだし。
そういうこった、って思っちまうよな。
でも、思い出したんだ。
あの子が教えてくれたことを。
そんな逸話があるのに、この花を好き好んで欲しがったあの子の話を。
「スノードロップのもう一つの花言葉は『希望』」
絶望の中に何度立たされても完全には折れなかった、強い少女の話だ。
「死という絶望を前にしてなお咲き誇る──逆境の中でも希望を示す花」
──こんな素敵な花が誕生花なんて、すごいと思わない?
そう聞かせてくれた、あの笑顔が。
胸を締めつけるほどに、眩しかったんだ。
「──そんな風に考えられたら、少し素敵だと思いませんか?」
「ふふっ」
美鈴様は柔らかく笑っていた。
それを見届けて、待ってくれている結梨ちゃんの手を取る。
「──行こう!」
1歩、仮初の大地を蹴って踏み出せば。
世界は光に染まった。
「いってらっしゃい」
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「やぁあああああああああああああっ!!」
曇天に轟く、少女の叫びと一筋の『流星』。
その流星が梨璃たちに迫る一撃を弾き飛ばす。
「何あれ……!?」
流星の正体は、一振りの剣──CHARMだ。
それも、いつか見たボロボロのグングニル。
ところが、あの時のグングニルとは違う。
フォルムは本来のものと違って厳つく、攻撃的な印象を受けた。
内包しているだろうマギは禍々しく。
リリィが扱う武器にしては、悪役じみた雰囲気が強い。
だというのに、溢れるマギからはどこか懐かしさを感じた。
それに、叫び声にも聞き覚えがあって。
「──今まで、たくさん迷惑をかけてきました」
次いで聞こえた声は、初めて聞く声だった。
「たくさん心配かけたと思います。たくさん不安にもさせてきました」
決して大きくはないのに、よく通る声。
青い短髪、くすんだミルキーグリーンの瞳。
ワイシャツの上から羽織った上着には、百合ヶ丘の校章が付いているが。
そんな生徒は見たことがない。
百合ヶ丘女学院の制服にはない、ショートパンツを履いているのも異質だった。
「でも、もう大丈夫です」
しかし、尻尾のように靡く鎖も。
腰の辺りから広げられた黒い翼も。
頭に付いている小さな角なんて、見覚えしかなくて。
「百合ヶ丘女学院、レギオン『ラーズグリーズ』──一柳隊所属」
少女たちが振り返った先に、ふわりと降り立つ。
天使の如く現れ、されども悪魔の如き姿をした者は。
「高松アルン──現時刻を以て帰還、戦線に復帰します」
『リリィの味方』として、あるいは『一柳隊の仲間』として。
不敵で、頼もしい笑顔を見せた。
登場シーンはカッコつけたがりなオリ主。
ぶっちゃけこのシーンのために今まで頑張ってきたと言ってもいい……! 死の淵からの生還は夢があるってもんよ!!
【キャラ設定】その41
リリィのマギが体内に直接注がれたことで、中身も人間に近づいた姿になった。まだフレーバー程度に人外要素が残っているが(頭に角の名残、右手の指先に残った変色、腰の小さな翼、一対の尻尾)、これ以上は無理。
声帯や制限されていた感覚器官が一部使えるようになっている。その上、現状のスペックを本能的に理解しているため何ができるのかも分かっている。
要するに、今までで一番『安定した』形態。
オリ主ビジュアル、その『一番安定』がこちらになります!
【挿絵表示】
で、こっちがカラー版です!
【挿絵表示】
オリ主の復活に必要なピースは『とにかく十分な量のマギ』と『ヒュージが有するマギ』でした。より一層人間に近づいた姿にはなったけれど、結梨ちゃんと違ってオリ主はどう足掻いても身体はヒュージのままなので。