ラスボスの子に転生したのでNO.1ヒーローを曇らせたいと思う   作:タメガイ連盟員

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とらい様、あとりえ様、佐藤東沙様、さとりの怪様、ヴァイト様

誤字報告ありがとうございます。

2月23日UA50万達成しました。ありがとうございます。


13.体育祭3

 スタート開始直前、全チームのハチマキに照準を合わせる。ちょうど上空へ飛ばす感じで。

 

「“不可視の手・狙撃(インビジブルハンズ・ピンポイントスナイプ)”」

 

『START! ……ってなんだぁ!?』

 

 スタートの合図と共に衝撃波を発動。10個のハチマキが宙を舞う。高さは1m程度だけど、それがほぼ全部のチームとなればインパクトはそれなりにある。

 

「えぇ!?」

 

「なんだなんだ一体!?」

 

 予想だにしなかった奇襲攻撃でどのチームも混乱している。って、1チーム足らないなぁ?

 

「やはりやってきましたわね……!」

 

「いきなりか……油断も隙もねぇ」

 

 おや、轟くんチームは阻止したわけか。まっ、百がいるんだから私がこういうことをするのは予想できたわけだ。

 

 ハチマキを維持した轟くんと私以外が右往左往しているけど、梅雨ちゃんを筆頭に体の一部を伸ばせる個性持ちがいるチームは素早く回収している。

 

『おいおいおい、開始早々とんでもないことになってるぞ! いいのか審判のミッドナイトぉ!』

 

「騎馬を崩そうとしているわけじゃないし、ハチマキを奪うのに個性を使ってはいけない理由もないから有りよ!」

 

『こいつぁクレイジー! 残虐ファイトの幕開けにふさわしいってわけか! 無事だったのは、志村チームと轟チームだ! さあ各チームこっからどうする!?』

 

「これでみんなすぐにこちらに攻め込むことはできませんね」

 

「うわぁ」

 

 尾白くん、なんでドン引きしてんの。君は私が個性使っているところ見てるでしょ、あれと同じよ?

 

「よし、なんとか取れたぞ。A組の奴の仕業だろうな。受け取れ物間」

 

「…………」

 

「……物間? おい物間ぁ!? 気ぃ失ってるぞ!?」

 

「えっ、おい、騎手が気絶ってどうするんだよ!」

 

 ありゃあ、打ち所が悪かったのかなぁ?

 

 なーんて、わざと当てたんだけどね、実際。

 

 実は原作キャラで警戒すべき1人なのだ、物間寧人は。なぜかと言えば、彼の個性である『コピー』を使われると私の個性が『念動力』ではないとばれてしまうからだ。まあ、『個性創造』が彼に使えるようになるかはわからないけど、『念動力』は発動対象に含まれるはずだ。私に触れないように『暗示』をかけてあるけど、念のため。あと喋るとうざいし。

 

「騎手の変更って……」

 

「駄目よ!」

 

「ですよね! ってああ!?」

 

 B組の人がミッドナイト先生に確認している隙に梅雨ちゃんの舌がハチマキを分捕っていっていく。

 

「悪いけど、頂戴するわね」

 

「くそっ!」

 

 初っぱなから1チームが実質脱落だ。騎手じゃないとハチマキは取りにくいし、見た感じ物間チームに遠距離攻撃手段はなさそうだし。まあ、他のB組のチームの援護をするか、あるいは妨害をすることはできるから邪魔ではあるけど。

 

 ステージの中央付近へやってきた。さあて、仕込みを始めますかね。

 

「“不可視の機雷原(インビジブル・マインフィールド)”」

 

 ステージ内に“不可視の手(インビジブル・ハンズ)”と“巨人の手(ギガント・フィスト)”を大量配置。こうやって機雷のように置いて使うこともできるのだ。“不可視の手(インビジブル・ハンズ)”なら直径10cm程度、“巨人の手(ギガント・フィスト)”なら直径1m程度の範囲に触れると自動的に発動する。ちょっとズルだけど『接触感知』と『座標特定』を併用、これで接触された機雷の大凡の位置が把握できるので発動させるってわけだ。ただメモリの多くを『念動力』に割かないといけないから位置の把握は大雑把になっちゃうけど、みっちり配置してあるわけじゃないからそんなに問題ではない。だいたい1畳に1つか2つぐらいかな?

 

 と、パァンと盛大な音が複数箇所から鳴り響く。もちろん、私が仕掛けた機雷が発動した音だ。衝撃波だけあって、元々音はそれなりに出るんだけど、今回は音が大きくなるようにしてある。これで観客にも何が起きてるかわかりやすくなっている、はず。

 

「うひゃあ!?」

 

「ちょ、葉隠大丈夫!?」

 

「う、うん。音が大きいからびっくりしちゃった」

 

「音が大きいだけでダメージはないみたいだな。志村の仕業か?」

 

「たぶんそって痛ったぁ!? あるじゃんダメージ!」

 

「ええ? 私は全然だったよ」

 

「ていうか、何が起きてんだこれ!?」

 

 おー、おー、良い感じに混乱してるね、みんな。

 

『おっとどうしたどうした!! 志村チーム以外の動きが不自然だ! 第2種目に障害物はないぜ!?』

 

『あー……こりゃ志村が何か仕掛けてるな』

 

『んんっ!? よく見りゃ見えない何かがあるな!? やってくれるぜデンジャラスガール! ただの騎馬戦じゃなくて障害物騎馬戦にしようってか!?』

 

 おいおい、早速ばらすなよ実況&解説。2人にとってはそれが仕事ではあるんだけど。

 

 しかしよくわかるな2人とも。プロヒーローともなるとこういうのを感知できるようになるもんなんだろうか。でもプロヒーローもピンキリ、観客席を見てみると何が起きているかわかっていないヒーローもいる模様。プロヒーローでもこうなんだから一般人には何が起きているかわからないだろう。なので相澤先生の解説が必要になるわけだ。お手数おかけしますね。自重はしないけど。

 

 相澤先生が淡々と“不可視の機雷原(インビジブル・マインフィールド)”について解説していく。ええ……もうそこまでわかってるの? ってぐらい詳細だ。雄英の教師やるぐらいだからこれぐらいわからないといけないのかね。

 

『なるほど、目に見えない機雷がそこかしこに浮いてるようなもんか』

 

『音響だけのものとダメージがあるタイプの2種類だな。ダメージと言ってもせいぜいが……そうだな、平手打ちをされたぐらいのものだろう。当たればひるみはするが行動に支障は来さない程度だ』

 

 平手打ちでもいつ当たるかわからないと行動も消極的になってしまう。もちろん、全チームがそうなるわけじゃないけど、私がこれで狙っている効果の1つではある。こっちはポイントを死守するのが目的なんだから、行動制限されるチームが増えればその分有利になるわけだ。

 

『これのおかげでこの第2種目、様相が大きく変わっている。ハチマキの争奪戦だけではなく、この見えない機雷にも対応しなくてはいけないからだ』

 

『止めるにはあのデンジャラスガールをノックダウンするしかねえもんな』

 

 当然それは私のハチマキを取る以上に難しい。私も接近を許すつもりはないし、遠距離攻撃手段を持っている人も少ないし。

 

『ダメージを厭わずに突っ切る耐久力、あるいは胆力。機雷の位置を探知し回避、解除すると言った対処能力。急場で結成したチームの個性をどのように活用するかと言う応用力。元々この種目で求められているものがさらに増えた格好だ』

 

『そうこうしているうちに5分経過ぁ! 既に半数のチームがハチマキを奪われちまってるな!?』

 

『想定外の状況だからな。立て直しが遅けりゃその分取られやすくなる』

 

 立て直しの必要がなかった轟チームは既に2つのハチマキを奪取、周囲を警戒しつつこちらへ仕掛けるタイミングを図っている。蛙吹チームは常闇くんの『黒影』で梅雨ちゃんを守りつつ、出久くんは根性で耐えることで止まることなく動いている。で、爆豪チームは……あ、塩崎さんにハチマキ取られてら。派手な動きをしているけど、周りをモブ扱いしているから隙を狙われるんだよ。

 

『志村チームに挑んだチームがことごとく撃退されるなか、轟・塩崎・蛙吹チームが着実にポイントを稼ぐ! 次ステージ進出は上位4位まで! こいつらから取り返すか一発逆転狙いで再び志村を狙うか! こいつぁなかなかシビアな判断だぜ!?』

 

 爆豪チームは標的変更、塩崎チームのハチマキ全奪取を狙うらしい。爆豪くんなら塩崎さんとは相性良いだろうから頑張ってね。

 

「もうこいつ1人でいいんじゃないか」

 

 呆れたように心操くんが呟く。そう言いながらB組のチームに『洗脳』をかけて行動不能にしてるんだから彼も仕事はしてるんだけどね。と言うか、あれどこのチームだっけ? 騎馬がなんか獣っぽかったから、えーと、なんだっけ名前。まあいいか、どうせここで脱落するんだし。

 

「私1人じゃ騎馬を組めないから競技に参加できないじゃありませんか」

 

「馬扱いなの、少しは隠してくれよ」

 

「麗しのマドモアゼルのシュヴァルなら僕は構わないさ」

 

「シュバ……なに?」

 

「今の僕たちのことだよ」

 

「……ああ、そういう意味か」

 

 フランス語で馬と言う意味である。

 

 しかし、案外楽できてるな。今のところ“巨人の手(ギガント・フィスト)”だけで撃退できてるし。マスキュラー相手だと牽制にしかならなかったけど、国内トップとは言え高校生と白兵戦極まっているようなヴィランじゃ比較対象として悪いか。しかも戦ったときのマスキュラーって脳内麻薬ドバドバで痛覚麻痺してるようなものだったし。やっぱりあいつ学生が戦って良いヴィランじゃないよなぁ。

 

 それはさておき。

 

 4位以内に入るための争いは良い感じに加熱している。暫定2位の轟チーム、騎手が行動不能になっている物間チームともう1チーム以外の現在順位は目まぐるしく変動している。轟チームはともかく、出久くんがいる蛙吹チームは大丈夫かなぁ。機雷は平等に起爆させてるから変に肩入れするわけにもいかないし。

 

 爆豪チームは、おっ、1つ取ってる。と言うか、切島くんと鉄哲くんが頭突きし合ってるの笑える。似たような個性だからお互い対抗意識があるようだ。

 

 順位変動が激しいと言っても機雷への対抗策がないチームは別。目に見えて動きが悪い。彼らも実質脱落と見ていいだろう。

 

 さて、時間も半分を過ぎたことだし、さらに威力を上げていこうか。そのためには1度リセットしちゃわないと。

 

「3人とも、耳を塞いでおいてください」

 

「俺両手塞がってるんだけど?」

 

「そうでした、すみません」

 

 尾白くんの抗議に応えて彼の両耳を手で押さえる。後騎馬の2人は片耳を肩につけて残った方は空いた手で塞いでいる。ちなみに私は一時的に『聴覚遮断』で対応。

 

「一斉起爆」

 

 会場全体に響くほどの轟音がステージを包み込む。当然全てのチームが対応できずに体勢がぐらついたり、攻防を止めなければならなくなる。あっ、『洗脳』は解除されちゃったかな?

 

『こりゃまたド派手な全体攻撃ぃ! やりたい放題だなおい』

 

 ほい、再配置っと。実は直前に蛙吹チームがハチマキを取られそうだったんだけど、無事かな?

 

「~~……!! みんな大丈夫かしら?」

 

「うん、なんとか……」

 

「なんたる暴虐。この戦場は奴に支配されてしまっているぞ」

 

「いったん他のチームと距離を取ろう!」

 

 よしよし、取られずに済んだみたいだ。んー、暫定4位か。ちょっと危ないかなぁ。

 

『さあ残り五分! 順位は変わらず、このまま逃げ切るか! それとも逆転が起きるのか!』

 

 さてさて。そろそろ轟くんたちが仕掛けて来る頃だろう。となると、蛙吹チームと爆豪チームも来るかな。いや、爆豪くんはまだ他のチームとやり合ってるから来るかどうか。

 

 などと考えていたら正面に轟チームが現れる。さらにこちらから見て少し離れた右方向に蛙吹チームだ。他にも何チームか周囲にいて様子をうかがっている。

 

「行くぞ。上鳴! 八百万!」

 

「おう!」

 

「準備万端ですわ」

 

 まずは上鳴くんの放電攻撃で機雷を排除、百は絶縁シートを『創造』して上鳴くん以外を覆って放電をガード。さらに周囲にいる他のチームへの攻撃にもなる。広範囲攻撃は味方を巻き添えにしてしまうと言う難点があるが、それさえクリアできれば非常に強力だ。放電攻撃によって足が止まったチームに対して追い打ちとばかりに轟くんが氷結で氷づけにしてしまう。

 

 そしてこれは私と1対1にするための仕掛けでもある。放電で周囲の機雷が解除され、轟くんの氷で狭いフィールドが形成されている。いやあ、エンターテイナーだねぇ、轟くん。

 

「獲らせてもらうぞ、1000万」

 

「かもーん」

 

 右手の甲を相手に向けて、人差し指をこっちへ来い、とちょいちょい動かす。

 

「ッ!」

 

 轟くんは挑発に乗るようなタイプじゃないのか、ちょっと眉が動いただけで特に効果なし。爆豪くんならブチ切れるところだろうけど。その爆豪くんはまだハチマキを取られたのを根に持っているのかまーだ塩崎さんに粘着している。まあ、塩崎さんから取れば彼女チームを落として自分は上位に入れるんだから悪いわけではないんだけど、こっちに仕掛ける時間が残らないんじゃないかな。

 

『HEY! HEY! HEY! いよいよ大詰め、氷の特設フィールドで1位と2位の激しい攻防だぁ! と言いつつ志村チーム、相も変わらず敵を寄せ付けないッ!』

 

 このタイマン状況、周りに邪魔をされないと言うだけで轟くんに有利になったわけではない。乱戦に持ち込んで私の負担を増やして隙を作った方がよかったぐらいよ? 右の氷を使おうとしても“不可視の手(インジビブル・ハンズ)”で発動を妨害できるし、騎馬を巧みに動かしてハチマキに手を伸ばしても両手がフリーである限りそれを防ぎ、捌くことは容易だ。百から私が中学時代に空手をやっていたことは聞いているだろうけど、百も私の正確な実力を把握しているわけではない。もちろん、私が隠していたからだけど。

 

 ついでに騎馬にも“不可視の手(インビジブル・ハンズ)”を使っている。騎馬を崩すほどの威力はないけど、バランスは取りにくくなるから轟くんもやりにくくなるはずだ。もちろん、百にもだ。平等平等。

 

『轟、氷のフィールドでサシ状態にしたが攻めあぐねている! そして志村の鉄壁すぎるガード! このまま1位は決まりかぁ!?』

 

 さらに言えば、轟くんがこちらのチームを凍結させることを狙っていたとしても、意味がない。私は身動きが取れなくなっても個性が使えるからだ。序盤でプレゼントマイクが言っていたように私の意識を奪うしか活路はない。そして当然それを私が許すわけがない。

 

「うおおおおおおおお!!」

 

 雄叫びと共に氷の壁を飛び越えて蛙吹チームが現れる。いや、出久くん、奇襲するなら静かにやろうよ、せっかく私の死角ついてるんだからさ。

 

『おおっと! 残り時間僅かってところで蛙水チームが仕掛けてきた!』

 

「青山くん!」

 

 右足を上げて、青山くんが体勢を変えやすくする。そして青山くんはへそを、へそでいいのか? ともかくそれを梅雨ちゃんに向ける。正確には彼女をガードしているダークシャドウがターゲットだ。あれ意外と頑丈で“巨人の手(ギガント・フィスト)”だけじゃ剥がせないんだよね。なのでダークシャドウの弱点である光で攻撃しようってわけだ。弱っているけど、青山くんの見せ場も作ってあげないとね?

 

「お任せ☆ ネビルビーム!」

 

 当然真っ向から突進してくる蛙吹チームに回避の余地はない。出久くんがもう少し器用に立ち回れたならジグザグ移動をするなりで回避できたかもしれないけど。

 

『ゥォォォォ……』

 

「ダークシャドウ!」

 

 ネビルビームを受けてしおしおと縮んだダークシャドウが常闇くんに戻っていく。

 

「お疲れ梅雨ちゃん。BAーNG」

 

 右手で指銃を作って、蛙吹チームに鉄砲を撃つ真似をする。『ゼログラビティ』で軽量化していたのが災いして、思った以上飛んでいき、氷の壁も越えてしまう蛙吹チーム。お疲れ様。

 

 だけど、これは私の意識が轟チームから外れた状態でもある、つまり彼らにとって千載一遇のチャンスと言うわけだ。

 

「獲れよ轟くん! トルクオーバー! レシプロバーストッ「“掴む(グラップ)”ッ!」!」

 

 飯田くんが必殺技を使おうとするのを強引に止める。とは言え、屋内戦闘訓練のときとは違い『念動力』のエネルギー全てを回すことはできない。なので止められるのは一瞬だけだ。けど、“巨人の手(ギガント・フィスト)”の準備をするには十分だ。

 

 急制動がかかったため、“掴む(グラップ)”で固定した箇所に衝撃が走ったのか飯田くんの口からはうめき声が漏れている。けど、その目はまた負けるわけにはいかない、とばかりに闘志に燃えている。いいねぇ、ひねりがいがあるってもんだ。

 

掴む(グラップ)”が外れた瞬間、弾かれたようにこちらに飛んでくる轟チーム。だけどそこは“巨人の手(ギガント・フィスト)”の直撃コースでもある。

 

「……ッ!」

 

 轟くんは左腕を持ち上げかけるも個性を発動させずにそのまま衝撃波の直撃を受ける。左の炎を使えば衝撃波をキャンセルした上に私を攻撃できて、ハチマキを奪取することもできただろうに。これぐらいの状況じゃ使う気にはならないのかな。

 

 轟チームは飯田くんによる速度がかなりあったため、衝撃波を受けても吹き飛ばずに私達の数歩前あたりに着地した。百が創った紐のようなもので騎馬の各所を固定していたため、騎馬がバラバラになるのは避けられたようだけど、飯田くんは今のでしばらくまともに動けないだろうし、轟くんもダメージがある。まあ、動けなくなっても他のチームが近づいてこられないからハチマキを奪われる心配はないけど。

 

「まだだ……! まだ時間はある!」

 

 眼鏡のフレームが歪み、レンズもひび割れてしまった飯田くんが吼える。堅物に見えて結構な激情家なんだよね、彼。

 

『残り1分!』

 

「ええ、飯田さんの言う通りですわ」

 

「そうだぜ、行こう、轟!」

 

「ああ……!」

 

 意欲は認めるけど、轟チームの勝利の可能性はない。なぜならもう切れる札がない。飯田くんはボロボロで自慢の機動力はほぼなし、上鳴くんもいっぱいいっぱいだから放電できない、百はまだ余力があるけど、何か創ろうとしても私が妨害するから何もできない。轟くんは、炎の方使えばワンチャンあるかもだけど、本人が使わないから意味がない。だけど無駄だとは言わない。最後まで諦めないってのはヒーローにとって大事なことだからね。

 

 轟くんは果敢に攻めてくるけど、当然ながらさっきより明らかに精彩を欠いている。それじゃあ時間までただ踊ってるだけだよ?

 

『そろそろ時間だ、カウントいくぜエヴィバディセイヘイ! 10!』

 

 プレゼントマイクのカウントダウンが始まる。

 

 ほらほら、早くパパの力を使わないと勝てないぞ? 他人の反抗期は見てて微笑ましいね。

 

『3! 2! 1! TIME UP!』

 

 競技終了が告げられる。ふと思ったんだけど、実況のプレゼントマイクが終了を告げるのはおかしいんじゃないか? 審判のミッドナイト先生の仕事だろうに。などと考えていたらなぜか爆豪くんが飛んできたのでとっさに衝撃波でたたき落とす。べちゃりと地面に墜落する爆豪くん。何なの……ってああ、私からハチマキを奪おうとしてたのか。時間切れになったから意味ないけど。

 

「クソが……!」

 

 怒り心頭と言った様子で地面を叩く爆豪くん。んーと、ハチマキを3つ持ってるから点数的には次の種目に進出できるんだからいいじゃない、別に。

 

『早速上位4チーム見てみよか!』

 

1位 :志村チーム

2位 :轟チーム

3位 :爆豪チーム

 

4位 :蛙吹チーム

 

『以上4組が最終種目へ進出だああー!!』

 

 よしよし、予定通り出久くん、轟くん、爆豪くん、心操くんを最終種目に進出させられたようだ。まあ、B組が全滅しちゃったけど、大した影響はないだろう。代わりに原作では第2種目脱落だった梅雨ちゃんと尾白くんが進出することになる。あれ、そういえば梅雨ちゃんって原作だとどこチームだったっけ? まあいいか。

 

 競技が終わったので騎馬から下りる。手際が良いと言うか、ロボットがすぐさま靴を持ってきてくれたので、受け取って履いてしまう。轟くんが周りを氷漬けにしたせいで地面が冷たい。

 

「みなさん、お疲れ様でした。例年ですと、次は個人対個人の競技になると思いますのでもし当たっても力の限り戦いましょう」

 

 チームメイトへの労いはきちんとしよう。大事なことだからね。

 

「なあ、青山。志村さんと当たったら勝てると思うか?」

 

「無理だね☆」

 

「だよな」

 

「始まる前から諦めてどうするんですか、情けない」

 

「できる限りのことはするけどさ、あんなの見せられたあとじゃなぁ」

 

 実際尾白くんや青山くんでは私に勝ち目はないけど、もう少し気合いを見せてもらいたいものだ。

 

『1時間程昼休憩を挟んでから午後の部だぜ! じゃあな! オイイレイザーヘッド飯行こうぜ

 

『寝る』

 

 どんだけ寝たいんですか相澤先生。

 

「じゃあ、俺はもういかせてもらう。ヒーロー科とこれ以上馴れ合うつもりもないしな」

 

 そう言って会場出口へ向かっていく心操くん。ヒーロー科への転科狙ってるなら馴れ合っておいた方がいいんじゃないかな。

 

「お疲れ様でした。私が言ったこと、忘れないでくださいね」

 

 期待しているみたいなことを言ったけど、所詮方便だから彼がどれだけ活躍できるかは正直どうでもいい。種が割れてなければ1回戦突破はいけると思うけど、出久くんと当てるつもりだからそこまでだね。

 

 それにしても私のチーム以外の雰囲気の暗いこと。うまく切り替えていかないと午後に響くぞ。

 

 うーん、百がちょっと心配だなぁ。百ってこれまで失敗したり成果を上げられなかった、ってことがほとんどないから、尾を引きそう。と言うか、原作でもこの体育祭であまり活躍できなかったことを期末試験まで引きずってたぐらいだからなぁ。活躍を阻んでいる私の言うことじゃないけど。

 

 でもこれは百にとって今後のためにも越えないといけないハードルだから、ここは心を鬼にして!

 

 ……沈んでる百ってあんまり見ないからこれはこれでおいしいしね。ふふふ。

 

 それはさておき、お昼ご飯だ。派手なことしたから結構疲れてるし。でもその前に。

 

「轟くん、少しいいですか」

 

 さーて、フラグを立てに行きましょうかね。




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