家族になろうよと迫る幼馴染から逃れられない件   作:紅乃 晴@小説アカ

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訓練とは反復!息をするやつにできるべし!!

 

 

 

【主はやてにとっては、もう家族同然なのですよ】

 

 

婚姻届を持って迫ってくる上司から思わず逃げ出した人がいます。誰かって?俺だよ!!

 

会議とかが無くて助かったと今日ほど思った日はない。咄嗟に逃げ出して、彼女がどう思ったのかは想像し難いが、張り付いた笑みと笑っていない目で迫られたら逃げ出したくもなるということをどうかわかってほしい。

 

逃げ出した先に隠れる場所などなく。とりあえず考えをまとめるために俺は訓練場へと足を運んだ。愛機を起動し、表示されたエネミーを撃破する基本的な訓練。

 

だが、その基本を基本だと笑うものは永遠に強くはなれない。そう笑って落第して行ったものを俺はよく知っているのだから。考えながら行う訓練が、いつかは別の考えことをしながらも無意識に、機械的に行えるようになる。そこからがスタートラインだ。基本的な訓練など息を吐くようにできなければ実戦でなど使い物にならない。

 

そんなわけで、考えをまとめるのにちょうど良かった訓練を一通り終え、休憩をしていると愛機であるインテリジェンス・デバイスの表示画面に困った顔をした〝彼女〟が浮かび上がる。

 

 

「勘弁してくれ、リインフォース……」

 

 

表示されたデバイスの擬似AI人格。

 

またの名を、リインフォース・アインス。

 

元闇の書の管理人格であり、闇の書事件で防衛システムであるナハトヴァールの影響をモロに受けた存在でもある。

 

彼女は闇の書に巣食うナハトヴァールの破壊と共に消滅したのではないかって?最初はなのはとフェイト、そしてレイジングハートとバルディッシュによる処置を受け入れるつもりだったのだが……。

 

 

『嫌や、リインフォース!これからやのに……幸せなことも……楽しいことも……これからやのに!!』

 

 

雪の上で泣き叫ぶはやての悲鳴のような声に耐えきれませんでした。

 

ナハトヴァールを取り除く際、共に消えることを選んだリインフォースであるが、彼女はあくまで夜天の書の管理人格。根源的な物言いをすれば管理データでしかない。

 

膨大な蒐集を行う闇の書の管理といえば、リインフォースを構築するシステムはあまりにも複雑。解読するにはそれこそ一世紀を費やす必要があるほどだ。

 

だが、闇の書の全体管理といった機能は除去し、その人格プロセスだけをダウンロードできれば?咄嗟に思いついた起動プロセスを実行し、ナハトヴァールが消滅する直前に、俺はリインフォースの人格をダウンロードし、自らのデバイスへ移植したのだ。

 

前述通り、闇の書の管理プログラムは消失。ついでに彼女の人格用の肉体や、夜天の書のデータの一部などが消えることになったが……彼女の人格データは俺のデバイスで再起動を果たしたのだ。

 

最初はリインフォースIIが生まれないのでは?という不安はあったものの、夜天の書の管理人格の再起動が問題なく起動し、数ヶ月という再構築の時間の後にリインフォースIIは、はやての元へとやってきたのだった。

 

あわや原作ブレイクになるのでは?と全快を果たしたはやてのリハビリに付き合いながら内心ビクビクだった俺にとっては、ホッと胸を撫で下ろすと同時に、マジでこれ以上の原作介入はやめようと心に固く誓う瞬間でもあった。

 

主要キャラとの距離は適切に。イエス、なのはファン!ノー、タッチ!!関わりもあくまで仕事上のみだ。……あー、八神家を除いて。

 

それからしばらく。

 

今はリインフォースIIと同じように肉体も製作中で、近いうちにデバイスの人格だけではなく肉体を持った復活を果たすだろう。

 

ただし、サイズは幾分か小さくはなるが。

 

 

「まさかシグナムたちも同じ意見だったとは」

 

 

訓練所に逃げ込んできたタカトと鉢合わせたのは共に汗を流していたシグナムとヴィータだった。明らかに顔色が悪い俺を見て声をかけてきた二人に事情を説明したのだが、二人からはクエスチョンマークを返される始末だった。

 

シグナムもヴィータも。それにシャマルや最近チェスにハマり始めたザフィーラまで俺を家族認定していたのだ。驚きである。

 

特にシグナムとは戦友ではあるものの家族という印象を抱かれているとは思ってもいなかった。闇の書が起動し、ヴォルケンリッターが召喚された翌朝。はやてとのプライベートな付き合いのためにアルバイトをしていた俺はいつも通り、はやての家に向かったのだが出会い頭にレヴァンティンで斬りかかられた。

 

咄嗟にデバイスで防護、するのではなく転がって躱したことは誉めてほしい。あれは死ぬかと思った。睨み合いとなる中、騒ぎを聞いたはやてが車椅子でやってくると、目を泳がせながら「遠い親戚です」と紹介された。

 

うん、無理があるけど受け入れます。

 

そんでもってヴォルケンズとの交流も始まったのだが、まじで関係構築は難航した。特にシャマル先生。あの人からの信頼を得るのがめちゃくちゃ難易度高かった。信頼されるまで常に遠隔監視されてたし、家で共に食事をする時も笑顔の下で鋭い観察眼を俺に突き刺してきていたし。

 

洗濯機が爆発しかけたところを助けたり、オーブンで炭素を作り出そうとしたのをさりげなく助けたり、現代語彙力向上のためにクロスワードを勧めて一緒に悩んでクリアしたりと、紆余曲折あってやっと信頼してもらったわけだ。

 

あ、クロスワードとかおっさん趣味かよとか馬鹿にするなよ?語彙力身に付けたいならクロスワードおすすめ。ゲーム感覚でいろんな単語が身につくし、タイムリーなことも学ぶことができるぞ。

 

ヴィータははやてとの合作ハンバーグとかショッピング、水族館、遊園地で陥落。ザフィーラは基本静観であったが、戦略ゲームを好んでやる傾向があったから何度か相手をしているうちに仲良くなった。

 

そしてシグナムは考えるより感じろ。庭先でのデイリー木刀訓練をこなせば、とりあえず戦友にはなれる。まぁ何度か死にかけはしたけど。

 

闇の書事件の時、俺が管理局の魔導師だとバレた時は必死に謝った。謝った上で、はやてを守らせてほしいと全員に頭を下げた。みんなから見れば、俺は闇の書に感づいた管理局からの回し者に見えたはずなのに、全員が俺を許して、共に戦うことを認めてくれた。

 

それが何より嬉しかった。

 

俺という不穏分子のせいではやてが闇の書の意思に取り込まれたまま帰ってこれなくなるのではないかと怖くて仕方がなかった俺にとって心強い味方でいてくれた。

 

だから、シグナムやヴィータ、シャマルにザフィーラには本当に感謝している。

 

感謝しているのだが……。

 

 

「で?挙式はいつするのだ?私たちも段取りというものがあろう」

 

「結婚式のメシってどんなのだろうな!!はやてのウェディングドレスも綺麗なんだろうなぁ〜!!」

 

 

どぉぉおしてそうなるのぉぉおおおお!!

 

楽しげな二人の中で描かれる未来予想図はきっちり俺とはやてが結婚している前提で進められている。シャマルに至ってはウェディングドレスはカラーと純白を数着ずつ着てお色直しもなんて話をしているらしい。ザフィーラ?鍛えてやるからさっさと子供の顔を見せろだってよ。

 

違う、そうじゃない。

 

俺はこう、はやてとそういう関係になりたいわけじゃなくて!!

 

 

「……タカトは、嬉しくないのか?」

 

 

悲しげな表情のヴィータにそう言われて、そんなことをのたまって断れる人間なんているわけねえだろうが!!くそが!!

 

俺はただ原作介入は避けたいだけなのに!!ここではやてと結婚したら色々と問題もあるし、今までも適切な距離感は保ってきたはずだ!

 

まぁ、はやてを先に帰らして俺が残業して、二人ともバラバラに帰っても何故かちょうどいいタイミングで晩御飯ができていることもあったし。

 

お風呂のタイミングもばっちり。

 

そのままヴィータとゲームをしたり、シグナムと稽古をしたり、ザフィーラと将棋をしたり、シャマルの趣味とかに付き合ったりして。

 

八神家では俺の部屋があったり。

 

あれ?実質同居じゃね?

 

 

【主ははやてのことが好きではないのか?】

 

 

シグナムたちから逃げるように別れて、頭を抱えている俺に愛機はどストレートな言葉を投げ付けてきた。俺じゃなきゃ風穴あいてるね!!

 

てゆーか、そんなわけないじゃんッ!!

 

だが、原作ブレイクするのが嫌なだけなんや!!そこ!!リインフォースを助けてる段階で原作ブレイクじゃね?って言うじゃあない!!これでもかなり気を使って行動してるんです!!

 

くっそ!!どうしてこうなった!!

 

 

 

 

 

 

 

そうやって答えのわからない疑問に悩み、もがく主人の横目でアインスはある場所へと通信を〝無断〟で繋げた。

 

 

【主はやて。主人は訓練所で百面相をしてます】

 

「おおきにな、アインス。まぁお腹減ったら帰ってくるやろうし。しばらくはアインスの言う通り、そっとしておいてあげた方がええな」

 

【何か変化がありましたら連絡します】

 

「はぁーい。よろしゅうな」

 

 

 

 

 

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