転生先が百合キャンセラーのバケモンとかどうにかならなかったんですか!?   作:サク&いずみーる

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「ルナティック」に月という意味はないって書こうとしたら、「ヨーロッパでは月が人を狂わせるとされたことに由来する」とか書いてあってサブタイトルに打ち込もうとした手が止まりました。


人様のもの借りパクしちゃダメって習わなかったの?

 呼ばれてなくてもジャジャジャジャーンっと!

 害獣(?)駆除にえんやこらして一息ついてたら、遠巻きに爆発が見えて「何事!?」って来てみたら。

 なんかもうエヴァみたいになってたっていうか。

 しかもルナトラキメちゃってる夢結様が大暴れで、ある程度の察しはついた。

 ちょっと目ぇ離した隙に話が進んではる……!

 とはいえ、介入すべきかどうかは悩んだ。

 だって、この話は普通に切り抜けられるわけだし。

 好感度UPは欲しいけど、下手に突っ込んで影響が出るのも気が引ける。

 とか思ってたら、原作にない『足場破壊』とかいう攻撃で地味に梨璃ちゃんピンチで一気に考えが吹き飛んだ。

 テメーここで梨璃ちゃん退場したら後の話どうする気だ!?

 なーんて、キレたところでどーせコイツら空気読まねえか。

 ニチアサとかの敵さんたちをもっと見習って欲しい、マジで。

 

「キュッキュイ?」

「えーっと……」

 

 無事を確かめるために、手の上の梨璃ちゃんを見ると。

 困惑気味に俺を見上げてきた。

 んー、かわいい(確信)

 

「あっ、また!」

「キュイー!」

 

 空気読めないミサイルですね、分かります。

 でも、そんくらいならこの身体には効かねえんだわ!

 梨璃ちゃん庇って攻撃をやり過ごす。

 とりあえずミサイルが一度落ち着いたのを見計らって、適当な足場に降ろす。

 大丈夫? ケガとかしてない?

 

「わっとっと……!」

 

 降りるのも危なっかしいなあ。

 じゃ、あとは適当なタイミングで頼んます。

 こちとら、夢結様の気を引いたり借りパクCHARM取り返したりで忙しくなるんで!

 さしあたっては、っと!

 

「キュイッ!!」

「■■■■!?」

 

 オッラ! こっち見ろィ!!

 ヒュージの目を狙って渾身の右フック。

 目を持つ生物なら誰だって目潰しは効く。

 あとはコイツの背中に上陸。

 つーか、広いなここ……

 いや、俺の今の身体もそこそこ大きいと思ってたけど。

 上には上がいるんやな……

 じゃなくて。

 

「キュー……ッイ!!」

「■■■■■■!!」

「キュイキュイ!!」

 

 突き刺さってたCHARMを思いっきり引き抜く。

 なんか苦情がきてる気がするけど無視無視。

 そもそもこれ全部オメーのじゃねえからな!!

 何借りパクした代物で『無限の剣製』ごっこしてくれちゃってんの?

 『これが自分の固有結界っす』ってか?

 やっかましいわ、『赤い弓兵』と『正義の味方』見習いに謝れ!!

 

「■■■■■!!」

 

 そんなことをしてたら、ミサイルが全面的に俺に向けられるようになってきた。

 よーしよし、これでヘイトはいただいたぜ。

 俺にとって、これによる被害は正直「爆発の煙で視界が悪い」くらいしかない。

 なので実質ノーダメージ。

 周りの皆さんには、その間にいろいろ準備とかしてもろて……

 

「ぁぁぁあああああ!!」

「キュ──!?」

 

 ──爆発とは明らかに違う、()()()()

 煙が晴れなくても分かる、淡く光る『白』と殺意の『紅』。

 ……まさか、そんな早くに食いついてくるとは思ってなかった。

 

「ヒュージ、ヒュージ……っ!!」

「キュイー……ッ」

「っう……ぐ……」

 

 でも当然っちゃ当然か。

 今の夢結様はルナトラ……いや、ルナティックトランサーの影響でリリィにすら容赦しないってんだから。

 ましてや、完全にヒュージの俺なんか憎くて憎くて仕方ないんだろう。

 たとえ『俺』がやったことじゃなくても。

 

「ぉねぇ、さまぁ……!」

「キュ──ッ!!」

 

 また一撃、今度は深めに持ってかれる。

 いくら防御特化といっても、ルナティックトランサーで火力の上がった攻撃に耐えられるほど無敵じゃない。

 

「ッキュイ!!」

「っ!」

 

 ──でも、俺は簡単には死なないし、死にたくないから。

 

 三撃目、マギを集中させた翼で防ぐ。

 多少めり込んでるけど、まだなんとかなる。

 取り返したCHARMは蛇腹の触手でまとめて持っておく。

 こんなの、文字通りの片手間でできるような仕事じゃないし。

 

「キュキュイッ! キュイー!!」

「あああああああああああああああああああっ!!」

 

 ……大丈夫、夢結様の注意も引けてる。

 やることはちゃんとできてる。

 安全に、確実に来られるようにはするから……その。

 

 お願い梨璃ちゃんなるべく早く来てー!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──一閃。

 

「…………っ!」

「キュ……ッ!!」

 

 ──一閃。

 

「……ふ、うぅ……!!」

「──イーッ!」

 

 ──なお一閃。

 

「あぁぁああああ!!」

「キュイイー……ッ」

 

 束ねて三閃の剣撃が特型ヒュージ──ピラトゥスの身体を刻みつける。

 依然、止まない猛攻は暴雨の如し。

 一方で、ピラトゥスは何もしない。

 否──厳密には攻撃を防いだり、躱したりすることはあるが。

 夢結に対して、攻めの行動を取ることが一切なかった。

 

「キュイキュイ!」

「……ぁぁ……!!」

「■■■■■■■■■」

「キュイキュッキュイ!?」

 

 圧倒的にピラトゥスが不利だった。

 何せ、実質2対1の戦いだ。

 相手は共闘こそしていないものの、それぞれが厄介だった。

 レストアの攻撃はピラトゥスに直接ダメージを与えないが、ミサイルは視覚的妨害になる。

 その隙を突いて、夢結の高火力攻撃が迫ってくる。

 しかも、最も脅威である彼女には攻撃してはいけない。

 精々弾くこと(パリィ)はできても、反撃(カウンター)まではできない。

 そこまでいけば、完全に敵対行為になってしまうから。

 

「あぁああ!!」

「■■■■■■■!?」

「キュッキューイ!」

 

 しかし、小さき竜は諦めない。

 暴走する夢結の攻撃を誘導して、レストアの装甲を破壊させる。

 これで、深く突き刺さっていたCHARMが抜きやすくなった。

 すかさず回収、触手に回される。

 

 ──攻撃ができないからといって、勝算がないわけではない。

 というか、そもそも勝たなくていいのだ。

 ただ気を引き、ただ囚われたCHARMを奪い返せばいい。

 ただ、負けなければいい。

 つまるところは『持久戦』だ。

 そして──

 

「はぁ……はぁ……っ!!」

「キュイーッ!!」

 

 ──奇遇にもそれは、『そいつ』の最も得意な戦い方だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 少女は夢を見ていた。

 

 夢というものは大抵脈絡がなく、支離滅裂な内容である。

 宗教や地域によっては「神の啓示」とされることもあるらしい。

 夢の内容を占って楽しむ、という文化もあるそうだ。

 だが、彼女が見ている「夢」はそんな明るいものではない。

 

 何故なら「それ」は正真正銘、彼女自身に起きた過去であり。

 忘れもしない、「悪夢」なのだから。

 

 

 

 

 

 

「──夢結っ!!」

 

 2年前、あの日は満月だった。

 「月が綺麗」なんて呟いたら、「それは僕への告白かい?」なんて『姉』にからかわれたものだから。

 よく覚えている。

 

「あ──」

 

 戦場で油断してはいけないと知っていたのに。

 ヒュージの不意打ちに気づけなくて、『姉』が今までにないくらい切羽詰まった大きな声を出したものだから。

 よく、覚えている。

 

「……え?」

 

 そして、月が満ちた夜空の中。

 気づけば『姉』は赤を散らして、宙に浮いていた。

 まるで、磔にされたかのような光景は、現実味がなかった。

 それこそ夢であってほしかった。

 

「お姉様……? お姉、様……?」

 

 信じられなくて、信じたくなくて。

 縋るように呼んでも、いつものように話しかけてくることはなくて。

 返ってきたのは静寂のみ。

 

「……っ!」

 

 だらりと力なく垂れた手から、『姉』のCHARMがすり抜ける。

 虚しく響いた金属音は残酷な現実を突きつけた。

 

「うぅ……っ!!」

 

 一気に感情が押し寄せる。

 悲しい、悔しい、情けない。

 自分の大切な人を失ってしまうのが、怖くて泣き出したかった。

 でも、それ以上に。

 

「……よ……よくも……お姉様を……っ!!」

 

 大切な人を奪われたことに、怒りを抱いた。

 眼前の不届き者に、憎しみをぶつけずにいられなかった。

 この忌々しい敵を、叩きのめさずして。

 どうして、自分の不甲斐なさを払拭できようか……!!

 あらゆる負の感情を糧とし、復讐の炎が燃え上がる。

 

 

 

 

 

 

「お姉様を……返せぇっ!!」

 

 かつての復讐心のままに振るわれる刃。

 目の前の『そいつ』を圧倒する。

 

 ──こいつが、お姉様を……っ!!

 

 何をするでもなく、ただ回避と防御に徹しているのは不自然だ(かつてと違う)とは思ったが。

 仕掛けてこないなら都合がいい。

 仮に、これが何かの策略だったとしても。

 今の夢結はそれごとねじ伏せてやる気でいた。

 そして、強く力を込めたブリューナクが『ヒュージ』を捉えて──

 

「……っ?」

 

 ──この状況でも『そいつ』は笑っていた。

 本来ヒュージは感情を表現できるような機能はないし、見たところでそんなことは分からない。

 だが、『そいつ』は確かに笑っていると確信できた。

 それも、嘲笑っているのではなく、ただ何かを「信じている」という確証があるもので。

 

「キュ……キューイッ!」

「──夢結様ぁあああああああ!!!」

 

 見た目にそぐわない素早さで『そいつ』が身を翻したのと、CHARMを抱えた梨璃が飛び込んでくるのはほぼ同時だった。

 

「えやああああぁぁぁっ!!」

 

 未だ悪夢を見続ける夢結は躱された勢いのまま、ブリューナクを叩きつける。

 咄嗟の判断で梨璃もグングニルを構え、凄まじい音が鳴り渡った。

 

「す、すみません……」

 

 マギ同士の衝突に、二人のCHARMを光源とした青白い閃光が戦場を照らす。

 無鉄砲な行動だった自覚があったのか、梨璃が謝ったが。

 

『見ないで……』

「っ!」

 

 ──弱々しくも、確かに聞こえた声。

 悪夢から一瞬だけ目覚めた少女の、今にも泣き出してしまいそうな弱音。

 

「ああっ……!?」

「キュキュイー!?」

 

 それを聞いた梨璃は、勢い余って吹き飛んでいった。

 梨璃が飛んでいった方向に視線を向ける『ヒュージ』に、隙ありと言わんばかりに夢結が突撃。

 『ヒュージ』は慌てて翼を重ねて盾を成す。

 少女が溜め込んだ苦しみを、少しでも受け止めるために。

 




今回は中途半端なところで切りました。次のサブタイトルはもう決めてるので、そのためにこうなりました。
あと、感想とかくれたら喜びます。でも最近メンタル削られてるんでお手柔らかに……

【キャラ設定】その5

オリ主のモットーは『死ななければ安い』。この手の転生者にしては珍しく(?)死ぬことを怖がるし嫌がるが、「死なないために傷つく」ことや「誰かのために傷つく」ことに関してはあまり躊躇がない。
生きることに執着しているため、「(自分を含めた)誰かの死を前提とした犠牲」を最も嫌う。
もしエレンスゲに辿り着いていたら、この世界の人類を完全に見限っていたかもしれない。
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