家族になろうよと迫る幼馴染から逃れられない件   作:紅乃 晴@小説アカ

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親方!朝出勤したらデスクの上に婚姻届が!

 

朝、いつも通り出勤したら秘書官用の机の上に婚姻届が置かれていました。

 

何を言ってるかわからねぇと思うが俺もなしてこんなものが置かれているのかわからなかった。

 

しかもご丁寧に俺の記入部分だけ空白で、隣の部分は見知った名前と筆跡で埋め尽くされていた。あとは俺が記入してハンコを押して出せば正式に受理されるやつ。

 

 

「はやてちゃん……?この書類はいったい?」

 

 

いつもは俺より少し遅くに出勤してくるはずの部屋の主人、「八神はやて」はニコニコとした顔で俺を見ている。余計に顔が引き攣った。ちなみに俺と彼女の関係的には佐官と秘書官である。

 

 

「んー?それなぁ、そろそろ時期やと思ってな?」

 

 

何の時期なのかさっぱりなんですが!?目の前でにっこにっこ顔の彼女との付き合いは長い。

 

なんたって闇の書事件前に偶然にも出会い、はやての望むままにお茶飲みに付き合ったり、晩御飯を一緒に作ったり、病院の送り迎えをしたりして、闇の書覚醒後もヴォルケンリッターの面子と親しくなったり、なし崩し的に闇の書陣営側として事件に巻き込まれてしまったのだ。

 

事件終結後は、はやての直近関係者として管理局にこってり絞られ、ついでだからと彼女の監察官として任務につけと、ヴォルケンリッター含むはやての観察を一手に押し付けられ。

 

はやてが管理局に入局したのち、そのまま出世コースを進むことになった彼女の秘書官として行動を共にするようになったのだ。

 

闇の書事件にガッツリ関わってしまったのが痛い。個人的に原作にはあまり関らず、遠目から高町なのはや、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンの活躍とかを眺めていたかったのに、どうしてこうなった。

 

闇の書事件もなのはとヴィータの初戦闘時にフェードアウトしようとしたら、目の前に墜落してきたヴィータに見つかり、シグナムに見つかり……戦闘に巻き込まれたり。

 

その時、デバイスを使って応戦したのだが、それでシグナムたちに詰められたこともあったが、なんやかんやあって気がつけば闇の書陣営でガッツリ原作介入をしてしまったのだ。

 

どうして……俺はただ、一人のなのはファンとして聖地巡礼をしていたかっただけなのに。

 

お分かりかと思うが俺はこの世界にとっては異分子。イレギュラー。いわゆる転生者と言うものだ。

 

転生というが行儀のいい生まれではない。この身は操作されて生み出されたもので、空っぽの肉体に偶然にも俺という人格がインストールされたに過ぎない。

 

何がどうなって転生なんていう事態になったのかは全く理解できないが、管理局に保護されるまではこの世界が魔法少女リリカルなのはの世界だとはわからなかった。

 

紆余曲折あって自由の身となった俺は、リンカーコアがあったのも幸いし、保護してくれた管理局の魔導師に魔法を教えてもらいながら訓練学校を卒業。

 

卒業記念に聖地巡礼がしたくて無理を言って地球へのバックパッカーとなったのだ。

 

 

「ほら、ええ加減別姓やったらややこしいやろ?書類の手続きとか。ええ機会やし、シグナムやヴィータも全部戸籍に入れてしまっても……」

 

 

白目剥いて現実逃避という名の過去回想をしていたらぶん殴られて現実に引き戻されたでござる。っていうか、そうじゃなくて!?

 

 

「ちょちょちょ……ちょっと待った!!」

 

 

放っておくといくとこまでグイグイと行ってしまいそうな上司の言動に待ったをかける。

 

はやては何をそんなに焦ってるの?と言いたげな不思議そうな顔をして小首を傾げているのだが、いきなりこんな書類を出された上に、さも当然のように人生設計の話をされればそうなるとも。

 

 

「まず、一つずつ確認していい?この書類は婚姻届でいいかな?夫側だけが空白状態の」

 

「その通りやけど?」

 

「じゃ、じゃあ……シグナムやヴィータを戸籍に入れるって?」

 

「結婚するついでにみんな〝家族〟になるんやで?」

 

 

Whats?いきなり上司からの〝家族〟になる発言で思考停止する俺に、はやては追い討ちのようにくすくすと楽しげな笑みを浮かべた。

 

 

「いややわぁ、タカト。私らもう……家族やろ?」

 

 

な?と言いながら……目が、笑ってないんですけど……。どうしてこうなった?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タカト・ハイラックス。

 

私が海鳴市に住んでいる時。まだ闇の書が目覚める前に出会った不思議な男の子。

 

車椅子が壊れて動けなくなったところを助けてくれたのが出会ったきっかけで、旅行でやってきた彼と最初に仲良くなったのも私やった。

 

壊れた車椅子の修理期間中、タカトは親切に私の手助けをしてくれた。最初は申し訳なかったんやけど、彼の優しさに何故か甘えてしまう自分がおった。

 

旅人であるタカトは私から見ても少し大人びていて、彼の話すいろいろな世界の話はとても楽しくて、素敵だった。

 

いつしか家にも招くようになって、一人で過ごしていた静かな家が賑やかになって。病院と家しか行き来せんかった私をタカトは色々な場所に連れ出してくれた。

 

水族館に動物園、映画館にショッピングモール。

 

久しぶりに見るものから初めてみるもの。タカトも旅人だったからか、私が初めて見るものを一緒になって楽しんで見てくれた。共感してくれる人ができて、本当に楽しかった。

 

真っ暗やった世界に温かな灯りが灯ったように思えた。

 

そして……闇の書の事も。

 

シグナムたちが急に現れた時は大変やった。いつも通り、合鍵で家に来たタカトをシグナムとヴィータが羽交締めにしたんやったっけ。その時は咄嗟に、両親の遠い親戚の人たちやって言い訳したけど我ながら苦しい言い訳やったと思う。

 

紆余曲折あったけど、シグナムやヴィータたちともタカトは打ち解けてくれた。なんや、本物の家族ができたように思えたんや。

 

そして……リインフォース。

 

闇の書の覚醒による事件。

 

なのはちゃんや、フェイトちゃんとの出会い。

 

悲しい事も、苦しい事もたくさんあった。

 

タカトは……管理局の魔導師やったのに仲間と敵対することになっても私を守ってくれた。シグナムやヴィータたちと一緒に。

 

いっぱい傷ついて、苦しい思いもして、なのはちゃんやフェイトちゃんとも戦ったって聞いた。

 

闇の書の意識の中で眠っていた私を呼んでくれた。

 

「必ず助ける」

 

そう言って諦めなかった。そんな彼が居てくれたから、私は折れずに戦ってこれたんやと思う。

 

管理局に保護されて、闇の書のことについて私が言及されそうになってもずっと私の味方で、庇って、助けてくれた。

 

彼は……私にとってのヒーローや。

 

 

 

だから、誰にも渡さへん。

 

タカトは私の……〝家族〟なんやから。

 

 

 

 

 

 

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