ラスボスの子に転生したのでNO.1ヒーローを曇らせたいと思う   作:タメガイ連盟員

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河幹フ様、佐藤東沙様、satake様、如月 栞菜様、ユーグレナ様、ヴァイト様

誤字報告ありがとうございます。

Twitterが凍りました。


12.体育祭2

 第2種目“騎馬戦”。

 

 第1種目の順位ごとにポイントが割り振られ、2位は205ポイント、3位は200ポイントと順位が下がるごとに5ポイントごと下がっていき、42位は5ポイントとなる。2人から4人で騎馬を作り、その騎馬の参加者の合計ポイントがチームのポイントとなる。騎手はそのポイントが表示されたハチマキを装着、終了までハチマキを奪い合い、最終的な保持ポイントを競うことになる。また、ハチマキは首から上で管理しなくてはならない。

 

 ハチマキを奪われる、騎馬が崩れても失格にはならないため、制限時間いっぱいまで10組以上がフィールドに残り続けることになる。ただし、悪質な崩し目的での攻撃は失格となるけど、細かい判定は審判のミッドナイト任せである。

 

 なんでもありルールゆえに、主審の裁量が大きくなるわけだ。相澤先生が言っていたように生徒をどうするかは教師の自由、の延長みたいなものか。

 

 ところで、よくよく考えると第1種目の障害物競走と言い、この騎馬戦と言い、これまでの戦闘訓練などの授業に通じる部分がある。

 

 例えば第1種目の各関門はレスキュー活動において現場へ向かうまでの障害と取ることができる。ロボインフェルノは現場に現れる可能性があるヴィランの再現、これは仮免試験編でも採用されたシチュエーションだね。第2、第3は災害時に足場不安定な状況の再現と言える。流石に地雷原はないだろう、と思われるが火災によってガス管などに引火爆発するということは十分あり得る。それに、そういう個性の人がいるからないとは言い切れない。異能解放軍の人だっけ? そこはともかく、これに加えてヒーロー飽和社会と言う状況で生き残るには他のヒーローに先んじて行動する、悪く言えば自身の成果のために他人を蹴落とすことだって必要になる。殺伐としてるねぇ、ヒーローってなんだっけ? と言いたくなるところだけど、オールマイトだって人の成果を奪うような真似してるんだからどうしようもない。本人は無自覚っぽいけど。

 

 そしてこの騎馬戦はチームアップの再現だ。これ自体は入学早々の屋内戦闘訓練でくじびきで組み合わせを決めたときに近いだろうけど、今回は自分達でチームを決めることが大きな違いだ。それには相性や個性の把握が必要になる。他のクラスの人の個性は把握できていないから必然的にクラスメイトで組むことになるけど、臨時チームアップの再現としては微妙なところか。先々プロとなればサイドキックや他事務所との連携は当然のものになるけど、現時点の授業として考えたら多くを望みすぎかな。

 

 エンタメ寄りだと思っていたけど、意外とちゃんと教育面も考えられているわけだ。ここは素直に感心しておこう。

 

 チーム決めのための交渉時間は15分。当然作戦を練ることもこれに含まれるからできるだけ速やかに行動した方がいい。

 

 で、だ。

 

「常夜組もう!」

 

「いやいや俺と組もうぜ」

 

 私、人気である。クラスメイトのうち半分ぐらい集まってる気がする。1000万ポイントを持っているから狙われやすくなるけど、私の実力を見せているわけだから守り切れる可能性も高い、と考えられているのだろう。私も譲るつもりはないからその考えは正しい。

 

 騎手になるのが私だから、できるだけ動ける人がいいんだけど、ぶっちゃけて言えば誰でもいい。強いて言えば、次の種目に誰を残したいか、になる。

 

 で、私が誘っても確実に組まないであろう人は出久くん、轟くん、爆豪くん、飯田くん、そして百だ。

 

 まず出久くん。これは彼の様子を監視してた分身を回収したことで知ったんだけど、オールマイトからママと私の関係(推測だけど)を聞かされていたらしい。彼から私への態度がちょっと変わった気がしたのはこれが原因だったようだ。いつかはするだろうとは思っていたけど、意外と早かったな。なのですごい人からすごい人プラスアルファみたいな感じになっているはずだ。

 

 で、なぜ出久くんが私を拒否するのか、と言うとまずオールマイトからこの体育祭で活躍するよう発破をかけられているわけだけど、私が第1種目で1位を掻っ攫っていったことで私への対抗心が生まれてきているからだ。これは良い傾向だと思う。出久くんが対抗心を見せているのは今のところ爆豪くんと轟くんぐらいだからね。

 

 轟くんの場合、元々私のことはそれほど意識していなかったと思うけど、私に順位を落とされたことで意識を向けるようになっているはずだ。と言うかもう飯田くん、百、上鳴くんとチーム組んじゃってるし。

 

 飯田くんは何度も私に負けているから、私に挑みたいと考えている。百も普段は仲良しだけど、こうした競う場面ではライバルとして振る舞うのが基本だ。

 

 爆豪くんは言わずもがな。元々私に対抗心、と言うか敵愾心が強い。何度も負けてるのがそんなに嫌か。これからさらに敗北を経験するんだから慣れた方がいいよ? その爆豪くんはどうやら切島くんと組むらしい。

 

 まあ、この5人はほっといても進出できるだろうから置いとくとして。私としては心操くんに残ってもらいたいんだよね、出久くんの成長の当て馬として。出久くんと言うか、『ワン・フォー・オール』の拡張、と言うべきか。あれで初めて歴代継承者の存在に触れることになるわけだし。

 

 よし、じゃあ、早速確保しに行こう。

 

「普通科の人、組みませんか」

 

 B組の男子に話しかけようとしていた心操くんを呼び止める。周囲がざわつき出す。そりゃそうだ、クラスメイトを無視してほとんど関わりのない人を誘うんだもの。

 

 当然、心操くんも胡散臭そうにこちらを見返している。

 

「あなたの個性がどのようなものかは大方予想できています。その上で有用だと判断しました。騎馬戦のような乱戦になりやすい環境では効果を発揮しにくいでしょうけど、はまれば絶大です。それに、唯一第2種目に進出した普通科のあなたが次の種目でどれだけやれるのかも気になります。例年の競技内容から考えて第3種目は1対1のもの、あなたの個性がもっとも効果的な環境のはずでは?」

 

「……あんたと組めば次に進めるって保証はあるのか」

 

「もちろん」

 

「自信じゃなくて保証が欲しいんだけどな」

 

「ああ、確かに勝負は水物、絶対はありません。ですが、何の問題もなく突破してさしあげます」

 

 この台詞、意外と声が通ったのかその場にいる選手がこちらに注目する。おー、睨んでる睨んでる。

 

「ずいぶんと人気みたいだな」

 

「有名税なら追徴課税をつけて送り返しますよ」

 

「それなんか違うんじゃないか」

 

「細かいことは置いておいてください。それで、どうしますか?」

 

 心操くんはあたりを軽く見回してから、観念したように肩をすくめる。

 

「あんたとおしゃべりしている間にチームがずいぶん決まったみたいだからな。わかった、乗るよ」

 

「はい。よろしくお願いしますね」

 

「それでまさか2人だけってわけじゃないよな。いくらなんでもあんたを抱えて走り回るのは無理だぜ」

 

「さすがにその辺は期待してませんので」

 

「少しはオブラートに包めよ」

 

「努力します。おーい、尾白くーん」

 

 チーム組みからあぶれてしまっている尾白くんを呼び寄せる。俺でいいのか? と言われたけど、それらしい理由をつけるなら、そこそこ機動力の期待ができるからだ。あとはまあ、少しは私に慣れているからとか? 正直言えば障子くんか砂藤くんあたりがよかったんだけど。

 

「その列車、僕も乗って良いかな?」

 

 そして現れたるは青山優雅。お腹を押さえているので締まらないけど。まあ、別に彼でもいいか。そんなわけで青山くんを加えてチーム結成だ。打ち合わせの前に自己紹介。お互い初対面だからね。

 

「心操人使、C組。個性は『洗脳』。ま、よろしく」

 

 洗脳と聞いて尾白くんの顔が僅かに強ばる。青山くんは……なに私にウインクしてんの、真面目に聞け。心操くんの方はその手の反応に慣れてしまっているので、ほとんど無視だ。

 

「発動条件はこれですか?」

 

 私は自分の口を指さして尋ねる。それに心操くんがわずかに片眉をあげる。

 

「……あんた俺とは初対面のはずだよな?」

 

「第1種目のときに目立つ動きをしていた人が突破していたらそれなりの対応をするものです。それがヒーロー科以外なら尚更です」

 

「ご想像通りだ。実際に使うとなるとそれに集中しないといけないけどな」

 

「あなたの個性は私の指示抜きの方が効果的だと思いますので、使用タイミングはお任せします。まあ、騎馬を担当してもらうので尾白くんと青山くんには合わせてもらうことになりますけど」

 

 3人とも了解の意を示すように頷いてくれる。

 

「青山くんは私の指示に従ってくださいね。肝心なときにお腹を壊されたら困りますので」

 

「ウイ☆」

 

 うーん、この人入れたの失敗だったかなぁ。ネビルレーザー、威力は申し分ないんだけど、他の制約がなぁ。いやまあ、本人にとってもお腹、じゃなくて頭の痛いところだろうけど。

 

「では騎馬の配置ですけど、尾白くんが前騎馬、青山くんが右後騎馬、心操くんが左後騎馬でお願いします。私はこの通り右側の視界が狭いのでそちら側の警戒は怠らないように」

 

 さっそく騎馬を組んでみる3人。騎馬戦なんて中学で1度やったきりだとか話していて、感覚を掴みたいからだろう、少し辺りを走ったりしている。

 

 私はその間にミッドナイト先生にチーム結成とメンバーの報告を行う。

 

 ミッドナイト先生は自身の隣の装置に私達4人の名前を音声で入力する。しばらくすると、装置から数字が書かれたプレートのようなものが排出される。3Dプリンタだったようだ。それをミッドナイト先生はハチマキにICチップのようなものと一緒に貼り付ける。どうやらあのチップでポイントを管理するらしい。これを会場内に配置されたロボットやドローンと連携させ、どのチームが何ポイント保持しているか把握するわけだ。使い切りだろうに贅沢なことだ。いや、再利用できるのか?

 

 ハチマキを受け取って早速頭に巻く。これ、ハチマキ取られるときに眼帯も一緒に持ってかれちゃいそうだな。取られるつもりはないけど。

 

 チームの元に戻り、交渉時間終了を待つ。なおこの間に青山くんは1度トイレへ向かった。大丈夫かな本当に。

 

「そうそう、少し考えがあるので移動に関しては尾白くんにお任せしますね」

 

「それはいいけど、何をする気なんだ? 直接騎馬を攻撃するのは反則なんだろ」

 

 おい、どういう意味だ。私がそんな野蛮な手を使うとでも思っているのだろうか。

 

「騎馬を潰しても失格にできないんですからやる意味ないでしょう。できたら他の騎馬を全滅させてやります」

 

「反則じゃなかったらやったわけか」

 

 心操くんが呆れてるのか羨んでるのか、なんとも微妙な表情をしている。

 

「それはともかく、それなりに集中しないといけないので他の騎馬から距離を取るようにお願いします。あとは四隅に追い込まれたりするのも避けてください」

 

 時間が近づいてきたのでロボットに靴と靴下を預けて騎馬に乗る。それから指定された開始位置へ移動。

 

 他のチームの様子を確認しておく。ある意味当然と言うべきか、騎手がこちらに注目しているチームが多い。轟チームと爆豪チームがその筆頭だろうか。確実にこちらを狙ってくるであろう2チームだ。

 

 他には、おや、梅雨ちゃんが騎手で、出久くんが騎馬になっている。原作と違って1000万ポイントは持ってないし、ついでに発目さんもいないからねぇ。これがどう作用するかちょっと楽しみだ。

 

 それから……ん? なんだあの宙に浮くハチマキは、ってまあ、透ちゃんだよね。いや待て、脱いでんの!? なんで!? 騎馬に乗ってるんだから騎手だけ姿が見えなくなっても意味ないし、ハチマキだって丸見えだ。自分以外も透明にできるならともかく、ほぼ意味ないじゃん。いや、自分はこういう個性です、って言うアピールのためか? ああ、ほら、口田くんと砂藤くんがすごい気まずそうにしてるじゃん。見えてなくても手の上に乗っている感触はあるんだぞ。

 

「葉隠さんまた脱いでるのか……」

 

「脱いでますね」

 

 たまにコメントに困る子だなぁ。特に脅威でも何でもないから放っておくけど、怪我しないようにね。

 

「15分経ったわ、各チーム準備はいいかしら? そろそろ始めるわよ」

 

 ミッドナイト先生が交渉時間終了を告げる。改めてハチマキの締まり具合を確認しておく。

 

「ではみなさん、参りましょう」

 

「おう!」

 

「りょーかい」

 

「ウイ、マドモアゼル」

 

 さーて、蹂躙するぞー。

 

 

 


 

 

 

 轟チームは右後騎馬を電気、左後騎馬を百、前騎馬を天哉、騎手を焦凍として組んでいる。

 

 電気の『帯電』による敵の接近妨害、百の『創造』による防御・移動補助、天哉の『エンジン』を機動力源とし、またフィジカルによる防御を担う。そして焦凍の『半冷半燃』による攻撃・牽制。非常に安定した組み合わせと言える。これを交渉開始早々作り上げたことから、焦凍がクラスメイトの個性や能力をよく観察・把握しており、作戦立案にも通じていることがわかる。

 

「常夜さんの個性への対策、ですか」

 

「ああ。正直してやられたからな」

 

「確かに、彼女の個性は目に見えないし、射程もかなり長いようだからな。最大ポイントを彼女が持っていると言うのはかなり厄介だ」

 

「ええ。それに常夜さんは反則にならない範囲ならどんな手を使うことも厭わない人ですから」

 

「えっ、あいつそういうことすんの? イメージと全然違うんだけど」

 

 電気にしてみれば、真面目でいじりやすいクラスメイト、と言う印象がまずあるため、百の話はにわかには信じがたかった。

 

「普段はともかく、こういった競い合いの場ではします。正攻法も搦め手も有効と思われる手立ては全て」

 

「勝つために手を尽くすのは当然だろう。で、あいつの個性だが」

 

「申し訳ありません、話が逸れてしまっていました。常夜さんの『念動力』は不可視のエネルギーを操る個性です」

 

 常夜はこの個性を“衝撃波の発生”、“手を触れずに物を動かす”と言う2つの形で運用している。“衝撃波の発生”には対象の座標を定め、設定した衝撃波の威力に必要なエネルギーを蓄積、任意のタイミングで発動、と言うプロセスが存在している。この途中に異なるエネルギーをぶつければ、蓄積されつつあるエネルギーを霧散、発動をキャンセルすることができる。

 

 キャンセルに有効だと思われるのは電気の『帯電』による放電攻撃、勝己の『爆破』、そして。

 

「轟さんは熱も扱えましたよね? それなら十分――」

 

「いや、戦闘に於いて()は絶対使わねえ」

 

 焦凍は観客席のある一点を睨みながらそう告げる。その視線の先にはいるのは、No.2ヒーロー・エンデヴァー。焦凍の実父である。

 

 それに気づいた一同は、容易に踏み込んではいけない事情があることを察する。

 

「悪いがこれは譲れない。()だけで勝ってみせる。それに、あいつへの対策がないわけじゃない――」

 

 

 

 “俺が1番すごい”。

 

 それが個性発現以来の勝己の自己認識であり、また彼に宿った才能はそれを証明し続けていた。もちろん、彼とて成長に伴い自分よりもすごい人間がいることは理解していた。だがそれも積み上げられたプライドを揺るがすことはなかった、雄英高校入学までは。

 

 入学試験、彼は当然自分がトップ合格だと考えていた。実際、標的のロボットを誰より多く撃破したのは彼であり、ヴィランポイントだけ見ればトップの成績だ。だがそれもレスキューポイントの存在によって覆される。ある意味、彼の戦い方はヒーローらしからぬものと、言われたようなものだが、その点はさほど気にしてはいない。

 

 しかし試験結果が2位だと知らされ、そしてあの出久までもが合格していたことで、勝己が思い描いていたトップヒーローへの道は、ズレ始めていた。

 

 入学直後の個性把握テストで、試験1位を奪った存在が明らかになった。志村常夜。勝己の第1印象はチビのモブ、と言う程度。しかしそのテストでも彼女と推薦組の2人にも敗れた。個性を用いて競うのは実技試験とこのテストが初めてのことだ。その上での敗北。そして屋内戦闘訓練では轟焦凍の個性を前に勝てないと感じてしまった。これらの出来事は彼のプライドを揺るがすには十分すぎた。

 

 だが彼の根底にあるものは変わっていない。勝利、勝利、勝利。勝てないのならば勝てるようになればいい。そしてこの雄英体育祭は絶好の機会だ。あの2人に勝利し、プライドを建て直す。ただ勝利するだけではない、1番での勝利だ。

 

 そう思い臨んだのだが、第1種目でその目論みは既に崩れてしまった。しかも常夜だけではなく出久にまで負けたとあっては、強い苛立ちを覚えずにはいられない。それでも平静を装えるのだから器用な男である。

 

 勝己のチームは自らを推して来た鋭児郎、焦凍の氷対策として三奈、そしてサポート役の範太と言う組み合わせだ。

 

 そして勝己自身は、常夜への対処の糸口を既に掴んでいる。

 

 第1種目終盤に衝撃波攻撃を受けたとき、周囲の温度が上昇していることに気づいたのだ。おそらく、これが個性発動の前兆だ。これに爆破を打ち込めば発動をキャンセルできるのではないか、と推測している。常夜の個性は一見万能だが無敵と言うわけでもない。発動までに僅かだがタイムラグが存在しているし、本人が見えない場所には使用できない。ならばキャンセルも可能なはずだ。

 

「見てろよ白黒女……」

 

 我知らず呟く勝己。

 

「あっ、志村のあだ名それなんだな」

 

「まんまだな」

 

「アタシなんか黒目だよ? もっと他に特徴あると思わない?」

 

「うるせェ。この種目、1位を取るぞ」

 

 

 

「くどいようだけど、本当に私が騎手でいいのかしら」

 

「うん、あす……梅雨ちゃんがやるのが1番いいと思う」

 

 出久は梅雨、お茶子、踏陰とチームを結成。自身は前騎馬、左右後騎馬をお茶子と踏陰が、そして騎手を梅雨としている。

 

 この編成は出久の発案だ。自分の増強系個性――『ワン・フォー・オール』を両足で使えば大きく加速することができる。これにお茶子の『ゼロ・グラビティ』によって重量を軽減すればさらに加速、一撃離脱を狙える、と言う作戦だ。騎手の梅雨には冷静な判断力があり、また舌を伸ばせることから相手と距離があってもハチマキを狙える。そして踏陰は『黒影』で全般的なサポートを行う。踏陰だけ役割がふわっとしているが、他の3人は彼の個性をいまいち把握できていないためだ。しかし、USJ襲撃事件でほぼ1人で暴風大雨ゾーンのヴィランを相手取った実力は疑うべくもない。

 

「そこまで言うならやらせてもらうけど、緑谷ちゃん、やっぱり常夜ちゃんのハチマキを狙うのかしら」

 

「1位を狙うなら、志村さんのポイントを奪うことは絶対だと思う。だけど、1番難しいのも彼女だ」

 

 出久はさきほどの第1種目を『ワン・フォー・オール』を使用しない、と言う前提で3位になった。だが彼自身はそれをたまたま利用したものが運よくはまっただけだと考えていた。常夜はそれを実力でねじ伏せていったのだから、自分と彼女、どちらが上かは一目瞭然であった。

 

「だが勝ちに行く以上、頂点に挑まぬわけには行かぬだろう、緑谷?」

 

 踏陰が芝居がかった調子で尋ねる。彼の声に臆した様子はなく、瞳は強い自信が宿っている。

 

「……うん。でも僕らのチームだけで挑んでも返り討ちにされるだけだと思う。だから他のチームが攻撃しているところをさっき話した一撃離脱で奪うしかない」

 

 それでもうまくいくかどうかわからない、と言う不安は拭えない。それに彼女ばかりに注目してはいられない。ある程度個性がわかっている優雅や猿夫はともかく、個性不明の普通科の男子――A組の教室に直接“宣戦布告”をしてきた生徒だ――が加わっている。常夜がわざわざ声をかけて加えているのだ、どんな厄介な個性を持っているのか。

 

「じゃあ、前半は梅雨ちゃんのハチマキを守りつつ他のハチマキを狙って、後半は常夜ちゃんのハチマキを狙う、って感じ?」

 

「そうね。常夜ちゃんのを取れれば1位になれるけど、絶対ではないわ。次の種目に進出できるのは上位4チームだから、2つ3つは取っておきたいわね」

 

 しかしそれだって難しいことには変わりない。どのチームも次種目進出を狙っているのだから、実際の競技でどうなるかわからない。当然他のどのチームも警戒を怠るわけにはいかない。果たして勝てるだろうか? いや、勝たないといけない。オールマイトにも言われた通り、“僕が来た”、と示さないといけない。

 

「緑谷ちゃん、あんまり気負い過ぎちゃだめよ」

 

「過度の緊張は本来の実力を曇らせる。適度な脱力が肝要だ」

 

「そうだよ、リラックスリラックス!」

 

 みんなの声に出久は我に返る。そうだ、今度は1人じゃなくてチームで戦うんだ。気合いを入れるように自分の頬を両手でばしりと叩く。

 

「うん、みんな、頑張ろう!」

 

「おー!」

 

 

 

 


 

 

 

 

『さあ上げてけ鬨の声! 血で血を洗う雄英の合戦が今!! 狼煙をあげる!!』

 

 

 

『いくぜ、残虐バトルロイヤルカウントダウン! 3!』

 

 

 

『2!』

 

 

 

『1!』

 

 

 

『START!!』




常夜ちゃんの秘密
B組の角取ポニーちゃんと仲が良い
ポニーちゃんの好きなものは日本アニメである

常夜ちゃん「アニメでオタトークできる人少ないから超楽しい」



ところで、ヒロアカ世界ではアニメってどんなものが放送してるんでしょうか。
日常系や宇宙を舞台としたものですかね? もしくは昔のアニメのリバイバル?

常夜ちゃん「レトロアニメには詳しいですよ。何しろリアルタイムで視聴してましたからね!」
ポニーちゃん「配信で宇宙戦艦ムサシ見ました」
常夜ちゃん「おっとだいぶレトロなのが来たぞ?」
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