キノコのほうしを目指して   作:野傘

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注意!
当作品には独自展開、独自解釈、設定捏造、キャラ崩壊が多分に含まれています。
上記の要素が苦手な方はご注意ください。
また、今話には半公式ですが擬人化要素も含まれます。そちらについても苦手な方はご注意ください。


蕈竜相逢

 う、うーん……ハッ!

 

 瞼を貫く強い光で目が覚めた。眼を開けると抜けるような太陽の光が目に入り、吾輩は眩しさで思わず目を(しばだた)かせる。

 

 うおっ、眩しっ。

 

 やがて光に目が慣れ徐々に視界がハッキリしてくると、そこで見えたのは広がる芝とテレビ塔らしき大きな鉄塔。目を動かして確認すれば、遠くには転落防止用の鉄柵が見え、さらにその向こうにはどこまでも続くホウエンの景色が広がっていた。

 

 どうやら吾輩はどこかの建物の屋上にいるらしい。

 

 はて、ここは何処であろうか?

 

 自身の居る場所を自覚し、頭を捻る吾輩。

 吾輩は確か地下空間より脱出しようとして、何やら天高く打ち上げられた筈であったが……。

 

 と、そこまで考えたところ、ふと吾輩の頭上に影が差す。

 

 一体何であろうか、と上を見上げてみるとそこにあったのは――

 

『あ、起きた!』

 

 こちらを覗き込む、人間の少女の顔であった。

 

 ……美しい少女だ。人形と見まごうほどに整った顔立ちに、喜色を浮かべこちらを覗き込む黄金の瞳。鮮やかな緋色の髪は長く伸ばされ、二つ結いにしている。特徴的なのはこめかみ辺りから後ろに跳ねた独特なくせ毛であろうか。両側頭部からぴょこりと伸びるそれは、さながら羽のようにも見えた。

 少女の顔と角度から、吾輩はどうやら座った彼女の膝の上に載せられているらしい。

 

 ……ふむ、状況から察するにもしやこの少女が吾輩のことを助けてくれたのであろうか。

 

『うん、そうだよー。いきなり空に撃ち上がってきてびっくりしたけど、でも落ちちゃったら大変だって思って慌ててキャッチしたんだ』

 

 ほう、そうであったか。

 

『そうそう。それでいざキャッチしてみたら、またまたびっくり体中ボロボロなんだもの。だから大急ぎで傷を治したんだけど――大丈夫? 痛いところはない?』

 

 うむ、大事ない。特に痛みもなく、すこぶる快調である。

 

『そっかー。よかったあ、急いで治したからどこか治っていないところがないか心配だったんだあ』

 

 特に問題はない、という吾輩からの返答にホッと胸を撫で下ろす少女。

 

 しかし、この少女は転落から救ってくれただけでなく、吾輩に治療まで施してくれたのか。まさしく命の恩人だな、これ以上なく感謝せねばなるまい。

 

『えへへへ~。いやあ、それほどでも~』

 

 吾輩が自らの命を救ってくれたことに感謝の念を表せば、少女は照れくさそうに"にへら"とほほ笑む。そんな表情でさえ絵になるのは、彼女が最上級の美貌を持つが故だろう。

 

『――そういえば』

 

 と、そこで少女が吾輩に疑問を投げた。

 

『あなた、飛べないのにどうして空に撃ち上がったりなんてしたの?』

 

 問いかけられた彼女の疑問。

 それは何故、飛べもしない吾輩が空に撃ち上がったのか、というもの。そんな彼女の疑問に、吾輩はこれまでの経緯とついでに今まで歩んだ旅路のあれこれを話すことで応えてやる。

 

 "トウカのもり"で生まれたこと*1。種の誇りのために"キノコのほうし"を会得せんと旅に出たこと。途中で出会ったバンダナ少女と友情を結び、再会を約して別れたこと。"いしのどうくつ"にて偶然襲われていたポケモンを助け、なんやかんやあって地下世界の王国を救うべく戦う羽目になったこと。いざ、地下から脱出したと思ったらコイルたちに捕まってしまい、再び脱出することとなったこと――などなど。

 

 吾輩が経験した冒険話に、少女は真剣に耳を傾け、時に驚き、時に笑い、時にハラハラと実に豊富なリアクションを見せてくれた。そんな彼女の反応に気を良くし、吾輩もついつい饒舌に語ってしまった。

 

『ほええ~。あなた、何だか凄い冒険をしてきたんだねえ。――いいな~。羨ましいな~。わたしもいつか旅とかしてみたいな~』

 

 吾輩の話を聞き終え、羨まし気な口調でそう言う少女。

 

 ふむ、"いつか"、か……。旅に出たいというのなら、別に出るのはいつでも構わんと思うが……。冒険譚を聞いた際の何やら羨まし気な様子といい、彼女には何か旅に出られぬ事情があるのだろうか。

 

『うん。お兄ちゃんがね、危ないからダメだって』

 

 身内の反対であったか。なるほど確かにそれは厄介だな。

 

『そうなの! でもお兄ちゃんったら、ズルいんだよ! わたしには危ないから外に出る時は一緒じゃなきゃダメって言う割に、自分は一人だけでホイホイお出かけしてるの!』

 

 ふむ、それだけ聞けば確かに理不尽だ。

 兄にその理由は問うてみたのか?

 

『うん、聞いたよ。そしたら、自分はいざという時の身の振り方を心得てるから大丈夫、でもわたしはまだ未熟で何かあったら大変だから……だって。もー、わたしだってもう一人前なのに。お兄ちゃんは過保護なんだよ』

 

 そう言って少女は口をとがらせる。

 ……何であろうか、ついこの間似たようなことに遭遇した気がする。脳裏に某地下世界の姫のことをちらつかせながら、年頃の娘というものはどこの世界でも変わらないということだろうか、と思う吾輩。

 

『だから、コッソリ抜け出してやったの』

 

 おまけにその後の行動までそっくりときたか。

 

 彼女曰く、自身が一人でも外でちゃんとやれることを証明するため、ここ最近、こうして兄の目を盗んで街へと繰り出しているのだという。

 

 ふむ……"ここ最近"ということは、少なくとも数回は外に出ているという訳か。その間、危うい目には遭わなかったのだろうか。

 

『ちっとも! わたしは一人前だからね、その辺りも抜かりはないのです!』

 

 そう言って自慢気に胸を張る少女。そのしたり顔はやはり吾輩にどこぞの姫を思い出させた。

 

 ……まあ、この少女は生粋の箱入りであったお転婆姫とは違い、それなりにはやれるようだ。ならば別に心配することはないだろう。それに"外"とはいっても人間の街ならば、危険というものもたかが知れている。

 特にこの少女は()()()()()()()()()()()()()()()しな。これほどの()()()()ならば人間相手にそうそうバレることもあるまい。

 

『えっへへへ~。そうでしょ、そうでしょ………………ひゅあ!?』

 

 吾輩から称賛を受けて得意気な様子の少女だった――が、その意味するところを理解した途端、分かり易く挙動不審となる。

 

『ナナナナ、ナンノコトカナー。ワタシハミテノトオリニンゲンデスヨー』

 

 目を左右にきょろきょろ、どう見ても動揺しきった状態で白を切る少女。

 

 ……いくら何でも誤魔化すのが下手過ぎる。これではほぼ自白しているのと同じではないか。

 

 さて、あらためて言っておこう。吾輩を助けたこの少女は人間ではない。人間そっくりに擬態したポケモンである。会話の最中に何となく怪しいと思いこうしてカマをかけてみたのだが、見事に引っかかってくれたようだ。

 

『えーと……えーと……。うぅ……バレてないと思ったのに……』

 

 それでも何とか誤魔化そうとしていた少女であったが、どうあっても誤魔化せないと気が付いたか、観念したようにそう呟く。

 

『……それで、一体いつから気が付いてたの?』

 

 まあ、割と最初からだな。ポケモンである吾輩相手に素で話しかけてきたことが疑念の始まりだ。それだけならばポケモンと会話できる人間の超能力者……という可能性もあったが、貴様には明らかに人間では不自然な点があった。

 

『それってどんな?』

 

 ふむ、まずは貴様の目だ。先ほどから見ていたが、貴様は極端にまばたきが少ない。人間は通常、1分間に15回~20回まばたきを行うのだが、貴様の場合、そもそも表情を作る時以外にほとんど瞼を動かしてすらいなかった。

 次は呼吸音だ。精神感応(テレパシー)での会話に口の動きを合わせることで誤魔化している所為なのだろうが、人間ならば音声を発する際に必ず伴う筈の呼気の音が全くなかった。

 そして最後に、"匂い"だな。現代文明の中で生きる人間の匂いには必ず、体を洗う際に使用する洗料や衣服に付着した香料など、化学製品の匂いが混じっている。しかし、貴様にはそういった化学製品の匂いが一切しない。見た目清潔そうで、さらに衣服を身に纏っているにも関わらず、だ。

 こうした点を総合した結果、貴様が人間ではなくポケモン——それもトレーナーの手持ちではない野生のポケモンであると結論付けた訳である。

 

 と、吾輩がそう語ってやれば、少女はむむむ、と眉を顰める。

 

『むう……。「まばたき」と「呼吸」と「匂い」かあ……、それは盲点だったなあ……』

 

 自身の擬態の粗を指摘され、唸る少女。

 だが、裏を返せばそれ以外はほぼ完ぺきであったとも言える。それにその粗とて、ここまでの至近距離でそれなりの時間をかけて観察しなければとても気付けなかっただろう。鋭敏な感覚を持つ吾輩らポケモンですら"これ"なのだ。人間ではまず間違いなく、彼女がポケモンと気付くことは不可能であろう。

 

 何やら難しい顔をしていた少女に吾輩がそうフォローしてやると、彼女は苦笑し、

 

『あはは……。でも、そうだね。それに改善点が見つかったなら、それを何とか出来ればもっと精度が上がるってことだから……むしろ今あなたに気付かれて良かったのかも』

 

 と、何やら納得したようにコクコクと頷く。

 そこで彼女は、あっ! と何か気が付いたように声を漏らし、次に両手を合わせ、懇願するようにこう言った。

 

『そうだ! 人間さんにわたしがポケモンだってことは言いふらさないでね! お願い!』

 

 いや、別に言いふらさんが。貴様のことを言いふらしたところで吾輩には何のメリットも無かろうが。それにそもそも吾輩らキノココは人間と言語コミュニケーションが取れん、言いふらそうにも言いふらしようがない。

 

 と、吾輩が少女の心配が杞憂であることを告げると、少女はそれもそうかと納得の表情。

 

『そっか。そう言えばわたしみたいな人間とお話できるポケモンって少ないんだっけ』

 

 その通りである。

 しかしそう言うということは、この少女は人間と会話可能な種族なのか。

 

 吾輩は自身が"人間とお話できるポケモン"だという少女の正体に考えを巡らせる。

   

 ――人間と意志疎通すること自体は基本的にどのようなポケモンでも可能だ。そうでなくてはトレーナーから指示を受けてそれに従って行動することなど出来ん。また一部のポケモンには精神感応を通じて人間と感情を通ずる者も存在するという。

 だが、人間の言語を理解した上で"会話"が可能なポケモンとなると相当に限られてくるだろう。

 

 それこそ人間たちの間で『伝説』と称されるような――

 

『そうだよ?』

 

 

 

 ……え?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 半ば空想染みた吾輩の考察、少女はそれをあっさりと肯定する。

 

『あなたにだったら別に見せてもいっか』

 

 状況が呑み込めず目を白黒させる吾輩を連れ、少女がやってきたのは人気のない資材倉庫のような場所。周囲に人の目が存在しないことを確認した彼女は吾輩の正面に立つと、スッと目を閉じる。

 

 ――!

 

 瞬間、少女が光に包まれる。

 頭頂からつま先まで、身に着けていた衣服さえも揺らめく光へと変じ、辛うじて人型のシルエットだけが分かる状態となった少女。次の瞬間、そのシルエットさえも崩れていき、その姿形を変えていく。

 長くまっすぐ伸びた首、背部から生えた一対の滑空翼。足はちいさいヒレのような形状に。腕も細く短い、折り畳めるような形へと。シルエットから読み取れる特徴は明らかに飛翔を得意とする生物のソレ。しかし鳥ポケモンとは明らかに異なるその姿は、どこか音速で飛行する航空機の様にも、水中を泳ぐ海洋生物のようにも見えた。

 やがて光が晴れれば、そこに居たのは一匹の優美なポケモン。

 

 果たして全身を紅白のきめ細かな羽毛に覆われたその姿を、吾輩は前世の知識にて知り及んでいた。

 

 なるほど『ラティアス』、か。

 

 "むげんポケモン"ラティアス。ドラゴン・エスパー属性(タイプ)を持つ、前世のおいて『伝説』と称されたポケモンの一匹。

 ――『伝説のポケモン』というのは稀少だ。それこそ超という言葉がいくつあっても足らんほどに。この世界の事情を良く知らん吾輩ではあるが、前世の記憶に残る『伝説のポケモン』の扱いから、その程度のことは容易に想像がつく。そんな稀少な存在を目の当たりしたのだ、吾輩は割とびっくり仰天していた。

 

『えっへへー! どう? これがわたしのほんとの姿だよ!』

 

 そう言って吾輩の前で得意気に宙でクルリと一回転してみせる少女――ラティアス。吾輩は初めて目の当たりにした『伝説のポケモン』の姿をしげしげと眺め、思わず唸る。

 

 うーむ……まさか本当に『伝説のポケモン』だったとは。

 

 記憶によれば彼女らの種族は人の言葉を解する高い知能と、ガラスのような羽毛で光を屈折させその姿を変える能力を持つという。先ほどの人間の少女の姿も、その能力で以って擬態したものだったのだろう。

 が、そこで吾輩はふと思う。先ほどまでの少女の姿……果たしてアレは本当に姿を変えただけのものなのか、と。"むげんポケモン"はその羽毛によって光を屈折させ姿を変える能力を持つと言うが、その理屈で言えば変えられるのは見た目だけ。元となる姿形は変わらず、必然的に触れた感触などは元のままの筈なのだが、しかし先ほど少女の姿で膝に載せられていた際に吾輩の感じた感触や体温は明らかに人間のソレであった。

 

 単なる光の屈折では説明の付かぬ彼女の超精度の擬態。疑問に思った吾輩が、一体いかなる代物なのかと問えば、ラティアスは得意げな表情でその絡繰りを教えてくれた。

 

『んふふ~♪ それはね~』

 

 彼女曰く、察しの通りあれは単なる光の屈折を利用した虚像ではなく、何でもエスパーの力を利用した作った着ぐるみのようなものだそうだ。

 メカニズムとしては、まず光の屈折を利用して人の姿を作り出し、次に"サイコキネシス"で人の形に合わせるよう力場を展開。そうして展開した力場にポケモン共通の身体縮小能力を利用して本体を潜り込ませ、動きを操作することによって疑似的な身体を形成するのだという。後は"ほのお"の属性(タイプ)エネルギーを用いて体温などを再現してやれば、傍目には人と変わらぬ実体が出来上がるそうだ。

 

 なるほど。"わざ"を複数組み合わせることで、あたかもそこに人が存在するように見せかけている……つまりは触れられる立体映像のようなものを纏っているという訳か。

 しかし、人型に合わせて"サイコキネシス"を展開して触感を再現するとは……。彼女は簡単そうに言うがハッキリいってとんでもない。展開した力場を人間の身体の動きに合わせて操作し続けるなど、一体どれだけ緻密な力のコントロールが必要となるやら。しかもただ歩くだけではない、走る跳ぶ座るしゃがむ……凡そ人間が取るであろうあらゆる動作をごく自然に再現しなくてはならないのだ。

 恐ろしいことに彼女はそれを軽々とやってのけている。しかも"ほのお"属性(タイプ)の技で体温まで再現するというおまけ付きで。何というか、本当に化け物(モンスター)染みた処理能力だ。エスパー由来の演算能力とドラゴン由来の地力、そして『伝説のポケモン』という極めて高い種族的ポテンシャルが合わさってようやく成せる、まさしく絶技といえよう。

 

『ふっふっふ~♪ すごいでしょ~? 実はこれ、同族(むげんポケモン)の中でもわたししか出来ない特技なんだよ』

 

 そう言って再び体を光で包み、次の瞬間またあの少女の姿となるラティアス。

 

 なんと! かの種族の中でも貴様にしか出来んとは驚いた。いやはや、何とも凄まじい。それほどの絶技を軽々と熟すとは、まさしく不世出の天才という訳か。

 

 彼女の持つ『伝説のポケモン』という特別な種族にあってなお際立つ才能に、吾輩は惜しみない称賛を送った。

 

『でへへへへへへ~♪ いやあ~♪ それほどでも……あるかな〜♪』

 

 溢れんばかりの称賛を浴びて、これ以上ないほど上機嫌な様子のラティアス。

 締まりのない緩み切ったそのニヤけ顔は、しかしやはり美しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、おだてられ褒めそやされてすっかり気分を良くしたラティアスは、自らの正体を見破った褒美として吾輩にこの街を案内してやるという。吾輩としても特に断る理由はなし、ありがたく案内されることとした。

 

 『明るく輝く楽しい街』キンセツシティ。それがこの街の名前だ。資材倉庫を出た吾輩たちは広々としたアーケード街を散策する。アーケード街にはあちらこちらに商業施設が立ち並び、多くの人で賑わっていた。

 屋内とは思えんほど広々とした空間に、ほうと驚きの声を上げる吾輩。そんな吾輩の様子をクスクスと笑いながら、ラティアスはつらつらと街のことを教えてくれた。彼女曰く、この街そのものが1つの巨大なビルディングなんだとか。俄かには信じがたい話であったが、アーケードの一角に展示された町全体の模型を見せられれば信じざるを得ない。いやはや、何とも驚くべき技術力である。

 今世世界の人類が持つ、前世を凌駕した技術力に舌を巻く吾輩。と、そんな吾輩の鼻腔に何とも言えぬよい香りが漂ってくる。

 

 ん? この香りは……?

 

 スンスンと嗅いでみれば、鼻一杯に広がったのは甘い甘い菓子の香り。どうやらアーケードの一角、クレープ屋であろう店から生地の焼ける甘い香りが漂ってきているようだ。

 前世以来久しく嗅いでいなかった甘い菓子の香りに、何とも懐かしい気分となる吾輩。と、同時に思う。

 

 いや、良い香りだ。やはり、人間という種族の美食に掛ける思いというのはつくづく凄まじい。

 

 こうしてポケモン(人ならざるもの)となってあらためて気がつく。人間という種族は本当に旨い飯を食べるために情熱を注いでいるな、と。

 野に生まれ、大自然の理の元生きる吾輩たちポケモンにとって、食糧とは即ち食べられる状態にあるもののことだ。手に入れた食糧を食べやすいよう加工したり、貯蔵・保存したりすることはあっても、これほどまでに複雑な工程を経て"調理"をすることなど考えはしない。吾輩らポケモンが知能において人間とそれ程遜色ない……あるいは一部凌駕する種族が存在するにも関わらず、だ。

 恐らくだが、これは吾輩らポケモンという種族が人間と比べて遥かに"強い"ことが原因だろう。吾輩らのもつ"わざ"などの半ば本能に根差した力を駆使すれば、自然界において十全に生きていくことができる。故にどれだけ高い知能を持つポケモンであろうとも、生きる以上のものを求めることは無いのだ。

 だが人間は違う。彼らはポケモンと比べ遥かに脆弱だ。知恵を駆使し、道具を使って対抗せねば自然界を生きていくこともままならん。だからこそ、彼らは常に身の丈以上を求める。

 生存欲求に根ざした果てなしの欲望。それこそが人間という種族の特異性、人間に文明をもたらした原動力だ。その果てに彼らはこの星の生存競争に打ち勝ち、(あまつさ)え母なる自然そのものを作り変える業すら獲得した。それが良いことか悪いことかは分からぬが、少なくとも彼らはそうして生き延びてきた種族なのだ。その歩みの軌跡は誰にも否定は出来んだろう。

 

 と、まあ、料理の一つからこんな益体のないことを考えていた吾輩であったが、ここでふと隣に立つラティアスが先程より妙に静かであることに気がつく。

 はて。先程まで賑やかすぎるほどに賑やかであった筈だが、一体どうしたというのか。そう思って吾輩がチラリと彼女を見上げて見ると。

 

 ――じいいいぃぃぃぃぃぃぃ……。

 

 見ていた。

 滅茶苦茶真剣にクレープ屋を見ていた。

 

 サンプルが並べられたショーケースを穴が空くほど見つめるラティアス。その表情は真剣そのもの。ギラつく目付きはさながら獲物を前にした捕食者のソレを思わせる。

 よくよく見れば彼女の口の端から、少し涎が垂れているのが見えた。

 

 まさか……いや、これはどこからどう見ても……

 

 ————食べたいのか?

 

『……ひゅあっ!?』

 

 集中していたところに話しかけられ驚いたのか、ひゅあとおかしな悲鳴を上げるラティアス。

 

『べべべべ、別にー! 全然ー! 食べたいなー何てー! これっぽっちもー! 思っておりませんよー!』

 

 吾輩から問いに物凄い早口で"否"と返す彼女であったが、視線は変わらずクレープ屋へ釘付け、全くと言ってよいほど説得力が無い。

 

 ――ぐぎゅるるる……

『あ……』 

 

 そして鳴る腹の虫。口では何と言おうとも、彼女の身体は正直だった。

 

 ……別に吾輩相手に誤魔化す必要もなかろう。食べたければ素直に食べたいと言えばよいだろうに。

 

 吾輩がそう言ってやれば、ラティアスは何やら眉を八の字にし――

 

『うぐ……。うう……だって、わたしお金持ってないし……』

 

 そう口をとがらせ、拗ねたように言う。どうやら彼女には以前、空腹であったためクレープを食べようとしたところ、購入には金銭が必要と知らず、結局食べることができなかったという苦い経験があるらしい。

 そんなラティアスの話を聞き、吾輩は少し驚く。彼女は野生ポケモンであるにも関わらず金銭の概念を理解しているのか、と。

 

『むう、何だか馬鹿にされている気がする……』

 

 いや、別に馬鹿にしている訳ではない。逆に凄いと褒めているのだ。日々の糧を己が手で得ることが常識の野生ポケモンにとって、金銭を媒介とした価値交換というのは中々に理解しがたい観念だ。それを理解し、かつ人間の社会常識を尊重して力づくで奪うという選択を取らなかった……という点で彼女はとても冷静で頭が良いと言えるだろう。

 こと、人間というのは自らの定めたルールを破る者を酷く嫌う種族だ。例えそれが一方的なものであろうとも、従わない者に対して攻撃性を発揮し、はては排除しようとさえする。無論、野生ポケモンにとってはそんなこと知ったことではない……のだが、それが原因で人間とトラブルになることも少なくはない。その点、彼女の人間の社会常識を知った上でそれを尊重するという姿勢は、人に擬態し社会に紛れ込む上で極めて重要な能力と言えよう。

 

『ええ、と。褒められてる、のかな……?』

 

 擬態だけではない、彼女の人間社会へ溶け込む優れた能力に感心する吾輩。尤も、当の彼女はといえばどう反応していいものやらと少し困惑しているようだったが。

 

 ————ふむ……そういったことならば。

 

 吾輩はまだ、彼女に命を助けられた恩を返しておらん。ならばここは受けた恩に報いるべく、吾輩が一肌脱ぐとしよう。

 

 幸いにしてここはそれなりの大きさの街、多少の金銭ならばあの方法を使えば稼げよう。とは言えそのためにはラティアスの協力が不可欠。と、吾輩は早速ラティアスに話を持ちかける。

 

 ラティアスよ。貴様はあのクレープが食べたいのだろう? ならば吾輩に少々策がある。協力してくれぬか?

 

『……"協力"? うん、別にいいけど……。一体、どうするの?』

 

 そう言って不思議そうな表情を浮かべる彼女に吾輩は、耳を近づけその策を話してやるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

 

 

 

  

「うりうり~。ここか? ここがええんか?」

 ――グマーン……♪

 

 キンセツシティの中庭。吹き抜けとなったその場所で、マッスグマと戯れる一人の男がいた。

 男はキンセツシティ内のとあるオフィスに勤務するサラリーマンだ。時刻は昼時、既に昼食を済ませた男は午後の始業時間まで相棒相手に暇をつぶしているのだった。

 

『ねね! そこの人!』

「はい?」 

 

 と、そんな男に背後から声を掛ける者がいた。振り返ってみれば、そこにあったのは緋色の髪を二つ結いにした見目麗しい少女の姿。少女の腕の中には彼女の手持ちだろうか、リボンバンダナをスカーフ状に巻き付けた一匹のキノココが収まっている。

 容姿端麗な美少女と何ともいえない表情のキノココという奇妙な組み合わせに、ポカンと口を開ける男。

 

『? おーい? 聞こえてるー?』

「――はっ! おおっと、これは失敬。すまないね、ちょっとぼんやりしていたよ。――それで、僕に一体何の用かな?」

 

 そんな男に再度少女が声を掛けると男はようやく意識を取り戻し、げふんげふんと咳払い。あらためて何の用事かと尋ねる。

 

『うん。ええっとね、あなたってポケモントレーナーだよね? よかったら、この子とバトルして欲しいなって』

 

 少女が言った内容。それはトレーナー同士のバトルの誘い。

 

『この子、もっともーっと強くなりたいらしくて、バトルの相手を探していたの。それであなたのマッスグマが結構強そうだから、ぜひバトルがしてみたいっていって、だから声を掛けたの』

 

 それで一戦、どうかな? と問う少女に、男はしばし思案する。

 

(へえ、バトルのお誘いとはね。……この辺りじゃ見ないポケモンを連れてるし、旅のトレーナーなのかな?)

 

 連れているポケモンがこの辺りでは見ないキノココであることから、少女が旅のトレーナーであると結論付ける男。

 

(時間は……大丈夫そうか)

 

 チラリと時計を確認すると、午後の始業までまだ時間がある。一試合程度なら問題ないだろう。それにここ最近、仕事が忙しくて中々手持ちを運動させてやれていない。彼らの気晴らしにも丁度いいだろう。

 と、そう考えて、男は少女からの誘いを受けることにした。

 

「うん、いいとも。目と目があったらポケモンバトル。勝負を挑まれたらお相手するのがトレーナーの礼儀だしね」

 

 男からの承諾の返事に目を輝かせて喜ぶ少女。

 

『本当!? よかった~、断られたらどうしようかと思ったよ~。――よかったね、バトルしてくれるって!』

 

 そう少女が腕の中のキノココに言えば、キノココも返事をするかのように一声鳴く。自らの手持ちと信頼関係を築くのはトレーナーとしての基本。どうやら目の前の少女は、それをしっかり踏まえているようだ。年若いのに感心である、と男は頷いた。

 

 

 

 さて、街中に設られたバトルコートへと移動した二人。コートの片側に立つや否や、男は早速腰元よりボールを投げ放ち自身の自慢の相棒を繰り出す。

 

「行け! マッスグマ!」

 ――シャー!

 

 鳴き声と共に飛び出したのは男の相棒――"とっしんポケモン"マッスグマ。久方ぶりのバトルに意気軒昂とした様子で戦闘の構えをとる。

 

『じゃあ、お願い!』

 

 対するは、少女の掛け声と共にその腕から飛び降りてきたキノココ。見かけによらず軽やかな着地を決めると、泰然とした様子で対戦相手を見据える。

 

 バトルコートにて視線を交わす両者。高まる闘志をぶつけ合わせ、二匹の間に火花が散った。

 

「――マッスグマ、"すてみタックル"だ!」

 

 先手を取ったのはマッスグマ。トレーナーから指示が飛ぶや凄まじい速さで走り出す。しなやかな四肢が大地を削り、その体を爆発的に加速させる。

 マッスグマの走る速さはおよそ時速100キロ。直線限定とはいえ、地を駆けるポケモンでホウエンにこれを超える速度を持つ者はそういない。その分、小回りが利かず一度避けられれば大きな隙を晒すという弱点もあるが、そもこれほどの速度で迫る相手から瞬時に避けられる相手などほとんどいない。

 開幕から最大火力の一撃で敵を吹き飛ばす。これこそが男とマッスグマの最も得意とする型。男はこの戦法を駆使し、かつて4つのジムバッジを獲得したのだ。

 

(悪いけど、この一撃で終わらせてもらうよ)

 

 見れば少女は超高速で突進するマッスグマに驚き、自らの手持ち(キノココ)に指示を出していない様子。その素人臭い動きに男は少女がまだ旅を始めたばかりの初心者トレーナーだと見当をつける。

 駆け出し相手に遠慮のない最強攻撃は少々大人げないかとも思うが、もっと強くなりたいと言っていたのは彼女だ。ならば遠慮は無用。強さを求めるトレーナーに手加減など失礼、全力で以って相手をするのがトレーナーとしての礼儀だ。

 

(さあ、いくよマッスグマ。先達として、勝負の厳しさってものを教えてあげよう)

 

 と、まあ、こんなことを考えていた男だったが、残念ながら彼はどうしようもなく勘違いしていた。なるほど、確かに相対した少女がポケモンバトルの素人であることは確かだ。何せ、彼女はトレーナーどころか人間ですらないのだから、当然の如くバトル中にポケモンへと指示を出すことなぞ出来る訳がなかった。

 間違いだったのは、彼がその原因を少女のトレーナーとしての腕の未熟さ、と捉えたことだ。その結果、彼は常識としてそのような未熟なトレーナーに付き従うポケモンもまた未熟で――言ってしまえば雑魚であると考えてしまった。

 まあ、無理も無い。何せキノココは進化前のポケモン、ぱっと見それほど強くは見えない。そして手持ちポケモンの実力というのは、おおむねトレーナーの実力に比例する。時に自身の技量を大きく超える能力を持ったポケモンを所持するトレーナーもいるが、そういった手合いはポケモンの側が碌に指示を聞かず、バトルにならないことが大抵だ。そういった理由から、彼が相対したキノココの実力を見誤るのも仕方のないことと言えよう。

 

 彼は知らない。目の前のキノココが単なるキノココでないことを。

 彼は知らない。このキノココが日夜喧嘩に明け暮れた生粋の修行バカだということを。

 彼は知らない。このバカ(キノココ)がトレーナーの指示なしに、幾度も鉄火場を乗り越えて来た(ツワモノ)であるということを。

 

 瞬く間に彼我の距離を詰めるマッスグマ。彼はキノココを自らの射程に捕らえると同時に地面を強く踏み込み、体ごとぶつかっていく。

 

 ――捨身烈衝(すてみタックル)

 

 自身の身を省みない全霊のとっしん。その一撃は真面に当たればただでは済まないだろう。そう――

 

 ――!?

 

 ()()()()()()()

 捨身烈衝(すてみタックル)がキノココに繰り出された刹那、マッスグマの体がガクリと揺れる。その原因は彼の足先――絡みついた草が彼の足をひっかけたのだ。

 

 ――草結圏套(くさむすび)

 

 バランスを崩し、走って来た勢いのまま中空へと投げ出されるマッスグマ。そしてその致命的な隙を見逃すキノココではなかった。

 

 ――(フン)ッ!

 

 短い脚を振り上げ、震脚。気合と共に練り上げた生体エネルギーを属性(タイプ)エネルギーへと変換し、相対する敵に渾身の一撃を繰り出す。

 

 纏うは"かくとう"。

 帯びるは吸精(ドレイン)

 繰り出されるは――

 

 

 ――吸 精 突 撃(ドレインタックル)

 

 

 経穴(きゅうしょ)を穿つ、必殺の一撃。

 

 投げ出され、無防備となったマッスグマの土手っ腹に叩き込まれた、弱点属性(タイプ)の一撃。それはまさしくマッスグマにとっての致命の一撃となる。

 守りの薄い腹部という急所を的確に穿たれ、途方もないダメージを負ったマッスグマ。彼は勢いを殺せぬまま、地面へともんどりを打って転がり……そのままピクリとも動かなくなった("ひんし"状態となった)

 

「んな……」

 

 信頼する相棒が未進化ポケモンを相手にただの一撃で沈んだ。目の前で起こった状況が信じられず、男はポカンと口を空けて倒れ伏した(ひんし状態の)相棒を見ながら立ち尽くすばかりであった。

 

 そんな男を尻目に、コートの反対側ではバトルに勝利した少女とキノココがハイタッチを交わす。

 

『やった! 本当に勝つなんて、あなたすごいのね!』

 

 自らの手持ちポケモンに『すごいすごい』とはしゃいだ様子で話しかける少女。

 

『え、それ本当? ……うん、分かった』

 

 と、そこで少女は何やら会話するかの如く二言、三言呟くと、スタスタとバトルコートを横切り、反対側でぼんやりと突っ立っていた男の元へと向かう。

 

『えーと、今回のバトルはわたしたちが勝った訳だから――』

 

 そして彼女は駆け出しに敗北したショックで茫然と立ち尽くす男に話しかけ――

 

 

 

 

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『んー! あまーい!』

 

 出来たてのクレープを一口齧りながら、ラティアスがそう満足気な声を漏らす。念願の叶って食せたクレープはどうやらお気に召したようである。吾輩としても一肌脱いだ甲斐があったというものだ。

 

 さて、何故文無しであったラティアスがこうしてクレープを味わえているのか。その答えは単純明快、吾輩らが先のバトルに勝利したからである。

 この地方には旅のトレーナーとバトルしたら、バトル後に腕試しの礼として懐が痛まぬ程度の金銭を対戦相手に渡すという風習がある。これは古来、成人の儀として相棒ポケモンと共に村々を巡ったという子供たちを支援するために、腕試しの対価という形で食糧や金銭を渡したことに由来するらしい。時代が変わった現代においてもこの風習は根強く残っており、今でも旅のトレーナーを相手に腕試しと称してバトルを仕掛け、バトル後に賞金として金銭を渡すものがかなり多いのだとか*2。吾輩らはその風習を利用させて貰った。

 即ち、擬態したラティアスをトレーナー、吾輩をその手持ちポケモンとしてトレーナーバトルを仕掛けたのだ。そして目論見通り、吾輩らのことを旅のトレーナーと思い込んで勝負を受けたトレーナーを粉砕、賞金をせしめてやったという訳である。

 

 最近ではバトル後の賞金を電子マネーでやり取りするのが主流らしいが、こうした野良バトルの賞金はまだまだ現金手渡しが主流。お蔭で吾輩らは金銭を手に入れることが出来たのであった。

 

 そうして手に入れたクレープを機嫌よくパクつきながら、ニコニコと笑みを浮かべるラティアス。

 

『ありがとうね! あなたのお蔭だよ!』

 

 弾ける笑顔で礼を言われ、吾輩は何ともむず痒い気分となる。

 

 何、吾輩は貴様に命を救われた身。この程度のこと礼を言われるほどでもない。それに吾輩もトレーナー戦という貴重な経験ができたのだ。むしろ礼を言うべきなのは吾輩の方だろう。

 

 そう吾輩が返せば、ラティアスは少し考える素振りを見せた後、にっこりと笑って、

 

『じゃあ、これはバトルのお礼ってことで。命を助けたお礼は……うん、わたしと友達になって、明日もまた遊ぶってことでどうかな?』

 

 と言った。

 

 ラティアスが望んだもの、それは吾輩と友誼を結ぶこと。……正直、命を救われた対価と考えればあまりにも安いが、しかしそれが彼女の望みとあれば是非もなし。それに短い時間であるが共に過ごす内に、吾輩は彼女のその屈託のない性格を気に入っていた。

 

 ……まあ、貴様がいいなら別にそれで構わんが。

 

『じゃあ、決まりだね! ――んふふふ♪ わたし、こうやってお友達が出来るのなんて初めてかも~♪』

 

 そう言って彼女を言葉を承諾すれば、ラティアスは花の咲くような笑みを浮かべて実に上機嫌な様子。そんな初めて友人(?)が出来たことに浮かれる彼女を、吾輩は微笑ましく見つめるのであった。

 

 

 

『あ、大変! もうこんな時間!』

 

 さて、しばらくご機嫌な様子であったラティアスであったが、ふと空を見上げると途端に焦った表情を浮かべる。何でもそろそろ兄が帰って来る頃合いらしく、自身も戻らなくてはマズいらしい。ならば、と急いでキンセツシティを出た吾輩ら。そのまま街はずれの人目に付かぬ場所へと移動し、そこでラティアスは擬態を解く。

 

『今日は本当にありがとうね! 街でこんなに楽しかったのは初めてだったよ!』

 

 いや、礼を言うのは吾輩の方だ。貴様のお蔭で随分と貴重な経験が出来た。

 

 互いに感謝を述べ合う吾輩ら。心によぎったのは一抹の寂しさ。楽しい時間はもう終わり、やはり気の合う友人と別れるのは寂しいものだ。されど――

 

『――それじゃあ……』

 

 うむ、それでは……

 

 今日はもうお別れ、でも明日になればまた会える。だからこそ再会に胸を膨らませ、笑顔でこう言うのだ。

 

 ――また、明日!

 

 と。

 

*1
吾輩が元人間の転生者であることは伏せた。説明が面倒であったし、特に言う必要も感じなかったからだ

*2
この辺りはバンダナ少女(ハルカ)から教わった




・ラティアス
 みんな大好き"むげんポケモン"。伝説のポケモンの一匹にして、数々の健全な青少年の性癖を破壊してきた魔性の存在。ポケモン二次創作界隈でも引っ張りだこの人気者である。
 前々話で飛んできたキノココに思わずリフレクターを貼った張本人。リフレクターに激突し、墜落していくキノココを何とか地面に激突する寸前でキャッチして救助し、爆発でボロボロだった彼を"いやしのはどう"で治療した。その後目覚めた彼に正体を見破られるも、紆余曲折を経て友誼を結ぶこととなる。
 普段はホウエン地方の秘境、南の孤島にて(ラティオス)と二匹で暮らしている。まだ若い個体であることもあってか体長は平均より小さい一方で、擬態について稀有な才能を持っており、その姿をほぼ人間と遜色ないレベルに変化させることが可能。この擬装は生物的な器官のみならず、センサー類にも作用するため、それこそデボンスコープのような専門の機械でも無ければ見破ることは不可能である。
 性格は非常に好奇心旺盛で割と食い意地が張っている。特に甘いものには目が無く、以前孤島を訪れた某御曹司から人間の菓子を分けて貰って以来その虜となっている。今回、住処である孤島をコッソリ抜け出しキンセツシティくんだりまでやって来たのも、元々人間に興味があったというのもあるが、半分くらいこれが原因だったり。
 ちなみに彼女が金銭などの人間社会について知識を持っているのはこの御曹司のお蔭。そして彼女が人間社会に興味を持つようになったのも御曹司の話を聞いたから。つまり大体御曹司の所為、まさに大誤算。
 拙作での擬態(擬人化)した容姿はポケスペのメイドラティアスを少し幼くしたイメージ。ポケスペといえばバトルフロンティア編~DP編の単行本の作者コメント部分にあったラティアスのイラストにやられた人も多い筈。作者もそーなの。
 コスプレラティアスには無限の可能性が秘められていると思うんだ(むげんポケモンだけに)。
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