ラスボスの子に転生したのでNO.1ヒーローを曇らせたいと思う   作:タメガイ連盟員

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ユーグレナ様、佐藤東沙様、ちびたXtreme様、田舎民様

誤字報告ありがとうございます。


27.期末試験前

 とりあえず切島くんにはこのことは口外しないようにお願いしておく。どうするつもりかは自分から話す、とも言っておく。でも大丈夫かなぁ、切島くんって割と顔に出やすい気がするし。まあ、バレたらそれはそれで。別れ際、気丈に振る舞ってみせておくのも忘れない。

 

 予定としては林間合宿を最後にする、って感じなんだけど、自分でも不自然さを拭えないな。余命1年の人間がヒーロー科に居続けること自体変な話なわけだし。『魅了』と『洗脳』で誤魔化すしかないか。

 

 ああ、あと面倒なのは林間合宿に来る予定のラグドールだ。物間と並んで事前対処が必要な相手で、私の個性が『念動力』ではないとバレてしまう。この人もきつめの『洗脳』をかけておく必要があるんだけど、そうすると私自身のメモリが足りるか怪しくなるので専用の分身を用意しておく必要がある。分身自体は精度にもよるけど1度作ってしまえば、栄養補給の必要はあるけど簡単には消滅しない。でも作るのに時間がかかるし、対象の情報も必要になる。この辺、条件的にはトゥワイスの『2倍』に近いんだけど、あっちは作るのに時間がかからない代わりに耐久性が低いからね。

 

 分身と言えば、ドクターのも作らないと。ドクターからは3人分を注文されている。1人は表向きの業務担当として、裏関係は3人で動かすつもりらしい。あんまり数を増やしてもやりにくいんだろう。あそこ、機材で埋まってるから案外狭いし。これで原作では調整が終わってなかったハイエンド脳無が完成状態になっちゃうけど、まあいいか。私が戦うわけじゃないし。

 

 この他にもやらないといけないことがあるから、全部ではないけど学校の方は分身に任せないといけなくなる。雄英に入る前に準備ができたらよかったんだけど、この時期にならないとできないことが多くて困る。ちなみにこの準備作業は自室じゃなくて八斎會に用意させたセーフハウスで行う。こっちの方が周りを気にせずできるからね。

 

 あとはステインの脳無化だけど、これも八斎會でやることになるんだけど、実際に作業をするドクターの分身がいないことには準備もできない。それから必要な設備を用意することになるから、完成するのは何ヶ月後になることやら。思いつきで始めたことだからいきあたりばったりになっちゃうな。思いついたときは滅茶苦茶テンション上がってたもんなぁ。冷静になってみるとすごく面倒くさいんだけど。

 

 当然ステインの体も確保しないといけない。既に警察病院に移されているけど、私が何個も個性を詰め込んでおいたから意識がない状態にある。当然尋問はできないから怪我が治り次第タルタロス行きってところだろう。となると、タルタロスから持ち出さないといけなくなる。かと言って今からだと影武者も用意しなきゃいけないし、回収したステインの面倒もみないといけない。実際に面倒みるのは八斎會の人だけどさ。なのでこっちの準備が整ってから取りに行った方が良い。すると、タルタロスに潜入しなきゃならないんだけど、事前に職員を洗脳して、警備ロボはハッキングしておけば良い。入れ替えておいた体はすぐ気づかれるかもしれないけど、公表なんてできないしね。

 

 我ながら面倒なことしてるなぁ、とは思うんだけど、楽しみのための労苦は厭わないことが肝心だ。こうすれば、パパも喜んでくれるだろうし、ここまでやれば恩は返せたと言えるだろう。パパがどう考えるかはともかく。まあ、この辺は私の気分の問題だし、ヴィランなんだから好きにやってなんぼだしね。

 

 この辺はまあいいとして、問題はパパが私の個性を手に入れようとしていることにある。『個性創造』は強力な分、肉体の負担が非常に大きい。『オール・フォー・ワン』には奪った個性をストックすると言う特性がある。これはパソコンで言えば奪った個性を圧縮して保存しておけるようなもので、だからこそ大量の個性を保持し続けられているわけだ。でも対象がそんな『個性創造』だと他の個性のようにきちんと圧縮できるかどうか、パパの肉体が万全な状態ならともかく、現状の体ではどうなるかわからないからすぐに奪わずにいるのだろう。となると、どこで奪うかと言えば、マスターピースが完成したときだ。

 

 前にも言ったけど、マスターピースなら『個性創造』を悪影響なく保持できるだろうし、今現在の私でも使用に制限があるんだけどそれも完全に克服できる。かつてパパがこの個性を全知全能と評したけど、将来、マスターピースと『個性創造』が組み合わさった状態を指していたのかもしれない。そうなったらこの世界は詰みだ。誰もパパに勝てなくなる。歴代『ワン・フォー・オール』の全個性解放+全盛期のオールマイトでもどうにもなるまい。

 

 まあ、マスターピースの完成より私が死ぬ方が先になりそうだけど。死体からでも個性はとれるから私の生死はあまり問題にならない。死んだからって個性因子が消滅するわけじゃない。じゃなかったら脳無なんて作れないしね。ただ、あまりにも損傷が激しかったり、腐敗が進んでしまうと個性因子も劣化してしまうからそうならないように保存する必要がある。火葬で骨と灰になっちゃうと流石に個性を奪うことはできなくなるので、欲しい個性を持った人間がいたら注意が必要ってわけ。この点を考えると、私は自然死した状態だと全身ボロボロでかなり状態が悪そうだから、その前に死んでいる方が都合が良さそうだ。私の都合? そんなのパパが考慮するわけないじゃん。

 

 これ、本当に困っている。パパのことだから私から『個性創造』を奪う算段はつけてるだろうし、なんなら私の個性が判明したときにそのルートを構築してるよあの人。対策は考えてはいるけど、うまくいくかどうかはぶっつけ本番になっちゃうし。なるようにしかならないかなぁ。

 

 あのさー、もうさー、パパの存在が厄介すぎる! 

 

 今の私があるのはパパのおかげだけどさ、私の自由にとっては邪魔な存在だ。まあ、最悪、個性が獲られて用済みになってもなんとかなるんだけど。分身は私の個性がなくなっても消えないから八斎會が維持される限りは問題ない。先々八斎會がパパの軍門に降っても私の存在はスルーされるだろうし。いやどうだろう、やっぱり良くないような気がする。

 

 原作だとどうやって倒したんだろう。途中までしか読んでなかったのが悔やまれるところだ。知っていたところで参考になるかは怪しいけど。でも『ワン・フォー・オール』の存在ありきだろうから、出久くんを鍛える方針は間違っていないはず。ステイン脳無は実戦経験を積む良い相手になるだろうしね。うーん、他のA組の人も鍛えた方がいいかな? 最終決戦には全員参加するだろうから、損にはならないか。

 

 やっぱりやることが多い。気楽にゲームやアニメを楽しめるのはいつになるやら。んー、とりあえず、あとで切島くんの様子を『千里眼』で見ておこうかな。今夜は寝れないだろうなぁ、彼。でもあんまり引きずってしまうのもよくない。物事は緩急、ギャップ、あるいは上げて落とす、そう言ったものが大事だ。さっき私から余命を聞かされた切島くんは断崖から蹴り落とされたようなものだ。今回は死にネタだから多用できないのが難点だ。USJのときみたいに死にかける程度なら何度か使えるんだけど。その意味では切島くんのおいしい瞬間を消費してしまったわけだ。ちょっともったいなかったかな。他にも宝石はあるから、楽しみはまだまだある。

 

 だって、宝石も金平糖も砕け散る瞬間がなにより美しいんだから。

 

 

 


 

 

 

 人生の転機と言うものはどこにあるか予想できないものだ。

 

 建築会社の事務所、“社長”と書かれたプレートが置かれた席で窃野トウヤはぼんやりとそう思う。社長と言ってもお飾りで、直接の仕事に関わることは少ない。そもそも窃野がこんな席に座ることなど本来ならばあり得ないことだ。

 

 窃野は恋人に裏切られ、多額の借金を背負った。自殺を図るもそれすらままならずにいたところを死穢八斎會の若頭、治崎廻に拾われ、そこで治崎の駒としての価値を与えられた。治崎の野望、その実現のために捨て駒にされようと本望。そう考えていた。

 

 それが2年前、死柄木常夜と言う少女の出現で大きく変わった。窃野自身だけでなく、彼が所属する死穢八斎會ごとだ。姿を現さなくなっていた組長が復活し、治崎が進めていた計画は全て白紙になった。しかしそこからだ、八斎會が徐々にその規模を拡大させていったのは。

 

 以前はともかく、現在の八斎會は零細組織に落ちぶれている。それが次々とフロント企業を獲得し、半グレや犯罪グループを傘下へ加えていった。そうなるとどうなるか、人手が足らなくなる。これが窃野が社長職にある理由だ。当然、窃野に建築や経営の知識などあるはずもない。それでも直参の者が社長であれば融通が利きやすいから、飾りであっても無意味ではない。窃野のそれまでの立場は若頭の鉄砲玉であったのが嘘のようだ。彼の同僚もあちこちの企業に派遣されていて、治崎の傍に残っているのは若頭補佐の玄野針ぐらいのものだ。

 

 加えて、八斎會内部の派閥争いもこれに関わっている。組長派と若頭派があり、窃野は当然若頭派なのだが、組員の多くが組長派、しかも組長不在の時期は恐怖で押さえつけていたのだから若頭には好意の欠片もない。若頭がこれまで組長の意に沿わない行動を取り続け、あげく昏睡状態に陥らせたことを考えると排除されていないのが不思議なほどだ。これは若頭自身の実力と常夜の意向によるところが大きい。それでも若頭派の勢力が弱小であることには違いないのだが。

 

 そして、この建築会社も真っ当とは言い難い。八斎會本部の地下施設の建設を請け負っていたところだ。秘密裏に資材を調達し、搬入し、建築し、かつ秘密は決して漏らさない。実のところ、裏社会ではそこそこ知られた会社なのだが、そこに八斎會の人間が送り込まれていると言うことは、現在の八斎會の裏社会における地位が窺える。だからこそ、若頭は裏社会で知られる会社に自派の人間を送り込むことで影響力を確保しようとしているのだった。

 

 窃野は先述の事情も含め、これまでの人生で羽振りが良かったことがない。ところが現在は八斎會自身の金回りがよくなっていることもあって、窃野の懐事情はかなり温かくなっている。これがいつまで続くかわからないから貯金すべきか、パーッと使ってしまうべきか悩むところではあった。なにしろ落ちるときは突然落ちるものであるし、経験があった。とりあえず女はもう懲り懲りだ。

 

 現在、この会社は某所で売りに出されていた診療所の改装工事を請け負っている。その現場には度々治崎が顔を出していることから重要度の高い仕事であるらしい。何をしているのか窃野にはさっぱりわからないが、どうせろくなものではないだろう。社長としては手が空いているため、トラックの運転手にもなっている窃野であった。そんな中、いろいろと丸い老人があれこれ指示をし始めた。氏子と名乗った老人がこの施設を使うらしい。必要となる資材や薬品、器具などの発注もあり、中には合法的に入手するのが困難なものも含まれていた。とは言えそこは裏社会、時間と金さえあれば揃えられるものだ。

 

 窃野がこうした非合法品を運ぶときは、元々同僚だった多部空満(たべそらみつ)と組むことが多い。多部の個性は『食』、強靭な顎と胃袋で咀嚼し即消化してしまうと言うものだ。このせいで多部は常に空腹状態にあり、また周囲から虐げられ、社会に適応できなくなっていた経緯がある。その後治崎に拾われた点は窃野と同じだ。多部が同行するのは証拠隠滅のためだ。彼の個性ならば、ヒーローや警察に非合法品が見咎められても即処分できる。証拠隠滅ならワンタッチで対象を分解してしまう治崎の『オーバーホール』の方が優れているのだが、現在自身が開発した個性消失弾を受けたことで使用不能になっているため、多部に頼ることになったのだ。

 

 多部の個性では食べたものに毒性があればその影響を受けてしまうのだが、常夜によってその部分は作り替えられている。『食』の消化能力を強化することで毒物を吸収するより先に消化できるように、ついでに個性のオンオフが可能なようにしている。これで多部は満腹感を得られるようになった。このため、多部は八斎會の中では常夜寄りになっている。あくまで寄っているだけで従うのは治崎なのだが。ちなみに常夜は対価として金銭を要求している。常夜曰く、金銭の価値は変わるものだけど、現代社会においてはこれ以上平等な対価もないし、無理なく支払えるものだから、だそうである。多部も窃野同様収入は増加しているので大きな問題はない。

 

 窃野が運んだもので最もとんでもなかった荷物は、ヒーロー殺しとして知られるヴィラン・ステインだ。1度入れば2度と日の目は見られないと言われるタルタロスから偽物とすり替え、医療施設まで運ぶという如何なるヴィランでも不可能としか言い様がない工程だ。流石にこれには常夜が直接同行、お得意の『洗脳』と『ハッキング』を駆使して不可能を可能にしてしまった。

 

 一部始終をすぐ近くで見ていた窃野は、常夜について考えないようにしようと心に誓ったのだった。触らぬ神に祟りなし、だ。

 

 

 

「で、どんなもんです?」

 

「必要な薬品がまだいくつかない。改造用の素材もちと不安がある」

 

 言いながら殻木は常夜にタブレットを手渡す。そこには脳無製造に必要な物品リストが映っていて、いくつかの項目にはチェックマークがついていない、つまりそれらはまだ用意ができていないと言うことだ。

 

「薬品関係は八斎會が持っているルートだとどうしても時間がかかってしまっていて。なにしろヤクザさんですから、警察にマークされちゃってて。こういうときに融通が利かないですねぇ。あと素材、あれでも足りないんですか?」

 

「ハイクラスまでならあれで足りる。じゃがハイエンドとなると素材も吟味しなければならないのでな」

 

「ドクターのオリジナルがいるところから失敬しちゃった方が早いんですけどね、一応、ここはあっちには秘密ってことになってますから」

 

 2人がいるのは八斎會が間接的に所有している元診療所、その地下だ。何年か前に廃業したところで、そこを何人か人を挟んで八斎會が購入したのだった。この地下自体は元々あったのだがそこを利用して秘密施設に改装している。改装自体は常夜が八斎會を支配下に置いてから進められていたが、殻木が加わったことで拡張されている。

 

 内装は蛇腔総合病院の地下秘密施設に似ている。常夜がそれを真似して作らせているし、そこに殻木が加わったのだから当然だろう。ただし、規模は蛇腔病院のそれに比べればこじんまりとしている。使用できる土地面積が限られているのだから仕方ないのだが、常夜も脳無を量産しようとしているわけではないからこれで問題はなかった。

 

 検体を保管する3つガラス製の円筒のうち、中身があるのは2つ。1つはステイン、これは既に個性を抜かれて仮死状態に置かれている。もう1つは常夜が以前から進めていた計画によるもので、ステインとは異なり生きている。

 

 なお、この場にいる殻木は本人ではなく、常夜が作った分身である。さらに言えば常夜も分身だ。

 

 殻木の分身は前述の通り、主にステインを脳無に改造するために作ったもので能力的にはオリジナルと変わらず、相違点と言えば常夜に味方するように認識をいじっているぐらいだ。

 

 脳無の製造には外科の知識・技術と素体となる人間と素材があれば可能だ。平均的なヒーローを凌駕するパワーとスピードを与えるだけなら殻木だけでも可能だが、脳無の能力の目玉である複数個性ばかりは常夜がいなければならない。そのために殻木の助手用に分身を用意しているのだった。追加する個性によっては、特に異形系個性などは改造しながら追加する必要もあるから、常に傍にいる必要があるわけだ。

 

 脳無の起動には多量の電力が必要になる。蛇腔病院にはそれに必要な設備があるが、こちらにはないため、常夜で代用することになっている。

 

「まるでフランケンシュタインの怪物ですね」

 

「花嫁を求めたりはせんがな」

 

「でも、起動に必要な電力を出そうとすると、私の体が焼き切れちゃうんですけど」

 

「焼けたところで問題はあるまい。お前の本体が新しく分身を作れば済む」

 

「いや、痛いもんは痛いんですけどね」

 

「痛覚を遮断しておけばいいじゃろ」

 

「そんな個性持ってないですよ」

 

「微妙なところで融通が利かんのう」

 

「分身の用途ごとに持ってる個性変えてますからね、本体。自分以外が個性創造を使うのが気に食わないんでしょうね」

 

 常夜は生体が収められている円筒に触れる。完成にはまだ時間がかかる。おそらくステインの改造が終わるのと同時期だろう。しかしそれでは間に合わない、だからこそ繋ぎになるものを用意しているのだが。

 

 その容姿はどこか見覚えがある。いや、よく知っている者の面影があると言うべきか。あの、人を信用しないし自分の他人への好意も否定したがる本体の妙な趣味に苦笑してしまう。

 

「わがままな私の本体。でも、もう少し素直になってもいいんじゃない?」

 

 

 


 

 

 

 さて、期末試験である。色々あったと言えばあったんだけど、私自身は学校に行かずにあれこれやっていたので語るべきことがあまりない。ひきこもりではありません、あっちこっち動き回ってたわ。おかげで私が直接関わる工作はだいたい終わったけど。

 

 で、期末試験の実戦演習の内容だけど、例年はロボット相手の演習だけど今回は教員であるヒーローが相手となる。この変更はヴィランの活性化による対ヴィラン戦闘の激化が予想されることから、学校側も対人戦闘・活動を見据えてのことだ。これ、明らかにヴィラン連合の襲撃の影響だよね。ある意味パパのせいとも言える。と考えると、この年の雄英はパパに振り回され続けるってわけだ。

 

 入学試験でロボットを使っているのはあの大人数に対応するのと、クレーム対策でもあるらしい。この時代でもそう言う暇人は後を絶たないようだ。鬱陶しい。なのでロボット相手が実戦的ではない、というのはまさにその通り。ロボットのAIはそれなりに優秀だけど、ヴィランのように個性を使うわけじゃないしね。

 

 具体的な内容だけど、2人1組のチームアップで教員1人との戦闘だ。生徒側の勝利条件は制限時間である30分以内にハンドカフスをかけるか、どちらか1人がステージから脱出するかの2つ。要するに戦って勝つか逃げて勝つかってわけだ。教員側はハンデとして自身の体重の半分の重量を装着する。これ、ハンデになるのかなぁ。確かに動きは制限されるだろうけど、人によってはその場から動かない場合もあるし。いや、全体の半分ぐらい動かなくない? ほぼオールマイト用の制限なのでは。

 

 それはともかく、生徒側のペアはこれまでの演習のようにランダムではなく動きの傾向や成績、親密度から学校側で決められている。実のところ、各々の課題を指摘するのが目的だから、ペアは似た傾向の者が組まされている感じがする。

 

 轟・百ペアはどちらも推薦組で個性が強力な分それのごり押しになりがち、切島・砂藤はパワーはあるけどスタミナに難あり、上鳴・芦戸は単純傾向が強い、口田・耳郎は音に関わる個性持ち、障子・葉隠は索敵・隠密タイプ、瀬呂・峰田は拘束力が強い、って感じだ。青山・麗日が若干余り物っぽいけど。

 

 問題があるとすれば、A組は私がいるから21人、2人ペアだと1人余る。なので3人チームが1つできることになるんだけど、その余り者が私になるはずだ。私個人に指摘されるような点はないから他のペアへのサポート能力を期待されているのだと思う。梅雨ちゃんや尾白くんもそんな感じだと思う。2人とも派手さはないけど、堅実な立ち回りができるからね。尾白くん、原作を見ただけだと地味なイメージしかなかったけど、意外と強い。まあ、格闘戦オンリーだから決め手に欠けるんだけど。

 

 自画自賛になるけど、“志村常夜”としての私は強い。この期末試験を担当する教師達の何人かはタイマンでも勝てる。無理なのはオールマイトとイレイザーヘッド、プレゼントマイクぐらいだろう。オールマイトとイレイザーヘッドは言わずもがな。プレゼントマイクは『念動力』の衝撃波を発動する前に『ヴォイス』が掻き消してしまうから。意外な難敵である。マイクと直接戦う機会なんてもうないだろうから問題にはならないんだけどね。

 

 さて、これまでの考察をふまえて、私が誰と組まされて、誰と戦うことになるかと言うと。うん、正直嫌な予感はしてたんだけどね? 

 

 次々とペアが発表されていくなか、相澤先生がその名前を呼ぶ。

 

「そして緑谷と爆豪、志村がチーム。で、相手は」

 

 思わず顔を見合わせ、そして私に向く2人。びっくりだよね。そして、ずいっと現れる大男。

 

「私だ! 協力して勝ちに来いよ!」

 

 はい、オールマイトですね。知ってた。まあ、そういう風に仕向けようかとも思ったけど、必要なかったね。

 

 そりゃあもうオールマイト大張り切りだろうね。弟子と師匠の孫が相手だもん。この場合爆豪くんがおまけと化すのがちょっと面白い。爆豪くん、そういう事情知らないけど。

 

 ちなみにオールマイトは私の体のことは知っているけど、期末試験のときだけは忘れさせている。じゃないと変に手加減しそうだし。

 

 それに体重の半分の重り、150kgぐらいかな? ハンデとして身につけるのもハンデになっているんだか。だってオールマイトにとって成人男性2人ぐらい担いで走り回るなんて普通のことじゃん? はっきり言ってこっちより走るの速いだろ。

 

 さて、面倒なのは爆豪くんだ。ちょっと前に出久くん、轟くんとセットでぶっ殺す宣言されてるし。私と轟くんの場合、雄英祭の決勝で戦えなかったのを引きずってるんだろうけど、演習で何度か戦ってるんだけどね。ちなみに戦績は1勝1敗なので白黒ついていない。でも流石に私の実力は嫌々認めているはず。なので私とは一応? 協力できると思う。私の言うことは聞かないだろうけどね。協力ってなんだっけ? だからこっちで合わせるしかないわけだ。この辺、いつも連んでいる瀬呂くんとか上鳴くんならうまいこと誘導できるだろうけど、あいにくキャラが違う。

 

 更に問題は出久くんと爆豪くんの関係だ。なにしろ仲の悪さでペアを組まされている前代未聞の事例だ。最終的に和解できたのかこいつら、ってぐらいには仲が悪い。つまり、私はこの2人の間を取り持ちつつオールマイトと戦わなければならないわけだ。面倒くせえ。

 

 しかも出久くんは出久くんでオールマイト相手だと及び腰になるし。周りがピンチにならないとダメなのか? まあ、この頃だとまだ仕方ないのかなぁ。

 

 しかしまあなんだ、ここだけ難易度がおかしいぞ。

 

 難易度:オールマイトの期末試験の始まりである。




Q.常夜って爆豪のこと嫌いなの?

A.嫌いじゃないしむしろ好きなぐらいだけど、ただ見てるだけならともかく直接交流するとなると面倒くさすぎる。面倒くさいの擬人化か? もしくは個性『面倒くさい』でも持ってんの? ぐらいに思ってます。
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