ラスボスの子に転生したのでNO.1ヒーローを曇らせたいと思う 作:タメガイ連盟員
なってしまったものはしかたない、本当にしかたない。生まれは誰にも選べないのだ。でもせめてもうちょっとなんとかならなかったのかと叫びたい気分である。
よし、まず冷静になろう。 そうでないと今後どうするかも決められないからね!
こっちには原作知識があるけど最終章の決着がつくところまでは読めなかったし。
どこだっけな、そうそうデクくんがオールマイト置き去りにするところだ。あれよかったよね、完全無欠のヒーローだった男が無力感に苛まれるの! エンデヴァーも素敵だ。強い男の流す涙はまこと甘露である。
俺の性癖はまあいい。もしかしたらあれを生で見られるかもしれないと思うとわくわくが止まらないけど、とりあえずおいておこう。
それで、考えてみると、AFOの子供ってのはそんなに悪くない位置なんじゃないかと思うんだよね。
んー、それにしてもAFOって言いにくいな。今後はパパで統一しよう。頭の中で考えているとはいえ長いんだよ。
まず、衣食住はパパとドクターが全面的に見てくれるはずだ。
ドクターなんか全国に児童養護施設や介護施設を建てたり、個人病院と提携して医療サービス向上に精を出している。生半可な資産では不可能なことだ。まあ、資金出してるのはパパだろうし、実態は個性確保や情報収集のためのもんなんだけど、おかげでドクターは表じゃ慈善家として知られている。悪党のカバーストーリーとしては完璧でないかな。
問題があるとすると、俺の個性だ。どんな個性かによって人生が左右されてしまう。しょぼい個性だった場合はそのままポイされちゃうかもしれないし、強個性だとAFOに奪われてポイ……されたとしても養護施設に預けられることになるだろうから、それほどまずくはない、気がする。
いや、そもそもなんで俺を作ったのかがわからないとそこも判断できないところだ。パパの子供なんて原作には当然出てきていない。いないんだけど、じゃあなんで子供作らなかったのか? という疑問が残る。
だって彼の立場なら女を(男も)とっかえひっかえできるじゃん? 奇妙な冒険のボスは実際そういうことしてたわけだけど、そういうことしてるイメージがわかないんだよね。自分がチョメチョメするより、他人にやらせて鑑賞するタイプというか、人をおもちゃにするのが好きなタイプだよね。
例えばオールマイトの方はヒーロー活動最優先だから結婚なんて考えられなかっただろうし、師匠でもあり先代ワン・フォーオール継承者であった志村菜奈のことが頭にあったのかもしれない。結婚して、家庭をもったところで自分はそれを省みることはできないだろうし、家族がパパに狙われる可能性が高い。7代目も夫は殺されてるし、子供は里子に出して、その後自身も死んでいる。
ヒーローと家庭の両立って難しいんだろうなぁ。エンデヴァーなんてご覧の有様だし。他のトップヒーローたちも独身っぽかったし。
ヒーローの家庭事情はさておき、パパのことだ。考えられるのは、
・作ったけど望んだ個性じゃなかったから捨てた
・作ったけど認知せずに部下として扱った
・作らなかった
三つ目の理由は正確な考察はできないからさておき。パパって弟の初代ワン・フォー・オールにすごい執着してたんだよね。一緒に世界を支配して欲しいって思ったみたいだし。だから肉親には特別な感情を持ったりすることもあるんだろう。いや、あれは弟だからだよなきっと。同じコミック読んで、それぞれ魔王とヒーローを目指すようになった、原体験を共有していたからこそだろう。じゃあ、ただの子供にそんな情を持ったりするか? ということになる。あとは
・自分の子供がどんな個性を持つか実験的に作った
これはかなりありそう。というかやってるよな。ドクターの個性特異点論に危機感覚えてたぐらいだし、死柄木を後継者にしたのだって乗っ取りのためだったわけだから、乗り換え用の器として考えていたのかもしれない。これだと俺もまずいな。だけど、パパの死柄木乗っ取りってワン・フォー・オールを奪うためでもあるんだよな。ドクターがパパと接触したのは本編の70年前。タイミング的にワン・フォー・オールのちょうど5・6代目とやりあっていたぐらいの時期だろうか? 二度に渡って奪い損ねていて、どう奪ったものかと考えていただろうから、その方法として強烈な感情が必要と考えて、その頃から後継者探しをしてたのかもしれない。
後継者というか後継器だなこりゃ。人の心はないのか。あるわけねえか。利用するものだもんな、パパにとっての人の心って。
結局よくわからない。なにしろ原作にないことだから、考えるにも限界がある。もう本人に聞くしかないのかな。
あ、そういや、さっき「子を持つのは意外と感慨深い」とか言ってたよな? じゃあ第一子の可能性が高いな俺。ファーストチャイルドのお願いなら聞いてくれるだろ。あの人身内には寛大っぽいし。初代は監禁されたけどあれは信者の仕業だから。特にそれを咎めている様子もなかったけど。
うーん、冷静になろうと思ってもついつい考えてしまうんだから全然冷静じゃないよな。俺オタクだったからこういう考察しがちだし。原作知識があるといっても、意外と限られてるんだよな、情報って。そりゃ完結作ならともかくクライマックスへ向かってる連載中の作品じゃまだ明かされない情報があって当然だけどさ。
とにかく情報が得られる機会が来るまで待つしかないんだよね。今が原作からどれぐらい前なのかとか、ああそういや自分の今の性別や年齢もわかんないな。名前からして女の子っぽいけど。でもこの世界のネーミングって個性から逆算したみたいな感じだからどうなんだろう。出久とか勝己は平成育ちの俺からしたら普通な感じだけど、個性わかるの4歳からなのになんでそんな名前なの? って感じ。漫画だからと言ってしまえばそれまでだけど今は現実なんだよ。
もうさー、ドクターが戻ってくるまでやることなさすぎてぐるぐるなんか考えるしかできることないんよ。さっき目覚めたばっかだからか眠気もないし。
話し相手ぐらいおいていってよ、いや今喋れないけど。
うーんと、うーんと。
あ、原作知識をはじめ他の漫画とかアニメゲームの知識はあるんだけど、前世の自分がどうだったかって認識がないな。俺って考えてるからたぶん性自認は男なんだろう。家族がどうだったとか、仕事はなにをしてたとかはさっぱり思い出せない。なのに娯楽趣味のことは覚えてる。オタクだからか? よくわからないなー、ホント。
と、あれこれ考えているうちにドクターが戻ってきたようだ。
「こちらですか、ドクター」
顔に黒い靄がかかった男が覗き込む。これ、黒霧だよね。ドクターの方は俺につけられていた計器やらを外しているようだ。
「うむ。3階の306号室にな」
「承りました」
黒い霧が周囲を覆う。これがワープゲートか。個性の発動を見るのはこれが初めてだからちょっと感動。
霧が晴れると、ちゃんとした病室に変わっていた。ベッドごと移動したらしい。窓っぽいものはあるけど光が差してないから夜なのかね。部屋には数人の病院スタッフらしき人たち。
「では、皆様、あとはよろしくお願いします」
そう言い残して黒霧が再びワープゲートで消える。あれ、あなた病院スタッフに姿見せていいの?
「常夜さま、本日より我々がお世話いたします。私は熊倉と申します」
熊って名字の割には熊っぽくないなこの人……あ、そうか、熊の異形系個性だったのがAFOにとってもらったのか。つまりシンパだ。そりゃドクターの病院に彼と繋がりのある人間がドクターだけってわけもないよね。そもそも部下たくさんいるはずだしね、パパって。オールマイトにほぼぶちのめされちゃったみたいだけど。
でもこういうシンパの人たちって社会のあちこちに潜伏し続けてたんだろうな。そうやってパパは裏社会で勢力を拡大してきたわけだし、超常黎明期なんて異能持ってる人への差別とかあっただろうからな。当時の混乱がなければ今頃宇宙開発バンバンやってたって言われるぐらいなんだから超常犯罪もひどかったはずだし。そこで立ち上がったのがヴィジランテでありそしてヒーローになっていくわけだけど。
返事をしようにも声が出せないが申し訳ない。挨拶は社会人の基本なので。
その辺は既に申し送りがされてるのか、わかっております、みたいな感じでテキパキと仕事を始める皆さん。
新たに心電図? とか点滴をつけたり、ここまで裸の上にシーツ被せてただけだったらしい俺を入院着に着替えさせたりした。着替えのときに見えたんだけど、二重の意味でなにもなかったので俺は小学生ぐらいの女の子らしい。
となると、いろいろ大変そうだ。なにしろ前は男だったんだから女の子の生態とかわからんないぞ。ああいや、俺は……あー、女の子だってわかったんだからこの辺も矯正してかないと。とりあえず『私』で行こう。で、産まれたばかりなんだからその辺のことを知ってるはずないんだよな、周囲の認識では。覚えなきゃいけないことたくさんだなぁ。
ちなみにスタッフは全員女性だ。私が女の子だから当然の配慮と言える。
「本日はこれでお休みください」
いや、そう言われても眠れないんですよ。声に出せないので目を思いっきり開いて眠れないアピールをする。
すると世話役の一人、眠木さんが私の顔の前に手をかざす。するとどうだ、みるみるうちに意識が遠の、くではない……
「おやすみなさいませ」
気がつくと朝だった。
動けないのは相変わらずだが、快眠だったのかだるい感じとかはない。すっきりしている。
いやあすごいなぁ、あれって個性だよね。眠木なんて名前から手をかざした相手を眠らせる個性なんだろう。不眠症の人とかにとってはすごい良い個性だな。なんでこんな人がシンパやってるんだろうか。自分自身以外の家族とかに問題があったんだろう。
まもなく専属スタッフが入室する。起きる時間までセットできるっぽいな。
この日から私のリハビリが始まった。最初は手足をスタッフが動かすだけだったが、次第に自分で動かせるようになっていった。発声練習もしたり、食事も点滴から流動食から普通の病院食へ変わっていった。この間一週間。リハビリのペースとして早いのか遅いのか。たぶん早いんだろうけど。
日常生活に支障がないぐらいになったためか、今度は体に負荷をかける運動や知能テストを兼ねているであろう算数ドリルや漢字ドリルをやり始めた。これ以外にも情操教育ののつもりなのか、絵本や小説、漫画も与えられた。
これもさくさくこなすと今度は数学や物理、化学などのテキストが来た。急すぎない? 私理系科目は苦手だったんだけどなぁ、と思いながらやってみると、これもさくさく進んでしまう。いや、この体IQめっちゃ高いんじゃ? 体力テストの方もごついダンベルの持ち上げたりしてるし、全体的にスペックがやばい。
ああそうか、遺伝子操作とかで強い状態で産まれるようにしてあるのか。デザインベイビー的なことは忌避されてるそうだから、実験の一環なのかね。
うーん、ホントわかんないなぁ。こんな強化人間作ってどうするつもりなんだ?
はっきり聞いてしまうのもあれなので、様子を見に来たドクターに聞いてみる。
「ドクター、私の母はどのような方なのですか?」
これぐらいなら疑問に思ってもおかしくないはずだ。パパは顔を見に来ているのにママ不在って不自然だし。
「まあ、別に隠すようなことでもないか。志村菜奈というヒーローをやっていた女じゃ」
志村菜奈って七代目じゃねえか!
「ヒーロー……」
「もう死んでいるがね」
そりゃそうだろ、パパに殺されてるんだから。
「亡くなっているのに、どうやって私を産んだのですか?」
「遺体から採取した卵子を冷凍保存してあってな、それに体外受精を行った」
通常は受精卵を母体に戻すのだが、私の場合は人工子宮なるもので培養したんだとか。で、出産(と言って良いのかわからないが)後『成長促進』の個性で今の年齢まで成長させたそうである。
しかし、これで私が生まれた理由がはっきりとわかった。
オールマイトへの嫌がらせだ!!!!
中学の同級生は誰がいい?(あいうえお順)
-
芦戸三奈
-
蛙吹梅雨
-
麗日お茶子
-
拳藤一佳
-
小大唯
-
小森希乃子
-
塩崎茨
-
耳郎響香
-
取蔭切奈
-
葉隠透
-
八百万百
-
柳レイ子