---願わくば、どうか、"王様ランキング"がもっといろいろな人に読まれ、
愛されますように
KEY(ドS)
---その場所には、"地獄"が起きるはずだった。
黄金の器から漏れ出した”泥”が生きとし生けるものを飲み込み、
全てを燃やさんとする災厄へと。
本来の歴史であるならば、その際には黄金の王と、
機械を演じる傭兵と、愉悦に浸る破綻者と、
-----後悔ばかりの聖剣の担い手が、三者三様に
それに巻き込まれるはずだった。
「-------------Arrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr!!!!!!!」
「う、うわあああああああああああああ!!!??」
空には、天架ける牛馬を従える征服王が暴れ、眼前に立ち塞がるものを吹き飛ばし
「-------令呪をもって・・・命ずる・・・!!----バーサーカー!!!!
全力で"彼ら"をサポートしろ!!!」
「------------------!!!!」
マスターの命令によって黒の甲冑に身を包んだ騎士が、右手に携えた名剣で
"敵"を切り刻んでいく。
「------はぁっ!!!!!」
「・・・我ら何人消えようとも、最後までマスターと共に・・・!!」
殺人の拳を振るう"破綻していた神父"と、複数の暗殺者たちが
共に肩を並べて戦いに赴き
「----ランサー!!!ぐうっ・・・!!」
「マスター!!!」
水銀の礼装、"月霊髄液"を駆る負傷したケイネスと、
それを護らんと駆け寄るランサーが
「-----------フハハハハハハハハ!!!!
この程度の"泥"で、我を飲み込めるとでも思ったか!!!!!」
右手に至高の剣を起動させた黄金の王が、
その乖離剣から発する衝撃波によって、黒い津波を押し返す。
「------------」
「・・・・星の息吹よ・・・今一度その力を貸したまえ・・・!!
・・・"-----エクス・カリバー"!!!!!!」
星の光を放つ聖剣の騎士王が、あるべきもののために"最期の力"を振り絞る
-----征服王は"同盟者"のために
-----湖の騎士は"贖罪"のために
-----暗殺者は"マスターの願い"のために
-----槍の騎士は"騎士の誓い"のために
-----英雄王は"新たな愉悦"の征く末のために
-----騎士王は、"恩"を返すために
息を切らしながら、少年は走る。
少し力を加えれば折れてしまいそうな、とてもとても細いレイピアを
右手に、目的地に。
一歩でも多く、少しでも早く。
そこにたどり着くために。
『----ボッジ様!!!』
『ボッジ殿!!!』
『兄上!!!!』
「------いいいいっけええええええ!!!ボッジィィィィィィ!!!!」
「----------あう!!!!」
"彼"の、誰よりも大切な"ともだち"は彼の背中を押す。
これまでそうしてきたように、これからも。
彼らが彼らであり続ける限り。いつまでも。
------第四次聖杯戦争。
それは、各々が自分の"願い"をかなえる物語である。
話はエピローグよりも少し前にさかのぼる。
◆
「はあ~。今日も仕事かぁ。」
会社の呼び出しを受けて休日出勤をしていたら、いつの間にか夜に。
とぼとぼと帰路につきながら家に帰って何を食べようかを考える。
とはいっても、料理もできないし、総菜をスーパーで買うか、
どこか店で食うか、いっそカップ麺で済ますかぐらいしかないが。
我が人生、我ながら侘しいものである。
いつものように一人だけの家で、ご飯食べて、明日の仕事備えて、
寝て、また起きて・・・・。
想像したら泣けてきた。
(働きたくねぇ・・・・。・・・・ん?)
腹が減ったので、とりあえず先ほどコンビニで買った
ホットスナックが入った袋から食べ物を取り出して食べようとすると、
通りがかった公園で黒い何かがうごめいているのを見つけた。
夜の闇にまぎれ、それは目を凝らさないと見えないほどうまく溶け込んでおり、
すぐに視界から離れ、消え去ってしまう。
(なんだ?)
疑問に思ったことはすぐにどうでもよくなった。
--なぜなら、俺が大切に持っていたホットスナックが入ったレジ袋が、
いつの間にか背後から迫っていたその黒い何かに奪われたからである。
「あっ!!?・・・おいこらぁっ!!!」
「---やっべ!!」
空耳だろうが、誰かのそんな焦ったような声が聴こえるも
そんなのは重要じゃない。
俺の食べ物を奪ったであろう下手人をとっつかまえ、
楽しみにしていたホットスナックを味わうほうが一大事である。
しかし、勢いよく走り出したはいいものの、
まさかの短距離走ではなく、持久走。
一向に縮まない現状に心が折れそうになる。
だが、諦めてたまるか。あれは俺のモノだ。
精一杯息を切らして走り続けると、
潮の匂いが鼻につきはじめ、あれが港らしき場所に
向かっていることを知る。
(・・・・なんでこんなことのために、こんなところまで・・・
・・ああ・・・)
今日はなんて厄日だ。
◆
その日は何ともないありふれた一日だった。
陽はさんさんと降り注ぎ、雲が空を泳いではどこか遠くまで出かけ、
鳥たちはその翼で大空を駆け巡り、虫が鳴き声を響かせ、
人々は忙しく道を歩き、今日の一日を送るために働き続ける。
時刻は夜。陽は完全に沈む切、人々はそろそろ寝る時間にて、
某所の港にて、それらは対峙していた。
現代社会ではありえない恰好をした中世の騎士の恰好をした
金髪碧眼の美少女。両手で透明の"何かしら"をしっかりと握りしめ、
対面の黒子が印象的な槍を持つ美丈夫に斬りかかる。
「----はあっ!!!」
「---ふうううう!!!」
つばぜり合いなどというものでもなく、お互いの武器が接触した瞬間、
金属の甲高い音がガキィ、と鳴り響き、互いにはじかれる。
次いで、先手を取ったのは金髪の少女。
相手が槍を構えなおすより先に、男に再び袈裟切りを浴びせんと、
武器を振り下ろすも、ほんの少ししならせた槍によっていなされ、
体制を崩される。そこをもう一つの槍で突くと、わかっていたかのように、
自ら大きく更に身を崩すことで回避し、剣で槍を弾いた。
「・・・・・」
「・・・・・・」
お互いに警戒しながら相手を睨みつけるように注視し、
相手の一挙一動から目を離さないよう構える。
実力は拮抗しており、何かのきっかけがなければ
この均衡が崩れることもまた考え難い状況。
が、すぐにその何かはやってきた。
「-----------------双方、ひけい!!!!」
自らの真名を暴露しながら、それまで戦っていた両者の間に割って入り、
あまつさえ自分の軍門に下らないか提案とも言えない稚拙な勧誘をする男、
イスカンダル。
が、その覇気には一切の曇りなく、彼が王たる証拠となっていた。
提案を一蹴されても、全く気にせずに在り方が揺らがぬその姿に、
隣にいたマスター、ウェイバー・ベルベットはため息をつく。
そして、イスカンダルは雷鳴のごとき雄たけびを上げ、咆哮を轟かせる。
「-------聖杯に招かれし英霊は、今ここに集うがいい。なおも顔見せを怖じるような臆病者は、征服王イスカンダルの、侮蔑を免れるものと知れ!」
普通はこんなことを言われたところで、姿を見せる者など居はしない。
そう、普通であるならば。だが。
「-------------まさか、この我を差し置いて、
王を自称する者達がいるとはな。」
金色の粒子と共に、黄金の鎧を身にまとった一人の青年が、
電灯の上に姿を現した。
音もなく、何の予兆もなく、彼はそこに立っていた。
各々がその存在感に身をこわばらせ、緊張がほとばしる。
重圧感が辺りに漂い、息が苦しくなるような空気へと
変貌する。
「-----」
が、無言で彼は両腕を組んだ状態のまま片目を閉じて、
何かを見定めるように金髪の少女でもなく、
槍を携えた美丈夫でもなく、イスカンダルを名乗る
巨漢でもなく
----その奥にある、とある小さな人影を彼は"視た"。
「------っ。フハハハハハハハハ!!!!!」
気が狂ったかのように彼は笑い出し、愉快に、
けらけらと笑い続ける。
面白そうに、これ以上なく上機嫌に。
その様子を見た他の者達は当然、気がふれたのかという
突然のその英雄王の様子に、眉を顰める。
「なんだぁ?急に現れたと思ったら、突然笑い出しおって。
・・・で、一体どうしたというのだ?貴様も、
見たところ名のある英霊らしいが。」
「クックックック・・・・。いつもであれば、
我の名を知らぬと申すその不敬。
万死に値するが今日は機嫌がよい。
・・・その前に、もう一人。
いや、もう一人と"一体"にその姿を現させないとな。」
「・・・・何?」
「・・・・どういうことだ?」
金髪の美少女、セイバーと、槍を構えるランサーが
同じように疑問を呈する。
この場にいるのはセイバーの主人である銀髪の美女。
それを除けば後はサーヴァントと呼ばれる英霊たちのみ。
「----そら。」
黄金の王が右手を掲げると、彼の背後から大量の武器が姿を現し、
射出される。
その先にはコンテナが在り、着弾した武器が鉄の箱を容易に破壊していく。
隠れる場所などないと言わんばかりの雨あられの武器があらかた発射され、
辺りに粉塵と煙がもわりと立ち上る。
「------ししししし、死ぬかと思ったあああああ!!!!」
------そんな声が辺りに響いたと思うと、黒い"それ"は、
素早く動き、夜の闇に溶けるようなその姿を現した。
「----なっ?!」
誰かの驚いた声も無理もない。
それの見た目は、妖怪のような、明らかに人間離れした見た目だった。
黒い水たまりのような姿かたちに、目が二つ。
手のようなものが体の両横についており、口らしきとげとげの牙が
見えてもいる。
が、驚きはそれだけではなかった。
彼を庇うように、小さな人影が立ちはだかる。
--頭には王冠を。
背中にはマントをはためかせ。
身長は130cmもないような低身長で、見るからに非力そうな小柄な体躯。
現代の人間はあまり来てなさそうな青色の昔ながらの服に、
白のズボンの恰好。時代錯誤的だが、独特の恰好をした
サーヴァントばかりのこの場には上手く馴染んでいた。
「おおおおおおい、ボッジ!!!逃げようぜ!!!!
ヤバそうだって!!!!」
「・・・・!!」
「こっ、子供!!?!!」
「黒い妖怪と・・・・子供?」
また驚きの声が上がると同時に、
黄金の王、ギルガメッシュは口元を吊り上げ、
再度自身が持つ宝物から武器を放出せんと
右手を掲げる。
「------フハハハハハハ!!!ハハハハハハ!!!
これはこれは!!!!剣も持てぬ非力な童に、
面妖な姿と化した妖とは!!!」
「な、なんだよあいつ・・・。いきなりたっくさんの
武器を降らせてきやがって・・・!
俺の経験上、絶対ヤバい奴だぞ!!ボッジ!!」
ぐいぐい、とその黒い影がボッジと呼んだ
少年の服を引っ張りながらそう抗議の声を上げる。
港で突如始まった騒乱を陰から見守っていた彼らからしてみれば、
いきなり襲われた形ともなる武器の雨あられ。
「セイバー。あの子たちは一体・・・?」
「・・・わかりません。」
セイバーは思考する。見たところ普通の子供と、
幻想種か使い魔らしき"影"の生き物の事を。
見たところ、"影"らしきものは人外であることは間違いないが、
さしたる脅威は感じ取れなかった。
(・・・・何だ?この、嫌な予感は・・・)
だが、彼女のスキルの一つである"直感"は、
その少年に対して警鐘を鳴り響かせていた。
一瞬、そのボッジと呼ばれていた少年が山よりも大きく見える
幻影が映ったが、すぐに彼の姿は元の小さな形に戻り、
セイバーはそれがただの気のせいであると言い聞かせる。
「-----何、遠慮するな。
・・・"無敵の男"を倒したその力、この我に見せてみよ!!!」
「く、来るぞボッジ!!!!」
「--------あう!!!」
--------かくして、ここに一つの新たな物語が始まることとなる。
決してあり得ない異世界からの来訪者2名が、この聖杯戦争をどう引っ掻き回していくのか-------
それは、誰にもまだ分からない-----
補足:
英雄王が上機嫌な理由
ギルっち「現世マジで詰まんねー。
マスターはアレだし。
例の鏡(宝具)でちょっとまたのぞき見でもすっか」
「ん?なんだこの黒いのと、小さな子供?」
で、英雄王はすべてを見通す目で、
イレギュラーな存在の彼らを視て、
真っ黒で明らかに幻想種っぽいカゲちゃんを見かけて
そこから興味を・・・っていう
たぶん、ボッジだけだったら興味は持たれてなかったと思う
見た目は単なる子供だし
英雄王とエルキドゥの関係が、
ボッジとカゲの関係に似ているし、
ボッジは決してあきらめずに挑戦し続ける
設定的にはギルが大好きな"あがき続ける者"というドンピシャ
Fate/Zeroと王様ランキング見返していると、
たぶん、ギルはボッジがやり遂げたこと(ボッス王国での活躍)、
カゲとの本物の友情、そして剣が持てないほど非力で、口がきけず、耳が聴こえなく、皆からバカにされ続けても絶対にあきらめなかったそんな彼を知ったら、
どう考えても気に入るよなぁ、という感じになりました
だって、ギルって気になる物があるときには
いつもは封印している全てを見通す眼の力でその相手の過去を視たりもしてたし・・・ネ(Fate EXTELLAとか)
ザビ男/子みたいな不屈の勇気を持っているまだ小さな子供っていう
ものすごい原石なんすよねぇ
セイバーに出会うより先に面白いものを見っけた場合、
Fateシリーズにおいて一番どう動くかわからないジョーカーはどうなるのか
この出会いが何をもたらすのかはこの小説を書いている俺にもわからない(本音)
セイバーの直感
セイバー「あっ(察し)
これ、敵対したらアカン奴や」
原作で修業を終えたボッジと敵対した人たちって、
何かとてつもない"ビリビリ"っていう感覚を感じ取って、
皆一様にやばいって思ってたんですよねぇ。
まだボッジの"アレ"が出てくるのは先ですが、
ボッジが原作で最強たる所以の力はおいおい
実は、ハーメルンで王様ランキングのSSが一個もないので、
これが最初の王様ランキングのSSという事実
皆も王様ランキングのアニメぜひ見て♡(提案)
嫌です・・・・って言ったら〇す(バーサーカー)
次回?
給付金が配られて、小説執筆専念できるようになったら()
KEY(ドS)