転生先が百合キャンセラーのバケモンとかどうにかならなかったんですか!?   作:サク&いずみーる

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はい、皆さま明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
あの……こんなプロットなし(ある程度の流れはある)の行き当たりばったりな作品に色評価がついたってマジですか……(戦慄)


この度、お引っ越しいたしまして

 ──春の雨が降っていた3月。

 

「王雨嘉さん?」

 

 優しく差し出された、綺麗な手のひら。

 

「郭神琳と申します。名高い王家の方と同室なんて、光栄だわ」

「う、ううん! そんな……私なんて全然、ヘボリリィだから……!」

 

 自分なんかに取れない、なんて思ってしまって。

 癖のようにこぼれた、気後れした言葉たち。

 

 それが、彼女たちの始まり。

 

 少女は、行く末の不安を想い。

 少女は──生まれた感情を、笑顔の下にそっと隠した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 『特型ヒュージはクールに去るぜ……』なんて別れ方をしたけれども。

 結局あの後、百合ヶ丘の近くにある山で新居をゲットしてしまった。

 挙げ句、すぐに百合ヶ丘の皆さまに住所特定されてる始末。

 普通にカッコ悪いっすね!

 ははっ、どーぞ大いに笑ってくださいな!

 

「キュイキュイー」

「にゃあー♪」

「にゃーう!」

 

 でも、そこまで身構えることでもなかったらしい。

 というのも、ちょっと出かけた隙に新居前で待ち伏せなんてされてて。

 帰宅早々「やべーなデッドエンドが手招きしてんのが見えそう……!」なんてガタブルしていたら。

 

『そっちが敵対しないなら、こっちも見逃してあげる』

 

 という感じの宣言をされた。

 でもその代わり、定期的に監視とか調査には来るらしい。

 まあ、それくらいならいいかと思った。

 ここに来る前に比べたら全然好待遇だしな!

 

「にゃあー」

「キュイキューイ」

 

 あ、ご紹介します。

 こちらウチの同居人、もとい同居猫の皆さんです。

 この住宅の先客だったんだけど、どうやら心の広い猫だったみたいで。

 特に威嚇されることなく、ルームシェアさせてくれた。

 

 てか、今の俺『ピラトゥス』なんて呼ばれてんのな。

 ピラトゥスっつったら、スイスの伝承が元ネタだろう。

 人間くらいの、ドラゴンにしては小さい身体で。

 しかし、火を吐きまくるわ家々に放火するわ家畜をジェノサイドするわ、と凶暴さが侮れないはた迷惑な厄介者。

 そいつの血は猛毒で、触れただけで死ぬという。

 ドラゴンの伝承としては、ちょっとマイナーだと思う。

 え? なんでそんなの知ってるかって?

 いや……ほら、あるじゃん?

 やたらとドイツ語とか、北欧かギリシャ辺りの神話に詳しくなっちゃう時期。

 あるいは「闇の炎に抱かれて消えろっ!」とか言っちゃう時期。

 俺の場合、それがドラゴンとか龍関係の伝承に向いてたっていうか。

 おかげでその辺特化したというか……そんな感じです、はい。

 

「キュイー……?」

 

 いや、でもさあ。

 この見た目的には、むしろあっちじゃね?

 某『妖精騎士』の第三形態っぽくない?

 だいぶヒュージ寄りなデザインだし、腕ごっついけど。

 んー、どう思います?

 

「なー」

「キュッキュイー」

 

 ですよねー。

 「知らんがな」ってそっぽ向かれた。

 いやー、でもこれだよな!

 これが俺が長らく求めていたものですよ!

 こういうスローライフを送りたかったんだよ……!

 ……ここまで動物に囲まれるとは思ってなかったけど。

 さーてと、最近なんだかんだ忙しかったわけだし。

 もう一休みしますかねー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 百合ヶ丘女学院は久しぶりに平和である。

 人々を害するヒュージの出現もなく、少女たちは学生らしい日常を謳歌している。

 一部では何ぞ『ルナティック』な大爆発が起きたり。

 『とある変わり者』について興味津々なマッド気味な学生が、ウキウキで物騒な実験道具を持ち出そうとして止められたりしたらしいが。

 ……何はともあれ、今日の百合ヶ丘は平和である。

 

 

「うん……うん……大丈夫。それじゃ……」

 

 ──ある寮の一室にて。

 窓辺で電話をしていた雨嘉は、小さく息をついた。

 邪魔にならないように、と気を遣っていた神琳はようやく口を開く。

 

「お母様ですか?」

「……うん」

「ご実家のアイスランドは、今は夜の11時といったところかしら?」

「うん。心配して、毎日電話をくれるんだけど……」

 

 いくら心配だからといっても夜中に、それも毎日娘に連絡するというのは。

 それなりに難しいことであるはずだ。

 それを実行できる、ということは。

 

「──大切に想われているのね」

 

 「子どもを愛さない親などいない」とは言うが。

 彼女の場合、本当に良い親に恵まれたのだろう。

 神琳はどこか羨むように微笑んだ。

 

「ううん。私は姉や妹に比べて出来が悪いから……だから……心配、なんだと思う」

 

 ところが、雨嘉の表情はあまり明るいものではなく。

 卑下するような言葉で、母親の真意と自分の思い込みをすり替えていく。

 

 そんな彼女に抱いた想いを、神琳は心の片隅に押し込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「梨璃。貴女にお願いがあります」

「はーい! なんなりと!」

 

 

「──レギオンを作りなさい」

 

 

 幸せにぴょこぴょこ髪を揺らす梨璃に、紅茶を一口啜った夢結が告げた。

 ちなみに。

 この一言に至るまでには、なかなかに見当外れな解釈があり。

 さらには、なかなかにネガティブな思考を経由して。

 結果、どうにもポンコツな答えが導き出されたことも付け加えておこう。

 

「分かりました!」

 

 夢結を慕ってやまない梨璃は即答。

 「お姉様」に応えるべく、『いざ実行へ……!』というところで。

 ふと、気がつく。

 

「え……レギオン、って何でしたっけ?」

「あいたっ!」

「わっ、二水ちゃん!?」

「あ……ご、ごきげんよう……あはは……」

 

 リリィなら知っていて当然なはずのことを知らない、という事態に。

 ()()()居合わせた二水もすっ転んだ。

 

「二水さん、お願いします」

「はっ、はい! レギオンとは、基本的に9人一組で構成されるリリィの戦闘単位のことです!」

 

 もっと厳密にいうと、各ガーデンによってレギオン発足のための規定は異なる。

 例えば、必要人数。

 連携必殺技──ノインヴェルト戦術に重きを置く百合ヶ丘では9人を原則としているし。

 東京に位置するエレンスゲ女学園や神庭女子藝術高校のトップレギオンは、5人で成立している。

 他にも、メンバーを集めるのは生徒かガーデンか、というように。

 ガーデンごとに個性があるのだが、まあそれはともかく。

 

「ところで二水さん」

「はっ、はい!?」

「『お祝い』、ありがとうございます」

 

 『お祝い』──リリィ新聞の一面を堂々と飾った出来事について。

 夢結は笑顔を、それもあまりよろしくないタイプの笑顔を二水へ贈った。

 はっきり言って、キレている。

 そりゃあもう激おこだった。

 何しろ、この新聞を作ったのが目の前にいる三つ編み少女なのである。

 そんな圧を向けられては、二水も「ど……どういたしまして……」と引きつった笑いで後退するのが精一杯だった。

 

「けど、どうして私がレギオンを……?」

「貴女は最近弛んでいるから、少しはリリィらしいことをしてみるといいでしょう」

「リリィらしい……? ……はぁ」

 

 まず、ここからして微妙に食い違っている。

 そもそも、夢結が「弛んでいる」と思っていたものは、「大好きな姉と一緒にいられる幸せ」を噛みしめていたものである。

 確かに表情は弛んでいた……どころか「でろっでろ」ではあった。

 だが、そういうことではない。

 

「分かりましたお姉さま! 私、精一杯頑張ります!」

 

 そうとは知らず、元気に息巻く梨璃。

 

 しかし、夢結はこの試練に対して成功する確率は極めて低いと踏んでいた。

 もちろん、今の梨璃を見下しているわけではない。

 現実的に考えて「新人のリリィがレギオン結成に必要な人数を集めることは難しい」という、一般論に基づいた判断である。

 できないことは仕方がない。

 むしろ、その失敗をバネに次へと進めば良い。

 そう考えていた。

 

「なんたってお姉さまのレギオンを作るんですから!」

「んぐっ……!?」

 

 ところが、またも話が食い違う。

 自分の思っていた内容と違うことに、今回は気づいた夢結が飲んでいた紅茶を吹き出しかける。

 なんとか乙女のプライドを死守するも、その間に話があれよあれよと進んでいて。

 

「では早速勧誘ですっ!」

「ま、待って二水ちゃ〜ん!」

 

 「違う」とか「そうじゃない」と口を挟む隙もなかった。

 結局、致命的な誤解を抱いたまま。

 二水と梨璃は張り切って飛び出した。

 

「そういう意味では……」

 

 取り残された夢結の呟きが虚しい。

 ……なんというか。

 「このシュッツエンゲルにして、このシルトあり」という感じだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 ──それから、少し経って。

 

 場所は変わり、訓練場に来た夢結。

 いつかと同じように、梅と共に的を撃ち抜く。

 

「夢結は何を気にしてるんだ?」

 

 一息ついたところで、梅が口を開いた。

 CHARMの硝煙が小さな柱を作っているところは、まるで主の代わりにため息をついているようにも見える。

 

「……え?」

「梅が6発撃つ間に夢結は10発も撃った。気が焦ってる証拠だ」

「相変わらず……人のことをよく見てるのね」

 

 どうやら、無意識だったらしい。

 夢結は困ったように友人を見た。

 

「おう! 梅は誰のことも大好きだからな!」

 

 そう言い切った梅の表情は輝くような満面の笑み。

 前よりも良い関係になったのは、誰の目にも明らかだった。

 

 

 

 

 

 

 根を詰めて過ぎても強くはなれない。

 本当に強い者は、引き際を知っているものだ。

 ということで、二人は小休憩を挟みつつ。

 夢結は「気が焦ってる」原因について、事情を話してみた。

 

「へーえ。自分のシルトにレギオンを作らせるなんて、やるな」

「私は梨璃に自分のレギオンを作るよう言ったつもりだったのに……」

「夢結らしいな。なあそれ、私入ってもいいか?」

「貴女までそんな……」

「あはは〜」

 

 梅は笑った。

 嬉しかったのだ。

 少し前までの夢結では考えにくかったような、困り顔が見られたことが。

 それだけではない。

 梨璃と出会ってから、夢結はいろいろな表情を見せてくれる。

 ずっと気にかけてきただけに、本当に嬉しい変化だった。

 

「そういえば、貴女」

「うん?」

 

 だが、嬉しい変化というのは、実は夢結だけではなかったりする。

 

「いい顔で笑うようになったわね」

「え? 私、そんなに笑えてなかったか?」

「そうじゃなくて……何て言えばいいのかしら」

 

 少し考えるように夢結は黙り込む。

 それを梅は急かすことなく、ただ待っている。

 

「私は他人(ひと)の感情だとか、そういうものには疎いのだけれど」

 

 ──それは割とみんな知ってる。

 

 そんなツッコミが喉まで出かかるが、梅はグッと飲み込む。

 

「前は何というか、どこか無理して笑っているように感じていたのよ。何かがずっと引っかかっているみたいな……そういう笑い方だと思ってた」

 

 でも、と続いた言葉は夢結にささやかな笑みをもたらして。

 

「今の梅は、そういう引っかかりもなくなったように見えるわ」

 

 梅ははっとした。

 もちろん、その「引っかかり」に心当たりはある。

 夢結のこともそうだし、今までちょっとした心残りだったピラトゥスのこともそうだ。

 

 ──ピラトゥスの居場所が分かった翌日。

 調査の役目を名乗り出た梅は、少しだけ話をした。

 もちろん、ほとんど一方的に話しただけだったり。

 初めて会った時のことなんて覚えてない、というから最近の話をしただけ。

 それでも、小さな竜は的確に相槌を打ったり。

 時には、話せないなりに少々大袈裟なリアクションで返してきたりしてくれた。

 それが、今までの心配を埋めていくようで。

 その反応を周りで見ている他のリリィの表情も、次第に柔らかくなっていって。

 とても安心したのだ。

 

 それに、だ。

 あんなに自分のことで手一杯だった夢結が。

 こうして他人(ひと)のことを気にかけられるまで余裕が出てきたのも、なんだか感慨深くて。

 「ちゃんと自分のことも見てくれていた」というのも、やっぱり嬉しくて。

 

「……梅?」

「ははっ、夢結も梅のことが大好きなんだな!」

「なっ……! 揶揄わないで頂戴!」

「えー、恥ずかしがることないだろ?」

 

 だから梅は笑った。

 他でもない、友人が「いい顔」と言ってくれた笑顔で。

 




・本編最終回まで終わらせる
・UA10万を超える
この2つをクリアしたら、特別なことをしたいなんて思っています。いやもう、完全に自己満足ですけど。

【キャラ設定】その8

百合ヶ丘の近くの山に最近新居を構えた。とはいえ、偶然見つけたクソデカい洞穴(多分、過去にミサイルかなんかが刺さってできた穴)に入るってだけの話。大きさが丁度いい感じで気に入った。
入ってみたら奥に何匹か猫がいたが、持ち前のモテスキルで共存に成功した。住まわせてもらっている家賃代わりに、食料調達で納めている。
一番大きくて洞穴にいることが多い縞猫を、オリ主は個人的に『おーやさん』と呼んでいる。

シンフォギアコラボ、現時点でひびみくだけ来ません(絶唱顔)
その上、年明け早々からしぇんゆーイベで「この運営やべーな」と確信しています(尊死)
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