ラスボスの子に転生したのでNO.1ヒーローを曇らせたいと思う   作:タメガイ連盟員

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佐藤東沙様、ユーグレナ様

誤字報告ありがとうございます


19.職場体験、その前に

 八百万家別邸は雄英高校のある垢離里市の隣の市にある。まあ、流石に市内に土地を確保するのが難しかったのだろう。あそこって雄英高校関係だったりヒーローが所有している土地が多いからまとまった土地を抑えるには色々と面倒なのだ。ここから百は車で送迎してもらっている。車で登校しているのは青山くんか。セレブだね。と言うか、青山くんはどこに住んでるんだ? 原作のプロフィールにも“出身:フランス(自称)”とか書かれていたからよくわからんし。まあいいか、県内の高級住宅地とかその辺だろう。それにフランス生まれってのも別に詐称ってわけでもないだろうし。

 

 前にも話したけど、雄英生は県内に自宅があるでもない限りは雄英高校周辺の寮なりアパートなり下宿なりで生活している。雄英高校は静岡県にあるから県外から通うにはぶっちゃけ不向きだ。基本東海道に沿って鉄道や道路が敷かれてるからそこから離れると移動がしづらくなる。授業時間も多いし、実家を出るのが効率的なわけだ。まあ、家を建てるなんてストロングスタイルな対応をしているのは八百万家ぐらいだろうけど。

 

 八百万家の車にしばし揺られ、別邸に到着する。別邸と言ってもかなりの豪邸だ。こっちに来るのは初めてだけど、本邸と比べればささやかなものらしい。セレブの感覚わけわかんない。お茶子ちゃんが本邸見たらショック死するんじゃないか。門から家屋までの距離も雄英高校並にあるし。んー、本邸にも何度かお邪魔したことあるけど、やっぱり慣れないな。この辺の感覚は庶民なんだよなぁ、私。

 

 それはともかく、車から降りると玄関にはおば様――八百万母だ――と老執事、それに数人のメイドさんが出迎えてくれている。

 

「ただいま戻りました、お母様」

 

「おかえりなさい、百さん。常夜さんも久しぶりね」

 

「はい、お久しぶりです。今晩はお世話になります」

 

 何度か会っているけど、こっちでは初めてだったかな。シンプルに百があと20年もしたらこんな感じになるだろうな、って雰囲気の人だけど目元がちょっと違うように思えるからそっちは父親似なのかもね。にしても親の顔が出ている人、だいたい母親似じゃないか? 出久くんや爆豪くんもそうだし、まあ私もママ似ではあるけど。

 

 挨拶を済ませるとメイドさんが鞄を持ってくれる。いやこれ、最初はすごい面食らったものだけど、何度かされるとそういうものだと思ってお任せすることにしている。それが仕事だもんね。慣れはしないけど。で、一旦百と別れて客室に通される。そこで用意されていた部屋着に着替えてから浴場へ。今回は百と一緒ではない。あちこち火傷をしているので湯船には浸からずシャワーのみだ……着替えが当たり前のように用意されていることについては、察して欲しい。入浴を終えて脱衣所に出るとメイドさんが待ち構えていた。何事かと思ったら、火傷の処置のためらしいので大人しく従う。患部に軟膏を塗ってから包帯を巻いていく。メイドさんの手つきが慣れてると思ったら、元は看護師だそうだ。

 

 入浴の後は食事だ。こちらは食堂で百とおば様と3人でだ。メニュー自体は一汁三菜のごく普通の和食。セレブだからって毎日ご馳走食べてるわけではないのだ。ただし、品質は別格だ。どれもこれも近所のスーパーには置いていないであろうブランド品ばかり。もちろん、調理したのは八百万家の専属シェフ。お値段的に私の普段の食事何食分なんだろうか。ついでに百は量も多い。いや、普段から多いんだけどさ。個性のために脂質をためる必要があるとは言え、あれだけ食べててあの体型維持してるのすごいよね。食べたら食べた分だけ個性使用やトレーニングで消費しているにしても。私なんて個性抜きで体型維持できる気がしないし。

 

 食後はしばし談笑してから百の寝室へ移る。普段なら百の居室で勉強なり図上演習なりをするところだけど、今日のところは体育祭での疲れもあるのでなしだ。そうは言ってもまだ眠るには時間が早いので今日の反省会を軽く行ってからだ。百のベッドに腰掛けて、各種目の意図だったりとかどうすべきだったかを話し合う。

 

 ……ところで、私、このまま百と一緒に寝る流れですか。そうですか。なんかこう、八百万家に来ているときはほぼされるがままなんだよね。逆らいづらいと言うか。半ば身内扱いなのに圧倒的アウェイ感がある。

 

「常夜さんがあんなに大きな声を出すのを見たのは初めてです」

 

 ああ、轟くんとの試合で言った“私を見ろ”のことかな。あれ言ったときは決まった、みたいに思ったけど今思い出すとかなり恥ずかしい。ああいうヒーローらしいことするのって合わないなぁ、ホント。“志村常夜”としてはああするしかないんだけど。

 

「あのときは何と言うか、むかついてたからね」

 

 百は黙って続きを促している。轟家の事情を私が話すわけにはいかないけど、百も轟くんの様子からエンデヴァーと何らかの確執があることは察しているはずだ。

 

「轟くんから家の事情聞かされててさ、彼がいろいろ拘るのはわかる。だけど、あのときの、体育祭では関係ない話でしょ。なのに自分の力の半分しか使わないなんて言うからさ。無礼るなって思って」

 

 私は全能力のうちほんの僅かしか使っていないんだけどね。

 

「でも結局発破が効いて全力を出してくれたわけだから、私としてはわだかまりはない、かな」

 

「しかし、それで怪我をされています」

 

「怪我なら私以外もして」

 

「常夜さんっ」

 

 出久くんとかも怪我ならしてるし、と続けようとしたところで言葉をかぶせられる。

 

「はい」

 

 百の声色があまりにも必死だったので思わず背筋を伸ばしてしまう。

 

「あなたがあのとき意識を失ったと聞いて、本当に心配したんですからね!!?」

 

「はい」

 

「本当に……!」

 

 涙を浮かべ、言葉を詰まらせた百が私を抱きしめる。

 

 ああ、何度見ても綺麗だなぁ、百の泣き顔は。

 

 重傷を負うとお手軽に見られるけど、この先怪我できるタイミングがあんまりないんだよね。いや、もしかして林間合宿までない? 嘘でしょ……いやいや、そこまでいけばメインディッシュまですぐじゃないか。これまで3年間我慢してきたんだ、ちょっと味見する機会があったからって我慢できなくなるなんてことないだろ? 私はできる子。とりあえず、つり上がった口角を戻して、と。

 

「うん、ごめん。確約はできないけど、大きな怪我はしないようにする」

 

 実際問題怪我する要因がないんだよね。それこそ脳無やマスキュラーにでも襲撃されない限りは。私の『念動力』はああいうパワー系とは相性が悪い。実際、“掴む”による拘束も突破されるし、衝撃波攻撃もあんまり効かないし。いや、脳無はともかくマスキュラーの耐久力は何なの。同じ理屈でオールマイトも当然きつい。逆に言えばこの辺を除けば脅威ではないと言える。いや、治崎さんはちょっと微妙なところかな、あいつパワーとテクニックを兼ね備えてるタイプだし。原作の出久くんホントよく勝てたな。と言うか、学生が大怪我するような事件が頻発してるのはやっぱり問題あるよね。

 

「……わかっているようには聞こえません」

 

「ごめんて」

 

「確かにヒーローとなれば、ときとして自分の命も顧みずに人々を救けなければなりません。しかしそれは自身も無事であってこそです」

 

 命を顧みることなく自分も無事で、って矛盾しているようだけどオールマイトがそれを体現しちゃってるんだよね。ヒーローとしては理想的な姿なんだけど、それができるヒーローがどれだけいるのか、って話にもなるわけだけど。自己犠牲精神がいるのって別にヒーローに限ったことじゃないし、理想を求めるのは結構だけど、限度があるよね。誰も彼もオールマイトみたいにできるわけじゃないし。と言うかあの人ブレーキぶっ壊れてるし。見習っちゃいけない人だよ、実際。上っ面完璧だから気づきにくいのがこれまた厄介なんだよなぁ。グラントリノやサー・ナイトアイぐらいの関係にならないとわからないし。

 

「うん。でも、先月の襲撃事件はともかく、轟くんとはああするべきだったと思ってるよ」

 

 実際あそこで轟くんに覚醒してもらわないと保須市でのステイン戦に参加してくれないからね。ん、いやでも出久くんとの関係を強めておかないとまずいか? 今回の件で轟くんも『魅了』の効果がうまく乗るようになったけど、私にばっかり意識を向けられても困るな。きちんと男同士の友情に燃えてもらわないと。私に矢印が向いてるのは、後々面白くなる要素だとは思うけど。

 

「轟さんのためにあそこまでするなんて、妬けてしまいます」

 

 お?

 

 抱き合っている百を少し引き離す。

 

「嫉妬してるの?」

 

「……!」

 

 途端に顔を真っ赤にする百。自分で言ったんじゃん。ぷるぷるしてる百の頭をポンポンと軽く叩く。

 

「私たち優等生だから意見が違ってもすぐ修正しちゃって、ぶつかり合うことなんてなかったもんね」

 

 お互い頭が回るから相手が何を考えているかすぐ理解して軌道修正しちゃうから喧嘩したことないんだよね、私達。ライバルでもあるから競うことはあるけど。

 

「大丈夫、私にとっての1番は百なんだから」

 

 再びハグ。そして耳元に口を寄せて。

 

「ね?」

 

「……」

 

 うん、フリーズしてらっしゃる。百は長いこと私の『魅了』の影響下にあるから好感度が振り切れちゃってるんだよね。なのでこういうことをするとオーバーフローを起こしてご覧の通りになる。こうなると復帰するまで時間かかるんだよなぁ。まあいいや、あとは寝るだけだし。百をベッドにいれてあげて、私も潜り込む。いや、2人で寝てまだ余裕あるよ、このベッド……

 

「えーっと、消灯?」

 

 パッと電気が消える。うん、やっぱりあったな、声をかけるとその通りになるタイプの家電。

 

「おやすみ、百」

 

 

 

 

 さて2日経って、休み明け。休みの間にも打ち上げやらなにやらあったけど割愛。

 

 え、百とはなにもないよ。朝ご飯ご馳走になってから家まで送ってもらっただけだよ。えっちなのはいけないと思います。

 

 登校すると教室内は登校中に声をかけられた、とかジロジロ見られたと言った話で持ちきりだ。たった1日で一気に注目の的になるあたり、雄英体育祭の影響力は非常に大きい。そもそもヒーロー科の生徒のお披露目みたいなところがあるから当然と言えば当然だ。それにA組が開催前から注目されていたとは言え、どんな生徒がいるのかは世間には知られていない。これは個人情報保護の観点から当然のことだ。まあ、重傷者が私だって情報は私が漏洩させてたわけだけど。

 

 それはともかく、こうやって世間での知名度を得たことで本格的に雄英高校ヒーロー科の生徒になった、と言える。仮免試験で唯一個性バレしている、というデメリットもあるけど、ヒーローなんてそもそも個性を世間に知られているわけだし、こっちはトップ校、その程度で仮免に落ちるなら所詮その程度、と言うわけだ。厳しいね、まったく。

 

 ちらりと飯田くんの様子をうかがう。普段と様子が変わらないように見えるけど、内心はどうなんだか。お兄さんであるインゲニウムは命こそ助かったものの、下半身不随になってしまいヒーローとして再起不能に。まあ、現場には出られなくなっても、事務所の事務作業や後進の指導なんかはできるから、再就職? には困らないはずだ。本人の心情は別として。まあ、この時代は機械工学が進んでいるから歩行補助用のパワードスーツ的なものもあるから、日常生活にはそれほど困らないだろうしね。なんなら私が治してもいいんだけど、タダでやるわけにはいかないよね。何か代償を貰わないと。ふふふ、後々飯田くんで遊ぶ良いきっかけになりそうだ。

 

 そうこうしている内に本鈴と共に相澤先生がやってきた。それまでおしゃべりに興じていたみんなもビシッと姿勢を正す。入学からひと月も経つと慣れたものである。

 

 さて、本日最初の授業はヒーロー情報学だ。個性やヒーローに関する法律などを扱う授業だ。この辺はヒーロー科か、警察学校にでも入らない限り縁がないところだ。あれだ、運転免許を取ろうとしないと道交法もろくに知らないみたいなものだ。いや、まったく取り扱われない、と言うことではないんだけど、きちんと学ぶ機会はないよねって話だ。個性の法的な認識が“人前で使ってはいけない”と言う雑極まりないものだから、やっておかないといけない。

 

 なのだが、今日は趣が異なりコードネーム、つまりヒーロー名の考案が主題だ。それに教室内が一斉に沸き立つが相澤先生のひと睨みで沈静化する。で、これはプロからのドラフト指名に関わってくることで、本格的な指名は即戦力と判断される2・3年からで、今回の指名は将来性に対する興味に近く卒業までに興味が削がれて一方的にキャンセルされることもある。必然、在学中はその指名に応えなくてはならず、その数は自然と自身へのハードルとなる。

 

 で、指名の集計結果。

 

 志村 :3127

 轟  :2487

 爆豪 :2365

 常闇 :280

 飯田 :251

 上鳴 :212

 八百万:58

 切島 :28

 麗  :14

 瀬呂 :10

 緑谷 :5

 

 と言う感じになった。原作だと轟くんと爆豪くんに集中しているけど、私がみんなのポイントを掻っ攫った格好になっている。出久くんも指名が入っているようだ。うんうん、私のプレゼン(?)が効いているようだ。ちなみに上鳴くん、私にあっさり負けた割に指名が多いのは電撃系個性がヒーロー志望になるのが珍しいかららしい。

 

 で、これを踏まえて、指名の有無に関係なく職場体験に行くことになる。プロの活動を実際に体験してより実りのある訓練をしようってわけだ。そのためにヒーロー名が必要になるわけだが、仮のものとは言え、そのまま世間に認知されるとそれがプロ名になってしまうのでいい加減なものをつけるわけにはいかない。“名は体を表す”と言うように、将来自分がどうなるのか名をつけることでイメージを固め、そこに近づいていくわけだ。なお査定はミッドナイトが行う。だからって早速寝袋に入るのはどうなんですか、相澤先生。

 

 シンキングタイムである15分が経ってそれぞれが発表していく。自分の個性まんまなのから昔から考えていたものまで様々だ。まんまの名前だってそう悪いものではない。名前からどんなヒーローか連想しやすいってのは結構重要だからだ。実は中学のときに百に言われるまで存在を忘れてたんだよね、ヒーロー名。私の、“志村常夜”の設定的に不自然だから適当に誤魔化したけど、ヒーローになる気がないからこういうところはどうも等閑になりがちだ。

 

 私のヒーロー名はサイキックヒーロー『フーディーニ』。20世紀初頭の奇術師の名前からとったものだ。この人、心霊術に傾倒していたのだけど、奇術師としての知識や洞察力でそれがトリックだと気づいて、それを熱心に暴くサイキックハンターになったらしい。もっとも、亡くなった母親と交信するために本物の霊媒師を探していたけどどいつもこいつもパチモンだったことへの怒りからそうしていたと言うから何ともはや。その辺は特に触れずに、

 

「彼のように世の闇を暴くヒーローに」

 

 と言ったらミッドナイトからOKをもらえた。この人、ノリで決めてない? そして爆豪くん、なぜ君は爆殺に拘るの? 結局授業時間が終わるまで没をくらいまくってるし。そしてやる気のない轟くん。彼、ホントイヤイヤヒーロー科来てたんだな……オリジン思い出したんだからもうちょっとこうあるでしょ? それから飯田くんもちょっとなぁ。インゲニウムから名前を継いで欲しいって言われていたと思うけど、元々そのつもりはなかったんだからどういう名前にする予定だったんだろうか。

 

 さて職場体験だけど、期間は1週間で行き先となる職場は指名があった者は個別にリストが配布されるのでその中から選ぶ。なかった者は、予め学校側からオファーを出していた受け入れ可能と返答した全国40件の事務所から選ぶことになる。活動地域や得意な分野が異なるため、自身の志望などを合わせて考える必要がある。なお提出期限は今週末、つまり2日間である。短いなおい。スケジュールが詰まってるねホント。

 

 個別に配布する、と言っても指名ヒーローや受け入れ事務所のデータが入ったタブレットが渡されるんだけど。タブレットは別に職場体験専用ってわけじゃなく、用途に応じてアプリを入れ替えて何年も使用している。なので若干くたびれた感じがあるけど、雄英だって予算が無尽蔵にあるように思えてそうでもないから使い回せる物は使い回しているわけだ。あと指名したヒーローが10や20ならともかく、4桁ともなると紙ベースでは確認するだけで日が暮れてしまうので、アプリでソートやフィルター機能が使えないとやってられないのである。

 

「志村、校長から話があるそうだから、放課後、校長室に行け」

 

 授業終わりに相澤先生にそう言われた。なんかあったっけ? と思ったけど心当たりがないので実際に行ってみないことにはわからない。

 

 流石に休み時間だけでは確認しきれないので昼休みを利用してざっと見ていく。目立つのはやはりエンデヴァーとホークスだ。そういえば、轟くんが授業後からチラチラこっち見てるんだけど、確か轟くんもエンデヴァーから指名受けてたよね。なに、一緒に職場体験して欲しいの? うーん、エンデヴァー事務所も悪くはないんだけど、エンデヴァーが絡んできそうで面倒くさいんだよね。あの人、遠目に見る分には面白いんだけど、直接付き合いを持ちたくない。なので却下。ホークスは、こいつ、私が“黒外套”だと目星をつけているはずだけど、これで私が乗ってくるとまでは思っていないだろう。要するに揺さぶりだ。もちろん却下だ。

 

 しかし、こうしてみると結構面倒くさいな。中には私の注目度を利用しようって考えが透けて見えるのもいるし……と、1つの名前が目にとまる。ほほーん、まさか指名なんてしてくるとは思わなかったけど、ちょうどいい。今から楽しみだな。

 

 

 

 

 放課後になり、校長室へ向かう。

 

「志村です」

 

 ノックをしてから声をかけるとどうぞ、と返事があったので入室する。

 

「やあ、よく来てくれたね! とりあえず、そこのソファーに座って」

 

 応接用らしいソファーに言われるまま座ると対面に校長先生も座り、封筒を差し出す。中身を確認するよう促されたので開封して中身の書類を取り出す。これは……病院の検査結果?

 

「えっと、これは……」

 

 ざっと目を通して、そこにあることを要約すると私の体は40歳以上相当の状態、つまり老衰が進行している、と言うことだった。いや、どういうこっちゃ。私の体は12、3歳相当だと思ったけど。おまけに実年齢は5歳だし。いや、心当たりはあるんだけどそれを顔に出すわけにはいかないので困惑した風を装う。

 

「今は原因がはっきりしていないけど、君の体に何らかの異常が生じているようなのさ。だから今週末に改めて検査を受けて欲しい。もちろん、費用が僕が持つのさ」

 

「えっ、いえ、そこまでしていただくのは……」

 

「君を援助してくれている人がいるのは知っているけど、検査だってタダじゃない。こういうときは素直に大人に甘えなさい」

 

「……はい」

 

 検査結果自体は私が退院するときには出ていたそうなのだが、体育祭での影響を慮って終わったあとにしたそうだ。私は別に気にしないけど、普通は気にするか。それにしても、さすがにこれはドクターに確認しないとな。私の個性が体を圧迫しているのはわかっているけど、どれぐらい影響しているか正確にはわからないんだし。私の個性は尋常なものではない。だからこそその影響を考慮して私の肉体に強化処置を行ったんだろうけど、あれ、よく病院の医者にその辺の異常を察知されなかったな? 脳無みたいに他の肉体を継ぎ足すとかはやってないと思うんだけど。ふむ?

 

 とりあえず、検査の予約は校長先生がしてくれてたとのことなので、指定の時間に行けば良い。挨拶をして校長室から退出する。

 

 あー、そうか、それに弔のことも確認しないといけないか。“死柄木常夜”としてもあいつのことは知らないわけだし。イレギュラーの発生を抑えるためにできるだけ原作と同じ流れになるようにしているけど、私自身があれこれやってるおかげで修正しなきゃいけないことがあるし。いやもう自業自得なんだけどさ、やらなきゃいけないことがたくさんだ。

 

 まあいい。この件だっていろいろ楽しめそうだし。でも知らせる人は限定した方がいいだろう。A組の誰か……うーん、あの人がいいかな?

 

 いろいろ面倒ごとが多いけど、やっぱり先の楽しみがあるとわかると張りが出るってものだ。

 




ヒーローからの指名、原作では紙で配ってましたが、何千件もあるのに紙でなんか見てられなくない? と思ったので本作ではタブレットにしてます。あしからず。



オリジナル作品書いてました。よろしければどうぞ。
転生して魔法少女になったけど汚れ仕事ばかりです
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