転生先が百合キャンセラーのバケモンとかどうにかならなかったんですか!?   作:サク&いずみーる

9 / 47
何故、話として進展もしない本家4話にあたる部分を書いたのか? ボクぁしぇんゆーが好きだからだよ!!!!
ところで、1番最初に「書き逃げする前提」って言ったの覚えてますか(白目)


寝てる場合じゃねえ!!!

 部屋での過ごし方というのは実に個性が出るものだ。

 例えば──雨嘉の今の過ごし方は、自ら作ったテラリウムを眺めること。

 これによって、彼女は心に癒しと落ち着きを得ていた。

 だが、逆に言えば癒し云々はともかく。

 「そうでもしないと心が落ち着かない」という雨嘉の心境を表しているとも言える。

 

「神琳はレギオンに入るの?」

「ええ。貴女もせっかく留学してきたのだから、交流するといいわ」

「……」

 

 雨嘉は目も合わせない。

 ただ、心ここにあらずといった様子だ。

 

「ところでこれ、読みました?」

 

 話題を変えようと神琳が差し出したのは、一冊の新聞。

 学院が公式に出したものではなく、生徒が自主的に発行したものだということは雨嘉も知っていた。

 ……この新聞が原因で一悶着あった、というのはさすがに知らないだろう。

 

「『週刊リリィ新聞』……? こんなの読むんだ……『ユリ』さん?」

「雨嘉さんも見たでしょう? この前の戦い」

「……うん」

「技量もバラバラで息も合っていない。なのに、不思議な迫力があって……」

「……うん」

 

 依然として合わない目線。

 返事もやはりどこか上の空で、中身がない。

 

「わたくしの話、退屈?」

「うん……あ、そ……そんなことないよ!」

 

 流れのままに言ってしまって。

 しまった、と思うも時すでに遅し。

 慌てて否定する傍ら、雨嘉は自己嫌悪に陥る。

 

「──この前の戦いといえば」

 

 再びもたらされた話題に、今度は応えようと神経を張りつめる。

 その様子がなんだかおかしくて、神琳は小さく微笑んだ。

 

「あのヒュージ、変わり者でしたね」

「『ピラトゥス』……だっけ。不思議だよね、人を守るヒュージなんて」

「ええ。でも、それ以上に面白いんですよ」

 

 くすくす、と次の反応を予想しつつ。

 神琳は続きを告げた。

 

「なんでも、人の言葉を理解して相談にまで乗ってくれるなんて噂もあるらしいわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レギオンメンバーを集めるため、梨璃たちは一日で四苦八苦。

 具体的にはクラスメイトを勧誘しようとして、ガン飛ばされたり。

 他のリリィに声をかけたら、既に副隊長としてブイブイ言わせてたり。

 最初に誘った子が、何ぞキャラ崩壊していたのを目撃してしまったり。

 なんなら、梨璃が危うく『美味しくいただかれる』ところだったり……と。

 

 ダイジェストでお送りするにはいろいろ濃い出来事があったが。

 何はともあれ、4人は集まった。

 梨璃の経歴からすれば、順調と言っても差し支えないだろう。

 

「はああぁぁぁ〜……」

 

 盛大なため息と共に、ベッドへとダイブする。

 些かはしたないかもしれないが、梨璃のルームメイトは特に指摘しなかった。

 

「とはいえレギオンの人集めなんて、私には難しすぎるよ……閑さん、入ってみません?」

「それは無理ね。私も高等部に入ったら、自分のレギオンを持つって決めていたから」

「志が違いすぎる……」

 

 ルームメイト『伊東(いとう)(しず)』の強い決意に梨璃はとうとう撃沈した。

 夢結に言われたからレギオンを結成しようとしている梨璃と。

 以前から己の手でレギオンを率いるために動いている閑。

 どちらがより積極的に見えるかと聞かれたら、その差は歴然とするだろう。

 

「貴女のレギオンには楓さんだっているんでしょう?」

「うん……知ってるんだ」

「噂でね。楓さんは8つのレギオンから誘いを受けていたようだけど」

「え……?」

 

 そんな話は聞いてない、と言う間もなく。

 

「それと二川二水さん」

「はい?」

「あの方は『鷹の目』と呼ばれるレアスキルを持っているそうね。欲しがるレギオンは多いわ」

「ええ……そ、そうなんですか……?」

「情報収集と分析は得意なの」

 

 閑はどこか得意げに微笑んだ。

 

 普段の振る舞いがあまりに「アレ」だから忘れがちだが。

 楓は百合ヶ丘の高等部編入試験をトップの成績で合格した才媛である。

 その才能は頭脳だけにとどまらず、ヒュージを圧倒するほどの高い戦闘能力も開花させている。

 『レジスタ』 ──1つのレギオンに一人は必須と言われるレアスキルを持つことや過去の戦績。

 さらには司令塔としての実力もある、まさに「本物」。

 そんな彼女なら、引く手数多なのは想像に容易い。

 

 そして、二水自身の自己肯定感がかなり低いため、本人に自覚はないが。

 彼女もまた、周囲からの評価は高い。

 空から地上を見下ろすように状況を把握するという異常空間把握スキル『鷹の目』は、一人いるだけで戦術を大きく有利に動かす。

 それに、自他共に認めるリリィオタクとしての知識量は膨大だ。

 特にレギオン戦術に秀でた二水なら、その手の戦力になることは間違いない。

 他にも、見た目の小動物的愛らしさから目をつけられたりもしているが。

 それ相応に注目されるリリィの一人なのだ。

 

(みんなすごいんだ……何でもないのは私だけかぁ……)

 

 知らなかった。

 そんなに優秀なリリィたちが、自分のわがままに付き合ってくれたなんて。

 ぼんやりと天井を仰いで梨璃は考えた。

 ならば「どうして私の誘いを受けてくれたんだろう」と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッキューイ……」

 

 ところで。

 アサルトリリィで俺が推しているのは誰って話をしてなかった。

 ……まあまあ、ちょっと聞いてくれよ。

 寝起きで頭回ってない(アホ)がなんか抜かしおる、くらいでいいから。

 

 俺の推しは「この人単体!」ってわけじゃなくて、そのカプで好きなんだけども。

 神琳さんと雨嘉さん──所謂、『神雨』とか『しぇんゆー』と呼ばれるカプだ。

 俺って元々、髪が長いキャラにときめきやすい性質(タチ)なんだけど。

 そこから大雑把に性格的な好みで絞って、いいなと思ったのが件の2人だった。

 あとは「自信が持てない弱気っ子を励ましてくれる実力持ちさん」的な関係に惹かれていって、みたいな。

 しかも「弱気っ子も実はかなりの実力者」っていうのがまたいいよな。

 シュッツエンゲルとはまた違った、ルームメイトだからこその関係性というのも推せる。

 トドメとなったのは、やっぱりみんな大好きアニメのED。

 あれは俺も「ヒュッッ」ってなった。

 あんなん絶対「これから始めますわ」って構図だって!

 あれで「イノチ感じる」がもう隠語みたいな扱い受けてるもんだから笑うしかねえ。

 と、まあざっくり言うとそんな感じで。

 この2人がアサルトリリィにおける最推しなわけよ!

 ちなみに、2位は王道の『ゆゆりり』で3位はゲーム版行って『たかなほ』。

 

 そんな俺がこの世界に生まれた以上、見届けたいと思うもの。

 言わずもがな、自信をつけるために雨嘉さんが神琳さんを狙撃するシーンだ。

 あの雨嘉さんの少し低い声と、アステリオンで最後に受け止めるシーンが大好き過ぎてすごいリピートした記憶がある。

 あとあれは、めっちゃ神琳さんの顔の良さが分かる場面だとも思ってる。

 ……本当は、お風呂で背中合わせしてるシーンが見たかったけど。

 俺は野郎だし、そうでなくてもこの身体じゃ無理だべ。

 

「キュイー……」

「……みゃー?」

 

 そういや前はレストアくんフルボッコ回もとい、ゆゆりり初の共同作業だったな。

 俺の推し回はその後……ああああああああ!?

 

「……!?(ビクッ)」

「フーっ!!」

「シャーっ!!」

 

 やべーよ寝起きでオタク語りしてる場合とちゃいますやん!!

 え!? あれから何日経った!?

 いや、それ分かったところで実際にいつ頃レギオンメンバー集めてるとか分かんねえよ!

 まさかもう終わった!?

 ちっくしょう、だとしたら一生後悔するぞこれ!!

 なんて、朝から頭抱えて同居猫からクレームと爪をいただいていると。

 

「──えっと……」

 

 声が聞こえた。

 え、と思って見るとそこにいたのは黒髪とえちえt……独特の制服に、CHARMをこさえた女の子。

 というか今しがた(俺の中で)話題に上がった雨嘉さんだった。

 

「あなたが特型ヒュージ……ピラトゥス、だよね?」

「キュイ……」

 

 あ、はい。そうですけど。

 え? なんでこんな朝っぱらからここにいんの?

 

「その……相談に乗ってくれるって、聞いたから」

 

 

 

 

 

 

 

 おもてなししようにも、お茶とか出せるわけがないんで。

 とりあえず、同居猫の中から一番大人しくて人に慣れた子を渡しておいた。

 雨嘉さん、生の猫は怖いから苦手って聞いたことがあるからな。

 その辺考えた結果だった。

 

「キュイ」

「あ、ありがとう……? ふふっ、かわいい」

 

 おずおずと身体を撫でられても、一切動じない。

 うん、大人しくしててえらいぞ。

 そして雨嘉さんもめっちゃかわいい(確信)

 

 話を聞いて、分かったことがいくつかある。

 まず、何故か俺がカウンセラーみたいな扱いをされているらしいこと。

 最近、どーりでここに来るリリィ増えたなと思ったらそういう?

 でも俺、話聞いてリアクション返してるだけで、ほとんど何もしてないんだよなあ。

 次に、まだ雨嘉さんは所属レギオンを決めあぐねているらしいこと。

 これには俺も『ッしゃおらァ!!』とガッツポーズをキメて、雨嘉さんたちをビックリさせた。

 サーセン、気をつけます。

 最後は、雨嘉さんが自分の自信と実力のなさに悩んでいること。

 ヒュージである俺に相談しに来たってことは、藁にもすがるような気持ちなんだろう。

 

「情けないよね、私……」

 

 ぽつり、と雨嘉さんがこぼした自らを蔑む言葉。

 確か優秀な姉と妹に挟まれて、それがコンプレックスみたいになったんだっけ。

 うーむ、十分に雨嘉さんもすごいと思うけどなあ。

 だってこの人、こないだのレストア戦で俺を避けてミサイルだけ撃ち抜いてたんだぜ?

 おかげで、夢結様に首を刎ねられずに済んだわけだし。

 

「キュイ! キュッキュ……キュイ!」

「え?」

「キュイキュ!」

「何……?」

「キュキュイ……」

「……」

「……」

「キューイッッッ!!」

「ひぇっ!?」

 

 伝 わ ら ね え ! ! !

 「そんなことないよ」とか「前だけ向いて」とか言いたいんだけど……!

 んなー!! 身振り手振り使っちゃいるけど、やっぱ人の言葉が話せないのすーげえ不便!

 何!? これが人類が統一言語を失った弊害ですか!?

 あ、俺もう人類じゃねーな!(錯乱)

 

「あの、聞いて!」

「キュイ……?」

 

 苛立ち荒ぶった俺に、必死に呼びかける雨嘉さん。

 おかげで、ある程度落ち着いた。

 ……んで、何かな?

 

「あなたが何を言いたいか、ちゃんとは分からない……でも、励まそうとしてくれたのは分かったよ。ありがとう」

「……キュイ」

「この子は返すね」

「にゃおん」

 

 来た時よりは、多少すっきりしたような表情。

 こうして誰かに発散できただけでも、全然違うんだろう。

 でも、俺からは何もできてない。

 どうしよう、と考えて一つ閃いた。

 

「キュイッ!」

「まだ何かあるの?」

 

 戻ろうとする雨嘉さんを呼び止めて、地面に爪を立てる。

 あるじゃないか、ちゃんと伝える方法が。

 梨璃ちゃんたちと出会ったあの日、手段として考えていたものが。

 

「キュイ!」

「これ……!」

 

 俺からの簡潔な、でも一番分かりやすい『メッセージ』に。

 雨嘉さんは一瞬目を見開いて、俺の方を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 昨日に引き続き、メンバー集めに向かう前に。

 梨璃は付き合ってくれている2人に、改めて向き合う。

 

「二水ちゃんも楓さんも、ありがとう」

「梨璃さん?」

「藪から棒に何ですの?」

「私、2人のこと勝手に当てにしちゃって……」

 

 楓も二水も一瞬、なんのことか分からずに顔を見合わせる。

 だが、そんなことかとばかりに微笑んだ。

 

「梨璃さんだって頑張っているのは、ご自身のためばかりではないんでしょう?」

「うん、私はお姉さまのために……」

「ならそれと一緒です」

 

 それに、梨璃は『勝手に巻き込んだ』というような口振りだが。

 2人だって自分の意思で梨璃に協力している。

 迷惑だと思っていれば二水はともかく、楓ならとっくにこの件から手を引いている。

 そうなっていないのは、梨璃の人徳が為した成果だ。

 

「何じゃ何じゃ何じゃ〜? 辛気臭い顔が3つも並んどるのう」

 

 何やら特徴的な口調の声。

 声の主は、楓たちが腰かける階段の上の方。

 年頃の少女としては、少しはしたない座り方をしたミリアムだ。

 

「何ですの? ちびっ子2号」

「2号?」

「私1号!?」

「百由様から聞いたぞ。梨璃のレギオンを作るとか」

「いえ、あの……お姉さまのレギオンで……」

 

 言い淀む梨璃を遮り、ミリアムは彼女たちにとっての朗報を告げた。

 

「わしでよければ入っていいんじゃがの」

 

 あまりにも唐突であっさりした承諾に。

 二水も「がのっ!?」と驚く。

 

「えっ、いいんですか!?」

「わしは元々、夢結様の戦い方に興味があるのじゃ。確か、レギオンには属さないと聞いとったが……」

「ではここに捺印を〜」

 

 こうして予想外の新メンバーゲットに至った梨璃たち。

 幸先のいい再開に舞い上がる少女たちを見て、「苦労しとるんじゃの〜」とミリアムは遠回しにエールを送ったのだった。

 




途中から錬成される怪文書に「我は汝、汝は我……?」とペルソナみたいな気分になってました。(内容があまりに自分のこと過ぎて)

【キャラ設定】その9

オリ主の推しカプは以下の通り。
1位 しぇんゆー
2位 ゆゆりり
3位 たかなほ
たかなほがランクインしたきっかけは、知っている中の人が演じていたから。関係性や巨大感情どうこうは実は後からついてきた理由。

ちなみに、オリ主の推しは作者の推しを反映したもの。そりゃ怪文書もできあがるわ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。