ラスボスの子に転生したのでNO.1ヒーローを曇らせたいと思う   作:タメガイ連盟員

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03.個性

 ともかくパパの目的はわかった。

 

 これで間違いないかと言われると、ちょっと自信ないけど、パパは魔王になることの次ぐらいにはオールマイトへの嫌がらせに腐心している。志村菜奈の孫を己の後継者、死柄木弔に仕立て上げているのもその一つだろう。

 

 血縁的には弔のおばさんになるんだよな、私。弔もいきなりおばさんができたらびっくりするだろう。殺意向けてこないか心配である。会いたくねえ。でもそのうち紹介されてそうだから困る。

 

 しかし、どうやって私のことをオールマイトに紹介するつもりなんだろうか。この子は僕と志村菜奈の子供だ、なんて言ったところで真に受けたりは流石にしないんじゃないか?

 

 こっちからなんかやった方がいいのかな。オールマイトに近づいて志村菜奈の血縁者であることを匂わすとか。

 となると、私は雄英入った方が良さそうだな。できればオールマイトが教師になる年、つまり原作主人公と同級生になることだ。というかオールマイトに近づく方法それ以外ないし。

 原作遵守ルートかぁ。まあ、原作キャラと交流したいって気持ちもあるからそれはいい。

 

 ただ原作の雄英一年目から見て今がどれぐらい前、もしくは後なのかわからないんだよな、未だに。

 

 いや、西暦何年かってのは新聞やテレビを見ればわかるんだけど、原作の方にその辺の情報が出てないからわかんないんだよ。なので今主人公が何歳か調べる必要があるんだけど、どうすればいいんだ? ドクターって緑谷出久を無個性って診断した人らしいから、ドクターに個性診断のデータベースでも見せてもらえればいいんだろうけど、見せてって言って見せてくれるかなぁ? ダメ元で今度聞いて見るしかないよね。

 

 あ、そうそう。女の子であることはわかったんだけど、私の容姿はかなりいい方だと思っている。ヒロアカの女の子って全体的に可愛いから自分もいける感じだとは思ってたけど。で、鏡見て思ったんだけど、母親似なんだよね、私。パパの素顔はわからないけど、髪は黒いし、目の作りも力強い感じだ。髪型を同じにしたらだいぶそれっぽくなるはずだ。

 

 あとはこれに「自分の祖母は志村菜奈である」というのを匂わせるムーブをすればいい。なにしろオールマイトは志村菜奈に子供がいるのは知っていても、接触禁止を言い渡されているせいでその子供がどうしているか知らないのだ。なのでそれっぽい子供が現れたら、もしかしたら・・・、と思うかもしれない。うーん、いくら私が志村さん似とはいえ、これはちょっとオールマイトのポンコツぶりに期待するしかないのが困るところだ。

 

 でもその前に。

 

 私にどんな個性があるか知らないといけない。じゃないと雄英に入ることすらできない。

 

 確か足の指の骨の数で個性の有無はわかるらしいから、その辺の検査は既にしてあるはずだ。なので個性は持っている、はず。

 

 血統的に見ると個性第1世代のパパとたぶん第3世代の志村ママの間だからどういう風になるんだろうか? 個性は遺伝要素がかなり関わってくるからね。

 

 強奪・付与+浮遊。

 

 いや、想像できない。パパの弟である初代なんか『譲渡』だ。こっちに近い可能性もある。

 

 基準として考えなきゃいけないパパがめちゃくちゃすぎる。なんだよ個性を強奪してそれを人に付与できるって。ついでに自分で使う場合は複数同時合体とかもできるし。まあ、初期状態だと無個性と変わらないからだんだん強くなっていたんだろうな。パパも若い頃は苦労したに違いない。していてくれ。まじで。

 

 それにしても。強奪・付与のオール・フォー・ワンも、譲渡も一人だけでは意味をなさない個性であるというのはなんとも面白い。譲渡もストックと合わさってワン・フォー・オールとなってさらなる繋がりを求めていった。なんかこの辺にヒロアカのテーマが隠れてる感じがするな。

 

 うーん・・・また埒の明かないことを考えてしまっている。これたぶん前世からの癖だな。現状できることが限られているから考えるぐらいしかできないってのもあるわけで。うーん、自由が欲しい。別に拘束されてるわけじゃないけど、背後にパパがいる以上大人しくしているしかない。

 

 毎日渡されるテキスト読んで、問題集解いて、適度な運動して、本や新聞を読んで、テレビドラマや映画を見て、の毎日だ。

 前世だったらうらやましくなるところだけど、あとが怖いんだよなぁ。食べるために贅沢させてるような感じがする。 

 

「ドクター、本日はどのような御用事でしょうか」

 

 高校教育課程で行うテキストを全て終えた翌日、ドクターがやってきた。私の学習計画とかはスタッフから報告は上がっているわけだから、それを受けての訪問だろう。私が目覚めてから一ヶ月程度経っているが、ドクターが直接やってくるのはこれで3回目だ。表と裏の仕事で多忙だろうし、前の二回は顔を出す程度のもの。切りの良いところでやってきたとなると、重要な案件だと考えて良いだろう。

 

 ちなみに私の口調は世話役の皆さんのまねをしている体をとっているので丁寧な感じになっている。ただし感情は込めずに。

 

「うむ。ワシについてきなさい」

 

 言われた通りドクターの後ろを歩く。専属スタッフの人も何人か一緒に来るが、途中で別れてしまう。なんでついてきたのか、と思ったらドクターが霊安室に入るのを他の病院スタッフに見せないようにするためらしい。彼らが陽動することでドクターと私の動きを隠すわけだ。

 

 ドクターと一緒に霊安室奥の隠し扉を通り、通路を進む。左右にはいくつも小部屋があり、そこには円筒が設置されている。人型の物体が浮いているものもある。

 進んでいると、広い空間に出る。円筒などは配置されていない。運動場のような場所だろうか?

 

 照明以外はなにもないその部屋の中央には車椅子に座り、生命維持装置に繋がっている男が待っていた。

 

 パパだ。

 

 あの様子だともうオールマイトとの決戦の後らしい。最初会ったときは声だけだったからわからなかったけど、すごいね。包帯巻いてるからわからないけど、目とかなくなってるんだよな。よく生きてるなこの人。生命維持に使えそうな個性総動員して命を繋ぎ止めてたんだろう。あとはドクターも頑張ったに違いない。

 

 ドクターがパパとの隣に立つと、私はパパの三歩手前まで進んでお辞儀する。

 

「こんにちは、常夜と申します。あなたはどちら様でしょうか」

 

「こんにちは、常夜。みんなからはオール・フォー・ワンと呼ばれているが、君は父と呼んでくれればいい」

 

「はい、お父様」

 

 パパはこっちが自然体で父親であると認識したことになにも言わない。それぐらいできて当然と思ってるのだろう。

 

「さて、お前をここに連れてきたのは他でもない。個性検査じゃ」

 

 ついにというか、待望のというか。これの結果で人生が左右されてしまうから少し緊張する。

 

「無論、個性があることはわかっている。わかってはいるが、おまえは個性を発現させる様子がまるでない」

 

 だって使ってみろって指示来てないし、この世界で普通に育った子供なら個性が発現したらとりあえず使ってみるだろうけど、こちとら人工的に生み出されて成長促進で外見女子小学生の実年齢一歳未満の中身男の転生者だ。

 

 どんな個性なのかわからないから下手に使うのも躊躇われた。あとどう使えばいいかわからない。

 

「なぜ使わないのかは知らん。この部屋は超耐久・防音とどんな個性を使おうと外に知られることもない、思う存分使ってみせろ」

 

「ドクター。個性とはどのように使うものなのですか」

 

「そこからか! テキストに個性関連のものもあったはずじゃろ、それにテレビでヒーローどもが使うのも」

 

 そんなこと言われてもわからんもんはわからんのである。こっちからしたら存在しない器官を使えと言われているようなものである。だいたいテレビや新聞はオールマイト祭りだから参考にならない。

 

「ははは、あまり難しく考える必要はない。個性は肉体の延長であり、そして精神にも繋がっている。強く想えばいいんだ」

 

「強く、想う」

 

 うーんまあ、やってみるか。とりあえず浮遊っぽい現象をイメージしてみる。

 

「ぬ? おおっ?」

 

 なんかドクターが浮き始めた。

 

「まて、解除しようとするな! 地面に足がついてからにしろ!」

 

 おっと思ったより浮かせてしまっていたようだ。運動能力ないドクターがそのまま落ちたら大けがしてしまう。言われた通りに下ろしてから個性の発動を止める。

 

「まったく、いきなりワシを対象にするとは・・・まあ、念動力と言ったところか?」

 

「常夜、こちらに来なさい」

 

 言われた通りパパの前に立つ。

 

「跪いて」

 

 膝をついてかがむ。ちょうど私の頭がパパの手に届く位置になる。あ、これあれだ、個性奪うやつだ。

 パパが私の頭を撫でる。見た目としては個性を使えたことを褒めてるようだけど、んなわけない。

 

「ふむ……?」

 

 ふと、パパの手が止まる。そしてなにかを考え込むようにそのまま動かない。ドクターが訝しむ。

 

「先生?」

 

「もっと他のこともイメージしてみなさい」

 

 どうやら個性を奪われなかったようだが、どういうこっちゃ。あ、逆に付与されたんだろうか。

 

「他のこと?」

 

「火をイメージするんだ」

 

 パパから離れて火をイメージすると、右手から炎がほとばしる。火炎放射、とでもいうべきか。数秒で止めたがそれなりに威力があったのか床が焦げて黒くなってしまっている。

 

「次は翼を」

 

「はい」

 

 あれ、付与されたの一つだけじゃないのか。あ、もしかしてギガントマキアみたいに複数付与しても平気そうだったとか? 複数個性を持つと知能低下するらしいけど、思考に影響が出てる感じはしない。元々高いからかもしれない。

 

 しかし翼と言っても……ホークスのイメージで行くか。

 

 すると入院着を切り裂いて背中から一対の翼が現れる。おお、ホークスの剛翼まんまなのかはわからないが、服が破かれるぐらいだから羽はかなり鋭利なものらしい。

 

「繊維を扱うイメージを」

 

 えっ。

 

 いやいやどういうこと? それベストジーニストの個性だよね? 原作でも本人の習熟がものを言うからって獲ってないよね? というか、火炎放射のような炎系の個性持ちは多いらしいからともかく、翼だけ生える個性持ちなんてそんないないだろ?

 

 なんかおかしなことになってきている気がするぞ……

 

 翼の個性を解除すると、羽が背中から離れてひらひらと床に落ちていく。

 

 次に繊維を扱う、破れた服を直すイメージ。

 

 するとどうだ、服から繊維が伸びて繋ぎ合わさっていくではないか・・・繋がっただけだった。元に戻せるかと思ったけど、見えない背中の部分だからか服は無惨なままだ。

 

「申し訳ありません、どのようにすればいいのか……うまくできません」

 

「繊維というものの扱いを心得てなければまともに扱えないということか?」

 

 やっぱそういう感じになりますか。服の替えあるのかな。

 

「次だ」

 

 パパはこちらの困惑を気にすることなく別のイメージを指示する。指示された通りにイメージすると、その通りの現象が起きる。これを何度も繰り返す。

 

 ドクターも最初はパパが私に個性を与えたと思っていたようだが、次から次へと異なる個性を発動する私に驚愕の表情を浮かべている。

 

 私の息が荒くなってしまい、膝をついてしまったところで、ようやくパパの言葉が止まる。

 

 言われるままにやってた私もどうかしてるけど……うえ、吐きそう。というか、こんな個性ないよね、現実改変とか? 作品が違うぞ。

 

「……特異点を越えている。初めから強化された器でなければ肉体がもたなかった」

 

 ドクターがすごい不穏なことおっしゃってるんですが。個性特異点ってあれだよね、個性の強さに体がついていけずに暴走しちゃったりするやつ。

 

「いやはや、こんなことになるとはね」

 

 パパが私の下にやってきて頭を撫でてきた。なんかすごい優しい手つきなんですけど……逆に怖いわ。

 

「常夜、僕の個性は知っているかい? 他人の個性を取り上げ、それを他人に与えることができるんだ。他人に渡すことなく、保持し続けることもできる。だから僕はいろんな個性を使うことができる」

 

 手が離れたので、思わず顔をあげてパパの顔を見ると、ないはずの目と、目があった気がする。

 

 この人には、いったいなにが見えているのだろうか。

 

「君は、君が思い浮かべたままの力を世界に顕現させることができる」

 

 

 

「言うなれば、個性創造」

 

 

 

 

「まさに全知全能(オールマイト)

 

 

 

「これが君の、死柄木常夜の個性だ」

中学の同級生は誰がいい?(あいうえお順)

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